行政書士の許認可申請でAIと外注に頼める作業|改正第19条と決算変更届
建設業許可の顧問先の決算変更届が決算月ごとに重なり、型づくりを所内で持つか外注するかを迷っている行政書士事務所の所長・補助者が対象です。
3月末決算の顧問先が多い事務所では、7月末に決算変更届が集まり、前年の控えを打ち替える作業が補助者に積み上がります。令和8年1月1日施行の改正後の行政書士法第19条のもとで、その作業のどこまでを外注先とAIに頼め、どこから行政書士が持つかを、決算変更届1件の流れと業務委託の契約書に書く範囲から確かめます。

先に結論
外注先に頼めるのは、科目を財務諸表の様式へ当てはめる型と照合表、期限の計算の設計と保守までです。届出1件の申請書と添付書類は、外注先に作らせず、補助者と行政書士が所内で組みます。
AIには科目の当てはめ案、合計が合わない行、工事経歴書に載せる工事の候補、表記揺れの印を下書きさせます。合わない行は補助者が決算書の原本で確かめ、完成工事高と兼業の売上の振り分けと載せる工事は行政書士が判断し、全欄を照合して自分の名で出します。
手引きや様式が改訂された直後の案件は型を止め、前年の控えから手で組みます。最初の型は、届出が重なる決算月の顧問先から作ります。
許認可の外注とAIの線は、改正後の行政書士法第19条で引く
申請書と添付書類の作成を、行政書士でない外注先に報酬を払って任せる形は、原則として認められません。第19条は令和7年法律第65号による改正で令和8年1月1日から次の文言になり、外注の契約はこの文言で確かめる必要があります。
行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3の業務を行うことができません。外注先への支払いを「作業代」や「利用料」と呼び替えても、扱いは変わらないということです。
第1条の3の業務には、書類の作成に代えて作る電磁的記録も含まれます。このため、電子申請のデータを外注先に組ませる形も、紙の申請書と同じ扱いです。
ただし書の例外は2つあります。他の法律に別段の定めがある場合と、定型的かつ容易に行える手続として総務省令で定めるものについて、総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合です。許認可の申請書を外注先に作らせる契約がこの例外に入るかは、総務省令で定める手続と者に当たるかを条文で確かめることになります。
一方で、第1条の2第2項は、情報通信技術の活用などを通じて業務の改善進歩を図るよう努めることを求めています。努力義務で、どの道具をどこまで使うかは法律に書かれていません。
業務委託の契約書には、頼む範囲を「型・照合表・期限の算出の設計と保守」と書き、申請書と添付書類の作成は含まないと明記します。外注先が触れるのは決算書を読む仕組みまでで、完成した申請書を外注先から受け取る流れは作りません。
外注先に渡すのは型の設計までで、届出の中身は所内で組む
外注先の型は届出が始まる前に受け取り、届出1件の書類には補助者と行政書士しか触れない形にします。この形なら、外注先が届出1件の決算書や申請書を開く場面は生じません。
図の要点:決算変更届1件の入力から出力まで。外注先は科目を財務諸表の様式へ当てはめる型と照合表、期限の計算を設計して渡す。補助者は決算書、工事台帳、請負契約書の写し、前年の控えをそろえる。AIは科目の当てはめ案、合計が合わない行、工事経歴書に載せる工事の候補、表記揺れの印を下書きする。補助者が合わない行を原本で確かめ、行政書士が完成工事高と兼業の売上を振り分け、載せる工事を選んで全欄を照合し、行政書士の名で JCIP から出す。
外注先の仕事は最初の欄で終わり、補助者の入力から先は所内で進む
外注先が設計して渡すもの
- 科目を財務諸表の様式へ当てはめる型と照合表
- 期限の計算と、様式の改訂時の型の直し方
補助者がそろえる入力
- 決算書と、会計ソフトから出したPDF
- 工事台帳、請負契約書の写し、前年の控え
AIの下書き
- 科目の当てはめ案と、合計が合わない行
- 工事経歴書に載せる工事の候補
- 商号・役員名の表記揺れと空欄の印
補助者と行政書士の確認
- 補助者: 合わない行を決算書の原本で確かめる
- 行政書士: 完成工事高と兼業の売上を振り分ける
- 行政書士: 載せる工事を選び、全欄を照合する
出力
