損害サービス拠点の集約と引き継ぎ|代理店・修理工場の経緯を記録へ
他地域の事故も1拠点で受けることになった損害サービス部門で、旧拠点の担当の手帳や個人メールに残る代理店・修理工場とのやりとりを、集約日までにどの記録へ移すかを見極めます。生成AIには経緯を関係先台帳と事故記録の経過欄へ振り分ける下書きまでを回し、経過の中身は旧拠点の担当が確かめ、受付内容・修理工場の紹介・支払可否は集約拠点の担当と拠点長が決めます。進行中の事故で集約日前に埋める項目と、集約後に旧担当へ問い合わせた件数で漏れを数える段取りまで、読み終えた時点で決められます。

30秒でわかること
AIに任せる
メールと通話メモを台帳の行と経過欄へ振り分けた下書き
人が決める
経過の確定は旧担当、紹介の継続と支払可否は集約拠点
AIを止める
元のメモに無い約束や過失の言い回しが下書きに出たとき
拠点を集約しても、地域の代理店や修理工場が事故のたびに電話をかける相手の名前は、しばらく旧拠点の担当のままです。
拠点集約後も旧担当の手帳とメールに残るやりとり
拠点集約で旧担当の手元に残る経緯とは、事故記録に書かれず、旧拠点の担当の手帳や個人メールにだけあるやりとりのことです。中身は、代理店・修理工場ごとの取り決めと、進行中の事故の直近の連絡の2つに分かれます。
手元の経緯は集約日前に台帳と経過欄の2か所へ分け、受付は事故番号から開く
旧拠点の担当
生成AI
損害サービス拠点長
集約拠点の受付担当
- 旧拠点の担当
手帳・個人メール・通話メモを関係先ごとに書き出す
事故番号と日付を添える
- 生成AI
書き出しを台帳の行と経過欄の下書きに振り分ける
元のメモに無いことは書かせない
- 旧拠点の担当
下書きを元のメモと照らし、台帳の行を確定する
戻す口頭だけの取り決めは本人が書き足す
- 旧拠点の担当
進行中の事故ごとに経過欄の3項目を埋める
最後の連絡・次の約束・未回答
- 損害サービス拠点長
経過欄に空欄がある事故を一覧で確かめる
戻す空欄の事故は旧担当が持ち続ける
- 集約拠点の受付担当
契約番号・事故番号で事故記録の経過欄を読む
番号が無ければ契約者名と事故日で探す
- 集約拠点の受付担当
経過欄に無い話は関係先台帳で窓口を確かめる
戻す台帳にも無ければ旧担当へ確認
- 損害サービス拠点長
旧担当へ確認した件数を関係先別に数える
月末に台帳の欄を直す
拠点長が集約日までに決めておくのは、旧担当が書き出しを終える締めの日と、空欄が残る事故を集約拠点へ移さない扱いの2つです。締めの日が無いと、書き出しは通常の事故対応に押されて後回しになります。
たとえば集約から数日後、他地域の代理店から「先週、旧拠点の担当さんと話した件で」と電話が入る場面を考えます(仮の場面)。受付担当が事故記録を開いても、経過欄の最後は書類の案内で止まっています。その後の電話の中身は、どこにも残っていません。
手元に残りやすいのは、事故記録の様式に欄の無い話です。代理店ごとに事故連絡の入口が電話・FAX・代理店システムと違うこと、修理工場と見積の送り方を口頭で決めていたことがその例です。旧担当が異動や退職で離れると、その問い合わせ先ごと消えます。
拠点統合で代理店・修理工場ごとに何を残す?
