総務・法務 |

AIで就業規則・社内規程のたたき台を10分で作成|テンプレート+プロンプト付き

AIで就業規則・社内規程のたたき台を10分で作成 - ChatGPT×社労士チェックで費用も時間も削減 - 株式会社BoostX

就業規則の改定作業に、丸3日かかった経験はありませんか。労働基準法の条文を調べ、厚生労働省のモデル就業規則と照らし合わせ、自社の実態に合わせて文言を調整する。総務担当者にとって、この作業は地味ながら膨大な時間を消費します。2026年現在、ChatGPTをはじめとする生成AIを使えば、この「たたき台」を10分で作成できるようになりました。ゼロから完成させるのではなく、AIに骨格を作らせて人間が仕上げる。この分業が、中小企業の規程整備を劇的に効率化します。

なぜ就業規則の「たたき台」づくりにAIが向いているのか

就業規則の作成で最も時間がかかるのは、条文の「構造」を組み立てるフェーズです。第1条の目的から始まり、労働時間、休日、賃金、服務規律、懲戒と続く全体の骨格を作る作業。ここに知的な判断はほとんど必要ありません。厚生労働省のモデル就業規則をベースに、自社の業種・規模・勤務形態に合わせて項目を取捨選択するだけ。だからこそ、AIが得意な領域なんです。

逆に、AIが苦手な部分もはっきりしています。自社特有の慣行を反映させること、最新の法改正に対応すること、労使間の微妙なバランスを取ること。この3つは人間にしかできません。AIに求めるのは「80%の完成度のたたき台」であり、残りの20%を人間が磨き上げる。この役割分担を最初に理解しておくと、AIへの期待値がズレません。

従来の就業規則作成にかかる時間と費用

中小企業が就業規則を新規作成する場合、社会保険労務士(社労士)に依頼するのが一般的です。費用の相場は15万円から40万円程度。自社で作る場合でも、総務担当者が調査・起草・レビューに費やす時間は延べ20〜40時間に及びます。

方法 費用目安 所要期間 品質
社労士に依頼 15万〜40万円 1〜2ヶ月 高い(法的チェック済み)
自社で一から作成 人件費のみ 20〜40時間 担当者の知識に依存
AI + 人間の確認 AI利用料 + 確認工数 たたき台10分 + 確認3〜5時間 要チェックだが骨格は整う

AIを使う場合でも、最終的な法的確認は社労士に依頼することをおすすめします。ただし、たたき台が整っている状態で依頼すれば、社労士の作業時間は短縮され、費用も抑えられます。「丸投げ」と「たたき台持ち込み」では、見積もりが5万円以上変わるケースも珍しくないでしょう。

AIで就業規則のたたき台を作る全体フロー

手順はシンプルです。4つのステップを順番に進めるだけで、自社に合った就業規則のたたき台が完成します。

ステップ1:自社情報を整理する

AIに正確なアウトプットを出させるためには、インプットの質が全てです。以下の情報をテキストファイルやメモにまとめておきましょう。

  • 会社の業種と従業員数
  • 勤務形態(固定時間制、フレックスタイム制、シフト制、リモートワークの有無)
  • 所定労働時間と休日の設定
  • 賃金体系の概要(月給制、時給制、手当の種類)
  • 既に運用している社内ルール(慶弔休暇、副業の可否など)

この情報が曖昧なまま「就業規則を作って」とだけ指示すると、一般的すぎるテンプレートが出てきます。「IT企業・従業員25名・フレックスタイム制・フルリモート可」のように具体的に伝えるほど、出力の精度が上がります。

ステップ2:プロンプトを入力してたたき台を生成

後述するプロンプトテンプレートを使って、ChatGPTやClaudeなどの生成AIに指示を出します。一度に全章を生成するよりも、「総則」「労働時間・休日」「賃金」のようにブロック単位で分けて生成するほうが、各章の精度が高まります。

ステップ3:自社の実態に合わせて修正する

AIが出力した内容を自社の現状と照らし合わせます。特に注意すべきは「数字」の部分。所定労働時間、年次有給休暇の付与日数、時間外労働の上限といった数値は、法定基準をベースにAIが出力しますが、自社の運用と一致しているとは限りません。1つずつ確認してください。