- 行政書士の名で JCIP から出す決算変更届
外注先に頼む範囲を図の最初の欄(外注先が設計して渡すもの)に収めておけば、契約で外注先の作業を書類の作成から切り離しやすくなります。表記揺れの印は先に見る欄を知らせる補助で、印の無い欄の照合を省く目印にはなりません。
型を使って1社分を当てはめると、AIの下書きは次の4行のような形になります。
【説明用の架空の記入例】
- 「完成工事高」1億2,000万円: 完成工事高の欄へ当てはめる案
- 「売上高(資材販売)」800万円: 兼業売上高の欄へ当てはめる案。振り分けは行政書士が決める
- 「外注費」: 完成工事原価の外注費の欄へ当てはめる案
- 合計が合わない行: 販売費及び一般管理費の合計が、決算書と3万円違う。補助者が原本で確かめる
決算変更届は、外注の型で当てはめ、所内の照合で組む
型が役立つのは、4か月の提出期間のうち、決算書が届いてから科目を当てはめるまでの区間です。建設業の許可業者は、建設業法第11条第2項により、毎事業年度の経過後4月以内に決算の書類を許可行政庁へ出します。
完成工事高と兼業の売上の振り分けを人に残すのは、同じ科目名でも顧問先ごとに中身が違うからです。兼業の売上が完成工事高に混ざったまま出すと、補正の通知が来てから顧問先の経理担当に元帳を出してもらうところまで戻ります。
顧問先の決算書が紙の写しで届く事務所もあります。その場合は当てはめの前に、会計ソフトから出したPDFで受け取る段取りを顧問先と決めるほうが、作業が早く進みます。
提出先の手引きや様式が改訂された直後の案件は、型を止めて手で組みます。改訂点を型に入れ、前年の控えと並べて差が無いことを確かめてから、型を使う案件へ戻します。補正で戻った届出が同じ科目で続くときも、型のその行が顧問先の科目名を正しく当てはめられていない合図なので、行政書士がその行を外注先か補助者に直させます。
事業主の氏名が載る決算書を外部のAIに入れる前に
決算書の科目の当てはめに要るのは、科目名と金額です。役員の住民票や身分証明書、在留資格の手続きで預かる在留カードの写しは、この作業に使いません。ただ、個人事業主の顧問先なら決算書そのものに事業主の氏名が載り、AIに渡す工事台帳や請負契約書の写しにも、個人の注文者の氏名や工事場所の住所が載ることがあります。
こうした個人データを外部のAIサービスへ入れる前に見るのは、提供元が書類に含まれる個人データを取り扱う契約かどうかと、提供元が国外の事業者かどうかです。その分け方は士業の生成AIツールの選び方の比較表に沿って規約を読んで確かめ、入れてよいと決めたサービスにだけ渡します。
規約で読むのは、入力が学習に回るか、データを置く場所と日数、解約したら消えるか、再委託と国外への移転の有無です。誰が閲覧できるか、操作の記録、漏えいのときの連絡も同じ表で確かめます。第12条の守秘義務は、行政書士でなくなった後も続きます。入力してよい書類の一覧は所長が先に作り、補助者はその一覧にある書類だけをそのサービスに入れます。
顧問先の決算月から最初の型を選ぶ
最初の型は、届出が重なる月の届出で作ります。3月末決算の顧問先なら届出は7月末まで、12月末決算なら4月末までです。案件管理システムで顧問先の決算月を数えると、期限が重なる月が見えてきます。
型の数を増やす原因は、許可の種類よりも決算書の形のばらつきです。会計ソフトから出した決算書だけを受け取る事務所と、手書きの補助簿から作った決算書が混ざる事務所では、当てはめの型が同じ数では足りません。混ざるなら、会計ソフトの出力を使う顧問先の分から型を作ります。
登記事項証明書のように値を写して照合する書類は、科目の当てはめとは型の作り方が違います。その扱いは、司法書士の登記書類とAIの照合表に項目ごとに並んでいます。
更新の満了日も同じ期限一覧に載せる
建設業法第3条第3項は、許可は5年ごとに更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失うと定めます。同じ条の第4項により、満了の日までに更新の申請があれば、処分がされるまでは従前の許可がなお効力を持ちます。守るべき期限は、満了日までに申請を出すことです。
許可が切れれば、顧問先は許可が要る規模の工事を請け負えません。AIが出した期限の候補をそのまま確定していれば、期限一覧の満了日が1件ずれていても誰も気づかないまま日が過ぎます。期限の候補は、補助者が許可通知書の原本と見比べ、行政書士が確定します。
