AIで競合分析を30分で完了|営業戦略に活かすプロンプト設計
「競合のことを調べたいけど、時間がない」「コンペの前に他社との違いを整理したいけど、やり方が分からない」——中小企業の営業現場では、こんな悩みをよく聞きます。
私は生成AI顧問として中小企業を支援していますが、競合のことを「なんとなく」しか知らないまま営業している企業がとても多いと感じています。実際、きちんと競合分析をしている中小企業は全体の25%未満というデータもあります。
本記事では、ChatGPTやPerplexityなどの生成AIを使って、これまで3〜5日かかっていた競合分析を30分で終わらせるやり方を解説します。コピーしてそのまま使えるプロンプト(AIへの指示文)付きなので、読んだその日から試せます。
目次
AI競合分析とは?なぜ30分で終わるのか
【結論】AI競合分析とは、ChatGPTやPerplexityのWeb検索機能を使って、競合の情報収集・分析・営業への活用までを一気にやる方法。これまで何日もかかっていた作業が30分で終わる。
AI競合分析とは、生成AIに搭載された「ディープリサーチ」と呼ばれるWeb検索機能を使って、競合企業の情報をまとめて調べ、分析し、営業に使えるかたちに整える手法のことです。
これまでの競合分析は、競合のWebサイトを1つずつ見る、IR資料を読む、業界レポートを買う、営業担当にヒアリングする——といった手作業の積み重ねでした。中小企業では専任担当を置く余裕がなく、結局「なんとなくの感覚」で競合を把握しているケースがほとんどです。
生成AIを使えば、たった1つの指示文(プロンプト)で、競合のWebサイト・ニュース・求人情報・SNSなどを横断的に調べて、表や分析レポートにまとめてくれます。
これまでの競合分析とAI競合分析の違い
ただし、大事なことが1つあります。AIに「競合分析して」とだけ言っても、使えるレベルの分析は出てきません。ポイントは「どんな前提情報をAIに伝えるか」、つまりプロンプトの設計です。この記事では、その具体的なやり方をお伝えします。
なぜ中小企業こそ競合分析が必要なのか
【結論】競合分析を定期的にやっている企業は、やっていない企業より売上成長率が2.3倍。それなのに中小企業の75%以上は競合分析をしていない。この差が商談の勝ち負けを分けている。
Crayon社の調査によると、競合分析を定期的にやっている企業は売上成長率が2.3倍高いという結果が出ています。また、Klue社の調査では営業担当者の71%が「競合の情報が足りない」と感じているそうです。
中小企業の現場では、この数字以上に深刻な問題が起きています。
「感覚」だけで営業していませんか?
多くの中小企業では、競合の情報が「営業担当者の頭の中」にしかありません。「A社は安い」「B社は納期が早い」——こうした断片的な情報が、個人の経験としてバラバラに散らばっているだけです。
この状態だと、担当者が変わったら情報もゼロに戻ります。お客様から「おたくと他社の違いは?」と聞かれたとき、人によって答えがバラバラ。これでは組織として営業力が積み上がりません。
競合を知ると営業が変わる3つの理由
1つ目は、自社の強みがハッキリする。「うちは品質がいい」だけでは弱い。「A社より検査工程が2つ多く、不良率が0.1%以下」と言えれば、お客様の信頼度は格段に上がります。
2つ目は、お客様の比較に先回りできる。法人の商談では、お客様は必ず複数社を比べています。競合の弱みを知っていれば、「他社ではなくうちを選ぶ理由」を先に伝えられます。
3つ目は、値引き合戦から抜け出せる。違いを説明できなければ、お客様は「安いほう」を選ぶしかありません。価値の違いを伝える力が、価格競争からの脱却につながります。
「競合分析で一番やってはいけないのは『分析して終わり』にすること。きれいなレポートを作って引き出しにしまう企業が本当に多い。大事なのは、分析結果を営業トークや提案資料にすぐ反映できる仕組みにすること。使われない分析に意味はない。」
— 生成AI顧問の視点
AIで競合分析する3つのステップ
【結論】「情報を集める→強み・弱みを整理する→営業で使えるかたちにする」の3ステップで、30分で実用的な競合分析が完成する。ポイントはAIに「自社の状況」をしっかり伝えること。
ここからが本題です。コピーしてそのまま使えるプロンプト(AIへの指示文)を、ステップごとにご紹介します。ChatGPT、Perplexity、Geminiなど、Web検索ができる生成AIならどれでもOKです。
情報を集める(10分)
AIのWeb検索機能で、競合の基本情報をまとめて収集
強み・弱みを整理する(10分)
SWOT分析(強み・弱み・チャンス・脅威)を自動で作成
営業で使えるかたちにする(10分)
「うちを選ぶ理由」と「お客様の反論への切り返し」を作成
一番大事なポイント
AIに「うちの会社はこういう業界で、こういう商品を売っていて、こういうお客様をターゲットにしている」という前提情報をちゃんと伝えること。これを「コンテキスト」と呼びます。コンテキストなしでAIに聞くと、どこにでもあるような一般的な回答しか返ってきません。前提情報を丁寧に伝えるだけで、結果の質が劇的に変わります。
Step1:競合の基本情報を集める(10分)
まずは、AIのWeb検索機能(ディープリサーチ)を使って情報を集めます。以下のプロンプトをコピーして、【 】の中を自社の情報に書き換えてください。
