ホテルの必要人員はAIでどこまで?支配人が決める人数とAIの部門別の案
予約と宴会・団体の予定を見ながら、翌月の部門ごとの人数を前年の記憶で決めているホテル・旅館の支配人と、宿泊・料飲・宴会の責任者
翌月のシフト表を締める週、宿泊・料飲・宴会・清掃に何人置くかは、予約の室数や宴会の人数をどう人数に直すかで決まります。その換算が責任者の頭の中にしかないと、人が足りない日が分かるのは数日前です。予約と過去の実績を渡したAIがどの数字まで出せて、どこから館の人が決めるのか、AIの案を使えない部門はどこかに答えます。

先に結論
部門別の必要人員はAIに案として出させ、人数の確定と、人が足りない日を他部門の応援で埋めるか外部委託に出すかの選択は、支配人が部門責任者と話して決めます。AIの手元に置くのは予約データ、宴会・団体の予定、過去の人員と業務量で、そこから部門ごとの人数の案と、人が足りない日・時間帯の一覧が返ってきます。
宴会・団体の人数や時刻がまだ決まっていない日と、過去の人員と業務量を部門別・時間帯別に残していない部門には、AIの案を使いません。その部門は責任者がこれまでどおり見立て、記録がそろった部門から順に案へ切り替えます。
AIが出す必要人員は案まで、宴会と団体の変更が残るから
宴会や団体の人数と開始時刻はシフト表を配った後にも変わるので、AIが出すのは部門別の必要人員の案までにし、確定は変更の連絡を受ける支配人と部門責任者が持ちます。
客室の予約や朝食の人数は、PMSの数字がそのまま見立ての元になります。宴会は違い、営業担当が先方と人数や料理を詰めている途中でシフトの締めを迎えることがあります。団体も、到着の時刻や夕食の有無が直前に動きます。
こうした変更を最初に聞くのは営業担当と料飲・宴会の責任者で、その時点でAIの手元にある数字は古くなっています。足りない日を他部門の応援で埋めるか外部委託に出すかも、AIには選ばせません。応援を出した部門はその時間の手が減り、委託には費用がかかるので、館全体の配分を見ている支配人の判断になります。
見立てを特定の人の記憶に頼り続けにくい事情もあります。宿泊業,飲食サービス業の2025年の離職率は23.7%、入職率は27.8%でした。全産業を合わせた離職率13.7%と比べると、10ポイントの差があります。
前年に人数を決めた責任者が今年もいるとは限りません。予約と過去の実績から毎回同じ手順で案が出ること自体に、人員・シフトの業務を引き継ぐうえでの意味があります。
予約・宴会予定・過去実績から部門別人員表までの分担
AIに渡すのは予約データ、宴会・団体の予定、過去の人員と業務量の3つで、AIが返すのは部門別の必要人員の案と、人が足りない日・時間帯の一覧です。宴会・団体の予定がPMSとは別の管理表にある館では、書き出しを2か所から集めます。
図の要点:必要人員が決まるまでの6つの工程を上から順に並べた図。予約担当と料飲・宴会の責任者がPMSの予約と宴会・団体の予定を書き出し、AIが過去の人員と業務量と並べて部門別の必要人員の案と、人が足りない日と時間帯の一覧を出す。部門責任者が案を自部門の事情と見比べ、宴会・団体が未確定の日は案を使わない。支配人が人数を確定して応援か外部委託かを選び、部門別人員表をシフト作成へ渡す。
AIの案が部門別人員表になるのは、支配人が人数を確定してから
-
PMSの予約と宴会・団体の予定を書き出す
予約担当と料飲・宴会の責任者が日別に
人
-
過去の人員と業務量と並べ、部門別の案を出す
人数への換算は館が決めた値を使う
AI
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人が足りない日と時間帯を一覧にする
部門ごとに足りない人数を添える
AI
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部門責任者が案を自部門の事情と見比べる
戻す: 宴会・団体が未確定の日は案を使わない
人
-
支配人が人数を確定し、応援か委託かを選ぶ
応援に入る人の労働時間も確かめる
人
-
部門別人員表をシフト作成へ渡す
各部門の責任者がシフト案を組む
人
宴会・団体が未確定で案を戻した日が月に何日あるかを数えると、案をそのまま使える月と、部門責任者の見立てが続く月の差が分かります。戻した日が多い月は、図の1つ目の工程で宴会の予定が固まる時期から見直します。
案を部門ごとに出させるのは、人が足りなくなる場所が1つの部門に限られないからです。2025年2月の宿泊事業者へのアンケートでも、繁忙期には清掃・宿泊・料飲・調理・宴会の各部門で人手が不足すると示されています。館全体の合計人数で見立てると、どの部門の何時に足りないかが見えなくなります。
| 入力 | AIに渡す単位 | 欠けると外れる所 |
|---|---|---|
| 予約データ | 日別の到着・出発室数と食事人数 | フロントと朝夕の料飲の人数 |
