介護のバイタル入力をタブレットで定着させる、端末の台数と予備の紙の決め方
測った居室でのバイタル入力へ切り替えた特養・老健で、朝の検温ラウンドを受け持つ看護職員のリーダー・施設長・フロアリーダーに合わせています。
端末を入れて測った居室での入力に切り替えても、充電の切れた朝や電波の届かない居室が続くと、職員は詰所の紙の表に書いて後から入れる流れへ戻ります。そうなると朝の範囲外の値は、また昼過ぎの打ち直しまで紙の上で止まります。台数と置き場所、使えない日の紙の扱い、戻り始めたと分かる数字は、切り替えの前の週に決めておく事柄です。

先に結論
毎朝続けるには、端末を同時に回る職員の人数分ワゴンに載せ、紙の様式は端末が使えない日だけの予備にして、戻し入力の時刻と担当を先に決めます。続いているかどうかは、予備の紙を使った回数と、測ってから入力するまでの遅れを週1回数えて確かめます。
紙に書いた日でも、範囲外の値はその場で測った介護職員が内線で看護職員へ伝えます。ソフトの印も申し送りの下書きも、この連絡の代わりにはなりません。
生成AIに渡すのは、当日の入力の一覧から範囲外の値と受けた指示を抜き出す申し送りの下書きと、週1回の数字の集計までです。下書きは看護職員が一覧の印の列と1行ずつ照合して確定し、印のある行が1件でも漏れていた日はその日の下書きを使いません。
朝食前のラウンドで入力に手間取ると紙の表が戻る
測った場での入力が紙の表へ戻るきっかけは、夜勤明けの朝食前という人手の最も薄い時間帯に、端末の充電切れや送信の待ちが重なることです。続けられるかどうかは、ソフトの機能よりも、ラウンドに持たせる端末の数と置き場所、使えない日の受け方で決まります。
内線は測った介護職員から、確定は看護職員から。端末の印と下書きはその補助
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先頭に回る利用者をラウンド表に書く
前日の夕方に看護職員が並べる
人
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ワゴンの端末で測り、居室で入力
値・測定時刻・測った職員名
人
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範囲外なら測り直して内線
様子がおかしければ測り直さず即内線
人
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電波や充電が切れた居室は予備の紙へ
範囲外は書いた直後に内線
人
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紙の表からソフトへの打ち直し
昼過ぎにまとめて入れていた作業
消える
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当日の一覧から申し送りの下書き
範囲外の値と受けた指示を抜き出す
AI
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印の列と下書きを照合して確定
申し送りの前に看護職員が行う
人
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1週間分の入力記録を集計
予備の紙の使用回数・入力の遅れ・内線で伝えるまでの分数
AI
図は入所型の施設の朝の例で、デイサービスなら到着後の検温に置き換わります。紙に戻ったときに失うのは、打ち直しの手間だけではありません。仮の場面で言えば、7時台に測った血圧の範囲外の値が詰所の紙の表に残り、昼過ぎに打ち直されて、夕方の申し送りで初めて看護職員に伝わります。測った場で入れていれば、看護職員は朝のうちにバイタル履歴で前日との差を追えます。
介護労働安定センターの令和7年度調査(2025年10月1日時点)から、入所型の施設の数字を見ます。パソコンの介護ソフトを記録の入力・保存・転記に日頃から使う事業所は83.2%でした。タブレットやスマートフォンで利用者情報を入力する機能を使う事業所は58.7%で、こちらは同じ問いの別の項目です。差を、タブレットを使っていない施設の割合とは読めません。
ソフトがあっても、入力する場所が詰所のパソコンのままなら、紙の表からの打ち直しは残ります。入力の時点をどこに置き、範囲外とみなす上限と下限を誰が登録するかは、切り替えの前に様式の作り直しの中で決めておく事柄です。申し送りや記録の保存まで含めた流れは介護記録の業務のページに、ほかの業務は介護AI活用ジャーナルのトップにまとめています。
端末の台数は同時に回る職員の数で決める
