AI活用

人手不足の中小企業がAIで残業を月20時間削減した5つの業務

AIで残業を月20時間削減した5つの業務 - 人手不足でも諦めない - 株式会社BoostX

「人が足りない。でも残業はこれ以上増やせない」——中小企業の経営者・管理職なら、この切実さは痛いほどわかるはずです。

私は生成AI顧問として中小企業のAI導入を支援する中で、ある共通点に気づきました。残業の原因は「人が足りないこと」ではなく、「人がやらなくていい仕事を人がやっていること」にあるという事実です。

本記事では、日報・メール・資料作成・議事録・報告書という5つの業務をAIで効率化し、月20時間の残業削減につなげる具体的な方法を解説します。どれも特別なシステム投資は不要で、ChatGPTやGeminiといった生成AIツールで今日から取り組めるものばかりです。


目次


なぜ今、中小企業の残業問題にAIが効くのか

【結論】中小企業の残業の大半は「人がやらなくていい作業」に費やされている。生成AIはこの「作業」を代替し、人を「判断」に集中させることで残業を減らす。

人手不足と残業の問題は表裏一体です。採用が難しい以上、今いるメンバーの労働時間が伸びる。しかし労働時間には法的な上限があり、社員の健康にも限界があります。

ここで発想を転換する必要があります。「人を増やす」のではなく「人がやる仕事を減らす」。生成AIが得意なのは、まさにこの「減らせる仕事」の部分です。

具体的には、日報を書く、メールの返信文を考える、会議の内容をまとめる、報告書の体裁を整える——こうした「定型的だけど時間がかかる作業」は生成AIに任せられます。ChatGPT、Gemini、Claudeといったツールを使えば、これらの業務にかかる時間を大幅に圧縮できます。

実際に支援先の中小企業では、5つの業務をAI化することで、1人あたり月20時間の残業削減を実現しています。内訳は以下のとおりです。

業務 AI化前(月間) AI化後(月間) 削減時間
日報作成 約7時間 約2時間 −5時間
メール対応 約8時間 約4時間 −4時間
資料作成 約8時間 約4時間 −4時間
議事録作成 約5時間 約1時間 −4時間
報告書作成 約5時間 約2時間 −3時間
合計 約33時間 約13時間 −20時間

もちろん、企業や業種によって数字は変動します。しかし重要なのは、特別なシステム導入なしに、既存の生成AIツールだけでこの削減が可能だということです。次のセクションで、各業務の具体的なAI活用法を見ていきましょう。


残業削減に効いた5つの業務とAI活用法

【結論】日報・メール・資料作成・議事録・報告書の5業務は、ChatGPTやGeminiなどの生成AIで即日効率化できる。ポイントは各業務の「フォーマット」と「コンテキスト」をAIに渡すこと。

業務①:日報作成 — 毎日15分の時短で月5時間削減

日報は多くの企業で義務化されていますが、正直「書くのが面倒」と感じている社員がほとんどです。1日の業務を思い出し、文章としてまとめ、上司が読みやすい形に整える。この作業に毎日20〜30分かかっている人も珍しくありません。

生成AIを使えば、やったことの箇条書きメモをChatGPTやClaudeに渡すだけで、会社のフォーマットに沿った日報が生成されます。具体的には以下の手順です。

1

自社の日報フォーマットをAIに登録

「うちの日報はこの形式で書いてください」とフォーマットごと渡す

2

1日の業務メモを箇条書きで入力

「午前:A社訪問・提案。午後:見積書3件作成。夕方:B社から問い合わせ対応」程度でOK

3

AIが日報を自動生成 → 確認して提出

フォーマットに沿った文章が出力される。内容を確認・微修正して提出するだけ

ポイントは、最初に自社の日報フォーマットと書き方のルール(=コンテキスト)をAIに渡すことです。これをやらないと「それらしいけど自社の日報としては使えない文章」が出てくるだけで、結局手直しに時間がかかります。

業務②:メール対応 — Gemini×Gmailで返信時間を半減

メールは、多くのビジネスパーソンが1日1〜2時間を費やしている業務です。特に中小企業では、1人が複数の取引先・部署とやり取りするため、メールの量が多くなりがちです。

Google WorkspaceのGmailには、すでにGemini(Googleの生成AI)が組み込まれています。受信メールの要約、返信文の下書き生成、文章のトーン調整などが、メール画面から直接使えます。わざわざ別のAIツールを開く必要がありません。

ポイント

Gmail内蔵のGeminiは、Google Workspace有料プランで利用可能です。無料のGmailアカウントでは一部機能が制限されます。企業利用ではセキュリティの観点からも有料版の使用を強く推奨します。

メール対応のAI化は、導入のハードルが最も低い業務です。Google Workspaceを使っている企業なら、追加コストなしで今日から始められます。「まず1つだけAIを試したい」という企業には、メール対応から始めることをおすすめしています。

