運送会社の注文台帳の二重登録を止める照合キー4つと受付3列
読み取りと一致の印はAI、同じ便かの判断と荷主への確認は配車担当
二重の疑いは台帳の4欄の一致で止め、同じ便かは配車担当が荷主に聞いて決める。足す受付の3列と、保留に回す一致の組み合わせを選べる。

30秒でわかること
何が問題か
FAXとメールで同じ便が届き、受けた人が別だと台帳に2行入って、配車表で2台を割り当てかける。
何を見れば判断できるか
荷主・納品日・納品先・数量の4欄のどこまでが一致したかと、行ごとの受付経路・受付者が判断の材料になる。
誰が何をすれば解決するか
受注事務が一致した行を保留にし、配車担当が荷主に確かめてから1行だけ配車表へ流す。
荷主の注文書に注文番号が無い取引や、FAXとメールで別々の番号が付く取引では、番号を頼りに重複を見つけることができません。
二重受付は配車表の前、注文台帳の段で止める
注文台帳とは、経路を問わず受けた注文を1行1注文で記録し、配車表の元にする表です。二重の行は、配車表に移る前のこの台帳で止めると、車両とドライバーの割り当てまで汚れずに済みます。
図の要点:FAX・メール・電話で受けた注文が注文台帳の1行になり、配車表へ流れるまでの7段の流れ図。読み取り、納品先のマスタ番号への寄せ、4欄の一致の照合はAIが受け持ち、一致した行を保留にするのは受注事務、同じ便か別便かを荷主に確かめて保留を外し、配車表へ送るのは配車担当。
印が付いた行は消さずに保留し、配車表へ流すかは荷主に聞いた配車担当が決める
-
注文を受ける
電話はその場で台帳に1行入れる
人: 受注事務
-
注文書を台帳の行に起こす
FAXの画像とメール本文から下書き
AI
-
納品先をマスタの番号に寄せる
呼び名の揺れを同じ番号にそろえる
AI
-
4欄の一致を既存の行と照らす
同じ納品日の行だけと比べる
AI
-
印の付いた行を保留にする
配車表へは流さない
人: 受注事務
-
同じ便か別便かを荷主に聞く
二重なら片方に取消の印と理由
人: 配車担当
-
保留の外れた行を配車表へ送る
締めの時点で保留0行を確かめる
人: 配車担当
同じ納品先へ同じ日に2便を出す荷主だけは、4段目で毎回印が付きます。台帳の荷主欄の横に「同日複数便」と書き、印が付いても二重と決めつけず、配車担当が便の区別を荷主に聞く行として扱います。
受付の形によって、最初に手を入れる所が変わります。
- 受付が1人でExcelの台帳なら、受付の3列を足し、4欄の一致は表計算の式で印を付けるところから始めます。
- 経路ごとに受ける人が違うなら、受付者の列と保留の印を先に入れます。受けた人が別だと、同じ注文だと気づく人がいないためです。
- 配車システムに注文を入れているなら、重複の警告がどの欄の一致で出るのかを提供元に聞き、4欄に足りない分だけ台帳側で補います。
荷主から注文がCSVで届く取引なら、欄の名前と書き方を先に荷主のデータを配車表の欄に置き換える変換表でそろえておくと、照合の式がそのまま効きます。
同じ注文が二重に入る3つの型
二重に入るのは、注文書の同報、電話の後の確認FAX、元の分まで載った再送の場合で、どれも受けた人が別だと気づけません。
同報は、荷主の担当がFAXとメールの両方に同じ注文書を送る形です。仮の場面ですが、朝のFAXで届いた翌日の便が、昼に同じ内容のメールでも届き、受けた人が違ったために台帳に2行入ったとします。配車担当はその2行を別の注文として配車表に並べ、2台を割り当てかけます。
確認FAXは、電話で受けた注文の後に、荷主が控えとして同じ内容を送ってくるものです。電話の注文は受けた人のメモに残り、台帳に入るまでに時間が空くことがあります。その間にFAXが届くと、FAXを受けた人は別の注文として1行足してしまいます。電話の行に「確認FAX待ち」と書いておけば、届いたFAXは新しい行にせず、その行に結び付けられます。
再送は、「追加分です」と書かれた注文書に、前日に受けた元の分まで載っている形です。数量の合計だけを見て登録すると、元の分が2回数えられます。時刻だけを書き直した訂正FAXを元の行と差し替える照合は、FAX注文を読むAIの費用と訂正FAXの扱いの領分です。
台帳に足すのは受付経路・受付者・受付日時の3列
照合に使うのは荷主・納品日・納品先・数量の4欄です。受付経路・受付者・受付日時の3列は、一致した行を見分け、誰に聞けばよいかをたどるために持ちます。