端末は測る居室の数ではなく、朝のラウンドに同時に出る職員の人数分をワゴンに載せ、フロアの定位置の端末は充電切れや故障のときの予備に回します。1台を2人で回し合うと、待つ間に紙へ書く流れが戻るからです。数え方は、測定器から値をソフトへ送る仕組みか、職員が手で入れるかで少し変わります。
| 手段 | 記録に入るもの | 台数の考え方 |
|---|---|---|
| 測定器からの自動連携 | 値。時刻と職員名は機器による | 値だけなら、時刻と名前を入れる端末も要る |
| タブレットの手入力 | 値・時刻・職員名を職員が入れる | 同時に回る人数分 |
自動連携は打ち間違いが入らない一方で、利用者の取り違えは起こり得ます。測定器を当てる前に画面で利用者を選ぶ作りなら、測った後に画面の利用者名を読み上げて確かめる決まりを置きます。
手入力の画面は、1人分の体温・血圧・脈拍・SpO2と測った時刻が1画面に収まる形にします。画面を送る操作が増えるほど、手書きの方が早いという声が出やすくなるからです。入力は手袋を外すか替えてから居室で済ませます。手袋のままの操作は、衛生面の問題に加えて押し間違いも生みます。
ラウンドは、看護職員が早く値を見たい利用者から回ります。前日の申し送りで範囲外の値が挙がった方、退院して間もない方、服薬が変わった方を、看護職員が前日の夕方にラウンド表の先頭へ並べておきます。
ラウンドを終えた端末は詰所の充電場所へ戻し、日勤への交代で台数と充電の残りを受け渡します。充電場所を決めずに置くと、翌朝の1台目が動かない日が出かねません。
電波や充電が切れた朝の、予備の紙と戻し入力
紙の様式は捨てずに、Wi-Fiの不通・充電切れ・故障・停電のときだけ使う予備として、充電場所と各ワゴンに置きます。欄は利用者名・測定時刻・測った職員名・値と、範囲外なら丸を付ける欄だけにします。
Wi-Fiが届きにくい居室は、切り替えの前に端末を持って回り、入力が送られるかを1室ずつ確かめます。届かない居室では、ソフトの一時保存で廊下に出てから送るのか、予備の紙に書くのかを先に決めておきます。
紙に書いた日でも、範囲外の値は書いた直後に内線で伝えます。紙の上で値が止まる時間をなくすために切り替えたので、戻し入力を待ってから伝える流れにはしません。
戻し入力は、朝食後や昼の申し送りの前など決まった時刻に、決まった担当が入れます。入れた後は紙に戻し入力の時刻と名前を書き、1週間分を看護職員のリーダーがまとめて見ます。端末が使えなかった理由も紙の隅に一言残しておくと、同じ居室の電波、同じ端末の充電、同じ時間帯といった偏りが後で見えます。
申し送りの下書きをAIに作らせる範囲
申し送りの下書きで生成AIが受け持つのは、当日の入力の一覧から範囲外の値と受けた指示を抜き出すところです。範囲外の値を看護職員へ伝える連絡は、印や下書きに置き換えず、測り直した介護職員が内線で行います。
医行為の範囲を示した国の通知は、あらかじめ示された数値の範囲を外れた測定値を、医師・歯科医師・看護職員へ報告するものとしています。看護職員は処置や服薬の準備の間は端末の一覧を見ていないので、印だけでは届かない時間ができます。
呼びかけへの反応が鈍い、息が苦しそう、顔色が悪いなど、普段と違う様子があれば測り直す前に知らせ、その後の判断は看護職員と医師が持ちます。看護職員が施設にいない夜勤帯は、内線の相手がオンコール当番の携帯に替わります。当番表と番号は、ワゴンの端末の待ち受けか、ワゴンに貼った紙に載せておきます。
AIに渡す一覧の列は、利用者・測定時刻・値・印・伝えた時刻・受けた指示の6つです。看護職員は申し送りの前に、詰所の端末で一覧の印の列と下書きを1行ずつ照合して確定します。印のある行が下書きに1件でも載っていなければ、その日は下書きを使わず一覧から申し送ります。
【説明用の架空の記入例】下の値と時刻は作ったもので、範囲外とみなす基準を示すものではありません。
- 一覧の1行(前半): 利用者 201号室の方/測定時刻 7:12/値 血圧168/96/印 範囲外
- 一覧の1行(後半): 伝えた時刻 7:20(看護職員へ内線)/受けた指示 9時に測り直して結果を報告
- AIの下書き: 「201号室の方、7:12の血圧168/96で範囲外。7:20に看護職員へ内線で報告済み。9時に再測定の指示あり」
一覧には利用者名と心身の状態にかかわる値が入ります。外部のAIサービスへ渡す前に確かめる契約の区分は、介護記録の項目設計とバイタル転記の記事の外部のAIに送る前の節にまとめています。確かめ終えるまでは一覧を外部のAIに渡さず、次の節の集計も表計算で行います。端末の一覧をそのまま見て看護職員が申し送りを組めば、AIが無くても朝の流れは回ります。
紙に戻り始めたと分かる3つの数字
紙に戻り始めたかは、職員への聞き取りより、予備の紙を使った回数と入力の遅れで見ます。手書きの方が早い、修正が面倒、端末が近くに無い、といった理由は、声になる前に数字に出ます。
