AIでプレスリリースを効率作成|メディア掲載率を上げる構成テンプレート
同じ「新商品リリース」でも、メディアに5件取り上げられる会社と、1件も掲載されない会社があります。この差は、PR会社を使っているかどうかではありません。プレスリリースの「構成」と「切り口」で決まっています。
率直に言うと、中小企業が出すプレスリリースの大半は「自社の宣伝文」になってしまっています。でも記者が読みたいのは宣伝ではなく、「読者に届ける価値のあるニュース」なんですね。
この記事では、生成AIを使って「記者目線のプレスリリース」を効率よく作成するテンプレートと手順を解説します。PR専門スタッフがいなくても、AIの力を借りればプロ品質のリリースを内製できるようになります。
本記事は、マーケティング×AIの「PR・広報」領域を深掘りした内容です。マーケティング全体でのAI活用を知りたい方は、まずマーケティング×AI 中小企業完全ガイド →をご覧ください。
目次
- 1. メディアに取り上げられるプレスリリースの3条件
- └ 1-1. 「ニュース性」がすべてのスタート地点
- └ 1-2. 記者が記事にしやすい「逆三角形構造」とは
- 2. AIでプレスリリースを作成する5ステップ・テンプレート
- └ 2-1. ステップ①〜③:情報整理からAI下書きまで
- └ 2-2. ステップ④〜⑤:人間の編集と最終チェック
- 3. 業種別・プレスリリースのAI作成プロンプト例
- 4. 配信サービスの選び方と配信後のメディアフォロー
- └ 4-1. 主要配信サービス比較
- └ 4-2. AIを使ったメディアフォローの効率化
- 5. 配信前のAIチェックリスト──記者目線での最終確認
- 6. よくある質問(FAQ)
- 7. まとめ
メディアに取り上げられるプレスリリースの3条件
【結論】掲載されるプレスリリースには「ニュース性のある切り口」「記者が転用しやすい構成」「裏付けデータ」の3つが揃っている。AIはこの3条件すべての準備を効率化できる。
プレスリリースの掲載率は、一般的に1割にも満たないといわれています。広報担当者の約7割が「メディア掲載率30%以下」に悩んでいるという調査結果もあります。
ここで考えてほしいのは、掲載される側のリリースに何が共通しているかという点です。答えはシンプルで、次の3つの条件を満たしているかどうか。
「ニュース性」がすべてのスタート地点
ここは誤解が多いポイントですが、プレスリリースでいう「ニュース性」は、世界初の発明とか業界を揺るがす大事件である必要はありません。
記者が求めているのは「読者にとって、今この情報を届ける理由があるかどうか」です。たとえば、新しいパン屋のオープンそのものにニュース性は薄い。でも「小麦アレルギー対応のパンだけで勝負する専門店が、全国初の認証を取得」と打ち出せば、社会的文脈が生まれます。
AIが得意なのは、まさにこの「社会的文脈との接点」を見つける作業です。自社の情報と最近のトレンドを入力すれば、複数の切り口を提案してくれます。人間がゼロから考えると30分かかる作業が、5分で終わるイメージですね。
記者が記事にしやすい「逆三角形構造」とは
プレスリリースの基本構成は「逆三角形構造」と呼ばれるものです。新聞記事と同じで、もっとも大事な情報を冒頭に、補足や背景は後ろに配置します。
なぜこの構造が大事かというと、記者は1日に何百件ものリリースに目を通しているからです。タイトルとリード文だけで掲載するかどうかを判断するケースがほとんど。最初の数行で「おっ」と思わせないと、その先は読んでもらえません。
タイトル(30字前後)
数字・固有名詞・ベネフィットを含め、1行で「何が起きたか」が伝わる見出し
リード文(5W1Hを網羅・100〜200字)
誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どのようにを凝縮。記者はここだけコピペして記事化することも
本文(詳細・背景・データ)
サービスの詳細、開発背景、市場データ、利用者の声などの補足情報
会社概要・問い合わせ先
社名・所在地・代表者・設立年・事業内容・担当者連絡先をテンプレ化
この構造をAIのプロンプトに最初から組み込んでおけば、入力した情報が自動的に「記者が読みやすい順番」で並びます。自社目線の宣伝文になる失敗を防げるわけですね。
AIでプレスリリースを作成する5ステップ・テンプレート
【結論】5W1Hの情報整理→AIで切り口発見→テンプレートに沿った下書き生成→人間による事実確認と編集→チェックリスト照合。この5ステップで完成度の高いリリースが作れる。
ステップ①〜③:情報整理からAI下書きまで
まず最初にやるべきは、AIに渡す「材料」を整理することです。ここを飛ばしてAIに「うちのプレスリリースを書いて」と丸投げすると、当たり障りのないテンプレ文しか出てきません。