ステップ4:専門家のレビューを受ける

最後に社労士や弁護士に確認を依頼します。AIが作ったたたき台をそのまま届け出ると、法的に問題がある条文が含まれている可能性があります。特に、2024年4月の労働条件明示ルールの改正や、裁量労働制の見直しなど、直近の法改正は生成AIの学習データに反映されていないことがあるため、専門家の目は欠かせません。

無料ダウンロード

ChatGPT業務活用プロンプト集50選

メール・議事録・企画書・データ分析・マーケ・顧客対応の6カテゴリ50プロンプト。コピペして自社用にカスタマイズするだけで即戦力化。

無料ダウンロード

そのまま使えるプロンプトテンプレート

以下のプロンプトをコピーして、ChatGPTやClaudeに貼り付けてください。{波括弧}の部分を自社の情報に書き換えるだけで使えます。

基本プロンプト:就業規則の全体構成を生成

プロンプト例

あなたは日本の労働法に詳しい社会保険労務士です。以下の条件に基づき、就業規則のたたき台を作成してください。

【会社情報】
・業種:{例:ITサービス業}
・従業員数:{例:30名}
・勤務形態:{例:フレックスタイム制、コアタイム10:00-15:00}
・リモートワーク:{例:週3日まで可}
・所定労働時間:{例:1日8時間、週40時間}
・休日:{例:完全週休2日制(土日)、祝日、年末年始}

【出力要件】
・厚生労働省のモデル就業規則(令和5年7月版)を参考にすること
・章立て構成(第1章:総則、第2章:採用・異動、第3章:服務規律…)で出力すること
・各条文に条番号をつけること
・法定基準を下回る条文を含めないこと
・フレックスタイム制に対応した労働時間の条文を含めること
・テレワーク勤務に関する条文を含めること

このプロンプトで出力される文量は、おおよそ5,000〜8,000文字程度。就業規則としてはまだ簡素ですが、「何を盛り込むべきか」の全体像を把握するには十分です。

深掘りプロンプト:章ごとに詳細を生成

全体構成ができたら、各章を深掘りしていきます。たとえば賃金規程だけを詳しく作りたい場合は、以下のように指示します。

プロンプト例(賃金規程)

先ほど作成した就業規則の「賃金」の章を、以下の条件で詳細化してください。

・基本給は月給制
・手当の種類:通勤手当(上限月3万円)、住宅手当(月1万5千円)、役職手当
・賞与:年2回(6月・12月)、業績連動
・昇給:年1回(4月)
・割増賃金:法定通り(時間外25%、深夜25%、休日35%)
・賃金締め日:毎月末日、支払日:翌月15日

各条文は、就業規則としてそのまま届出可能な文体で記載してください。

章ごとに分けて生成することで、「賃金」「労働時間」「服務規律」それぞれのディテールが格段に上がります。1回で全部出そうとすると、どの章も浅くなりがちです。

社内規程6種類のたたき台を一気に作る方法

就業規則だけでなく、関連する社内規程もAIで作れます。以下の6種類は中小企業で整備が求められることの多い規程です。

規程名 概要 作成の優先度
就業規則 労働条件・服務規律の基本ルール。常時10人以上の事業場は届出義務あり 最優先
賃金規程 給与体系・手当・賞与・退職金の詳細ルール
育児・介護休業規程 育児休業・介護休業の取得条件、期間、手続き
ハラスメント防止規程 パワハラ・セクハラ・マタハラの定義と対処手順
テレワーク勤務規程 在宅勤務の対象者、申請手続き、通信費負担、労働時間管理 中(リモート実施企業は高)
情報セキュリティ規程 機密情報の取扱い、端末管理、インシデント対応

これらを1つずつ作るのは大変ですが、AIを使えばまとめて骨格を生成できます。コツは「1つのチャットで就業規則を作った後、同じチャットの流れで関連規程も依頼する」こと。文脈が引き継がれるので、就業規則との整合性が保たれやすくなります。

