社内問い合わせをAIで自動化|中小企業の対応コストを大幅に削減する方法
「有給の申請方法って?」「経費精算の書式はどこ?」「VPNの設定を教えて」——こうした社内問い合わせが、総務・人事・情シス担当者の時間を日々奪っています。
問題は、同じ質問が何度も繰り返されることです。そして、その都度「特定の誰か」が手を止めて対応している。この構造を放置すれば、人手不足の中小企業にとって深刻なボトルネックになります。
本記事では、生成AI顧問として中小企業のAI導入を支援してきた経験をもとに、社内問い合わせをAIで自動化する具体的な方法を3ステップで解説します。NotebookLMやGeminiなど、今すぐ使えるツールの実践的な活用法もお伝えします。
目次
- 社内問い合わせ対応が中小企業の「隠れコスト」になっている
- └ 1-1. 総務・人事・情シスに集中する「同じ質問」の実態
- └ 1-2. 属人化がもたらす3つのリスク
- 社内問い合わせAI自動化とは?仕組みと導入の全体像
- └ 2-1. AIが社内問い合わせに対応できる理由
- └ 2-2. 企業規模別の最適なアプローチ
- 中小企業が今日から始められる導入3ステップ
- └ 3-1. 問い合わせ頻度の高い質問をストックする
- └ 3-2. 社内マニュアル・規程をデジタル化してAIに学習させる
- └ 3-3. 社内配布して「AIに聞く」文化を定着させる
- 導入で失敗しないための注意点
- └ 4-1. 「大きく始めすぎる」が最大の失敗要因
- └ 4-2. デジタル化されていないマニュアルは使えない
- 生成AI顧問が支援する社内問い合わせAI導入
- よくある質問
- まとめ
社内問い合わせ対応が中小企業の「隠れコスト」になっている
【結論】社内問い合わせ対応は、目に見えにくいが確実に業務時間を圧迫している。同じ質問の繰り返しと属人化が、中小企業の生産性を下げる構造的な問題である。
総務・人事・情シスに集中する「同じ質問」の実態
中小企業の管理部門には、日々こんな問い合わせが集中しています。
これらの問い合わせには共通点があります。答えはすでに社内のどこかに存在しているということです。就業規則、マニュアル、社内ポータル——情報はあるのに、社員がたどり着けず「人に聞く」という手段に頼っている。これが実態です。
問い合わせ1件あたりの対応時間は5〜15分程度に見えますが、1日に10件あれば1〜2時間。月に換算すると20〜40時間以上が「同じ質問に答える」だけで消えていきます。
属人化がもたらす3つのリスク
社内問い合わせ対応が特定の人に集中すると、以下の3つのリスクが生まれます。
1. 担当者の本来業務が圧迫される
問い合わせ対応に追われ、本来やるべき業務改善や制度設計に時間が割けなくなります。
2. 担当者の不在時に業務が止まる
「あの人がいないとわからない」という状態は、休暇や退職の際に深刻な問題になります。
3. 質問する側の時間も失われる
担当者が会議中で聞けない、返事を待つ間に作業が止まる——質問する側にもコストが発生しています。
「社内問い合わせの本質は”情報へのアクセス問題”です。答えは社内にあるのに、それを引き出す手段が”特定の人に聞く”しかない。この構造を変えない限り、人を増やしても問題は解決しません。」
— 生成AI顧問の視点
社内問い合わせAI自動化とは?仕組みと導入の全体像
【結論】社内問い合わせAI自動化とは、社内マニュアルや規程をAIに学習させ、社員が自然言語で質問するだけでピンポイントの回答が得られる仕組みのことである。
AIが社内問い合わせに対応できる理由
社内問い合わせの大半は、すでに文書化された情報の検索・要約です。就業規則に書いてある。マニュアルに載っている。ただ、社員がその情報にたどり着けないだけ。
生成AI(大規模言語モデル)はまさにこの用途に強い。社内文書を読み込ませれば、「育休の申請手順を教えて」と聞くだけで、該当する規程の内容を要約して回答してくれます。これはRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)と呼ばれる技術で、AIが社内データベースから情報を取得して回答を生成する仕組みです。
重要なのは、FAQのような定型的な問い合わせほどAI自動化の効果が高いということです。答えが決まっている質問に人が対応し続ける必要はありません。