ステップ① 5W1H情報シートの作成
以下の項目をテキストファイルにまとめましょう。これがAIへの入力データになります。
ステップ② AIで「ニュース性のある切り口」を発見する
5W1H情報を入力したら、次はAIに「記者が興味を持つ切り口」を考えさせます。以下のようなプロンプトが効果的です。
プロンプト例:切り口発見
あなたは全国紙の経済部記者です。以下の企業情報をもとに、一般読者が「読みたい」と感じるニュースの切り口を5つ提案してください。各切り口には、①タイトル案(30字以内)、②なぜ今このニュースに価値があるか(50字以内)を添えてください。
【企業情報】
(ここに5W1H情報を貼り付け)
ポイントは「記者のペルソナ」をAIに設定すること。「広報担当として書いて」と指示すると宣伝文になりますが、「経済部記者として」と指示すると、読者に届ける視点で考えてくれます。
ステップ③ テンプレートに沿った下書きの生成
切り口が決まったら、逆三角形構造をプロンプトに組み込んで下書きを生成しましょう。
プロンプト例:プレスリリース下書き生成
以下の構成で、800〜1,200字のプレスリリースを作成してください。
【構成ルール】
1. タイトル:30字以内。数字か固有名詞を含む
2. サブタイトル:50字以内。タイトルの補足
3. リード文:5W1Hを網羅した100〜200字の要約
4. 本文:サービス詳細→開発背景→市場データ→今後の展望
5. 会社概要:テンプレート形式
【トーン】
・客観的な報道文体。形容詞を最小限に
・「業界初」「画期的」などの主観的表現は根拠がない限り使わない
・数値データは具体的に記載
【企業情報と選んだ切り口】
(ここに5W1H情報と②で選んだ切り口を貼り付け)
「プロンプトに『客観的な報道文体で』と明記するだけで、AIの出力は劇的に変わります。この一言がないと、AIはどうしても”売り込みモード”の文章を書いてしまう。プロンプト設計がプレスリリースの質を左右するんです。」
— 生成AI顧問の視点
AIに記者のペルソナを設定してプロンプトを書くテクニックは、LP制作や広告コピーにも応用できます。プロンプト設計の基本を押さえたい方は、AIでLPコピーを最適化|CVR向上のプロンプト設計術 →も参考にしてみてください。
ステップ④〜⑤:人間の編集と最終チェック
ステップ④ 人間による編集——「想い」と「正確性」を加える
正直なところ、AIが生成した下書きをそのまま配信するのはおすすめしません。理由は2つあります。
1つ目は事実の正確性。AIは数値やデータを「もっともらしく」生成することがあります。特に売上数字や市場データは、必ず原典にあたって確認してください。
2つ目は経営者の想い。プレスリリースのなかで記者がもっとも注目するのは、実は「代表コメント」の部分だったりします。ここだけはAI任せにせず、自分の言葉で書くほうが説得力が出ます。
ステップ⑤ タイトル・リード文の複数パターン生成
記者の大半が「タイトルとリード文だけで掲載の可否を判断する」と言われています。だからこそ、タイトルは1案で決め打ちしないほうがいい。AIに5〜10パターン生成させて、もっともインパクトのあるものを選びましょう。
プロンプト例:タイトル量産
以下のプレスリリース本文に対して、タイトル案を10パターン生成してください。
条件:30字以内/数字を1つ以上含む/記者が「おっ」と思う意外性がある
(プレスリリース本文を貼り付け)
プレスリリースだけでなく、PR活動全体のAI化を検討している方は生成AI顧問サービスとは →で支援内容をご確認ください。
業種別・プレスリリースのAI作成プロンプト例
【結論】業種によって記者が注目するポイントは異なる。飲食は「健康・トレンド」、ITは「技術革新・数値」、小売は「消費者行動」、サービス業は「社会課題の解決」が刺さりやすい。
業種ごとに、記者が興味を持つ「引き」が違います。AIにプロンプトを渡すとき、業種に合ったペルソナと注目ポイントを指定するだけで、出力の質がぐっと変わります。
ポイント
誤解を恐れずに言うと、「AIにペルソナを設定する」だけでプレスリリースの質は50%変わります。「広報担当として書いて」と「〇〇専門メディアの記者として添削して」では、出力が別物になる。ペルソナ設定は最もコスパの高いプロンプトテクニックです。
広告コピーでも同様のペルソナ設定テクニックが使えます。詳しくはAIでリスティング広告・SNS広告のコピーを量産する方法 →をご覧ください。
配信サービスの選び方と配信後のメディアフォロー
【結論】中小企業が最初に使うなら、利用企業数11万社超・月間約9,000万PVのPR TIMESが手堅い選択肢。配信後のメディアフォローもAIで効率化できる。
主要配信サービス比較
