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介護記録

介護記録の項目設計とバイタル転記、定型の8欄と看護職員が決める基準範囲

生成AIは走り書きから食事・水分・排便の候補を出し、バイタルの範囲外の基準は看護職員が利用者ごとに決める

定型にする8欄と、バイタルを入れる時点・報告先を決め、1ユニットで試す様式まで組める。生成AIは食事・水分・排便の候補まで、範囲外の基準は看護職員が決める。

更新  約8分で読めます 編集 BoostX編集部 運営 株式会社BoostX(AI導入支援)

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介護記録の項目設計と定型・自由記載の線引き、バイタル転記の止め方

30秒でわかること

  1. 何が問題か

    書き方が職員ごとに揺れる記録では食事量の経過を追えず、紙に書いた朝のバイタルは打ち直すまで誰にも共有されない。

  2. 何を見れば判断できるか

    週や前日と比べる事実は、選択肢と数値の欄へ。食事・水分・排便・バイタルがそれに当たり、表情などの様子は自由記載に残す。

  3. 誰が何をすれば解決するか

    範囲外の基準は看護職員が利用者ごとに登録し、値の入力と報告は測った介護職員。AIは食事・水分・排便の候補まで。

様式を作り直すのは施設長でも、いまの様式で困るのは別の職員です。申し送りで食事量の経過を聞かれて答えられないフロアリーダーや、昼過ぎまで朝の血圧を知らない看護職員がそうです。

介護記録で定型項目にする欄は比べる欄、自由記載に残す欄は様子

食事量は週単位で比べ、排便は出なかった日数を数え、体温は前日の同じ時間帯と比べるため、どれも選択肢か数値の欄にします。1人1日分を8欄に分けた帳票の例です。

図の要点:1人1日分のケア記録を8つの欄に分けた図。食事(主食・副食を割単位)、水分(量と時刻)、排便、刻みに合わない語に付ける要確認の印の4欄は、生成AIが候補や印を出す。体温・血圧・脈拍・SpO2と測定時刻・測った職員名、看護職員が登録する基準範囲と更新日、範囲外の値を看護職員へ伝えた時刻と受けた指示、表情などの様子の自由記載の4欄は職員が入れる。

食事・水分・排便はAIの候補、バイタルと範囲と報告は職員が入れる

食事(主食・副食)
主食5割・副食9割(割単位で選ぶ)AI が下書き
水分
200ml・10:00(量と時刻の2欄)AI が下書き
排便
あり・普通・中量・11:00AI が下書き
要確認の印
刻みに合わない語。元のメモで直すAI が下書き
体温・血圧・脈拍・SpO2
各値・7:10・測った介護職員名人が確定
基準範囲
上限と下限・更新日(看護職員が登録)人が確定
範囲外の報告
7:25 看護職員へ内線・受けた指示人が確定
様子・発言
表情がいつもより硬い(自由記載のまま)人が確定

基準範囲を看護職員が登録する画面の置き場所は、様式の見直しと同じ日に決めます。値を入れる画面から範囲が見えないと、介護職員は範囲外かどうかを自分の感覚で決めることになるからです。

フリー記載が中心の記録で経過を追えないのは、同じ事実の書き方が職員ごとに揺れるからです。主食を半分食べた日が「半分」「5割」「少なめ」で残ると、どの語で検索しても1週間分はそろいません。

令和7年度の介護労働実態調査では、運営上の課題に書類作成の煩雑さと時間の不足を選んだ事業所が47.5%でした。急いで書く日でも選ぶだけで埋まる欄を先に用意するのは、この時間の不足があるからです。

自由記載に残すのは、その日の文脈ごと読む情報です。「表情が硬い」を選択肢にすると、何がいつもと違ったのかが落ちてしまいます。

食事量の刻みは、厨房と看護職員がすでに使っている刻みに合わせます。記録と食事箋で刻みが違うと、読むたびに換算が要るからです。バイタルに測定時刻の欄を付けるのは、食事や入浴の前後で比べるためです。時刻の無い値は比べられません。

欄は、1人分の入力が端末の1画面に収まる数までにします。画面を送らないと埋まらない様式では、様子の欄が空のまま確定される記録が増えるからです。看取り期の方や褥瘡のある方など見る項目が多い利用者は、全員の様式に欄を足さず、その人だけの追加項目にします。

