AIで新規開拓リストを自動作成|ターゲット選定からアプローチ文面まで
「新規開拓のリスト作成に毎月まる2日かかっている」「担当者によってリストの質がバラバラ」——中小企業の営業現場で、こうした悩みは珍しくありません。
私は生成AI顧問として多くの中小企業を支援する中で、新規開拓リストの作成こそ、AIの恩恵を最も受けやすい業務の一つだと実感しています。公開データベースとAIを組み合わせれば、100社のターゲットリスト作成を2時間で完了でき、さらに企業ごとにカスタマイズしたアプローチ文面まで自動生成できます。
本記事では、リスト作成からファーストコンタクトまでの工程をAIで効率化する具体的な手順を、法的注意点も含めて解説します。
目次
新規開拓リスト作成の課題|時間・質・属人化の三重苦
【結論】新規開拓リスト作成は「時間がかかる・質がバラつく・担当者に依存する」三重苦を抱えており、AIによる自動化で最も効果が出やすい営業業務である。
リスト作成に費やす時間は想像以上に多い
新規開拓リストの作成とは、ターゲット企業の選定、企業情報の収集、担当者情報の特定、リストへの整理という一連の作業を指します。この作業、実は営業担当者の時間を大きく食っています。
Salesforceの調査によると、営業担当者は週の約21%をリスト作成やリサーチに費やしているとされています。週40時間労働なら約8時間、つまり丸1日分です。月換算で約4日。年間では約48日分を、リスト作成という「売上に直結しない作業」に使っている計算になります。
属人化がリストの質を不安定にする
もう一つ深刻なのが「属人化」です。エース営業マンが作るリストは精度が高いが、他のメンバーが作ると的外れな企業ばかり——こうした状況は中小企業では日常茶飯事です。さらに怖いのは、そのエース社員が退職した瞬間、リスト作成のノウハウがゼロになること。選定基準も、情報源も、頭の中にしかないからです。
中小企業庁のデータでも、新規顧客の獲得コストは既存顧客維持の5倍とされています。コストが5倍かかる新規開拓だからこそ、リストの質を安定させることが収益に直結するのです。
AIでターゲット企業を選定する3つのアプローチ
【結論】ターゲット選定は「業種軸」「課題軸」「類似企業軸」の3アプローチを組み合わせることで、量と質を両立したリストが作れる。
AIでリストを作る際、いきなりツールに飛びつくのは失敗のもとです。まず「どういう切り口でターゲットを選ぶか」という設計が重要になります。LinkedIn調査では、適切なターゲティングで新規商談獲得率が45%向上するというデータが報告されています。
業種軸:公開データベース×AIで一括抽出
最もシンプルなアプローチです。業種・地域・従業員規模などの条件でターゲットを絞り込み、公開データベースから一括で情報を取得します。
活用できる主な公開データベースは以下の通りです。
課題軸:企業の公開情報からニーズを推定
業種だけでなく「今、どんな課題を抱えているか」でターゲットを絞り込む方法です。たとえば採用ページで「DX推進担当」を募集している企業は、まさにデジタル化の課題を抱えている可能性が高い。求人情報、プレスリリース、IR情報などをAIに読み込ませ、課題を推定させます。
類似企業軸:既存顧客の共通項をAIで分析
中小企業にとって最も効果的なのがこのアプローチです。自社の既存優良顧客のデータ(業種・規模・地域・課題など)をAIに分析させ、「こういう属性の企業が成約しやすい」というパターンを見つけ出します。そのパターンに合致する未アプローチ企業をリスト化するのです。
「新規開拓で本当に重要なのは”数”ではなく”質”。自社の優良顧客と似た属性の企業を狙うだけで、商談化率は大きく変わります。闇雲に1000社リストを作るより、質の高い100社を選ぶ方が結果につながる。中小企業のリソースは限られているからこそ、この考え方が重要です。」
— 生成AI顧問の視点
ターゲットリスト自動作成の具体的手順
【結論】「条件設定→情報収集→AI整形→重複排除」の4ステップで、誰でも再現可能なリスト作成フローを構築できる。
ここからは実際の手順を解説します。使用するAIツールはChatGPT、Claude、Geminiなど、テキスト生成が可能なものであればどれでも対応可能です。特定のツールに依存しない方法なので、自社で使い慣れたものを選んでください。