企業規模別の最適なアプローチ
社内データが揃っていれば、AI導入のハードルは想像以上に低い。企業規模に応じた2つのアプローチを紹介します。
NotebookLMはGoogleが提供するAIノートブックツールで、PDFやGoogleドキュメントをアップロードするだけで、その内容に基づいた質問応答が可能になります。Google Workspaceアカウントがあれば共有リンクで社内配布もできるため、小規模企業にとっては最も手軽な選択肢です。
一方、社員数が多く問い合わせ件数も多い企業では、Difyなどのプラットフォームを使って自社専用のチャットボットを構築する方法が有効です。UIのカスタマイズや権限管理など、組織に合わせた設計が可能になります。
生成AI顧問がどのような支援を行うのか、詳しくは生成AI顧問サービスとはをご覧ください。
中小企業が今日から始められる導入3ステップ
【結論】社内問い合わせAI自動化は「質問のストック→AIへの学習→社内配布」の3ステップで実現できる。質問頻度の高いものから対応し、段階的に自動化範囲を広げるのが成功の鍵。
問い合わせ頻度の高い質問をストックする
まずは1〜2週間、実際にどんな質問が来ているかを記録する
社内マニュアル・規程をデジタル化してAIに学習させる
NotebookLMやGeminiに関連資料をアップロードし、項目別にページを作成
社内配布して「AIに聞く」文化を定着させる
共有リンクを配布し、質問頻度の高いものから順にAI対応へ移行
Step 1:問い合わせ頻度の高い質問をストックする
最初にやるべきことは、ツール選定ではありません。「何が聞かれているか」を把握することです。
1〜2週間、総務・人事・情シスの担当者に「どんな質問が来たか」を記録してもらいます。Googleスプレッドシートでもメモでも構いません。重要なのは、質問内容と頻度を可視化することです。
記録してみると気づくはずです。問い合わせの7〜8割は、同じ10〜20種類の質問が繰り返されているということに。この「上位20問」がAI自動化の最優先ターゲットになります。
Step 2:社内マニュアル・規程をデジタル化してAIに学習させる
頻出質問が特定できたら、次はその回答の元となる社内資料をAIに読み込ませます。
具体的には、以下のような資料を準備します。
・就業規則(勤怠、有給、育休などの規程)
・経費精算マニュアル(申請フロー、書式、締め日)
・IT関連の手順書(VPN設定、パスワードリセット、ソフトウェアインストール)
・社内ルール(会議室予約、備品管理、来客対応)
NotebookLMの場合、これらの資料をPDFやGoogleドキュメント形式でアップロードし、項目ごとにページ(ノートブック)を作成していきます。「総務関連」「人事関連」「IT関連」とテーマ別に分けることで、情報の精度が上がり、的確な回答が得られるようになります。
ポイント
紙のマニュアルや古いWord文書が残っている場合は、まずデジタル化(PDF化・テキスト化)が必要です。この「デジタル化」が完了しているかどうかが、AI導入のスピードを決めます。
Step 3:社内配布して「AIに聞く」文化を定着させる
AIに社内データを学習させたら、あとは社員に使ってもらうだけです。
Google Workspaceを利用している企業であれば、NotebookLMの共有リンクを発行して社内チャットやメールで配布するだけで展開できます。Geminiでも同様の共有が可能です。
定着のコツは、最初から「全部AIに聞いて」と押し付けないこと。まずは質問頻度の高いトップ5に絞り、「この質問はAIに聞けば答えが出ますよ」と具体的に案内します。実際に便利だと体感した社員が増えれば、自然と利用範囲は広がっていきます。
最終的に目指すのは、「困ったらまずAIに聞く」が社内の当たり前になる状態です。そこまで到達すれば、問い合わせ対応にかかっていた時間の大半が削減されます。
導入で失敗しないための注意点
【結論】社内問い合わせAI導入の失敗原因は技術的な問題ではなく、「大きく始めすぎる」「マニュアルがデジタル化されていない」という準備不足に起因する。
「大きく始めすぎる」が最大の失敗要因
現場で最も多い失敗パターンは、いきなり全社展開しようとすることです。
