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AIで契約書レビューを30分に短縮|人手不足の総務向け実践手順

AIで契約書レビューを30分に短縮する方法 - 法務部がない中小企業の総務・経営者向け - 株式会社BoostX

「この契約書、本当にこのままサインして大丈夫なのか?」——法務部のない中小企業で、総務担当者や社長自身がこの不安を抱えたまま契約書に判を押している現実があります。

私は株式会社BoostXの代表として、自分自身で生成AIを活用した契約書レビューを日常的に実践しています。その経験から断言できるのは、法務の専門家でなくても、AIを使えば契約書の「不利な条件」や「リスク」を30分で把握できるということです。

本記事では、Google Geminiを使った契約書レビューの具体的な手順を、プロンプトの実例から情報漏洩対策まで、すべて実践ベースで解説します。


目次

  1. 契約書AIレビューとは?法務部がない企業の新しい選択肢
  2. └ 「契約書が読めない」中小企業経営者の現実
  3. └ AIレビューで「内容がわかる」ことの本当の価値
  4. AIで契約書レビューを30分で完了する具体的手順
  5. └ Step1:契約書をAIに読み込ませる
  6. └ Step2:リスク抽出プロンプトを実行する
  7. └ Step3:人間による最終確認と修正案作成
  8. 契約書AIレビューで注意すべき3つのリスク
  9. └ 無料版AIの情報漏洩リスクと対策
  10. └ AIの判断を鵜呑みにしない体制づくり
  11. └ 精度を高めるRAGとファインチューニング
  12. なぜ中小企業の総務こそAI契約書レビューを始めるべきか
  13. └ 「読めない契約書」に判を押すリスク
  14. └ 月数時間の短縮が年間で生み出す効果
  15. よくある質問
  16. まとめ

契約書AIレビューとは?法務部がない企業の新しい選択肢

【結論】契約書AIレビューとは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIに契約書を読み込ませ、自社にとって不利な条項やリスクを抽出する手法である。法務部がない中小企業でも30分で実施できる。

契約書AIレビューとは、生成AI(ChatGPT、Google Gemini、Claudeなど)に契約書の内容を読み込ませ、自社にとってのリスクや不利な条件を自動的に抽出・分析する手法です。従来は弁護士や法務部門に依頼するしかなかった契約書の精査を、AI(人工知能)の力を借りて自社内で実施できるようになりました。

「契約書が読めない」中小企業経営者の現実

法務部がある企業なら、契約書のチェックは法務担当に回せばいい。しかし現実を見てください。中小企業の多くには法務部が存在しません。社長自身が契約書に目を通し、総務担当者が「なんとなく大丈夫そう」という感覚で処理しているのが実情です。

ここで正直に言います。契約書に書かれている法律用語や条項の意味を、法務の専門知識がない人が正確に理解するのは極めて難しい。「甲は乙に対し、本契約に基づく一切の責任を負わない」——この一文が自社にとってどれほど不利な条件なのか、判断できる中小企業の社長がどれだけいるでしょうか。

ここに生成AIの出番があります。AIは契約書の文言を解析し、「この条項は御社にとって不利です。理由は〇〇です」と、わかりやすい日本語で説明してくれるのです。

AIレビューで「内容がわかる」ことの本当の価値

「AIで契約書をレビューする最大の価値は、リスクの抽出ではありません。契約書の中身がわかるようになることです。法務の専門家でなくても、何が書いてあるのか理解できる。これこそが、法務部のない中小企業にとって一番の価値だと私は考えています。」

— 生成AI顧問の視点

多くの人が「AI契約書レビュー」と聞くと、リスクの自動検出や修正案の生成をイメージします。もちろんそれも重要です。しかし私が実践を通じて最も価値を感じているのは、それ以前の段階——「契約書に何が書いてあるのか、自分で理解できるようになる」という点です。

たとえばGeminiに契約書をアップロードして「この契約書の内容をわかりやすく要約してください」と指示すれば、専門用語をかみ砕いた説明が返ってきます。その上で「自社にとって不利な条項はありますか?」と聞けば、具体的な条項番号と理由が提示されます。