ターゲット条件を明文化する
業種・地域・従業員規模・売上規模・課題の仮説をスプレッドシートに整理。既存優良顧客3〜5社の共通項を洗い出し、ターゲット像を具体化する。
公開データベースから企業情報を収集
法人番号公表サイト、業界団体の会員リスト、展示会出展企業リストなどから条件に合う企業を抽出。CSV形式でダウンロードし、スプレッドシートに統合する。
AIでリスト情報を整形・補完する
収集データをAIに読み込ませ、企業概要の要約、推定課題の付与、連絡先情報の整形を行う。Web検索機能付きのAIツールなら、企業HPから最新情報を補完可能。
重複排除・クレンジングで完成
法人番号をキーに重複を排除。既存顧客や過去アプローチ済み企業を除外。最後にAIで「実在しない企業が混入していないか」を必ず人の目で確認する。
ハルシネーションに要注意
AIにリストを生成させる際、最も注意すべきなのがハルシネーション(幻覚)です。ハルシネーションとは、AIが実在しない情報をあたかも事実のように生成してしまう現象のこと。架空の企業名や存在しない電話番号が混入するリスクがあります。必ず公開データベースの情報と突き合わせて実在確認を行ってください。AIの出力を無検証で使うのは厳禁です。
プロンプトテンプレート例:ターゲットリスト整形
以下は、収集した企業データをAIで整形する際のプロンプト例です。ChatGPT、Claude、Geminiなど主要AIツールで使えます。
プロンプト例
以下のCSVデータはターゲット企業の一覧です。 各企業について、下記の形式で情報を整理してください。 ■出力形式(1社ごと) ・企業名: ・業種: ・従業員規模: ・所在地: ・推定課題:(企業HPや採用情報から推測) ・アプローチ理由:(なぜこの企業がターゲットに適しているか) ・優先度:高/中/低 ■条件 ・当社は[自社の事業内容]を提供しています ・ターゲットは[業種/規模/地域]の企業です ・推定課題は公開情報に基づいて記載し、推測であることを明示してください [ここにCSVデータを貼り付け]
企業別カスタマイズアプローチ文面の自動生成
【結論】テンプレの一斉送信ではなく、企業ごとの課題に触れたパーソナライズ文面をAIで自動生成すれば、返信率は大幅に向上する。
リストを作るだけでは売上にはなりません。次はアプローチです。RAIN Groupの調査によると、パーソナライズされたアプローチは返信率が3倍になるとされています。AIを使えば、100社それぞれに合わせた文面を短時間で生成できます。
アプローチメール自動生成のプロンプト例
プロンプト例
以下の企業情報をもとに、初回アプローチメールを作成してください。 ■企業情報 ・企業名:[企業名] ・業種:[業種] ・推定課題:[推定課題] ・アプローチ理由:[理由] ■当社情報 ・社名:[自社名] ・提供サービス:[サービス概要] ・導入実績:[類似業種の実績があれば記載] ■メール作成条件 ・件名は開封率を意識して20文字以内 ・本文は300文字以内で簡潔に ・相手企業の課題に触れた上で、解決策として当社サービスを紹介 ・押し売り感を排除し、情報提供のスタンスで ・具体的なネクストアクション(日程調整リンク等)を提示
ポイント
メール文面のAI自動生成は便利ですが、送信前に必ず人の目で確認してください。特に企業名の誤り、事実と異なる記述、不適切な表現がないかは必ずチェックすべきです。AIは「それらしい文章」を作るのが得意ですが、事実確認は人間の仕事です。
あわせて読みたい:生成AIコンサルティング|リスト設計からアプローチ文面の最適化まで →
知らないと危険|新規開拓AIリストの法的注意点
【結論】公開情報の収集自体は合法だが、個人情報保護法と特定電子メール法の2つの法律に抵触しないよう、事前に遵守ポイントを押さえる必要がある。
AIでリストを作れば効率化できる——しかし、法的なルールを無視すれば大きなリスクを背負うことになります。中小企業が特に押さえるべき法律は2つです。
個人情報保護法:収集・管理のルール
個人情報保護法とは、個人情報(氏名・生年月日・メールアドレスなど、特定の個人を識別できる情報)の取り扱いについて定めた法律です。企業の公開情報(社名・所在地・代表者名・電話番号等)の収集自体は問題ありませんが、以下の点に注意が必要です。