▼ コピーして使えるプロンプト(情報収集)
あなたは競合分析の専門家です。以下の条件で競合を調べてください。 ■ うちの会社について(前提情報) ・業界:【例:法人向けクラウドサービス/製造業/人材紹介】 ・主な商品やサービス:【例:クラウド型の勤怠管理システム】 ・お客様の層:【例:従業員50〜300名の中小企業】 ・うちの強み:【例:導入後のサポートが手厚い、柔軟にカスタマイズできる】 ■ 調べてほしい競合 1. 【競合A社の名前】 2. 【競合B社の名前】 3. 【競合C社の名前】 ※競合がわからない場合:「上記の業界で競合になりそうな会社を5社見つけてください」 ■ 調べてほしい内容(各社について) 1. 会社の概要(設立年・従業員数・売上の規模) 2. 主な商品やサービスの内容と価格 3. どんなお客様をターゲットにしているか 4. 導入事例・実績 5. 最近のニュース(直近6ヶ月くらい) 6. 求人情報からわかること(力を入れている分野など) 7. ネット上の評判(良い口コミ・悪い口コミ) ■ まとめ方 各社ごとに表にまとめてください。情報元のURLもつけてください。
このプロンプトで大事なのは、最初の「うちの会社について」の部分です。自社の業界・商品・ターゲット・強みを書くことで、AIが「この会社にとっての競合」という目線で調べてくれます。これを書かないと、業界の大手企業の一般的な情報が返ってくるだけです。
Step2:強み・弱みを整理する(10分)
Step1で集めた情報をもとに、競合の強み・弱みを整理します。ここでは「SWOT分析」という有名なフレームワークを使います。SWOT分析とは、Strengths(強み)・Weaknesses(弱み)・Opportunities(チャンス)・Threats(脅威)の4つの視点で状況を整理する方法です。
▼ コピーして使えるプロンプト(強み・弱み分析)
さっきの調査結果をもとに、以下の分析をお願いします。 ■ 分析1:各競合のSWOT分析 以下の4つの観点で、各社の特徴を表にまとめてください。 – 強み:他社にない優位なポイント – 弱み:お客様が不満に感じていそうな点 – チャンス:今の市場で追い風になっていること – 脅威:うちにとって警戒すべきこと ■ 分析2:うちと競合の比較表 以下の4つの切り口で、うちと競合を横並びで比較する表を作ってください。 – 商品の特徴:機能・品質・サポート – 価格:料金の仕組み・価格帯 – 売り方:営業方法・販売チャネル – 宣伝:広告・SNS・コンテンツの出し方 ■ うちの情報(比較するために必要) ・商品名:【自社の商品名】 ・価格:【月額〇〇円〜】 ・主な特徴:【特徴1、特徴2、特徴3】 ・売り方:【Web直販、代理店経由、など】
ここでも「うちの情報」を書くのがポイントです。自社の情報を入れないと、AIは競合のことは調べてくれても「うちとの違い」を出せません。競合分析のゴールは「自社をどう差別化するか」を見つけることなので、自社情報は欠かせません。
注意:AIの出力は必ず裏取りしてください
AIが出す情報は、古かったり間違っている場合があります(これを「ハルシネーション」=AIの誤出力と呼びます)。特に価格や導入実績は、競合企業の公式サイトで必ず確認してください。「AIが言ってたから正しい」は禁物です。
Step3:営業トークに変換する(10分)
最後に、分析結果を「営業で使える武器」に変えます。ここが一番大事で、一番やられていないステップです。
▼ コピーして使えるプロンプト(営業トーク変換)
さっきのSWOT分析と比較表をもとに、営業で使えるアウトプットを作ってください。 ■ 1つ目:他社と比べたうちの優位ポイント 各競合に対して、うちが勝っているポイントを3つずつ、理由つきで整理してください。 – vs 【競合A】:うちが優れているポイント3つ – vs 【競合B】:うちが優れているポイント3つ – vs 【競合C】:うちが優れているポイント3つ ■ 2つ目:お客様からの反論への切り返しトーク お客様が競合と比べたとき、うちに対して言いそうな反論と、 それに対する切り返しの言い方を各社3パターンずつ作ってください。 形式: お客様:「〇〇社のほうが△△ですよね?」 切り返し:「たしかに△△の面は〇〇社も良いですね。一方で□□の点では当社のほうが…」 ■ 3つ目:営業メールに使えるフレーズ コンペ案件で使える差別化フレーズを5つ、 そのまま営業メールにコピペできるかたちで作ってください。
このステップで作った「お客様の反論への切り返しトーク」は、のちほど紹介する「競合対抗シート」の中身になります。分析が営業現場で使われるかどうかは、このStep3を丁寧にやるかどうかで決まります。
こうしたAIを使った営業の仕組みづくりに興味がある方は、生成AI顧問サービスとはもあわせてご覧ください。プロンプトの設計から現場で使える状態にするところまで、一緒に進めるサービスです。
業種別のプロンプト設計のコツ
【結論】業種によって「どこに注目して分析するか」が変わる。IT企業なら機能比較、製造業なら品質・技術力、サービス業ならお客様の声。プロンプトに追加する一言で、分析の精度が大きく変わる。
3ステップの基本の流れは同じですが、業種によって「ここを深掘りすべき」というポイントが違います。プロンプトにひと言加えるだけで、より実用的な結果が返ってきます。
どのAIツールを使えばいい?
