総務・法務

健康診断・ストレスチェックの管理が煩雑…|生成AIで案内から回収まで効率化する方法

健康診断・ストレスチェックの案内から回収まで生成AIで効率化 - 中小企業の総務×安全衛生管理 - 株式会社BoostX

毎年4月になると、総務の机には「健康診断の手配」「ストレスチェックの段取り」「産業医との面談調整」がどっさり積み上がります。しかも、案内を出しても受けない社員が必ずいる。催促メールを何通も書き直し、結果の管理はExcelに手入力——。

率直に言うと、この作業の大半は「文章を考えて、整理して、送る」の繰り返しです。つまり、生成AIがもっとも得意とする領域なんです。

本記事では、ChatGPTを使って健康診断の案内文・催促メール・ストレスチェック案内を数分で作る方法と、安全衛生管理の年間スケジュールをAIで一覧化するやり方を、プロンプトの実例つきで解説します。2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場もストレスチェックが義務化される見込みです。今のうちに準備を始めましょう。



健康診断・ストレスチェック管理で総務が疲弊する3つの原因

【結論】安全衛生管理が大変なのは、法定義務が多いからではなく「案内文の作成」「催促の手間」「スケジュール管理の属人化」という3つの事務作業が重なるから。

健康診断もストレスチェックも、法律で決まっている以上やらないわけにはいきません。ただ、現場を見ていると「法的義務そのもの」が負担なのではなく、義務を果たすための事務作業が時間を食っているケースがほとんどです。

案内文を毎回ゼロから作っている

「去年の案内文どこだっけ?」から始まる総務担当者、多いのではないでしょうか。日程・場所・持ち物・注意事項……毎年ほぼ同じ内容なのに、前年のファイルを探し出して日付を書き換え、上長に確認を取り、やっと送信。この一連の流れだけで半日つぶれることもあります。

未受診者の催促が「人力追いかけ」になっている

案内を出しても受けない社員は、どの会社にも一定数います。そこから始まるのが催促メールの作成です。1回目はやさしめに、2回目は少し強めに、最終催促は法的義務を明記して——。文面を変えながら何通も送るのは、正直しんどい作業ですね。

年間スケジュールが担当者の頭の中にしかない

健康診断の手配時期、ストレスチェックの実施月、産業医面談の調整、衛生委員会の開催日——。これらのスケジュールが体系化されておらず、ベテラン総務の記憶に依存しているケースは少なくないでしょう。担当者が異動や退職をしたとたん、対応漏れが起きるリスクがあります。

ここからは、これら3つの課題をChatGPTで解消する具体的な方法を紹介します。


AIで健康診断の案内文・催促メールを作る方法

【結論】ChatGPTに「役割・目的・含めるべき項目・トーン」を指示すれば、案内文も催促メールも2〜3分で完成する。プロンプトをテンプレ化しておけば来年以降はさらに速い。

健康診断の案内文プロンプト

まずは基本の案内文です。以下のプロンプトをChatGPTにそのまま貼り付けて、【 】の部分だけ自社の情報に差し替えてください。

▼ プロンプト例:健康診断の案内文

あなたは中小企業の総務担当者です。
以下の条件で、社員向けの健康診断案内メールを作成してください。

■ 対象者:全社員(正社員・契約社員)
■ 健診日程:【2026年5月20日(水)〜5月22日(金)】
■ 受付時間:【午前9:00〜11:30】
■ 場所:【○○クリニック(住所:東京都○○区○○ 1-2-3)】
■ 持ち物:健康保険証、問診票(事前記入)、前年の健診結果(お持ちの方)
■ 注意事項:前日21時以降は食事を控える。当日朝は水のみ可
■ 予約方法:添付の日程調整フォームから希望日を選択
■ 問い合わせ先:総務部 ○○(内線:000)