特定電子メール法:営業メール送信のルール
特定電子メール法(正式名称:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)とは、広告・宣伝目的のメール送信を規制する法律です。2002年に施行され、2008年の改正でオプトイン規制が導入されました。AIでアプローチ文面を自動生成して送信する場合、この法律が直接関わってきます。
遵守すべき3つの鉄則は以下の通りです。
オプトインの例外を正しく理解する
以下のケースでは、事前同意なしでもメール送信が認められています。名刺交換などで相手からメールアドレスの通知を受けた場合、すでに取引関係がある相手の場合、ウェブサイト上でメールアドレスを自ら公開している法人・団体の場合。ただし、通信販売の広告メールは例外が適用されないため注意が必要です。
なお、AIリスト作成に関連する法律で押さえておくべきポイントをまとめると、「公開情報の収集は合法」「個人情報は目的明示と安全管理が必須」「営業メール送信は原則オプトイン」の3点です。不安がある場合は専門家への相談をお勧めします。
こうした法的リスクへの配慮も含めた総合的な支援を行っています。詳しくは選ばれる理由 →をご覧ください。
リストの精度を高めるフィルタリングとスコアリング
【結論】リストは「作って終わり」ではなく、スコアリングで優先順位をつけ、アプローチ→振り返り→改善のサイクルを回すことで精度が上がり続ける。
AIでスコアリングする方法
作成したリストの全企業に同じ優先度でアプローチするのは非効率です。AIを使ってスコアリング(優先順位付け)しましょう。スコアリングの基準例は以下の通りです。
PDCAサイクルでリストの質を継続的に改善する
適切なリスト数の目安は、月間アプローチ可能数の3倍程度です。月に30社アプローチするなら90社のリストを用意します。そして、アプローチ結果(返信率・商談化率)をフィードバックし、スコアリング基準を毎月チューニングする。このPDCAサイクルを回すことで、リストの精度は月を追うごとに上がっていきます。
「AIリスト作成で最も見落とされがちなのが”振り返り”の工程です。作ったリストでアプローチして終わりではなく、どの属性の企業から反応があったかをデータで蓄積する。この蓄積がないと、いつまで経ってもリストの質は改善しません。」
— 生成AI顧問の視点
このようなリスト運用の改善サイクルも含め、営業プロセス全体のAI活用を伴走支援するのが生成AI伴走顧問サービスです。
あわせて読みたい:生成AI伴走顧問サービス →
よくある質問(FAQ)
まとめ:AIリスト作成で新規開拓の質と量を同時に向上させる
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この記事のまとめ
- AI×公開データベースの組み合わせで、100社のターゲットリスト作成を2〜3日→2時間に短縮できる
- ターゲット選定は「業種軸」「課題軸」「類似企業軸」の3アプローチを組み合わせるのが最も効果的
- 企業ごとにカスタマイズしたアプローチ文面をAIで自動生成すれば、返信率は大幅に向上する
- AIのハルシネーション(架空情報の混入)には要注意。公開データとの突き合わせ確認は必須
- 個人情報保護法と特定電子メール法の遵守ポイントを事前に押さえておく
- リストは「作って終わり」ではなく、アプローチ結果のフィードバックで精度を継続的に改善する
「リスト作成の時間を削減したい」「営業チームのターゲティング精度を上げたい」——そう感じた方は、まずは現状の営業プロセスを整理するところから始めてみてください。
「売り込まれるのでは?」という不安について
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※本記事の情報は2026年2月時点のものです。
執筆者
吉元大輝(よしもとひろき)
株式会社BoostX 代表取締役社長
中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。
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