AI導入後に使われなくなる原因と継続利用させる3つの方法
目次
AI導入後「使われなくなる」とは何か
AI導入後「使われなくなる」とは、導入から3ヶ月以内に利用率が急落し、現場で活用されない状態を指す。原因の本質は「目的の欠如」にある。
AI導入後「使われなくなる」とは、ChatGPTやMicrosoft Copilotなどの生成AIツールを導入したにもかかわらず、時間の経過とともに利用率が低下し、最終的には誰も使わなくなる現象を指します。
多くの企業では、導入直後は物珍しさから利用率が高まります。しかし、明確な目的や活用方針がないまま進めると、1〜3ヶ月後には「結局、何に使えばいいかわからない」「面倒だから従来のやり方に戻った」という状態に陥ります。
総務省の調査によれば、日本企業の生成AI利用率は46.8%に達していますが、「導入したが定着していない」と回答する企業も少なくありません。導入と定着は別物であり、定着させるための施策を講じなければ、投資は無駄になります。
「AIが使われなくなる原因の本質は『目的の欠如』です。『とりあえず導入しよう』では必ず失敗します。何のために使うのか、どの業務で成果を出すのか。この問いに答えられない状態で導入しても、定着するはずがありません」
— 生成AI顧問の視点
生成AI顧問がどのような支援を行うのか、詳しくは生成AI顧問サービスとはをご覧ください。
なぜAIは使われなくなるのか?3つの根本原因
AIが使われなくなる根本原因は、目的の曖昧さ、経営層の関与不足、現場への教育・サポート不足の3つに集約される。
AI導入が失敗する原因は様々ですが、現場で見てきた経験から、根本的な原因は3つに集約されます。これらを理解し、対策を講じることが継続利用への第一歩です。
原因①:目的が曖昧なまま導入している
最も多い失敗パターンは、「競合他社も導入しているから」「話題だから」という理由で導入するケースです。目的が曖昧なまま導入すると、現場は「何に使えばいいかわからない」状態に陥ります。
目的を明確にするとは、「どの業務で」「どれくらいの効果を」「いつまでに」出すのかを具体的に定めることです。「業務効率化」という漠然とした目標ではなく、「営業部門の提案書作成時間を30%削減する」のように、測定可能な形で設定する必要があります。
利用率が低下している企業の改善策については、AI利用率向上の施策で詳しく解説しています。
原因②:経営層の関与が不足している
AI導入を「情シス部門の仕事」「DX推進担当の仕事」と捉えている企業は、ほぼ確実に失敗します。経営層が関与しないAI導入は、組織全体への浸透力を持ちません。
経営層に求められる役割は、ツールの選定ではありません。「なぜAIを導入するのか」というビジョンを語り、全社的な方針として位置づけることです。経営者自身がAIを使い、その価値を体感していることが、組織への説得力を生みます。
経営者がAI導入においてどのような役割を果たすべきかは、AI導入における経営者の役割をご確認ください。
原因③:現場への教育・サポートが不十分
ツールを導入して「あとは使ってください」では、定着しません。特に生成AIは、プロンプトの書き方ひとつで出力の質が大きく変わります。使い方を教えないまま放置すれば、「使ってみたけど期待した結果が出なかった」という体験が積み重なり、利用離れが進みます。
また、導入初期に「うまくいかない」と感じた社員が相談できる場所がなければ、そのまま使わなくなります。教育とサポート体制の整備は、導入と同時に行うべき必須事項です。
社員のAI活用に対する意識を高める方法は、AI導入時の社員エンゲージメントで解説しています。
継続利用させる方法①:成功事例の共有
成功事例の共有は、社員の「自分にもできそう」という感覚を生み出し、利用意欲を高める最も効果的な施策である。
継続利用を促す最も効果的な方法は、社内の成功事例を共有することです。外部の事例ではなく、「隣の部署の〇〇さんがこう使って成果を出した」という身近な事例が、他の社員の行動を変えます。
成功事例の共有で重要なのは、具体性です。「業務が効率化した」ではなく、「週報作成が2時間から30分に短縮した」「顧客への提案書のクオリティが上がり、成約率が15%向上した」といった、数値を含む具体的な成果を共有します。
共有の場としては、全社朝礼、社内チャット、月次の定例会議などが有効です。定期的に成功事例を発信することで、「自分も試してみよう」という意欲が組織全体に広がります。
継続利用させる方法②:定期研修の実施
定期研修は「導入時の1回だけ」ではなく、月1回など継続的に実施することで、スキルの定着と新しい活用法の発見につながる。
AI研修を「導入時の1回だけ」で終わらせている企業は多いですが、これでは定着しません。生成AIは日々進化しており、新機能や新しい活用法が次々と登場します。定期的な研修で知識をアップデートし続けることが、継続利用の鍵です。
研修の頻度は、月1回程度が目安です。毎回新しい内容を扱う必要はなく、基本的な使い方の復習、成功事例の共有、参加者同士の情報交換を組み合わせると効果的です。