介護ソフトの欄を事業所で変えられる範囲が狭いなら、最初からある食事・排泄・バイタルの欄を使い切ります。足りない分は、自由記載の書き出しを「食事:」「排便:」とそろえる事業所の決まりで補えます。

バイタルの転記をやめる入力の時点は、測ったその場

転記をやめるには、入力する時点を測った場所へ移します。紙のバイタル表に書いて後から介護記録ソフトへ打ち直すと、入力されるまでの数時間、その値は紙の上にしかありません。紙の表を使う施設では、朝のバイタルがおおむね次の順に動きます。

  1. 夜勤の介護職員が朝食前に居室を回り、体温・血圧・SpO2を紙の表に書きます。
  2. 表は詰所に置かれ、日勤の看護職員が来るまで誰の目にも触れません。
  3. 8時半の申し送りで、看護職員が紙を見て気になる値を口頭で聞きます。
  4. 昼休みか夕方に、日勤の介護職員かフロアリーダーが紙からソフトへ打ち直します。
  5. 看護職員がソフトの一覧で経過を見て、高い値にここで気づくこともあります。

打ち直しの工程では、桁の打ち間違いや隣の行の読み違いが入ります。もう一つの損は、紙が詰所に置かれてから打ち直されるまで、範囲外の値があっても共有されないことです。

入力する時点 範囲外の値に気づく時 選ぶ条件
測った場で端末に入れる 入力したその場 居室やフロアに端末がある
紙に書き、決めた時刻に転記 転記した時刻 端末がそろうまでの間
後でまとめて入力 入力するまで分からない やめる対象

いま3行目にいる事業所は、端末を待たずに2行目へ移せます。端末が足りない間は紙を残し、転記の時刻を「朝食後の9時半」のように当日の決まった時点に置きます。

測定器からソフトへ値が送られる機器を使うなら、測定時刻と測った職員の名前まで一緒に入るかを確かめます。値だけが入る仕組みでは、食事や入浴の前後で比べられません。

看護職員が毎朝全員の検温を自分でして、その場で判断している小規模なデイなら、端末を急いで入れる理由は薄くなります。その場合は紙の表と転記時刻の固定で足ります。

バイタルの基準範囲は看護職員が利用者ごとに決める

範囲外かどうかの目安は、看護職員が主治医の指示や診療情報をもとに利用者ごとに決め、介護記録ソフトの利用者ごとの設定欄に登録します。介護職員が値を見て「高い」「低い」を決める作りにはしません。

介護職員が電子体温計で腋の下の体温を測ることは、原則として医行為に当たりません。自動血圧測定器での血圧測定と、入院治療の必要がない方へのパルスオキシメータの装着も同じ扱いです。半自動の血圧計での測定とSpO2の確認も、令和4年の追加通知で同じ扱いになりました。

一方、測った数値を基に投薬の要否など医学的な判断をすることは医行為です。事前に示された範囲を外れた値は、医師・歯科医師・看護職員に報告するものとされています。

その「事前に示された範囲」が様式に無いと、何を異常と見なすかを介護職員が自分で決めることになります。年齢で一律の目安を全員に当てはめる作りにもしません。設定欄が無いソフトなら、利用者の基本情報の画面に書いておきます。

範囲の見直しは、退院したとき・主治医の指示が変わったとき・状態が変わったときに看護職員が行い、更新日を残します。病状が不安定で専門的な管理が要る方は、測定そのものが医行為とされる場合もあります。そうした方の扱いは、サービス担当者会議の場で看護職員や主治医に確かめる事柄です。

夜間や、デイの送迎後など看護職員がいない時間帯があるなら、報告先をオンコールの看護職員か協力医療機関にします。連絡先を範囲と同じ画面に置いておくと、夜勤の介護職員が探さずに済みます。

範囲外の値を看護職員へ伝えた記録には、時刻と指示を残す

範囲外の値が出たら、介護職員は少し落ち着いてもらってから測り直し、それでも外れていれば看護職員へ口頭で伝えます。息苦しさや反応の鈍さなど、いつもと違う様子が一緒にあるときは測り直しを待たずに伝えます。