満了日と届出の期限は、期限・手続きの業務ハブにある他の手続きと同じ期限一覧に載せます。翌年の届出の登録も同じ作業で済みます。
決算変更届の型の持ち主は、様式の改訂に追いつけるかで選ぶ
どの進め方でも、申請書を作って行政書士の名で出す工程は所内に残ります。違いが出るのは、型を誰が持ち、様式の改訂に誰が追いつくかです。
| 進め方 | 様式が改訂されたとき | 止まった日の戻り先 |
|---|---|---|
| 既存の作成ソフトの機能 | 提供元の更新を待つ | ソフトの手入力画面 |
| 所内で型と照合表を組む | 所内の担当が型を直す | 前年の控えから手で組む |
| 型の設計を外に頼む | 契約で決めた範囲で外注先が直す | 設計のときに決めた手順 |
同じ許可の種類が案件の大半を占める事務所なら、所内で型と照合表を組む進め方が合います。型が1つで済み、補助者が改訂のたびに直せるからです。費用を動かすものは、作成ソフトなら利用料と対応する許可の種類、所内で組むなら型を作る所内の時間、外に頼むなら型の数と保守の範囲です。
扱う許可が産業廃棄物の収集運搬業や宅地建物取引業の免許まで広がると、様式ごとに型が要ります。その場合は最初の設計だけを外に頼み、保守は所内へ引き取る形が現実的でしょう。補助者のいない一人事務所なら、既存の作成ソフトの機能で科目の当てはめだけを試し、型を持つかどうかはその後で決めます。
外に頼む相手がAIエージェント開発を手がける事業者であっても、契約に書く範囲は第19条の線と同じく、型・照合表・期限の計算の設計と保守までです。所内で持つか外に頼むかの分かれ目は、型の数より、様式の改訂のたびに型を直せる担当者が所内にいるかです。改訂のたびに外注先の直しを待つ契約なら、改訂直後の案件は前年の控えから手で組む前提で、その間の補助者の手間を見込んでおきます。
明日から始める3ステップ
担当 補助者
案件管理システムで顧問先の決算月を数え、届出が重なる月の顧問先を提出期限の早い順に並べる
次へ進む目安最初に型を作る1社の決算変更届と、その提出期限を所長が選んでいる
担当 所長
外注先から届いた契約書案を開き、外注先が納める物を条項ごとに書き出して、役所へ出す書面そのものが1つでも混じっていないかを見る
次へ進む目安納める物の一覧が科目を当てはめる道具とその手入れだけになり、外れる条項の直しを外注先へ返してある
担当 行政書士
四半期の終わりに、補正で戻った届出を戻った科目と組にして数える
次へ進む目安科目別の補正の件数が表に残り、型を次の届出へ広げるかを決めてある(たとえば2四半期続けて0件なら、次の更新申請の1件目を型で組む)
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BoostXは、士業事務所の資料回収・書面作成・手続きへのAI導入を支援しています
01無料相談
資料の回収・書面の下書き・手続きから、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- 行政書士法(昭和二十六年法律第四号)第1条の2・第1条の3・第12条・第19条・附則(令和7年法律第65号)第1条(施行期日) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 建設業法(昭和24年法律第100号)第3条第3項・第4項・第11条第2項e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 国土交通省「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」国土交通省 確認日 2026.09.28
- 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第二十五条・第二十七条第一項・第二十八条第一項(外国にある第三者への提供の制限) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用)・Q12-1(外国にある第三者への委託) 個人情報保護委員会 確認日 2026.09.29
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