「全部門の問い合わせを一括でAI化したい」「社内ポータルを丸ごと作り替えたい」——こうした野心的な計画は、プロジェクトが大きくなりすぎて頓挫します。要件定義に時間がかかり、コストが膨らみ、リリース前に関係者のモチベーションが下がる。典型的な失敗パターンです。
正しいアプローチは、1つの部署、5〜10問程度の頻出質問から始めることです。小さく始めて成功体験を作り、その実績をもとに横展開する。これが中小企業のAI導入における鉄則です。
注意
「とりあえずChatGPTを全社員に配布すればいい」という考えも危険です。汎用AIは社内情報を持っていないため、社内問い合わせには回答できません。社内データを学習させた専用の仕組みが必要です。
デジタル化されていないマニュアルは使えない
もう一つの見落としがちな失敗要因は、社内マニュアルがデジタル化されていないことです。
就業規則はあるが紙のまま。経費精算マニュアルは10年前のWordファイル。IT手順書は担当者の頭の中にしかない——こうした状態では、AIに学習させるデータがそもそも存在しません。
「マニュアルは整備されています」と言う企業でも、実際に確認するとデジタル化されていない、あるいはファイルはあるがテキスト検索できない画像PDFだった、というケースは珍しくありません。
AI導入を検討する前に、まず社内の情報資産がデジタルデータとして使える状態にあるか確認することが先決です。この準備を怠ると、ツールだけ導入して「使えない」という結果に終わります。
BoostXが多くの企業から選ばれている理由について、詳しくは選ばれる理由をご覧ください。
生成AI顧問が支援する社内問い合わせAI導入
【結論】社内問い合わせAI導入は技術的には簡単だが、業務可視化・データ整備・定着支援まで含めると専門家の伴走が成功率を大きく左右する。
ここまで読んで「うちでもできそうだ」と感じた方もいるかもしれません。実際、NotebookLMにデータを入れること自体は難しくありません。
しかし現場で問題になるのは、ツールの使い方ではなくその前後の工程です。「どの業務から着手すべきか」「マニュアルのデジタル化をどう進めるか」「社員に定着させるにはどうするか」——ここに外部の専門家がいるかどうかで、導入のスピードと成功率が変わります。
生成AI顧問は、業務の可視化から始めて、AI自動化に適した業務の選定、ツールの構築、社内展開、そして定着支援まで一気通貫で伴走します。「作って終わり」ではなく、実際に社員が使いこなし、問い合わせ対応コストが削減されるまでが支援範囲です。
「社内問い合わせのAI化で一番重要なのは、デジタルデータを蓄積し、それをピンポイントで引き出せる状態を作ることです。規約をファイルに入れて終わりではなく、チャットボットに学習させて”聞けば答えが返ってくる”状態にする。ここまでやって初めて、AI導入の効果が出ます。」
— 生成AI顧問の視点
「自社だけで進められるか不安」「何から手をつければいいかわからない」という方は、まず専門家に相談してみることをおすすめします。生成AIコンサルティングの詳細は生成AIコンサルティングをご確認ください。
よくある質問
まとめ
社内問い合わせ対応は、放置すれば人手不足の中小企業にとって深刻なボトルネックになります。しかし、正しい手順で進めれば、AIによる自動化は決して難しくありません。無料相談の具体的な流れについては無料相談の流れをご覧ください。
この記事のまとめ
- 社内問い合わせの大半は「すでに文書化された情報へのアクセス問題」であり、AIで自動化できる
- 小規模企業はNotebookLMやGeminiで即日開始可能、大規模企業は自社チャットボット構築が有効
- 導入は「質問のストック→AIへの学習→社内配布」の3ステップで進める
- 最大の失敗要因は「大きく始めすぎる」こと。1部署・5〜10問から小さく始めるのが鉄則
- マニュアルのデジタル化が完了しているかどうかが、導入スピードと成功を左右する
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※本記事の情報は2026年2月時点のものです。
執筆者
吉元大輝(よしもとひろき)
株式会社BoostX 代表取締役社長
中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。
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