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行政書士の許認可申請書類をAIで下書きする|内製と外注の分け方

必要書類の一覧づくり、受領資料から申請様式への転記、申請理由書の下書きはAIに渡せます。

編集 BoostX編集部2026.06.298分で読めます

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この記事の要点

  • 必要書類の一覧づくり、受領資料から申請様式への転記、申請理由書の下書きはAIに渡せます。
  • 要件に該当するかの判断、提出、補正への回答は行政書士に残ります。
  • 本メディアでは、文章ものより先に転記と照合から着手すべきだと判断します。

定義扱うのは、受任した許認可について申請書本体・添付様式・申請理由書や事業計画を作り、提出できる状態まで仕上げる業務です。

建設業許可の更新が三件重なった週に、所長の手が申請理由書で止まる。許認可を扱う事務所で繰り返し起きるこの詰まりは、書く速さの問題ではありません。受任から提出までの間に、要件の見立て・資料の回収・様式への転記・文章の作成という性質の違う仕事が直列で並んでいるからです。

AIを入れる前に必要なのは、この直列を工程に割ることです。割らないまま「許認可の書類作成をAIで」と決めると、渡してはいけない工程まで機械に回ります。行政書士法が業務として定めている範囲に触れるからです。

許認可申請の書類づくりは事務所のどこで発生するか?

扱うのは、受任した許認可について申請書本体・添付様式・申請理由書や事業計画を作り、提出できる状態まで仕上げる業務です。建設業許可、産廃の収集運搬業許可、宅建業免許、古物商許可と種類は違います。それでも、要件を確かめ、資料を集め、様式に落とし、文章で説明する骨格は共通します。読む人は所長と事務所の運営担当です。

棚卸しの単位で置き直すと、起点は受任と着手金の確認、または更新期限の接近です。担当は行政書士と補助者で、案件ごとに主担当が一名付きます。成果物は申請書一式と文章もの、そして控え一式です。使うのはひな型集、文書作成ソフトと表計算ソフト、提出先ごとの申請様式、共有フォルダ、案件管理表です。

所要時間は許可の種類と提出先の運用で大きく変わるため、件数も時間も置きません。以降の表では、自事務所で測るときの単位だけを示します。扱う許可が毎回違う事務所では、着手順もそのままは当てはまりません。

AIを入れる前に必要なのは、この直列を工程に割ることです

受任から控えの保管まで、8つの工程に割る

書類づくりは「文章を書く仕事」ではありません。着手から完了まで時系列に並べると、担当も帳票も違う8工程が並びます。まず担当・帳票・量・詰まる点を見ます。

工程 担当 使う帳票・システム 量・時間(測る単位) 詰まる点
1 申請区分を確かめる 行政書士 提出先の手引き、過去の類似案件 事前相談の回数 運用差が手引きに書かれていない
2 必要書類の一覧を組む 行政書士・補助者 様式集、手引き、案件管理表 一覧を組むまでの分 許可の種類ごとに読み直す
3 依頼者から資料を集める 補助者 必要書類の一覧、依頼メール 追加依頼の往復回数 不足が後から分かり案件が止まる
4 申請様式へ転記する 補助者 申請書本体、添付様式 様式の枚数と入力の分 資料間で商号や日付が食い違う
5 申請理由書を書き起こす 行政書士 ひな型、ヒアリング記録 1案件あたりの作成分 白紙から起こし所長に集中する
6 記載と根拠を突き合わせる 行政書士 受領資料、手引きのチェック項目 修正の往復回数 探しながら直すので抜ける
7 提出し補正に対応する 行政書士 電子申請、受付の控え 提出から補正までの日数 補正で要件の見立てに戻る
8 控えを保管し期限を登録する 補助者 案件フォルダ、案件管理表 登録までの日数 後回しで更新を取りこぼす

同じ8工程を、AIと人の受け持ちで見直したのが次の表です。空欄はありません。AIを入れない工程には、その旨を書いています。

工程 AIが解決すること 人が決めること 失敗したときの損失
1 似た構成の過去案件と、そのとき問われた論点を並べる 要件に該当するかの判断 要件を満たさないまま着手する
2 許可の種類と依頼者の状況から必要書類の一覧を下書きする どの書類でどの要件を示すか 取得に時間のかかる書類を出し遅れる
3 届いた資料を一覧と照合し、不足だけを抜き出す 依頼文に載せる範囲 追加依頼が増えて提出が遅れる
4 受領資料から項目を抜き、様式へ写して食い違いを一覧にする 転記内容の確認と確定 食い違いを写したまま補正で戻る
5 ひな型とヒアリング記録から文章ものを下書きする 書く範囲と表現、依頼者の意向 審査で問われる点を書き落とす
6 記載と受領資料の不一致、根拠のない記載、必須項目の空欄を指摘する 指摘の採否と内容の承認 形式は通るが中身が通らない
7 補正の連絡文から問われている点を整理する(AIを入れない工程は提出そのもの) 補正への回答と依頼者への説明 回答が遅れて許可の時期がずれる
8 控えを案件フォルダへ分類し、更新期限の候補を出す 期限の確定と報告の内容 更新の案内を出し損ねる