業務③:資料作成 — 提案書・報告資料のたたき台を自動生成

「ゼロから資料を作る」のが大変なのであって、「たたき台を修正する」のは比較的ラクです。生成AIの使いどころは、まさにこの「たたき台の自動生成」にあります。

提案書、見積書の添え状、営業資料など、作成頻度の高い書類はChatGPTやClaudeに構成案から文章までを一気に作らせることが可能です。ただし、ここでも重要になるのは「コンテキスト」です。自社の事業内容、顧客の業種、過去の提案資料のトーンなどをプロンプト(指示文)に含めることで、そのまま使える品質のたたき台が出てきます。

資料作成は会社ごとに求められるフォーマットや品質基準が異なります。そのため、AIに渡すプロンプトも企業ごとにカスタマイズが必要です。ここは自社だけで最適解を見つけるのが難しい領域でもあり、外部の専門家と一緒に取り組む価値が大きい部分です。

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業務④:議事録作成 — Google Meet+スマホ録音で自動化

議事録作成は、AI化による時短効果が最も大きい業務の一つです。会議中にメモを取り、終了後に清書し、関係者に共有する——この一連の作業に30分〜1時間かかっていた企業が、AIの導入で作業時間を10分以下に短縮しています。

方法は大きく2つあります。

方法 使用ツール 向いている場面
オンライン会議の自動文字起こし Google MeetのGemini機能 Web会議中心の企業。録画→要約まで一気通貫
対面会議のスマホ録音→AI要約 スマホ録音アプリ+ChatGPT / Gemini 対面会議が多い企業。スマホで録音し、音声データをAIに渡して要約

Google MeetではGeminiが会議内容をリアルタイムで記録し、終了後に要約を自動生成してくれます。対面会議の場合は、スマホの録音機能で音声を録り、その音声ファイルをChatGPTやGeminiにアップロードして文字起こし・要約させる方法が有効です。

議事録のAI化はどの企業でもすぐに取り組める業務です。特別な準備も社内ルールの変更も不要。明日の会議から試せます。

業務⑤:報告書作成 — 週報・月報のドラフトをAIで生成

週報や月報は「書くべき内容はわかっているのに、文章にまとめるのが面倒」という声が多い業務です。日報と似たアプローチで効率化できますが、報告書は日報よりもデータの整理や分析が求められる分、AIの活用余地が大きくなります。

具体的には、週次の業務データや数値をスプレッドシートにまとめておき、そのデータをAIに渡して「今週の週報を作成してください」と指示します。報告書のテンプレートを事前にプロンプトに含めておけば、自社のフォーマットに沿った報告書がドラフトとして出力されます。

管理職にとっても、部下が提出した報告書の要約や、複数部門の報告書を統合したサマリーの作成にAIは重宝します。「報告書を書く時間」から「報告書を読んで判断する時間」に切り替えられるのが、AI活用の本質的な価値です。


AI活用の成否を分ける「コンテキスト」という概念

【結論】AIに「コンテキスト(文脈情報)」を渡さないと、それらしいだけで使えない文章が出力される。自社の業務に合ったAI活用には、コンテキスト設計が不可欠。

コンテキストとは何か

コンテキストとは、AIに指示を出す際に一緒に渡す「背景情報・前提条件」のことです。プロンプトエンジニアリング(AIへの指示を最適化する技術)において、最も重要な要素の一つです。

たとえば「日報を書いて」とだけ指示した場合、AIは一般的な日報のテンプレートで「それらしい文章」を出力します。しかし、それはあなたの会社の日報ではありません。

一方、「うちの日報は以下のフォーマットで書く。部署は営業部。顧客は建設業が中心。報告先は営業部長の○○さん」といったコンテキストを渡すと、AIの出力品質は劇的に変わります。

「AIに仕事を任せてみたけど、全然使えない文章が出てきた」——そう感じた方は、AIの能力が低いのではなく、渡した情報が足りなかっただけです。人間の新人に仕事を教えるとき、会社のルールや書き方の見本を見せずに「やっといて」とは言わないはずです。AIも同じです。

— 生成AI顧問の視点

コンテキストの正しい渡し方

業務でAIを活用する際に渡すべきコンテキストは、主に以下の5つです。

コンテキストの種類 具体例 渡さないとどうなるか
フォーマット 日報の書式、報告書のテンプレート 汎用的な書式で出力され、手直しが必要になる
会社情報 事業内容、業種、従業員規模 業界に合わない表現や用語が使われる
読み手 上司、取引先、部署メンバー 誰に向けた文章かわからず、トーンがずれる
目的 承認を得る、情報共有、問題提起 方向性のない文章が生成される
トーン 丁寧語、カジュアル、簡潔に 社風に合わない文体で出力される