テレワーク勤務規程のプロンプト例

プロンプト例

先ほど作成した就業規則と整合性を取りながら、テレワーク勤務規程のたたき台を作成してください。

【条件】
・対象者:全従業員(ただし業務内容により上長が判断)
・頻度:週3日まで
・申請方法:前日までにチャットツールで上長に申請
・通信費:月額5,000円を一律支給
・労働時間管理:始業・終業時にチャットで報告
・情報セキュリティ:会社貸与PCの使用を原則とする

章立てで出力し、就業規則の第○条との対応関係がわかるようにしてください。

このように、就業規則本体との対応を指示に含めることで、条文番号の参照関係が整ったアウトプットが得られます。

ハラスメント防止規程のポイント

ハラスメント防止規程は、2022年4月にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が中小企業にも適用されたため、全企業で整備が必要です。AIで作る際は「厚生労働省のハラスメント対策指針に準拠すること」をプロンプトに明記しましょう。相談窓口の設置、事実確認の手順、処分基準、プライバシー保護の4点が盛り込まれているかを重点的に確認してください。

AIが作った就業規則を「使えるレベル」に仕上げるチェックリスト

AIの出力をそのまま使うと危険です。以下の7項目を必ず確認してください。

法的要件の確認

  • 労働基準法の強行規定(法定労働時間、最低賃金、年次有給休暇の付与日数など)を下回る条文がないか
  • 就業規則の絶対的必要記載事項(始業・終業時刻、休日、賃金の決定・計算方法、退職に関する事項)が全て含まれているか
  • 相対的必要記載事項(退職手当、賞与、安全衛生、教育訓練など)で自社に該当するものが漏れていないか

数字の正確性

  • 割増賃金率は法定以上か(時間外25%以上、月60時間超は50%以上、深夜25%以上、休日35%以上)
  • 年次有給休暇の付与日数は法定通りか(6ヶ月勤続で10日、以後1年ごとに増加)
  • 時間外労働の上限は36協定の範囲内か(原則月45時間、年360時間)

自社との整合性

  • 勤務形態(固定時間制、フレックス、裁量労働制)に合った条文になっているか
  • 現在運用している慣行(慶弔休暇、リフレッシュ休暇など)が反映されているか
  • 賃金体系(基本給、手当、賞与)が実態と一致しているか

最新法改正への対応

生成AIは学習データの時点までの法律しか反映していません。特に以下の改正は自分で確認が必要です。

  • 2024年4月施行:労働条件明示ルールの改正(就業場所・業務の変更の範囲の明示)
  • 2024年4月施行:裁量労働制の見直し(本人同意の義務化など)
  • 建設業・運送業・医師の時間外労働上限規制の適用(2024年4月〜)

これらがAIのアウトプットに反映されていない場合、手動で条文を追加・修正する必要があります。

やってはいけない3つの失敗パターン

AIで就業規則を作る際に、よく見かける失敗を3つ紹介します。どれも「たたき台」の段階で気づかず、そのまま進めてしまったケースです。

失敗1:AIの出力を無修正で労基署に届け出る

これは最も危険なパターンです。AIは一般的なモデルをベースに条文を生成するため、自社の実態と異なる内容が含まれている可能性が高い。たとえば、AIが「試用期間は6ヶ月」と出力したのに、実際の運用は3ヶ月だった場合、規則と実態の乖離が労使トラブルの原因になります。

失敗2:古い法律情報に基づいたまま気づかない

ChatGPTの学習データには、最新の法改正が反映されていない場合があります。たとえば、育児・介護休業法は近年頻繁に改正されており、出生時育児休業(産後パパ育休)の取得要件や分割取得のルールは年々変わっています。AIの出力を鵜呑みにせず、厚生労働省の公式サイトで最新の法令を確認する習慣をつけてください。

失敗3:1つのプロンプトで全部を作ろうとする

「就業規則を全章作って」と1回で指示すると、各章が薄く、使い物にならないアウトプットになりがちです。特に賃金規程や労働時間の章は、会社ごとの条件が大きく異なるため、個別に詳細な指示を出す必要があります。面倒でも、章ごとに分けてプロンプトを投入するのが結果的に早道です。

POINT

AIで就業規則を作るときの鉄則は「たたき台として割り切る」こと。完成品を期待するのではなく、骨格を素早く作って、人間と専門家が仕上げる。この前提があるだけで、AIの活用効果は何倍にもなります。

よくある質問

QAIで作った就業規則に法的効力はありますか?