また、世代によってITリテラシーやAIへの抵抗感は異なります。20代と50代では、効果的な教え方が違います。世代ごとの特性を踏まえた研修設計が、全社的な定着につながります。
世代ごとの特性を踏まえた研修の設計方法は、世代別AI研修の方法で詳しく解説しています。
継続利用させる方法③:相談窓口の設置
相談窓口は、社員が「困ったときにすぐ聞ける」安心感を提供し、利用離れを防ぐセーフティネットとして機能する。
AI活用で「うまくいかない」と感じたとき、相談できる場所がなければ、社員はそのまま使わなくなります。相談窓口は、利用離れを防ぐセーフティネットです。
相談窓口の形式は、専任担当者を置く方法、Slackやチャットツールに専用チャンネルを作る方法、週1回のオフィスアワーを設ける方法など、企業の規模や文化に応じて選択できます。重要なのは、「聞きやすい雰囲気」を作ることです。
相談窓口に寄せられる質問は、そのまま研修のネタになります。また、「こんな使い方ができないか」という相談から、新しい活用アイデアが生まれることもあります。相談窓口は、単なるサポート機能ではなく、AI活用を進化させる情報収集の場でもあります。
相談窓口を設置するメリットと運用のポイントは、AI相談窓口のメリットをご覧ください。
「相談窓口を設置して驚いたのは、『こんな初歩的なことを聞いていいのか』と遠慮していた社員が多かったことです。窓口があるだけで、質問のハードルが下がり、利用率が回復したケースを何度も見てきました」
— 生成AI顧問の視点
株式会社BoostXが多くの企業様から支持される理由については、選ばれる理由をご確認ください。
継続利用を支える仕組みづくり
継続利用には、マニュアル整備、定例会議の設定、定期的なレビューという3つの仕組みが必要である。
成功事例の共有、定期研修、相談窓口という3つの方法を実行するには、それを支える仕組みが必要です。属人的な取り組みでは継続しません。組織として回り続ける仕組みを構築することが重要です。
マニュアルの整備
AIツールの基本的な使い方、よく使うプロンプトの例、セキュリティ上の注意点などをまとめたマニュアルを整備します。新入社員や異動者がすぐにキャッチアップできる環境を作ることで、組織全体の利用率を維持できます。
マニュアル作成のポイントは、AIマニュアル作成の3ポイントで解説しています。
定例会議の設定
AI活用の進捗を確認する定例会議を設定します。月1回、30分程度で構いません。利用状況の報告、課題の共有、成功事例の発表などを行い、AI活用を組織の「当たり前」にしていきます。
定例会議で何を議題にすべきかは、AI定例会議のアジェンダを参考にしてください。
定期的なレビュー
導入から3ヶ月後を目安に、効果測定とレビューを行います。当初設定した目標に対して、どの程度達成できているか。利用率はどう推移しているか。これらを数値で確認し、次のアクションを決定します。
3ヶ月レビューで確認すべき指標は、AI導入3ヶ月レビュー指標で詳しく解説しています。
ガバナンス体制の構築
ガバナンス体制とは、AIを安全かつ効果的に使い続けるためのルールと運用の仕組みである。ルールは「作る」より「浸透させる」が難しい。
AI活用を継続するには、セキュリティリスクへの対応も欠かせません。機密情報の取り扱い、著作権への配慮、出力内容の確認など、守るべきルールを明確にし、組織全体に浸透させる必要があります。
ルールは作って終わりではありません。定期的に見直し、新しいリスクや活用法に対応していくことが重要です。また、ルールを厳しくしすぎると使われなくなり、緩すぎるとリスクが高まります。バランスの取れた運用が求められます。
AIルールの策定と運用のポイントはAIルール運用の実践を、セキュリティルールの浸透方法はAIセキュリティルール浸透をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
AI導入後に使われなくなる問題を解決したい方は、無料相談の流れをご確認ください。現状の課題を伺い、最適な改善策をご提案します。
この記事のまとめ
- AI導入後「使われなくなる」原因の本質は「目的の欠如」である
- 根本原因は「目的の曖昧さ」「経営層の関与不足」「教育・サポート不足」の3つ
- 継続利用には「成功事例の共有」「定期研修」「相談窓口」の3施策が有効
- マニュアル整備、定例会議、定期レビューで仕組み化することが重要
- ガバナンス体制を構築し、ルールを浸透させることで安全かつ継続的な活用が可能になる
AI活用を単なるツール導入で終わらせず、組織の競争力向上につなげるには、継続的な取り組みが欠かせません。生成AIコンサルティングや生成AI伴走顧問のサービスでは、導入から定着まで一気通貫で支援しています。
※本記事の情報は2026年2月時点のものです。
執筆者
吉元大輝(よしもとひろき)
株式会社BoostX 代表取締役社長
中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。
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