これらのコンテキストを一度プロンプトとして整備しておけば、以降は使い回しが可能です。業務ごとに最適なプロンプトを作成し、社内で共有するだけで、組織全体のAI活用レベルが底上げされます。

ただし、このプロンプト設計は「どの情報をどう渡せばAIが最適な出力をするか」を理解している必要があり、試行錯誤が必要です。自社だけで取り組むと遠回りになることも多いため、専門家と一緒に設計するのが効率的です。

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よくある失敗パターンと「1つずつ始める」鉄則

【結論】AI導入で最も多い失敗は「一度に全部やろうとする」こと。1つの業務で成功体験を作り、そこから横展開するのが鉄則。

AI導入に意欲的な企業ほど陥りやすい失敗があります。「日報も、メールも、資料も、議事録も、全部一気にAI化しよう!」——この意気込み自体は素晴らしいのですが、結果として社員が消化しきれず、どれも中途半端に終わるケースが後を絶ちません。

AI活用は、つまるところ「新しい習慣を身につけること」です。習慣化には時間がかかります。朝のジョギングと英語学習と読書を同時に始めたら、どれも続かないのと同じです。

「顧問として支援する中で、私がいつも最初にお伝えするのは”まず1つだけ選んでください”ということです。メール対応でも議事録でも何でもいい。1つの業務でAIを使うことが当たり前になれば、次の業務への展開は驚くほどスムーズに進みます」

— 生成AI顧問の視点

もう一つのよくある失敗は、「AIの出力をそのまま使おうとする」ことです。AIはあくまで「たたき台」を作るツールであり、最終判断は人間が行います。80点のドラフトを短時間で作り、残り20点を人間が磨く——この「パレートの法則」的な使い方が、AI活用の正しいスタンスです。

注意

AIが生成した文章には、事実と異なる内容(ハルシネーション=AIが事実でない情報をもっともらしく生成する現象)が含まれる可能性があります。特に数値データや固有名詞は必ず人間がチェックしてください。AIの出力を「無条件に正しい」と思わないことが大切です。

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よくある質問

Q.AIを使ったことがない社員でも残業削減できますか?

A.できます。メール対応のGemini機能や議事録の自動要約は、特別なスキルなしで使い始められます。重要なのはAIの知識ではなく、まず1つの業務で使ってみることです。操作自体はスマホアプリ程度の難易度です。

Q.AIに社内の情報を入力しても大丈夫ですか?

A.有料版のChatGPT(Team/Enterprise)やGoogle Workspaceのgeminiは、入力データが学習に使用されない設定になっています。無料版は学習に使われる可能性があるため、企業利用では必ず有料プランを使用してください。

Q.月20時間の削減は本当に実現できますか?

A.業種や業務量によって異なりますが、日報・メール・資料・議事録・報告書の5業務を合わせると、月15〜25時間の削減は十分に現実的な数字です。まずは1業務から試し、効果を実感してから他の業務に広げる進め方をおすすめしています。

Q.自社だけでAI導入を進めるのと、外部支援を受けるのとではどう違いますか?

A.自社だけで進める場合、最適なプロンプト設計やツール選定に時間がかかり、「それらしいけど使えない出力」に悩む期間が長くなりがちです。専門家の支援を受けることで、コンテキスト設計やプロンプト作成を最短ルートで進められます。

Q.まずは何から始めればいいですか?

A.Google Workspaceを使っている企業なら、Gmail内蔵のGeminiでメール返信から始めるのが最もハードルが低い方法です。Google Workspaceを使っていない場合は、議事録のAI化(スマホ録音→ChatGPTで要約)から試してみてください。


まとめ

この記事のまとめ

  • 中小企業の残業問題は「人を増やす」のではなく「人がやる仕事を減らす」ことで解決できる
  • 日報・メール・資料作成・議事録・報告書の5業務をAI化することで、月20時間の残業削減が可能
  • AI活用の成否を分けるのは「コンテキスト(背景情報)」の渡し方。フォーマット・会社情報・読み手・目的・トーンの5要素を意識する
  • 一度に全部やろうとせず「1つずつ始める」のが成功の鉄則
  • AI出力は80点のたたき台。最終判断は人間が行い、ハルシネーションに注意する

人手不足は、もはや「採用」だけでは解決しない時代です。しかし、生成AIを正しく活用すれば、限られた人数でも残業を減らしながら生産性を維持・向上させることは十分に可能です。

「何から始めればいいかわからない」「自社に合ったAI活用法を知りたい」という方は、まずは現状を整理するところから始めてみてください。

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執筆者

吉元大輝(よしもとひろき)

株式会社BoostX 代表取締役社長

中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。

※本記事の情報は2026年2月時点のものです。

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