事故をまたいで使う取り決めは関係先台帳へ、1事故で閉じるやりとりは事故記録の経過欄へ移します。両方を同じメモにまとめると、受付担当は代理店名で探すか事故番号で探すかを迷い、電話口で待たせる時間が延びます。
関係先台帳には、代理店と修理工場で別の欄を置きます。
代理店
事故連絡を受ける窓口の担当と代わりの人、連絡の入口、連絡がつく時間帯、契約者への連絡を代理店経由にするかの取り決め修理工場
見積と損傷写真の受け取り方、入庫紹介を始めた時期と理由、顧客の意向を確かめた記録の置き場所共通
台帳を最後に更新した日と、更新した人
修理工場の欄に紹介の理由を残すのは、紹介を続けるかの判断が集約拠点へ移るからです。損保協会の2026年5月版の保険金支払ガイドラインは、業者を紹介するときに保険金支払担当部門と関連部門が密接に連携するよう求めています。紹介は顧客の意向や要望を優先する態勢で行う、という趣旨です。理由が旧担当の頭にしか無いと、集約拠点では紹介の適否を見直せません。
窓口が動くのは代理店の側も同じです。2025年度末の損害保険代理店は124,024店で、前の年度末より11.5%少なくなっています。代理店どうしの統合で窓口が変われば、集約時に聞いた担当者名はすぐ古くなります。台帳の更新日の欄は、受付担当が窓口を信じてよいかを判断する材料です。
| 置き場所 | 受付担当が電話中に探せるか | 書き足す人 |
|---|---|---|
| 旧担当の手帳・個人メール | 探せない。本人がいないと中身も分からない | 旧担当本人 |
| 共有フォルダのメモ | ファイル名が頼りで、事故番号では探せない | 書いた人ごとにばらばら |
| 関係先台帳 | 代理店名・工場名で探せる | 拠点長が決めた台帳の担当 |
| 事故記録の経過欄 | 契約番号・事故番号で開ける | その事故の担当 |
表を前に拠点長が決めるのは、共有フォルダを移し先に含めるかどうかです。フォルダへまとめて移しても受付で開く場所が1つ増えるので、台帳と経過欄の2か所に絞り、フォルダは書き出しの作業場所として使い終えたら閉じます。
進行中の事故は集約日前に経過を書き切る
進行中の事故は、集約日前に最後の連絡・次の約束・未回答の3項目を経過欄へ書き切ります。受付で最初に聞かれるのは直近のやりとりで、そこが旧担当の手元にしか無いと、受付担当は答えられません。
最後の連絡に書くのは、いつ・誰が・誰に・どの方法で何を伝えたかです。保険金支払ガイドラインは、請求意思を確認したときの日時・確認方法・担当者名・確認先等を記録するよう求めています。経過欄の書き方をこの並びにそろえておくと、集約拠点の担当が読み替えずに済みます。
次の約束には、折り返しの期限、契約者からの書類の到着待ち、修理工場からの見積の届く予定を書きます。未回答には、代理店・契約者・修理工場から聞かれてまだ答えていない問いを、聞かれた言葉のまま残します。
聞き取りは、保険金支払システムから旧担当ごとの未済事案の一覧を出し、1件ずつ3項目を埋める形で進めます。手帳にしか無い約束は、旧担当本人が経過欄へ書き足します。拠点長が確かめるのは、3項目のどれかが空いた事故の一覧です。
空欄が残った事故の扱いは、拠点長が1件ずつ決める判断です。示談交渉が続く事故や、修理工場との協定が途中の事故は、集約後もしばらく旧担当が持ち、経過欄が埋まった時点で移す方が混乱が少なくなります。旧担当が集約日に退職するなら、空欄の事故は集約日前に拠点長が旧担当と並んで関係先へ電話で確かめ、その場で埋めます。
集約拠点の事故受付は記録のどこから開く?
受付担当は、契約番号か事故番号で事故記録を開き、経過欄、関係先台帳の順に見ます。他地域の代理店からの電話で番号が分からないときは、契約者名と事故日で候補を出し、事故の目的物と所在地で1件に絞ってから経過欄を読みます。
保険金支払ガイドラインは、事故の連絡を受けたときに、契約内容、重複契約の有無、保険の目的物とその所在地などを確かめるよう示しています。自動車の車両事故・対物事故なら、他社で事故の受付があったかは、損保協会の自動車事故情報交換システムで保険会社の間で確かめられます。
ただし、旧拠点と地域の代理店の間で交わしたやりとりは、どちらの確認にも出てきません。経過欄と台帳が、その穴を埋める記録です。
2025年度、そんぽADRセンターの苦情解決手続は合計5,012件で、うち保険金支払に関するものが4,178件、83.4%でした。集約直後の受付が旧拠点の話と違う答えを返せば、この保険金支払の苦情の入口になりかねません。そのため、受付でその場で答えてよいのは経過欄か台帳に書いてある範囲と決めておきます。
経過欄にも台帳にも無い話を聞かれたら、受付担当はその場で答えを作りません。聞かれた内容をそのまま経過欄に書き、旧担当か拠点長へ回して、折り返しの期限を相手に伝えます。保険金支払ガイドラインの苦情事例でも、電話を取り次ぐときは受け付けた内容を漏れなく確実に伝言することが重要とされています。個人のチャットで旧担当に聞くと、答えが経過欄に残りません。
集約拠点が受付の次に受け持つ保険金・給付の書類案内や進捗連絡も、経過欄が埋まっている前提で回ります。代理店側の面談記録や契約手続きの記録は、金融・保険の業務ごとのAI活用で別に扱っています。
引き継ぎ記録でAIに任せる範囲と担当が決める範囲
