生成AIを使わない社員を巻き込む3つのアプローチ|現場で効果実証済み
「生成AIを導入したのに、結局使っているのは一部の社員だけ…」
中小企業の経営者・管理職の方から、このような相談を非常に多くいただきます。ChatGPTやGeminiなどの生成AIツールを会社として契約したものの、「忙しいから」「今のやり方で回っているから」と使わない社員が一定数いる。この状態が続くと、ツール費用だけがかさみ、導入効果を実感できないまま「やっぱりAIは難しい」という結論になりかねません。
実は、このような「AIが使われない問題」には共通するパターンがあります。AIが使われない原因と継続利用のための対策を理解した上で、社員を巻き込む施策を打つことが重要です。
本記事では、生成AI顧問として数多くの中小企業を支援してきた経験から、使わない社員を巻き込むための3つの実践的アプローチを解説します。「個別フォロー」「成功体験の提供」「ペア活用」という3つの切り口で、明日から実践できる具体策をお伝えします。
目次
生成AIを使わない社員の「あるある」パターン
使わない社員には共通パターンがある。苦手意識・多忙・現状維持バイアスの3タイプを理解し、それぞれに合ったアプローチを選ぶことが巻き込みの第一歩。
生成AIを使わない社員を巻き込むには、まず「なぜ使わないのか」を理解する必要があります。私がコンサルティングの現場で見てきた「使わない社員」は、大きく3つのタイプに分類できます。
タイプ①:苦手意識が強い
「AIなんて難しそう」「ITは苦手だから」という心理的ハードルを抱えているタイプです。実際には生成AIは「日本語で指示を出すだけ」というシンプルなツールですが、「AI」という言葉自体に抵抗感を持っている方は少なくありません。このタイプには、難しい説明よりも「実際に触ってもらう」ことが効果的です。
タイプ②:忙しくて手が回らない
「新しいことを覚える時間がない」「今の業務で手一杯」という多忙タイプ。皮肉なことに、生成AIを使えば業務時間を短縮できる可能性があるのに、その学習時間すら捻出できないと感じています。このタイプには、「5分でできる業務効率化」のような小さな成功体験から入るのが有効です。
タイプ③:現状維持で問題ないと思っている
「今のやり方で回っているから」「わざわざAIを使う理由がない」という現状維持バイアスが強いタイプ。これが実は最も手強いパターンです。明確な課題意識がないため、「便利ですよ」と言っても響きません。このタイプには、会社として「使う方針」を明確に示すことが重要になります。
アプローチ①:会社全体で「使う空気」をつくる
個別フォローより先に重要なのは、会社として「生成AIを使っていく」という方針を明確に示すこと。トップダウンの姿勢が、使わない社員の背中を押す。
「個別にフォローすれば使ってくれるだろう」と考えがちですが、実はそれだけでは不十分です。私の経験上、最も効果があるのは会社として「使っていきましょう」と明言することです。
なぜなら、多くの社員は「使っても使わなくてもどちらでもいい」という空気を感じ取ると、楽な方(使わない方)を選ぶからです。逆に、会社の方針として「生成AIを活用して業務効率を上げていく」と示されれば、「じゃあやってみるか」という気持ちになりやすい。
「使う空気」をつくる3つの施策
経営者・管理職が率先して使う
「社長が使っている」「部長がAIで資料を作っている」という事実は、社員にとって強いメッセージになります。
朝礼・会議で定期的に話題にする
「今週AIを使って効率化できた業務はありますか?」と定期的に問いかけることで、使うことが「当たり前」になっていきます。
利用状況を「見える化」する
誰が使っていて、誰が使っていないかを把握する仕組みをつくる。ただし「監視」ではなく「把握」のスタンスで。
💡 ポイント
「上から押し付ける」のではなく「一緒に取り組む姿勢」が重要です。「使え」と命令するのではなく、「一緒に使っていこう」というメッセージを発信しましょう。
組織全体でAIを定着させるためのステップについては、生成AI定着ガイドで体系的に解説していますので、あわせてご参照ください。
アプローチ②:成功体験を提供する
「これなら使える」と思わせる成功体験が、行動変容の鍵。デモを見せるだけでなく、手取り足取り一緒に操作することで、苦手意識を解消できる。
苦手意識を持っている社員には、「実際に触ってもらう」ことが最も効果的です。ただし、「このツール使ってみて」と丸投げするのではなく、デモを見せた上で、手取り足取り一緒に操作することが重要です。
成功体験を提供する3ステップ
ステップ1:まずデモを見せる