以下のポイントを守ってください:
- 件名は開封したくなる表現にする
- 「なぜ受ける必要があるのか」を冒頭に1文で伝える
- 箇条書きで見やすく整理する
- 文末に「期限までに必ず予約してください」と明記する
- トーンは丁寧だが堅すぎない、社内メールらしい文体で

このプロンプトで出力される案内文は、そのまま社内メールとして使えるレベルです。「件名の工夫」まで指示しているのがポイントで、「健康診断のお知らせ」という素っ気ない件名よりも開封率が上がる表現をAIが提案してくれます。

未受診者への催促メールプロンプト(1回目・最終)

催促メールは「段階的にトーンを上げる」のがセオリーです。1回目はリマインド程度、最終催促では法的根拠も添えて送りましょう。

▼ プロンプト例:催促メール(1回目)

以下の条件で、健康診断の未受診者向けリマインドメールを作成してください。

■ 状況:案内済みだが予約が確認できていない社員向け
■ 予約期限:【2026年5月10日】
■ トーン:柔らかいリマインド。責める表現は避ける
■ 含めるべき内容:
  - まだ予約が確認できていない旨
  - 予約フォームのリンク案内
  - 「お忙しいところ恐れ入りますが」等のクッション言葉
  - 不明点の問い合わせ先

▼ プロンプト例:催促メール(最終)

以下の条件で、健康診断の最終催促メールを作成してください。

■ 状況:複数回の案内後も予約がない社員向け(最終通知)
■ 最終予約期限:【2026年5月15日】
■ トーン:丁寧だが、法的義務である点を明確に伝える
■ 含めるべき内容:
  - 労働安全衛生法第66条に基づく受診義務がある旨
  - 事業者には受診させる義務があり、未受診は法令違反に該当する旨
  - 期限を過ぎた場合は上長経由で個別対応となる旨
  - 予約フォームのリンク

ここは意見が分かれるところですが、最終催促で法的根拠を明示するのは「脅し」ではなく「事実の共有」です。事業者には労働安全衛生法第66条で受診させる義務がある。この事実を丁寧に伝えることで、受診率はぐっと上がります。

受診率を上げる案内文のコツもAIに聞ける

案内文を作るだけでなく、「どうすれば受診率が上がるか」をAIに壁打ち相手として聞くこともできます。たとえばこんなプロンプトです。

▼ プロンプト例:受診率改善のアイデア出し

当社(従業員50名規模の中小企業)は、毎年健康診断の受診率が85%前後で
100%に届きません。未受診の理由は「忙しくて予約を忘れる」
「面倒に感じる」が多いです。

受診率を100%に近づけるための施策を5つ提案してください。
費用をかけずにできる方法を優先してください。

AIは「予約の選択肢を3つに絞って選ばせる」「上長からの一声を添える」「受診完了者を社内チャットで共有する」など、行動経済学(ナッジ)の観点からアイデアを出してくれます。こうした「考える仕事」の壁打ち相手としてもAIは優秀です。


AIでストレスチェック実施の案内文を作る

【結論】ストレスチェックの案内文は、「目的の説明」「匿名性の担保」「所要時間」の3点を明記するのが回答率アップのカギ。AIなら3分で過不足なく作れる。

ストレスチェックの案内で一番大切なのは、従業員に「安心して回答していい」と思ってもらうことです。「結果が上司に見られるのでは?」「正直に答えたら不利にならない?」——この不安が回答率を下げる最大の要因。案内文でしっかりケアしましょう。

▼ プロンプト例:ストレスチェック実施案内

あなたは中小企業の総務担当者です。
従業員向けのストレスチェック実施案内メールを作成してください。

■ 実施期間:【2026年10月1日〜10月31日】
■ 対象者:全従業員
■ 実施方法:【Webフォーム(URL添付)】
■ 所要時間:約10分
■ 回答期限:【2026年10月25日(金)】