生成AIに回すのは、旧担当の書き出しを台帳の行と経過欄の3項目へ振り分けた下書きまでです。受け付けた内容と初期対応の確定、修理工場の紹介を続けるか、保険金の支払可否は、どれも下書きの材料にせず人が決めます。
渡すもの
関係先ごとに日付順へ並べたメール本文と通話メモ、台帳の欄の名前、経過欄の3項目の定義指示すること
各行に元のメモの日付を添え、事故番号が分からない行には印を付ける書かせないこと
元のメモに無い約束、過失の割合、紹介の適否や支払の見込み返させる形
台帳の行と経過欄の3項目に分け、どのメモから書いたかを添えた下書き
下書きを元のメモと1行ずつ突き合わせるのは旧担当です。印の付いた行から読み始めても、印の無い行まで読み終えてから台帳と経過欄に確定します。確定した内容を受付で使うのは集約拠点の担当で、紹介の継続は拠点長と保険金支払の関連部門が合わせて決めます。
元のメモに無い約束や、過失をにおわせる言い回しが下書きに出たら、その関係先の分は生成AIを止めます。旧担当が元のメモから書き起こし、混じった回数は拠点長への報告に入れます。書き出しが少ない拠点や、メモに事故番号も日付も無い拠点は、そもそも振り分けを生成AIに回す作業に向きません。手がかりが無く、印の付いた行ばかりが返るからです。
事故の経過メモを生成AIに渡す前の個人情報の確認
旧担当のメールと通話メモには、契約者や相手方の氏名、けがの状態、通院先が入ります。けがと通院先の記載は、生成AIへ渡す前に削る記載として書き出しの手引きに明記し、削ったかどうかは旧担当が送る前に見ます。
個人情報保護委員会は、保存されたデータを事業者が取り扱わないと契約で決めてあり、そのうえでアクセスの制御が適切な場合を、提供に当たらない例に挙げています。この場合でも、個人データの安全管理措置を講じる義務(個人情報保護法第23条)は自社に残ります。
事業者が中身を取り扱う契約なら、利用目的の範囲内で扱いを預ける委託と言えるかを契約で確かめます。委託と言えれば委託先の監督(第25条)が要り、言えなければ本人の同意が要る第三者提供(第27条)の扱いです。事業者が国外にあるなら、第28条の同意が要るかも確かめます。
契約書と設定画面で使う前に見ておくのは、入力が学習に使われないか、どれだけ保存されるか、社内で誰が下書きを見られ操作の記録が残るかです。これらを見終えるまで、氏名の残る書き出しは生成AIに渡しません。
集約後の引き継ぎ漏れは旧担当への確認件数で数える
引き継ぎの漏れを数えるのは損害サービス拠点長で、単位は関係先ごとの「旧担当へ確認した件数」(件/月)です。受付担当が経過欄と台帳で答えられず旧担当に聞いたとき、経過欄に「旧担当へ確認」と残してもらえば、月末に代理店・修理工場別に集計できます。
同じ関係先で件数が翌月も続くなら、戻す先は2つに絞れます。台帳にその話を書く欄が無いなら欄を足し、経過欄の3項目の書き方が担当ごとにずれているなら書き出しの手引きを直します。旧担当の異動日までに件数が下がりきらない関係先は、異動前に旧担当と台帳を読み直します。
集約日より前の最初の作業として、拠点長は代理店1店分の経過欄を旧担当と並んで埋める工程に着手します。選ぶのは進行中の事故が最も多い代理店で、書き出しから確定までにかかった時間を見てから、残りの代理店と修理工場の締めの日を決めます。
自社の業務で試す
拠点集約の前に、旧担当の経緯をどの記録へ移すかの段取り表が手に入る
結果の例
いまの段階Lv.3 チーム活用期
最初にAIに任せる1工程面談メモからの面談記録と意向把握の下書き
2週間で試すこと
- 記録に必ず入れる項目(意向・説明した重要事項・お客さまの反応)を責任者と決める
- 募集人2人の面談5件で下書きを作らせ、手書きの記録と項目を比べる
- 記録を書き起こす時間と、点検で指摘された件数を2週間記録する
人が確かめて決める所も、結果に出ます。
自社の業務に当てて話したい方無料相談(オンライン45分)の日程を見る
出典・参考資料6件
- そんぽADRセンター統計号 2025年度第4四半期苦情解決手続の内容別件数(保険金支払)・苦情解決手続の内容別件数(合計)一般社団法人 日本損害保険協会 確認日 2026.09.30
- 損害保険代理店実在数の推移一般社団法人 日本損害保険協会 確認日 2026.09.30
- 損害保険の保険金支払に関するガイドラインⅢ-4-(3) 業者の紹介にかかる態勢の整備・Ⅳ-5-(3) 保険金請求意思の確認・Ⅳ-2-(1) 保険種類に応じた必要事項の確認・別紙2 苦情事例と改善対応例(連絡・対応遅延、電話応対不十分)一般社団法人 日本損害保険協会 確認日 2026.09.30
- 自動車事故情報交換システム一般社団法人 日本損害保険協会 確認日 2026.09.30
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第25条(委託先の監督)・第27条第1項(第三者提供の制限)・第28条第1項(外国にある第三者への提供の制限)・第23条(安全管理措置)e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用)個人情報保護委員会 確認日 2026.09.30
編集・監修体制BoostX編集部
BoostX編集部(株式会社BoostX)が、官公庁・業界団体などの一次情報を原典で確かめて書いています。下書きにはAIを使い、編集担当者が内容と出典を確認してから公開しています。