| 宴会・団体の予定 | 日別の人数と開始・終了の時刻 | 夕方以降の料飲と宴会 |
| 過去の人員と業務量 | 部門別・時間帯別の出勤人数と件数 | すべての部門の案 |
3つの入力のうち、どれが書き出せないかで、AIの案を使える部門が決まります。PMSに打ち込んだ予約の人数や日付が違っていれば、案もずれます。予約メールの読み違いを3回の照合で見つける手順を見立ての前に回しておきます。
過去の人員の記録をシフト表から書き出すと、スタッフの氏名と勤務時間が並びます。見立てに要るのは部門・日・時間帯ごとの人数なので、集計した表にすれば、外部の生成AIサービスへ送る項目から氏名は外れます。集計前の表を渡すなら、氏名を社員番号に置き換えても館の台帳で誰か分かるため、個人データとして扱います。
その場合、渡す先のサービスの契約は3つの場合に分けて読みます。事業者が預けたデータの中身を取り扱わない定めがあり、アクセスの制限もされていれば、そもそも提供に当たりません。中身を取り扱う定めのときは、館の利用目的の範囲で取扱いを任せる委託に当たる契約かを確かめます。委託に当たらなければ第三者提供で、スタッフ本人の同意が要ります。
国外の事業者なら、委託の形の契約でも、外国の第三者に渡すことになって本人の同意が要るかを確かめます。入力が学習に使われるか、保存の場所と期間、契約終了後の削除も、同じ契約書で読んでおきます。
人員が足りない日をAIが挙げ、応援か委託かは支配人が選ぶ
AIが人の足りない日を挙げたら、支配人は応援を出す部門のその時間帯の手と、応援に入る人の週の労働時間、外部委託の費用を見比べて、応援か委託かを選びます。
【説明用の仮の例】シフト表を締める前の週に、土曜の団体が40名から60名に増えると営業担当から連絡が入ったとします。AIの案を出し直すと、料飲部門の17時から21時が2人足りないと一覧に出ました。同じ土曜の宿泊部門は、チェックインが集中する時間が18時までに終わる見込みです。
支配人は宿泊部門の責任者と話し、18時以降に1人を料飲へ回せるか、その人の週の労働時間が館で決めている上限を超えないかを確かめます。回せるのが1人なら、残る1人分を配膳の外部委託に頼むかを決めます。料飲の責任者には、応援の人に任せる仕事を前日までに決めてもらいます。
この日の部門別人員表の1行は、たとえば次の形になります。【説明用の架空の記入例】土曜/料飲部門/17〜21時/AIの案6人・シフト上4人・不足2人/確定: 宿泊部門から応援1人、配膳の外部委託1人/確定者: 支配人
宴会・団体の人数か時刻がまだ決まっていない日は、一覧に不足が出ても、その日の案は使いません。営業担当が先方と詰めている人数の幅を料飲と宴会の責任者が聞き、多い方と少ない方のどちらで人を置くかを支配人と決めます。
一覧に不足が出ていない日も、確かめずに通しません。AIの一覧は、部門責任者が見る日の順番を決める材料です。研修や休みの希望のように、AIに渡していない予定が重なる日は、責任者が自部門の予定表と見比べてから人数を確定します。
過去の人員記録が粗いと、AIが出す必要人員は外れる
過去の人員と業務量が部門別・時間帯別に残っていない部門では、予約の数字を人数に直す根拠が無いので、AIの案は実態から外れます。その部門には案を使いません。
たとえば、シフト表には日ごとの出勤者だけがあり、その日の到着室数や夕食の人数はPMSや料飲の伝票にしか無い、という残り方です。これでは、何人で何件をこなしたかを部門ごとに並べられません。
予約や宴会の量を人数に直す換算、つまり1人が受け持てる量は、館ごとに違います。客室タイプ、料飲の提供形態、宴会場の数で必要な手が変わるからです。
2025年の年間の客室稼働率も、ビジネスホテル75.3%、旅館38.2%と業態で大きく違います。同じ室数の予約でも、満室に近い日か平常の日かが館によって変わり、1人が受け持つ量の決め方も変わるので、他の館の換算や一般的な目安を借りても合いません。
換算の値は部門責任者が過去の記録から出し、支配人が承認して、季節ごとに見直します。
| 見立て方 | 使える館の条件 | 外れやすい場面 |
|---|---|---|
| 責任者の経験 | 部門が少なく宴会場が無い | 責任者が交代した直後 |
| 表計算での換算 | 換算を決めて直す人が館にいる | 宴会や団体の変更が多い月 |
| AIの見立て案 | 部門別・時間帯別の記録がある | 記録が日ごとの合計だけ |
宴会場を持たず、部門が宿泊と清掃くらいの館なら、責任者の経験か表計算の換算で足ります。AIの案が役に立つのは、宴会と団体が入り、部門が多く、記録が時間帯ごとに残っている館です。
記録が粗い部門は、その部門だけ責任者の見立てに残し、記録がそろった部門から案を使います。清掃部門の当日の順番と担当の割り振りは、人数の見立てとは別の業務です。客室清掃の割り当てをAIの案と責任者の確定に分ける記事で扱っています。
人員不足の日数と残業時間で、AIの見立てを測る