介護記録ソフトに範囲外の値へ色や印を付ける機能があっても、入力した職員が画面の値を自分で確かめます。印が出るのは登録した範囲が正しいときだけで、範囲の登録漏れや更新漏れがあれば何も出ないからです。機能が無いソフトなら、紙の表の欄外に利用者ごとの範囲を書き写しておきます。

伝え方は、内線やPHSでの口頭が先です。ソフトの通知や申し送り欄への書き込みは、看護職員がすぐ開くとは限らないため補助に回します。伝えた後の判断は看護職員の役目です。介護職員は、伝えた時刻と相手、受けた指示の内容を決まった欄に残します。

定型項目の候補をAIに出させる範囲は、食事・水分・排便

生成AIには、ケア直後の走り書きや音声メモから、食事・水分・排便の欄に入る候補を出させます。候補が入った欄は、確定前の画面で記録した介護職員が全部確かめます。

走り書きが「朝食 主食半分 副食ほぼ全部 お茶200 11時排便ふつう 表情いつもより硬い」なら、候補は主食5割・水分200ml・排便あり(普通・11時)です。「ほぼ全部」は割の刻みに当てはまらないため、要確認の印を付けて返させます。「表情がいつもより硬い」は欄に振り分けず、自由記載のまま残させます。

印の無い欄まで確かめるのは、主食と副食の取り違えのような誤りは印が付かないまま入るからです。候補が違っていれば、職員が元のメモに戻って直します。元のメモは確定するまで消しません。

バイタルの値と基準範囲、範囲外の値を伝えるかどうかは、AIに書かせません。値は測った職員が入力し、範囲は看護職員が登録し、伝えるのは介護職員です。走り書きを記録の文章に起こす工程や、記録から申し送りへつなぐ工程は、介護記録の業務とAIで工程ごとにたどれます。

メモを外部のAIに送る前に、契約の区分を確かめる

メモには利用者の心身の状態や病歴が入ります。病歴は、個人情報保護法が定める要配慮個人情報の一つです。外部のAIサービスに送るなら、契約と設定で次のどれに当たるかを先に確かめます。

  • サービス事業者が中身を取り扱わない:個人データを取り扱わないと契約で定め、アクセス制御もされていれば提供に当たりません
  • 事業所の利用目的の範囲で扱いを任せる:委託として、第25条の委託先の監督を事業所が負います
  • どちらでもない:第三者提供として、第27条により本人の同意が要ります

事業者が国外にあって中身を取り扱うなら、委託であっても第28条により本人の同意が要るかを確かめます。どの区分に当たるかで、メモを送る前に同意を取るかどうかが変わります。

契約の前に書面で答えを得ておくのは、学習利用の有無、保存場所と保存期間、契約終了時の削除、再委託、海外での処理や保存です。事業者の側で中身を見られる人、事業所の誰がいつ送ったかの操作ログ、漏えい時の連絡の期限と相手も確かめます。答えがそろわないうちは、メモを外部のAIに送らず、職員が欄に打ち込む今の書き方を続けます。

記録ソフトがあっても二重入力が残るなら、様式と端末を見直す

令和7年度の同じ調査で、ケア記録やケアプランを入力・保存・転記する機能を日頃から利用していたのは72.2%の事業所でした。一方、介護テクノロジーで昼間の負担が軽くなった(効果がある・やや効果がある)と答えたのは53.8%の事業所です。別々の問いへの回答なので単純な差ではありません。

この数字からは二重入力の原因までは分からないため、ソフトより先に様式と端末の置き場所を確かめます。一つは、紙の様式をそのままソフトに写し、選択肢にすべき欄が自由記載のまま残っている事業所です。測る居室に端末が無く、紙のバイタル表を手放せない施設もあります。基準範囲が登録されず印が付かない場合や、欄を足しすぎて紙のメモに戻った場合も同じです。

欄の候補を探すには、管理者が直近1か月分の経過記録を書き出し、自由記載に繰り返し出てくる事柄を数えます。食事量や排便が繰り返し出ていれば、それが定型項目の候補です。件数が多ければ、繰り返し出る事柄をAIに挙げさせてもかまいません(外部のAIに送るなら前の節の確認が先)。