これは「法務の代替」ではありません。「法務がなくても、契約書と向き合える武器」です。


AIで契約書レビューを30分で完了する具体的手順

【結論】契約書AIレビューは「読み込み→リスク抽出→人間確認」の3ステップで30分以内に完了する。PDFアップロードまたはスクリーンショットで簡単に開始できる。

ここからは、私が実際に行っている契約書AIレビューの手順を3つのステップで解説します。使用ツールはGoogle Gemini(有料版・Google Workspace連携)ですが、ChatGPTやClaudeでも同様の手順で実施できます。

1

契約書をAIに読み込ませる

PDF・スクリーンショット・テキストコピペのいずれかで投入(約5分)

2

リスク抽出プロンプトを実行する

「自社に不利な条項はあるか」を中心に質問(約10分)

3

人間による最終確認と修正案作成

AIの指摘を読み、判断・修正案を仕上げる(約15分)

Step1:契約書をAIに読み込ませる

まず、レビュー対象の契約書をAIに読み込ませます。Google Geminiでは以下の3つの方法が使えます。

読み込み方法 対応形式 おすすめ度
PDFアップロード .pdf形式 最もおすすめ
スクリーンショット 画像形式(PNG/JPG) 紙の契約書に有効
テキストコピペ テキスト形式 Word文書に有効

現在の生成AIはマルチモーダル(テキスト・画像の両方を理解する能力)に対応しています。つまり、紙の契約書をスマートフォンで撮影してアップロードするだけでも、AIは内容を正確に読み取れます。PDFが手元になければ、スクリーンショットで十分です。

ポイント

契約書が複数ページにわたる場合は、PDFアップロードが最も確実です。スクリーンショットの場合は、文字が読める解像度で撮影し、ページごとにアップロードしましょう。

Step2:リスク抽出プロンプトを実行する

契約書を読み込ませたら、次はプロンプト(AIへの指示文)でリスクを抽出します。ここが最も重要な工程です。

私が実際に使っているプロンプトの基本形はシンプルです。

プロンプト例①(基本)
「この契約書に、自社にとって不利になり得る条項が含まれていますか?ある場合は、該当する条項番号・内容・不利になる理由を一覧で教えてください。」

プロンプト例②(要約+リスク)
「この契約書について以下を教えてください。
1. 契約の概要を3行で要約
2. 自社にとって不利な条項をすべてリストアップ
3. 各不利条項について、修正案を提示」

プロンプト例③(比較チェック)
「この契約書の損害賠償条項・契約解除条項・秘密保持条項について、一般的な商取引契約と比較して、特に厳しい条件や偏った内容はありますか?」

プロンプトエンジニアリング(AIに適切な指示を与える技術)のコツは、「自社にとって」という立場を明確にすることです。単に「この契約書を確認して」では、AIは中立的な要約を返すだけで終わります。「自社に不利な点」と聞くことで、AIは片方の当事者の視点に立った分析を行います。

生成AIを活用した業務効率化についてさらに詳しく知りたい方は、生成AI顧問サービスとはもご覧ください。

Step3:人間による最終確認と修正案作成

AIが抽出したリスクと修正案を、最終的に人間が確認します。ここが省略できないステップです。

AIは契約書の法的リスクを高い精度で検出しますが、ビジネス上の文脈——たとえば取引先との力関係や、過去の取引実績に基づく判断——はAIにはできません。「この条件は一般的には不利だが、この取引先との関係上は受け入れるべきだ」といった判断は、人間にしかできないのです。

実際の確認作業は以下の流れで進めます。

確認項目 チェック内容 所要時間
AIの指摘を一読 抽出されたリスク一覧を通読し、該当箇所を原文と照合 5分
ビジネス判断 取引の重要度・相手との関係性を踏まえ、各リスクの許容可否を判断 5分
修正案の確定 AIが提案した修正案を採用するか、自社の文言で書き直すかを決定 5分