以下の内容を必ず含めてください:
1. ストレスチェックの目的(メンタルヘルス不調の未然防止)
2. 法的根拠(労働安全衛生法第66条の10)
3. 匿名性の担保:回答内容は本人の同意なく会社に開示されないこと
4. 結果は本人にのみフィードバックされること
5. 高ストレスと判定された方は産業医面談を利用できること
6. 回答は任意ではあるが、職場環境改善のため協力をお願いしたい旨

トーンは安心感を重視。「監視」ではなく「みなさんの働きやすさを
守るための取り組み」であることが伝わる文章にしてください。

「ストレスチェックの案内文で最もやってはいけないのは、”義務だから受けてください”の一点張りです。義務であることは事実ですが、それだけでは従業員は正直に答えてくれません。”あなたの回答が職場をもっと良くするヒントになる”という前向きなメッセージを入れるだけで、回答の質が変わります。」

— 生成AI顧問の視点

なお、2025年5月に改正労働安全衛生法が公布され、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されることが決まりました。施行は2028年5月までの見込みです。まだ実施したことがない企業も、今のうちに案内文のテンプレートを用意しておくといいでしょう。


安全衛生管理の年間スケジュールをAIで一覧化する

【結論】法定の「やること一覧」をAIに整理させれば、対応漏れを防げる。年間スケジュール表はChatGPTに一発で作らせて、担当者の頭から「外部化」しよう。

誤解を恐れずに言うと、安全衛生管理で本当に怖いのは「知らなかった」による対応漏れです。健康診断の実施時期、ストレスチェックの報告期限、衛生委員会の開催頻度——法律で決まっていることを「うっかり忘れた」では済まされません。

以下のプロンプトで、自社の年間スケジュールを一気に整理できます。

▼ プロンプト例:安全衛生管理の年間スケジュール作成

あなたは労務管理に詳しい社会保険労務士です。
従業員【60】名の中小企業(製造業)を想定し、
安全衛生管理の年間スケジュール表を作成してください。

以下の項目を月別に整理してください:
1. 定期健康診断(実施・結果回収・労基署への報告)
2. ストレスチェック(実施・集団分析・労基署への報告)
3. 産業医面談(長時間労働者・高ストレス者)
4. 衛生委員会(月1回開催義務)
5. 作業環境測定(該当事業場の場合)
6. 安全衛生教育(新入社員・配置転換時)

各項目について以下を明記してください:
- 法的根拠(安衛法の条文番号)
- 実施時期の目安
- 担当部署
- 届出・報告の期限

表形式で出力してください。

このプロンプトで出力される年間スケジュール表の一例をお見せします。

タスク 法的根拠 担当
4月 定期健康診断の日程確定・医療機関予約 安衛法第66条 総務
5月 健康診断の実施・未受診者への催促 安衛法第66条 総務
6月 健診結果回収・有所見者への受診勧奨 安衛法第66条の5 総務・産業医
7月 定期健康診断結果報告書の労基署提出 安衛則第52条 総務
10月 ストレスチェック実施・案内配信 安衛法第66条の10 総務・実施者
11月 ストレスチェック集団分析・高ストレス者面談調整 安衛法第66条の10 総務・産業医
12月 ストレスチェック結果報告書の労基署提出 安衛則第52条の21 総務
毎月 衛生委員会の開催(議事録作成) 安衛法第18条 総務・産業医

上記はあくまで一例です。自社の業種や従業員数を入力すれば、ChatGPTがそれに合わせた内容で出力してくれます。出力されたスケジュールをGoogleスプレッドシートに貼り付けて、リマインダーを設定しておけば、「うっかり忘れ」はほぼゼロになるでしょう。

注意:個人情報の取り扱い

健康診断の結果やストレスチェックの個人別データは要配慮個人情報に該当します。AIには個人が特定できる形でこれらの情報を入力しないでください。AIに任せるのは「案内文の作成」「スケジュール管理」「法定義務の確認」など、個人情報が不要な業務に限定しましょう。