AIの見立てが館に合っているかは、人員不足の発生日数と残業時間を、案を使う前と後で部門別に比べて確かめます。
人員不足の発生日数は、当日に他部門へ応援を頼んだ日や、予定していた業務を減らした日を1日と数える、のように館で数え方を先に決めます。残業時間は勤怠の記録から、部門ごとに月の合計を時間で出します。
比べる相手は前年の同じ月にします。繁閑の差が大きい館で前の月と比べると、案の良し悪しより季節の差が数字に出てしまうからです。前年の不足日数を数えていない館は、案を使い始める前の月から同じ数え方で記録を付け、その月を比べる相手にします。
案を使った月の不足日数と残業時間が、前年の同じ月をどちらも下回る状態がたとえば3か月続いたら、ほかの部門にも案を広げます。上回る月が続く部門は、換算の値を見直すか、責任者の見立てに戻します。
下回らない理由が宴会・団体の直前の変更なら、直す先はAIの案ではありません。営業担当から料飲・宴会の責任者へ人数の変更が届く経路と、届く時期を先に見直します。
必要人員の換算表を誰が直し続けるかで、外部を使うか決める
部門ごとの換算表を季節ごとに直す人が館にいれば、外から借りる手は、PMSの予約と宴会の管理表を毎週1つの表にまとめる仕組みに限られます。換算を決める人も直す人もいないまま仕組みだけを入れると、前年の換算で今年の案が出続けます。
観光庁は2026年3月、PMSとほかのシステムをつなぐための標準データセットの定義書などを公表しました。ただ、自館のPMSがその形で書き出せるかは別の話で、書き出せる項目と形式はPMSごとに違うことがあります。まとめの仕組みを外に頼むかは、その確認が済んでから決めます。
最初の作業は支配人が受け持ちます。PMSの提供元に日別の到着・出発室数と食事人数を書き出せるかを尋ね、料飲・宴会の責任者には宴会の管理表から人数と時刻を出せるかを確かめます。2か所とも書き出せない館は、仕組みより先に、手で1つの表にまとめる人と曜日を決めます。
宴会場を持つ館では、宴会の人数が確定する日がシフトの締めより遅いことがあり、その差が開くほど、部門責任者がAIの案を手で直す日が増えます。そうした館で換算表を直し続ける人を館の中に置けないなら、外部と組む話の中心は、まとめの仕組みよりも、季節ごとの換算の見直しを誰と一緒に回すかになります。
明日から始める3ステップ
担当 支配人
PMSから日別の到着・出発室数と食事人数を、宴会の管理表から日別の人数と開始・終了の時刻を書き出せるかを、PMSの提供元と料飲・宴会の責任者に確かめる
次へ進む目安書き出せる項目と頻度の一覧があり、書き出せない項目には代わりの入手先と担当が書かれている
担当 各部門の責任者
部門ごとに、日付と時間帯で出勤人数と、その時間帯の到着室数・食事人数・宴会人数・清掃室数を並べる記録表を作り、次のシフト期間から付ける
次へ進む目安すべての部門で、1か月分の日付と時間帯ごとの出勤人数と業務量が同じ形の表に入っている
担当 支配人
人員不足の発生日数の数え方を決め、AIの案を使った月の不足日数と部門別の残業時間を前年の同じ月と並べる
次へ進む目安前年の同じ月とAIの案を使った月の、部門別の不足日数と残業時間が1枚の表に並んでいる
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01無料相談
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毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- 厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」(表4-2 宿泊業,飲食サービス業・表4-2 産業計) 厚生労働省 確認日 2026.10.26
- 観光庁 令和6年度「宿泊業の人材確保・育成の状況に関する実態調査事業」報告書観光庁 確認日 2026.10.26
- 観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年(令和7年)年間値(確定値)観光庁 確認日 2026.10.26
- 観光庁「観光DX推進に向けたデジタルツールのデータ連携における標準化に関する調査結果について」観光庁 確認日 2026.10.26
- 個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」(Q7-53) 個人情報保護委員会 確認日 2026.10.26
- 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)(第二十五条・第二十七条第一項・第二十八条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.26
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