「百聞は一見にしかず」です。メール文面の作成、議事録の要約、データ整理など、その社員の業務に関連するタスクをAIで処理する様子を見せます。「こんなに簡単にできるのか」という驚きが、興味を引き出します。
ステップ2:一緒に操作する
デモを見せた後は、社員本人に操作してもらいます。このとき、隣に座って「ここに入力して」「この部分をコピーして」と手取り足取り教えることが大切です。一人で試行錯誤させると、「やっぱり難しい」と挫折してしまいます。
ステップ3:小さな成功を積み重ねる
最初は「5分でできる簡単なタスク」から始めます。いきなり複雑な業務に適用しようとすると失敗しやすい。メール文面の下書き作成、定型文の言い換え、簡単な要約など、確実に成功するタスクで「これなら使える」という感覚を持ってもらいます。
「AIの使い方を説明するより、隣に座って一緒に操作する方が10倍効果がある。苦手意識は『分からない』から生まれるのであって、一度『できた』を体験すれば自然と使うようになる。」
— 生成AI顧問の視点
生成AI顧問がどのような支援を行うのか、詳しくは生成AI顧問サービスとはをご覧ください。
アプローチ③:ペア活用で自然に巻き込む
AIが得意な社員と苦手な社員をペアにすることで、自然な形で巻き込める。ただし、得意な社員の生産性低下リスクに注意が必要。
会社の方針を示し、成功体験を提供しても、なかなか自分から使おうとしない社員はいます。そんなときに有効なのが「ペア活用」です。AIが得意な社員と苦手な社員をペアにして、一緒に業務に取り組んでもらう方法です。
ペア活用のメリット
ペア活用の最大のメリットは、「教える」という堅い形式ではなく、「一緒に仕事をしながら自然に学べる」点です。研修や勉強会は「やらされ感」が出やすいですが、実際の業務の中で「こうやると便利だよ」と教えてもらえれば、抵抗感なく受け入れられます。
また、社内に「AIを教えられる人」を増やすことにもつながります。外部の研修に頼らずとも、社内で知識が循環する仕組みができれば、持続的にAI活用が進みます。
ペア活用の注意点
⚠️ 注意
AIが得意な社員の生産性が落ちるリスクがあります。教えることに時間を取られ、本来の業務が滞ってしまっては本末転倒です。ペアの期間を限定する、教える時間を業務時間として認めるなどの配慮が必要です。
巻き込みで失敗しないための注意点
上から押し付けすぎると逆効果。「監視」ではなく「動機づけ」のスタンスで、社員が自ら使いたくなる環境をつくることが重要。
ここまで3つのアプローチを紹介しましたが、やり方を間違えると逆効果になることもあります。特に注意すべきポイントを整理します。
上から押し付けすぎない
「使え」と強制すると、表面上は使っているように見えても、本質的な活用には至りません。「使わないと評価が下がる」という恐怖で動かすのではなく、「使うと便利だ」「使いたい」と思える動機づけが大切です。
「監視」ではなく「把握」する
利用状況を管理することは重要ですが、「監視されている」と感じさせてはいけません。「誰が使っていないか」をあぶり出すためではなく、「誰にどんなサポートが必要か」を把握するための管理だと伝えましょう。
「AIが仕事を奪うという話があるが、正確には違う。AIを使いこなした優秀な人たちが、使いこなせない人の仕事を奪っていく。変化しないと成長しないし、どんどん置いていかれる。だからこそ、使わない社員を放置せず、巻き込む努力が必要だ。」
— 生成AI顧問の視点
なぜ多くの企業が当社を選ぶのか、詳しくは選ばれる理由をご覧ください。
よくある質問
まとめ
「使わない社員を巻き込む」ことは、生成AI導入の成否を分ける重要なテーマです。導入から定着までの全体像を把握したい方は、生成AI定着ガイドもあわせてご覧ください。まずは無料相談で、貴社の状況に合った巻き込み方法を一緒に考えてみませんか?無料相談の流れはこちらからご確認いただけます。
この記事のまとめ
- 使わない社員には「苦手意識型」「多忙型」「現状維持型」の3タイプがある
- 会社として「使う方針」を明確に示すことが最も効果的
- デモを見せて、手取り足取り一緒に操作することで成功体験を提供する
- ペア活用は有効だが、得意な社員の生産性低下に注意
- 上から押し付けず、「動機づけ」のスタンスで巻き込む
執筆者
吉元大輝(よしもとひろき)
株式会社BoostX 代表取締役社長
中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。
※本記事の情報は2026年1月時点のものです。
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