社会保険・労働保険の届出書類をAIで効率よく準備する方法はAIで社会保険・労働保険の届出を効率化する方法で解説しています。

「あまり語られませんが、安全衛生管理で”ツールを入れれば解決する”と考えるのは危険です。高額な安全衛生管理システムを契約しても、結局データを手入力するのは人間。まずは今の業務フローを整理して、AIに任せられる”文章作成”と”スケジュール整理”から手をつける。地味ですが、これが一番確実に効果が出る方法です。」

— 生成AI顧問の視点

契約書まわりの業務にも課題を感じている方はAIで契約書のリスクを検出する方法もあわせてご覧ください。

安全衛生管理を含めた総務業務全体のAI活用を体系的に進めたい場合は、生成AIコンサルティングで短期集中での仕組みづくりも対応しています。


よくある質問

Q.健康診断の結果をAIに入力しても大丈夫ですか?

A.結論からいうと、個人が特定できる形での入力はNGです。健康診断の結果は個人情報保護法で「要配慮個人情報」に分類されます。AIに任せるのは案内文の作成やスケジュール管理など、個人情報が不要な業務に限定してください。どうしてもデータ集計をAIでやりたい場合は、氏名を匿名IDに置き換えてから入力する方法がありますが、社内のセキュリティ規程との整合も確認した方が安心です。

Q.ストレスチェックの実施義務がある企業の基準は?

A.2026年3月時点では、常時50人以上の従業員がいる事業場に年1回の実施義務があります。50人未満は現状「努力義務」ですが、2025年5月に改正労働安全衛生法が公布され、50人未満にも義務が拡大されることが決定しました。施行時期は2028年5月までの見込みです。まだ実施していない企業も、AIで案内文テンプレートを整えておけば、義務化への準備としてスムーズに対応できます。

Q.産業医との面談調整もAIでできますか?

A.面談そのものはもちろん産業医が行いますが、面談の案内メールや日程調整の文面はAIで作れます。とくに高ストレス者への面談案内は、「プライバシーに配慮しつつ、面談を受けやすくする文面」が大切です。プロンプトに「本人が安心できるトーンで」「人事評価に影響しない旨を明記して」と指示すれば、配慮の行き届いた文面を出力してくれます。

Q.AIが作った案内文をそのまま送って問題ないですか?

A.ここは誤解が多いポイントですが、AIの出力は「下書き」として使うのが基本です。日程や場所の情報に間違いがないか、自社のルールと齟齬がないかは人間が必ず確認してください。とはいえ、ゼロから書くのと比べると確認作業は格段に楽です。「8割をAIに任せて、2割を人間が仕上げる」くらいのバランスが現実的ですね。


まとめ

安全衛生管理まわりのAI活用や、そのほかの総務DXについて無料で相談したい方は、まず無料相談の流れ →をご確認ください。「売り込まれるのでは」と不安な方もいるかもしれませんが、無料相談は現状の課題を整理する場です。相談したからといって契約を迫ることはありません。

この記事のまとめ

  • 健康診断の案内文・催促メール・ストレスチェック案内は、ChatGPTにプロンプトを渡せば2〜3分で作成できる
  • 催促メールは「1回目=やさしめリマインド」「最終=法的根拠を明示」と段階的にトーンを変えるのが効果的
  • 2025年5月の改正労働安全衛生法で、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化される。今のうちにテンプレートを準備しておくと安心
  • 安全衛生管理の年間スケジュールはAIに一覧化させて「担当者の頭の中」から外部化しよう
  • 健康診断結果やストレスチェック結果は要配慮個人情報。AIに入力するのは案内文作成やスケジュール管理など、個人情報不要の業務に限定すること

執筆者

吉元大輝(よしもとひろき)

株式会社BoostX 代表取締役社長

中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。

※本記事の情報は2026年3月時点のものです。

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