| 台帳の欄 | 照合での役目 | 空欄で届いたとき |
|---|---|---|
| 荷主 | 照合の1つ目の欄 | 受付の時点で必ず書く |
| 納品日 | 照合の2つ目の欄 | 荷主に問い合わせる |
| 納品先 | マスタの番号で照らす | 番号が無ければ保留 |
| 数量 | 単位をそろえて照らす | 荷主に問い合わせる |
| 集荷先 | 照合に使わず配車に使う | 締めまでに埋める |
| 着時刻 | 照合に使わず配車に使う | 配車担当が荷主に聞く |
| 受付経路 | 一致した行の届き方を見る | 受けた人が書く |
| 受付者 | 問い合わせる相手を決める | 受けた人が書く |
| 受付日時 | 後から届いた行を見分ける | 受けた人が書く |
受付の3列は、受けた瞬間にしか正しく書けないので、後から誰かが埋める欄にしないことが前提です。
着時刻を照合に入れないのは、荷主ごとに「午前中」「AM必着」「8時〜12時」と書き方が割れ、同じ便でも文字が一致しないためです。訂正で時刻だけが変わることもあります。集荷先は同じ荷主ならほぼ同じ倉庫になるため、照合に加えても見分ける力がほとんど増えません。
欄を選ぶときの物差しになるのが、運送申込書の事項を定めた標準貨物自動車運送約款第6条第1項です。記載事項は16号まであり、品名や個数、集貨と配達の日時の希望、集貨先・配達先、荷受人などが並びます。第15号の「運送申込書の提出年月日」は、台帳の受付日時の列に近い項目です。約款の事項を全部台帳に写す必要はなく、照合と配車に要る欄だけを持てば足ります。
重複の疑いは荷主・納品日・納品先・数量の一致で見る
4欄すべてが一致したら二重の疑いで保留にし、数量だけ違えば荷主に聞き、納品日か納品先が違えば別の注文として登録します。
| 一致した欄 | 台帳での扱い | 次に動く人 |
|---|---|---|
| 4欄すべて | 二重の疑いで保留 | 配車担当が荷主に聞く |
| 数量だけ違う | 追加か訂正か不明で保留 | 配車担当が荷主に聞く |
| 納品日か納品先が違う | 別の注文として登録 | 受注事務がそのまま登録 |
数量だけ違う行を保留に回すのは、追加と二重を取り違えると、要る車格と台数が変わるからです。再送で元の分と追加分が1枚に載ったときも、この行に当たります。
4欄が一致しても、受付経路が同じで受付日時が数分しか離れていない行は、FAXの送り直しである見込みが高くなります。それでも、行を消すかは荷主に聞いてから決めます。一致の印は、聞く順番を決める材料です。
同じ便かどうかは配車担当が荷主に確かめて決める
AIや表計算の式が受け持つのは、注文書を台帳の行に起こすことと、一致した行に印を付けることまでです。同じ便か別便かの判断と荷主への確認は、車両の手配に責任を持つ配車担当が受け持ちます。
AIに渡すのは、届いたFAXのPDFかメールの本文、荷主名、納品先マスタ、同じ荷主の直近の行です。返させるのは、台帳の欄を埋めた1行と、一致した既存の行の番号、一致した欄の名前です。読めない欄は推し量らせず、空欄のまま返させます。
返ってきた行は、受注事務が元のFAXやメールと並べ、納品日と数量を1行ずつ照らしてから台帳に確定させます。印の付かなかった行も、この照らし合わせは省きません。印が無いことは、二重でない保証にはならないからです。
二重と分かった行は消さず、片方に取消の印と「メールと同報」のような理由を残します。消してしまうと、荷主が後から「2便だった」と言ってきたときに戻せません。読み違いで印が付いた行は、受注事務が欄を直し、備考に「読み違い」と書いておきます。この記録が、読み取りを人の確認に戻す様式を選ぶ材料になります。
手書きの注文書が多い荷主や、同じ日に何便も出すのが普通の荷主は、AIの印を入れても保留が増えるだけです。そうした荷主は、受付者の列と保留の運用だけで回し、照合の印は様式の固まった荷主から付けていきます。
注文書には、個人宅の納品先や荷受人の氏名・電話番号が載る場合もあります。外部のAIサービスへ渡す前に、サービス事業者が預かった注文書の中身を取り扱わないと契約に書かれているか、あわせてアクセスが適切に制限されているかを見ます。
中身を取り扱う契約なら、自社の利用目的のために取扱いを頼む委託と言えるかを契約で確かめます。委託と言えない場合は第三者提供の扱いになり、本人の同意の要否を確かめます。
当日に注文が無かったと分かる日を減らすには?