合計で約30分。従来、法務知識のない担当者が一人で契約書を読み解こうとすれば数時間かかっていた作業が、AIの力で30分に短縮されます。


契約書AIレビューで注意すべき3つのリスク

【結論】契約書AIレビューには「情報漏洩リスク」「AI誤判断リスク」「学習データの精度限界」の3つのリスクがある。有料版ツールの使用と人間チェックの併用で対処可能。

AIによる契約書レビューは強力ですが、導入にあたって見落としてはならないリスクが3つあります。これらを理解した上で活用するのが、正しいアプローチです。

無料版AIの情報漏洩リスクと対策

注意

無料版の生成AIに契約書をアップロードすると、その内容がAIの学習データとして使用される可能性があります。契約書には機密情報や個人情報が含まれるため、必ず有料版・法人向けプランを使用してください。

これは最も重要な注意点です。無料版のChatGPTやGeminiでは、入力したデータがAIの学習に利用される可能性があります。契約書には取引先名、金額、条件など、機密性の高い情報が詰まっています。これが学習データに取り込まれるリスクは絶対に避けなければなりません。

対策は明確です。Google Workspaceの有料プランやChatGPT Team/Enterpriseなど、「入力データを学習に使用しない」と明記された法人向けプランを使用すること。自社のAI利用ガイドラインを策定し、どのツールで何を扱ってよいかを明文化しておくことも重要です。

ツール プラン 学習利用 契約書利用
Google Gemini Google Workspace(有料) なし 推奨
ChatGPT Team / Enterprise なし 推奨
ChatGPT 無料 / Plus(個人) あり(設定で無効化可) 非推奨
Claude Team / Enterprise なし 推奨

AIの判断を鵜呑みにしない体制づくり

「AIを100%信用するのは危険」——これは正しい懸念です。生成AIは学習データに基づいて回答を生成するため、学習データに誤りがあれば、回答も誤る可能性があります。いわゆる「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象で、AIが事実と異なる情報をもっともらしく生成してしまうことがあります。

だからこそ、契約書AIレビューの結果は「参考意見」として扱い、最終判断は必ず人間が行うというルールを徹底してください。AIが「問題なし」と言ったからといって、それで安心してはいけません。逆にAIが「リスクあり」と指摘した箇所が、実は許容範囲である場合もあります。

重要な契約(金額が大きい取引、長期契約、損害賠償リスクが高い案件)については、AIレビューで論点を整理した上で、必要に応じて弁護士に相談するのが最善の使い方です。

精度を高めるRAGとファインチューニング

法務分野のAI活用でさらに精度を高めるには、RAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)やファインチューニング(AIモデルの追加学習)といった技術が有効です。

RAGとは、AIが回答を生成する際に、外部のデータベース(自社の過去の契約書、法律データベースなど)から関連情報を検索して参照する技術です。これにより、AIの回答精度が飛躍的に向上します。たとえば、自社の過去の契約書テンプレートをRAGで参照させれば、「御社の標準契約と比較して、この条項は〇〇が異なります」といった、より実用的な分析が可能になります。

ただし、RAGやファインチューニングの導入には専門的な知識が必要です。生成AIコンサルティングを活用して、自社に最適な仕組みを構築することをおすすめします。

あわせて読みたい:BoostXが選ばれる理由 →


なぜ中小企業の総務こそAI契約書レビューを始めるべきか

【結論】人手不足の中小企業こそ、AI契約書レビューの恩恵が最も大きい。法務部を持てなくても、契約リスクに気づける体制をAIで構築できる。

「読めない契約書」に判を押すリスク

契約書が「読めない」まま署名することの怖さを、もう一度考えてみてください。

損害賠償条項に上限がない契約に署名すれば、万が一のトラブルで会社の存続に関わるリスクを背負います。自動更新条項に気づかなければ、解約したいのに1年間拘束され続けます。知的財産権の帰属条項を見落とせば、自社で開発したものが相手の権利になります。