図の見方は、色枠がAIの担う工程、灰色が行政書士や補助者が確定する工程、二重枠がその両方です。右上の小さな三角は、失敗が起きやすい工程を指しています。

業務フロー分解図。申請区分を確かめる→必要書類の一覧→依頼者から資料回収→申請様式へ転記→申請理由書の下書き→記載と根拠の突合→提出と補正対応→控えと期限の登録。AI担当は必要書類の一覧・依頼者から資料回収・申請様式へ転記・申請理由書の下書き・記載と根拠の突合・控えと期限の登録、人が確定するのは申請区分を確かめる・依頼者から資料回収・記載と根拠の突合・提出と補正対応申請区分を確かめ必要書類の一覧依頼者から資料回申請様式へ転記申請理由書の下書記載と根拠の突合提出と補正対応控えと期限の登録AIが担う人が確定する両方失敗が起きやすい工程
許認可申請を受任してから控えを保管するまで、担当と帳票が入れ替わる8工程が見えます。

AIで消える工程は8です。控えの分類と期限の手入力が無くなり、登録が提出の翌日に締まります。
短くなる工程は2・3・4・5です。一覧・不足・転記・下書きが先に用意され、担当は読んで直す側に回ります。
新しく増える確認工程は6です。記載と受領資料を突き合わせる検証が、確定の前に独立した段として入ります。

AIに渡す工程と、行政書士が名前で引き受ける工程の境目

工程に割ると、渡してよい仕事の性質が見えます。写す・照合する・並べる・下書きするは作業なのでAIへ、該当性を決める・確定する・回答するは判断なので人に残ります。この線を先に引けば、下書きをどこまで信じるかで迷いません。

AIと人の境界図。AIが担うのは必要書類一覧の下書き・受領資料と一覧の照合・申請様式への転記・申請理由書の下書き・記載と根拠の突合せ。人が確定するのは要件に該当するかの判断・要件を示す書類の選択・記載内容の確定・補正への回答と説明。止めどころは提出は行政書士の名で。AI担当は必要書類一覧の下書き・受領資料と一覧の照合・申請様式への転記・申請理由書の下書き・記載と根拠の突合せ、人が確定するのは要件に該当するかの判断・要件を示す書類の選択・記載内容の確定・補正への回答と説明AIが担う(写す・比べる・下書き)人が確定する必要書類一覧の下書き受領資料と一覧の照合申請様式への転記申請理由書の下書き記載と根拠の突合せ要件に該当するかの判断要件を示す書類の選択記載内容の確定補正への回答と説明確定止めどころ提出は行政書士の名で
許認可申請でAIが下書きする範囲と、行政書士が名前で引き受ける範囲の切れ目が分かります。

境目が最も効くのは工程4です。定款の商号と登記事項証明書の商号が旧字体と新字体で食い違うことがあります。AIができるのは、表記の差を一覧に出し、申請書の記載がどちらの資料に基づくかを示すところまでです。どちらで出すかを決め、必要なら依頼者に当てるのは担当です。

行政書士法は、官公署に提出する書類の作成とその提出手続の代理を業務として定めています。下書きが機械から出ても、書類の名義と責任は受任した行政書士にあります。同法は職務上知り得た秘密を守る義務も定めています。決算書や納税証明書を外部サービスへ送ってよいかは、事務所として決める事項です。

役員や従業員の氏名・住所・経歴は個人情報の保護に関する法律の対象です。入力可否表を作ってから使い始め、読み取れない項目は推測で埋めない設定にします。空欄が出ることを正しい動作とします。

最初に着手する1工程はなぜ必要書類の一覧なのか?