定期便の一覧を作り、翌日分を締める前に、前週の同じ曜日の行と台帳を比べて、来ていない便を荷主に問い合わせます。
二重の照合は、届いた行どうしを比べる仕組みなので、届かなかった注文は見つけられません。欠落を拾うには、来るはずの注文の一覧が別に要ります。一覧の欄は荷主・曜日・納品先の3つで足ります。
比べる作業は、表計算の式でもAIでも、一覧にあって翌日の台帳に無い行を並べるところまでです。祝日の週や荷主の棚卸しの日は、一覧どおりに注文が来ないことがあります。そのため、並んだ行を見て荷主に問い合わせるかは受注事務が決め、問い合わせた結果を備考に書きます。
注文が来ていないと言い切るためにも、届いた注文の元のメールとFAXは、台帳の行を取り消しても残します。運送契約を結ぶときに真荷主(運送を直接頼む荷主)と運送会社が互いに交付する書面は、写しを1年間保存する定めがあります。日々の注文メールがその書面に当たるかは取引ごとの取り決めによりますが、元の記録を消さない運用にしておけば、どちらの場合も困りません。
荷主1社の2週間分で保留行と別便だった行を数える
保留にした行のうち、荷主に聞いたら別便だった行が多い荷主は、4欄では便を見分けられない取引です。受注事務が2週間分の保留行を、本当に二重だった行と別便だった行に分けて件数で残せば、その差がはっきり出ます。最初に数える荷主は、ここ1か月で二重を出しかけた荷主から選びます。
別便だった行が続く荷主については、配車責任者が照合の組み合わせへ戻り、着時刻の時間帯か集荷先を5つ目の欄として足すかを決めます。足した欄は台帳の上部に書き、受注事務が翌日の受付から同じ組み合わせで照らせるようにします。
同じ2週間で、当日の朝に注文が無かったと分かった件数も受注事務が数えます。その便が定期便の一覧に載っていなかったなら、配車責任者は一覧の作り方に戻り、荷主ごとの曜日の欄を見直します。業務の流れ全体は受注・配車の業務に、物流のほかの業務は物流AI活用ジャーナルにまとめています。
明日から始める3ステップ
二重を出しかけた荷主1社の注文台帳に、受付経路・受付者・受付日時の3列を足し、今週分の行も分かる範囲で埋める
- 担当
- 受注事務
- 次へ進む目安
- その荷主の翌日分の行で、受付の3列に空欄が1つも無い
4欄が一致した行と数量だけ違う行に保留の印を付け、配車担当が荷主に電話かメールで確かめて印を外す
- 担当
- 受注事務と配車担当
- 次へ進む目安
- 翌日分の締めの時点で、保留の印が残った行が0行になっている
2週間分の保留行を、本当に二重だった行と荷主に聞いたら別便だった行に分け、荷主ごとに件数を書き出す
- 担当
- 配車責任者
- 次へ進む目安
- 別便だった行が保留行の半数を超えた荷主について、照合に足す5つ目の欄が台帳の上部に書かれている
物流・運送業のAI活用診断
FAXの注文、配車、月末の請求明細のうち、最初にAIへ任せる1工程。
結果の例
いまの段階Lv.3 チーム活用期
最初にAIに任せる1工程FAX・メールで届く注文の取り込み
2週間で試すこと
- 注文の多い荷主2社の、先週分のFAXとメールで読み取り結果と台帳を突き合わせる
- 読み違いやすい欄(時間指定・車格など)を洗い出し、確認の順番を決める
- 朝の取り込みをこの形に切り替え、配車に着手できる時刻が何分早まったかを見る
人が確かめて決める所も、結果に出ます。
出典・参考資料5件
- 標準貨物自動車運送約款(令和7年国土交通省告示第193号 最終改正)(第6条第1項 運送の申込み・第6条第1項第15号)国土交通省 確認日 2026.10.02
- 貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第12条(書面の交付)e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.02
- 貨物自動車運送事業法施行規則(平成2年運輸省令第21号)(第13条の3第3項)e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.02
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(第25条 委託先の監督・第27条第1項 第三者提供の制限)e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.02
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用)個人情報保護委員会 確認日 2026.10.02
編集・監修体制BoostX編集部
BoostX編集部(株式会社BoostX)が、官公庁・業界団体などの一次情報を原典で確かめて書いています。下書きにはAIを使い、編集担当者が内容と出典を確認してから公開しています。