項目案は介護職員と看護職員の両方に見せます。看護職員が見たい欄の抜けた様式は、結局フリー記載に戻るからです。

1ユニットで2週間試し、空欄と報告までの分数を見る

1ユニット(デイなら1単位)から試し、期間は2週間です。看護職員のリーダーがその利用者全員の基準範囲を登録し終えた翌日を切り替えの日にすると、範囲外の印が出ない人が混ざったまま始めずに済みます。

見る数は、定型項目の空欄の件数と、範囲外の値を入力してから看護職員へ伝えるまでの分数の2つです。後者は入力時刻と報告時刻の差なので、看護職員のリーダーがソフトの一覧から書き出せ、手で計る必要はありません。

空欄の件数には、様子の欄が空のまま確定された記録も「埋まった」として紛れます。空欄が減った週に様子の欄も空いていれば、足しすぎた欄を削って1画面に収め直します。報告までの分数が縮まない場合は、内線で呼ぶ相手とオンコールの決め方が、施設長と看護職員のリーダーで決め直す対象です。

明日から始める3ステップ

  1. 直近1か月分の経過記録を書き出し、自由記載に繰り返し出てくる食事量・水分・排便などの事柄を数えて項目案にする

    担当
    管理者
    次へ進む目安
    項目案を介護職員と看護職員の両方が見て、看護職員が見たい欄の抜けが無いと確かめた
  2. 試すユニットの利用者全員について、主治医の指示や診療情報をもとに基準範囲と更新日をソフトの設定欄へ登録し、夜間の報告先も同じ画面に書く

    担当
    看護職員のリーダー
    次へ進む目安
    全員分の範囲と連絡先が入り、その翌日から新しい様式に切り替えた
  3. 週に一度、ソフトの一覧から定型項目の空欄の件数と、範囲外の値の入力時刻から報告時刻までの分数を書き出す

    担当
    看護職員のリーダー
    次へ進む目安
    2週目に空欄が1週目より減り、様子の欄も埋まっていて、報告までの分数が試す前に決めた上限(15分など)を1件も超えなければ、次のフロアへ様式を渡す

介護事業所のAI活用診断

勤務の終わりの記録と長引く申し送り、AIに任せる最初の1つ。

1問目介護職員や相談員が、仕事で生成AIに触れる場面はありますか。

全6問・約1分・登録不要・結果はこの場で表示

結果の例

いまの段階Lv.3 チーム活用期

最初にAIに任せる1工程ケアの合間のメモと音声からの介護記録の下書き

2週間で試すこと

  1. 1つのフロアで、記録に必ず入れる項目と書き方の例をそろえる
  2. 職員2人に、ケアのあと10秒の音声メモを残してもらい、記録の下書きを作らせる
  3. 勤務の終わりに記録にかかった時間と、あとで書き足した件数を記録する

人が確かめて決める所も、結果に出ます。

関連記事を先に読む具体的な進め方を相談する(オンライン45分)

出典・参考資料6件
  1. 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)平成17年7月26日 医政発第0726005号別紙 1(体温・血圧・パルスオキシメータ)・別紙 注2(測定値に基づく判断と範囲外の値の報告)・別紙 注2(病状が不安定な場合)厚生労働省医政局長 確認日 2026.09.30
  2. 令和7年度 介護労働実態調査 結果の概要記録・転記機能の利用(問17①)・介護テクノロジーの導入効果(問17②)公益財団法人 介護労働安定センター 確認日 2026.09.29
  3. 令和7年度 介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書事業を運営する上での課題(問19・図表19-1-1)公益財団法人 介護労働安定センター 確認日 2026.09.29
  4. 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第2条第3項(要配慮個人情報)・第25条・第27条第1項・第5項第1号・第28条第1項e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
  5. 個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用)・Q12-3(外国にあるサーバへの保存)個人情報保護委員会 確認日 2026.09.29
  6. 医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)令和4年12月1日 医政発1201第4号厚生労働省医政局長 確認日 2026.09.30
編集・監修体制BoostX編集部

BoostX編集部(株式会社BoostX)が、官公庁・業界団体などの一次情報を原典で確かめて書いています。下書きにはAIを使い、編集担当者が内容と出典を確認してから公開しています。

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