プレスリリース配信サービスは複数ありますが、中小企業が初めて使う場合は「配信先メディア数」「費用」「操作の簡単さ」の3点で選ぶのが現実的です。
あまり語られませんが、配信サービスの選び方で見落としがちなのは「自社の配信頻度」です。年に1〜2回しかリリースを出さないなら、PR TIMESの従量課金プラン(1配信3万円)で十分。月3回以上出すなら定額プランに切り替えたほうがコストを抑えられます。
AIを使ったメディアフォローの効率化
プレスリリースは「配信して終わり」ではありません。配信後に個別メディアへフォローの連絡を入れることで、掲載率は大きく変わります。
ただ、中小企業でこのフォロー作業に時間を割くのは難しいですよね。ここでもAIが役立ちます。
たとえば、配信先のメディアリストをAIに読み込ませ、「このメディアの最近の記事傾向から、自社リリースのどの部分を訴求すべきか」を分析させる。それをもとに、メディアごとにカスタマイズしたフォローメールのテンプレートを生成する——という流れです。
全メディアに同じメールを送るよりも、媒体の特性に合わせた一言を添えるだけで、記者の反応は変わります。この「一言の追加」をAIに任せるわけですね。
PR活動を含むマーケティング全体のAI化支援に興味がある方は、BoostXが選ばれる理由 →もあわせてご覧ください。
配信前のAIチェックリスト──記者目線での最終確認
【結論】配信前にAIに「記者役」でリリースを添削させると、自社目線の宣伝文を排除でき、掲載率が上がる。文字数は800〜1,500字が最適。画像付きのほうが有利。
プレスリリースが完成したら、配信前に以下のチェックを通してください。AIに「記者役」として添削させるのがもっとも効率的です。
プロンプト例:記者目線の最終チェック
あなたは全国紙の経済部デスクです。以下のプレスリリースを、掲載可否を判断する目線で添削してください。チェック項目は以下の通りです。
□ タイトルだけで「何が起きたか」が伝わるか
□ リード文に5W1Hが揃っているか
□ 宣伝文になっている箇所はないか
□ 数値データに根拠が示されているか
□ 「業界初」「画期的」等の表現に裏付けがあるか
□ 文字数が800〜1,500字に収まっているか
□ 会社概要は過不足なく記載されているか
(プレスリリース全文を貼り付け)
「ネットでは”プレスリリースにはキャッチーな表現を”と書かれていますが、現場の実態はちょっと違います。記者が嫌うのは、根拠のない形容詞の羅列。”画期的な””革新的な”は、データで裏付けられない限り逆効果。むしろ淡々と事実を並べたリリースのほうが信頼されます。」
— 生成AI顧問の視点
注意
AIチェックを通しても、事実の最終確認は必ず人間が行ってください。AIは「もっともらしいが間違った情報」を生成することがあります(ハルシネーション)。特に数値データ・固有名詞・日時は原典と突き合わせましょう。AIに任せるのは「構成」と「表現」。事実の確認は人間の仕事です。
このAIのハルシネーション対策は、SEO記事の作成でも同じ注意点が当てはまります。AIでSEO記事を作成する際のGoogle品質ガイドライン遵守ポイント →も参考になるはずです。
ここだけの話ですが、画像付きのプレスリリースは掲載率が上がるとされています。製品写真、グラフ、インフォグラフィックなどを1〜3点添付するのがおすすめです。メディア側が記事に使いやすい画像があると、それだけで掲載のハードルが下がりますよ。
生成AIコンサルティング →では、プレスリリース作成を含むPR業務全体のAI化もサポートしています。
よくある質問(FAQ)
まとめ
プレスリリースのAI作成について、掲載率を高めるための手順とテンプレートを解説しました。まずは無料相談で、自社のPR活動全体のAI化について相談してみませんか?無料相談の流れはこちら →
この記事のまとめ
- メディア掲載率を左右するのは「ニュース性のある切り口」と「記者が転用しやすい逆三角形構造」の2点
- AIに「記者のペルソナ」を設定するだけで、宣伝文→報道文体への転換が自動で行える
- 5W1H情報の整理→切り口発見→テンプレート下書き→人間の編集→AIチェックの5ステップで完成
- タイトルとリード文は複数パターン生成して最善を選ぶ。記者はこの2箇所だけで掲載可否を判断する
- 事実の正確性チェックと経営者コメントは必ず人間が担当する。AIは「構成と表現」の効率化ツール
マーケティング全体のAI活用を体系的に学びたい方はマーケティング×AI 中小企業完全ガイド →で全体像を確認できます。
執筆者
吉元大輝(よしもとひろき)
株式会社BoostX 代表取締役社長
中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。
※本記事の情報は2026年2月時点のものです。