A就業規則の法的効力は、作成方法ではなく、内容の適法性と労働基準監督署への届出手続き、労働者代表の意見聴取が要件です。AIで作成したものでも、内容が労働基準法等に適合し、正規の手続きを経ていれば法的効力を持ちます。ただし、AIの出力をそのまま使うのではなく、社労士や弁護士に内容をチェックしてもらうことを強くおすすめします。

QChatGPTとClaudeではどちらが就業規則の生成に向いていますか?

A2026年4月時点では、どちらのツールでも就業規則のたたき台は作成可能です。ChatGPT(GPT-4o)は日本の労働法に関する知識が比較的豊富で、条文形式の出力が安定しています。Claudeは長文出力に強く、一度に詳細な規程を生成したい場合に向いています。重要なのはツールの選択よりも、プロンプトの質と、出力後の人間によるレビューです。

Q従業員10人未満の会社でも就業規則は必要ですか?

A常時10人未満の事業場には、労働基準法上の届出義務はありません。ただし、就業規則を作成しておくことで、労使間のルールが明確になり、トラブルの予防につながります。実際に、従業員が増えてから慌てて整備するよりも、少人数のうちに骨格を作っておくほうが合理的です。AIでたたき台を作り、成長に合わせて改定していく方法がおすすめです。

QAIに就業規則を作らせるとき、会社の機密情報を入力しても大丈夫ですか?

A就業規則のたたき台作成に必要な情報(業種、従業員数、勤務形態など)は、一般的な企業情報であり、通常は機密性が高くありません。ただし、具体的な給与額や個人名は入力しないでください。ChatGPTの場合はオプトアウト設定(チャット履歴をオフ)を利用するか、ChatGPT Teamプランを使うとデータが学習に使われません。Claudeも同様にビジネスプランでの利用が安心です。

QAIで作ったたたき台を社労士に渡しても問題ありませんか?

A全く問題ありません。むしろ、たたき台がある状態で相談すると、社労士との打ち合わせが効率的に進みます。「ゼロからヒアリングして作成する」よりも「既にある内容をレビュー・修正する」ほうが、工数も費用も抑えられるケースがほとんどです。AIで骨格を作り、社労士に法的なチェックとブラッシュアップを依頼するのは、費用対効果の高い方法です。

まとめ

この記事のポイント

  • AIは就業規則の「構造」を組み立てるのが得意。80%の完成度のたたき台を10分で作れる
  • プロンプトに自社情報(業種・従業員数・勤務形態・賃金体系)を具体的に含めるほど精度が上がる
  • 章ごとに分けて生成するのがコツ。1回で全部出そうとすると各章が薄くなる
  • 就業規則だけでなく、賃金規程・テレワーク規程・ハラスメント防止規程も同じ流れで作れる
  • 最終的な法的確認は必ず社労士・弁護士に依頼する。AIの出力を無修正で届け出るのは危険
  • 最新の法改正(労働条件明示ルール改正、育介法改正等)はAIの学習データに反映されていない可能性があるため、自分で確認が必要

吉元大輝

よしもとひろき

株式会社BoostX 代表取締役

福岡を拠点に中小企業の生成AI導入を支援する専門家。「難しいAIを、わかりやすく。」をモットーに、現場目線のコンサルティングで100社以上の業務改善を実現。AI顧問サービスでは、導入計画から社内定着まで伴走型で支援している。

※本記事の情報は2026年4月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。

SNSで共有する
無料個別相談

貴社の業務に、 AIという確かな選択肢を。

「何から始めればいいか分からない」という段階でも構いません。現状の課題を伺い、最適な導入計画をプロと一緒に整理します。

\ 専門家による30分のヒアリング /

無料相談を予約する

オンライン対応可能・強引な勧誘なし

まずは資料で情報収集したい方へ

サービス概要・料金・導入事例をまとめた資料を無料でお送りします。

資料をダウンロード