これらは決して珍しい話ではありません。法務の知見がない状態で契約書を処理している中小企業は、このリスクに常にさらされています。AIで「内容がわかる」ようになるだけで、これらのリスクの大部分を回避できるのです。

月数時間の短縮が年間で生み出す効果

月に5件の契約書を処理する企業を例にとります。従来、1件あたり2時間かけていた確認作業がAIで30分に短縮された場合、月あたり7.5時間、年間で90時間の業務時間削減になります。

人手不足に悩む中小企業の総務担当者にとって、この時間の意味は大きい。契約書レビューにかかる時間を削減した分、本来注力すべき業務——採用、労務管理、社内制度の整備——に時間を回せます。

さらに重要なのは、時間の削減だけではありません。リスクを見落とさない体制が構築されること自体が、企業価値の向上につながります。


よくある質問

Q.AIで契約書をレビューすると情報漏洩しませんか?

A.無料版AIでは学習データに使用される可能性があります。Google Workspaceの有料プランやChatGPT Team/Enterpriseなど、入力データを学習に使用しない法人向けプランを選べば、情報漏洩リスクは回避できます。自社のAI利用ガイドラインで使用ツールを明確にしておきましょう。

Q.AIのレビュー結果は法的に信頼できますか?

A.AIのレビューは法的助言ではなく「参考情報」です。ハルシネーション(事実と異なる情報の生成)が起きる可能性があるため、最終判断は必ず人間が行い、重要な契約では弁護士への相談を併用してください。

Q.どの生成AIツールがおすすめですか?

A.Google Workspace連携のGemini、ChatGPT Team、Claude Teamが法人利用に適しています。すでにGoogle Workspaceを導入している企業はGeminiが最もスムーズに導入できます。いずれも入力データが学習に使われないプランを選ぶことが前提です。

Q.法務の知識がなくてもAIレビューは使えますか?

A.使えます。むしろ法務知識がない人にこそ価値があります。AIが契約書の内容をわかりやすく説明し、不利な条項を指摘してくれるため、法務の専門家でなくても契約書の内容を理解した上で判断できるようになります。

Q.AIで契約書を作成することもできますか?

A.可能です。AIにドラフト作成を依頼し、それをベースに修正する使い方は有効です。ただし、作成した契約書も必ず人間がチェックし、自社の取引実態に合っているかを確認してください。本記事で解説したレビュー手順と同じ考え方で、AIが生成した契約書もチェックできます。


まとめ

AI契約書レビューの導入について、さらに詳しい進め方を知りたい方は無料相談の流れもご覧ください。「何から始めればいいかわからない」というご相談もお気軽にどうぞ。

この記事のまとめ

  • 契約書AIレビューとは、生成AI(Gemini・ChatGPT・Claude等)に契約書を読み込ませ、リスクを抽出する手法である
  • 最大の価値は「契約書の内容がわかるようになる」こと。法務部がない中小企業にとって、これは事業リスクの根本的な軽減になる
  • 手順は「読み込み→リスク抽出プロンプト→人間チェック」の3ステップ、約30分で完了する
  • 無料版AIは情報漏洩リスクがあるため、Google Workspaceなどの法人向け有料プランを使用すること
  • AIの判断は「参考意見」として扱い、最終判断は必ず人間が行う。重要な契約では弁護士との併用が推奨

「自社にAIを導入するのはハードルが高い」と感じるかもしれません。しかし今回紹介した契約書レビューは、Google Geminiに契約書をアップロードして質問するだけ。特別な設定もシステム導入も不要です。まずは1件、手元の契約書で試してみてください。「こんなに簡単に、こんなことがわかるのか」という体験が、次のステップへの自信になります。

もし「自社の業務全体でAIをどう活用すればいいかわからない」という段階であれば、業務の棚卸しから伴走支援を行う生成AI伴走顧問サービスも選択肢の一つです。


執筆者

吉元大輝(よしもとひろき)

株式会社BoostX 代表取締役社長

中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。

※本記事の情報は2026年2月時点のものです。

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