着手先は3つの問いで選びます。判断か作業か、資料が電子で揃うか、失敗したときの損失がどれくらいか。この3つを当てると工程2と工程4が残ります。

工程2は、許可の種類と依頼者の状況が決まれば機械的に組める作業です。誤っても手引きを開けば戻せます。工程4も同じで、受領資料という電子の入力がそのまま手に入り、正しいかどうかは資料と突き合わせて確かめられます。反対に工程1と工程7は判断そのもので、失敗の損失が依頼者の事業計画に直接響きます。

総務省「令和8年版 情報通信白書」は、業務類型ごとの活用状況で「議事録・メール作成補助」が日本で約7割と最も高く、導入効果を実感した割合も同じ類型で約7割と示しています。文面を作る仕事から入るのが定石という数字です。ただし許認可の文章ものは根拠資料と結び付いているため、本メディアでは先に工程2と工程4で足場を作る順を採ります。

本メディアでは、文章ものより先に工程2から4に着手すべきだと判断します。理由は、この範囲が判断を含まず、正しいかどうかを受領資料と突き合わせて確かめられるからです。前提は、ひな型と様式の項目名が整理されていることです。同じ許可の種類を年に数件しか扱わない事務所では転記の量が少なく、この順番は当てはまりません。

2週間の試行では3つの数字だけを追う

試行は6つの段で足ります。長い手順書は要りません。

  1. 扱う件数の多い許可を一つ選びます。導入前のひと月分で、工程2・4・5の所要、補正の件数、資料の追加依頼の往復回数を案件ごとに記録します。
  2. その許可のひな型を一つに決め、様式の項目名をそろえます。担当者ごとのフォルダに散った申請理由書は、最後に通った版だけを残します。
  3. 必要書類の一覧と様式への転記をAIに下書きさせます。商号・所在地・氏名・日付・金額の5項目だけを、確認画面で目立たせます。
  4. 出た指摘を採ったか採らなかったかを、案件ごとに記録します。採らなかった指摘は、指示文を直す材料になります。
  5. 初めて扱う許可、手引きが改訂された直後、資料が紙しかない案件は従来どおり手で組みます。戻し方を1枚にしておきます。
  6. 2週間後に同じ3つの数字を並べ、所長が続けるか止めるかを決めます。合否の線は開始前に決めておきます。

測る3指標は、時間・誤り・発見時期の3種類に対応します。工程2・4・5の所要が時間、補正の件数が誤り、追加依頼の往復回数が発見時期です。同じ許可の種類で前後を比べないと、難易度の差が数字を汚します。

本番にするとき、承認と記録と例外を先に決める

承認は、行政書士が確定して提出する形から動かしません。形式の点検が通ったことと、内容を承認したことは別の欄に記録します。この二つを同じチェック欄で扱うと、根拠の不備が通過します。

記録は、受領資料・下書き・指摘の一覧・採否・確定版・確認者と日時の6つを残します。確定版だけを残すと、補正が来たときに原因をたどれません。所長は週に一度、採らなかった指摘を数件見て、指示文を直します。

例外は先に文字で決めます。初めて扱う許可、改訂直後の様式、紙しかない資料、依頼者の事情が込み入った案件は下書きを止め、手で組みます。該当する条件を一覧にしておかないと、判断の要る案件が型に流れます。

内製と外注はどこで分かれるか?

費用はライセンス・設計・連携・検証・運用の5つに分かれます。金額は事務所の規模と既存の環境で変わるため、ここでは置きません。内製と外注の違いは、このうち設計と検証を誰の時間で埋めるかです。内製は請求書に出ない形で所内の時間を使い、外注は固定費として見えます。

同じ許可の種類が案件の大半を占めるなら、ひな型と項目定義の設計が一度で済むため内製に寄せられます。扱う許可がばらつくなら設計の回数が増えるので、最初の型づくりは外の手を借り、二つ目からを内製にする順が回ります。補助者がいない一人事務所なら、工程5の下書きだけに絞って始めます。電子申請が中心なら項目定義が取りやすいため、工程4から着手します。繁忙期の直前なら、立ち上げ中に案件が止まる損失の方が大きいので着手をずらします。

本メディアでは、入力可否を決めないまま外部サービスで草案を作る進め方は勧めません。守秘義務を負う立場で、どの資料をどこへ送ったかを事務所として説明できない状態が残るからです。前提は、決算書や身分に関する書類を扱う許認可であることです。依頼者の秘密を含まない一般的な文章の型づくりだけを試す段階なら、この限りではありません。

書類づくりにAIを入れない方がよい事務所の条件

過去の申請理由書がどこにあるか分からない事務所は、ひな型の整理が先です。様式を提出先のたびに一から起こしている事務所は、項目名をそろえるのが先になります。所長以外が案件に触れない体制なら、補助者が担う工程を作るところからです。

この三つが欠けた状態でAIを足すと、工程6の確認だけが増えて提出は早くなりません。読み取り誤りと推測での穴埋めが草案に残り、AIが止まった日に案件も止まります。手で組む戻し方を残し、先にひな型と保管場所を決めます。

出典

  1. 行政書士法(昭和26年法律第4号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  2. 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  3. 総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの業務利用状況 総務省 確認日 2026.09.22

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