「どのツールがいいですか?」とよく聞かれますが、正直なところどれを使っても大丈夫です。Web検索ができる生成AIなら、基本的に同じことができます。
迷ったらまずはChatGPT1つで全部やってみてください。慣れてきたら場面ごとに使い分けるのがおすすめです。
分析結果を「競合対抗シート」にまとめる方法
【結論】競合対抗シート(バトルカード)とは、競合1社につき1枚で「うちの勝ちパターン」と「お客様への切り返し」をまとめた営業ツール。商談前に1分で読むだけで準備が整う。
競合対抗シート(英語ではバトルカードと呼ばれます)とは、競合1社につき1枚のシートで「うち vs この競合」の対策をまとめた営業ツールです。営業担当者が商談前にサッと目を通すだけで、競合への対応が準備できます。
競合対抗シートに入れるべき5つの項目
Step3のプロンプトで出てきた内容を、この5つの項目に当てはめるだけでシートが完成します。商談でよくぶつかる競合3社分を作っておけば、ほとんどのコンペに対応できます。
「AIに前提情報(コンテキスト)を伝えなければ、ありきたりの回答しか出てこない。これは競合分析だけの話ではなく、AIを仕事で使うすべての場面に共通すること。自社の状況・目的・お客様の姿をAIにちゃんと伝える。それだけで、結果の質がまるで変わる。」
— 生成AI顧問の視点
AI活用の仕組みづくりで成果を出す方法については、BoostXが選ばれる理由でも紹介しています。
競合分析に限らず、AI導入全体を体系的に進めたい方は生成AIコンサルティングもご覧ください。
競合の動きを自動でチェックし続ける仕組み
【結論】競合分析は1回やって終わりではない。Googleアラート+月1回のAI分析で、競合の動きを自動で追い続けられる。
3ステップで初回の分析が終わったら、次は「競合の動きを継続的にチェックする仕組み」を作りましょう。月に1回、30分の作業で情報を最新に保てます。
やることは3つだけ
1つ目:Googleアラートに競合の名前を登録する。競合企業の名前やサービス名を登録しておくと、新しいニュースや記事が出たときに自動でメールで届きます。1社あたり1分で設定できます。
2つ目:月1回、AIで「前回との違い」をチェックする。Step1のプロンプトの最後に「前回の調査(〇月時点)から変わったこと・新しい情報だけ教えてください」と一文加えるだけで、差分だけのレポートが出てきます。
3つ目:3ヶ月に1回、競合対抗シートを更新する。月次のチェックで見つかった変化(新サービス、価格変更、組織変更など)を反映させます。
特に注目すべき5つの動き
競合企業の変化で特に見逃してはいけないサインは以下の5つです。いずれもネットで公開されている情報から読み取れます。
よくある質問
まとめ:30分の競合分析で商談の勝率を変える
まずは本記事の3ステップを1回やってみてください。30分で、これまで「なんとなく」だった競合との違いがハッキリ見えるはずです。
ただし、プロンプトの作り方によって結果の質は大きく変わります。「自社の状況をAIにどう伝えるか」が成否を分けるポイントです。この部分を自社だけで詰めるのが難しいと感じたら、無料相談の流れをご覧のうえ、お気軽にご連絡ください。「売り込み」は一切ありません。今の課題を整理するだけでも価値のある30分になります。
この記事のまとめ
- AIを使えば、競合分析は「情報収集→分析→営業活用」の3ステップ・30分で完了する
- プロンプトに自社の前提情報(業界・商品・強み・ターゲット)を書くことが、結果の質を左右する
- 分析結果は「競合対抗シート」にまとめれば、商談前に1分で確認できる営業ツールになる
- AIの出力は必ず公式サイトなどで裏取りする。「AIが言ったから正しい」は禁物
- Googleアラート+月1回のAI分析で、競合の動きを継続的にウォッチする仕組みを作る
あわせて読みたい:生成AI伴走顧問サービスの詳細はこちら →
執筆者
吉元大輝(よしもとひろき)
株式会社BoostX 代表取締役社長
中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。
※本記事の情報は2026年2月時点のものです。
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