- 予備の紙の様式を使った回数(フロアごと・週あたり)
- 測定時刻と入力時刻の差(分・利用者ごとの最大)
- 内線で伝えるまでの分数(印が出てから看護職員へ伝え終えるまで)
集計は、ソフトから書き出した1週間分の入力記録を生成AIか表計算に渡し、フロア別・時間帯別に並べさせれば足ります。並んだ数字をどう読み、次に何を変えるかは看護職員のリーダーが決めます。
数字が悪くなったら、端末の台数、置き場所、連絡の経路の順に戻って見直します。紙の使用回数が1つの居室や時間帯に偏るなら電波か充電を、入力の遅れがフロア全体に広がるなら台数を疑います。
次のフロアへ広げるかは、看護職員のリーダーが前の週と並べて決めます。たとえば2週続けて3つとも悪くならなければ広げ、どれか1つでも悪くなれば広げずに、その数字の原因を1つ直してから数え直します。施設長へは、入力の遅れの最大と内線で伝えるまでの分数を月1回ほど渡します。
同じ令和7年度の調査では、入所型の施設で介護テクノロジーの効果も尋ねています。昼間の業務負担が軽くなったという回答(効果がある・やや効果がある)は76.8%、夜間は74.2%でした。
これは記録の機能に限らない介護テクノロジー全般の実感で、バイタル入力の端末だけの効果を示す数字ではなく、紙に戻った施設で何が起きるかも示していません。効果を確かめるなら、使われ続けているかを3つの数字で先に見る順番になります。
測定器やソフトの側を変えるときの外部の使い方
外部に相談するのは、施設の決まりではなく、測定器や介護記録ソフトの側に手を入れないと進まない場面です。たとえば、測定器から送られる項目に測定時刻や職員名が無い場合や、ソフトから当日の一覧を書き出せない場合です。こうした問題は、ソフトの提供元に、設定で変えられる範囲を問い合わせます。
毎朝決まった時刻に一覧から下書きを作り、看護職員の端末に置く処理まで組むなら、介護記録ソフトとの連携を作る開発(AIエージェント開発など)の相談になります。下書きを看護職員の端末に置く時刻は、申し送りの前に照合を終えられる時刻から逆算して伝えます。
ラウンド表の並べ方、予備の紙、戻し入力の時刻、3つの数字の集計は、AIが無くても施設の中で始められます。下書きの作らせ方に加えて、一覧を外部へ送る契約の確認の進め方もあわせて詰めたいときは、月ごとの相談の形(AI顧問)が合います。
ソフトの提供元に問い合わせるときは、測定器を替えると利用者を選ぶ画面の手順も変わるかを一緒に聞きます。手順が変われば、測った後に画面の利用者名を読み上げる決まりも作り直しになるからです。
明日から始める3ステップ
担当 フロアリーダー
切り替えの前の週に、ワゴンの端末を持って全居室を回り、入力が送られるかを1室ずつ確かめて、届かない居室を書き出す
次へ進む目安届かない居室ごとに、廊下に出てから送るか予備の紙に書くかが決まり、ラウンド表の余白に書かれた
担当 看護職員のリーダー
予備の紙の様式を充電場所と各ワゴンに置き、戻し入力の時刻と担当、オンコール当番表を載せる場所を決める
次へ進む目安夜勤と日勤の介護職員の全員が、紙に書いた日の内線の相手と戻し入力の時刻を答えられた
担当 看護職員のリーダー
週1回、1週間分の入力記録を書き出し、予備の紙の使用回数・入力の遅れの最大・内線で伝えるまでの分数を前の週と並べる
次へ進む目安たとえば2週続けて3つとも前の週より悪くならなければ次のフロアへ広げ、悪くなった数字があれば台数・置き場所・連絡の経路の順に1つ直してから数え直す
無料相談(オンライン)
BoostXは、介護事業所の記録・計画・申し送りへのAI導入を支援しています
01無料相談
記録の転記・申し送りから、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)平成17年7月26日 医政発第0726005号(別紙 注2) 厚生労働省医政局長 確認日 2026.09.30
- 令和7年度 介護労働実態調査 結果の概要7.(1) 介護テクノロジーの導入状況・7.(2) 介護テクノロジーの導入効果 公益財団法人 介護労働安定センター 確認日 2026.09.30
- 個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」(Q7-53・Q12-3) 個人情報保護委員会 確認日 2026.09.30
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(第25条・第27条・第28条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
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