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飲食・宴会

旅館の食材発注にAI|需要予測より先に食数表、調理長が決める数と銘柄

宴会と宿泊の食事の発注を調理長の経験に頼っている旅館の、料飲責任者と調理長に読んでいただきたい内容です。

食材発注にAIを使うと聞くと、需要予測の製品を思い浮かべるかもしれません。けれども、調理長が休む週に限って欠品と余りが出る旅館では、困りごとの元は予測の精度より、発注の足し引きが調理長の頭の中にしか無いことにあります。会席や部屋食のように1人前が決まった献立なら、予測を買う前に、予約と宴会の帳票から手を付けられる所があります。

飲食・宴会 更新 6分 運営 株式会社BoostX

旅館の食材発注と在庫管理をAIで見直す|現状との比較

先に結論

会席や部屋食のように1人前が決まった献立の旅館は、需要予測の製品より先に食数表をつなぎます。AIと表計算に任せるのは、宿泊と宴会の人数を日付で合わせた献立別の食数と、食数×使用量−在庫で出す発注量の案です。

送る数と銘柄、人数が確定前の宴会の見込みは調理長が決め、代替品を受けるかは調理担当が決めます。案と違う数を送ったら、その理由を1行ずつ控えに残します。

代替品を受けた日は、原材料表とアレルギー対応表を直すまで献立を確定しません。朝食バイキングの大皿の残りが目立つ館なら、食数表より廃棄を量る機器が先です。

なぜ需要予測より先に、足し引きを食数表へ移すのか?

調理長が休む週に限って欠品と余りが出る旅館では、予測の精度より先に、発注の足し引きが帳票に残っていないことが、欠品と余りの原因になっているからです。発注書に残るのは数だけで、「なぜその数か」は残りません。

献立を考え、仕込みを見て、宴会の打ち合わせに出る調理長が、発注書も書いています。宴会台帳と到着予定表を並べ、冷蔵庫と乾物棚を見て回り、仕入先ごとのFAXやメールの発注書に数を書き込みます。

足し引きは頭の中で行われるため、その週だけ代わりに書く人は前週の数を写すしかありません。宴会の人数が前週と違えば、そこで欠品か余りが出ます。

調理人を新しく採用して補うのも難しくなっています。観光庁の令和6年度の調査では、旅館186施設のうち55.4%が、調理人が不足していると答えました。このため、調理長が休む週や宴会の多い週に別の調理人を手配できるとは見込まずに、発注の仕組みを考えます。

令和8年版観光白書には、2025年12月〜2026年1月に宿泊施設へ聞いたアンケートが載っています。人手不足の状況にあると答えた377施設のうち、79.3%が繁忙期に人員が足りず既存の従業員の負担が増えていると回答しました。繁忙期ほど、計算を帳票に移してあるかどうかで、欠品と余りの出方が変わります。

4つの帳票から発注書の下書きができ、数は調理長が決める

入力は料飲責任者が書き出す4つの帳票で、計算の結果は仕入先ごとの発注書の下書きになります。送る数を決める手は、その先の調理長に残ります。

図の要点:発注書の下書きができるまでの入力・処理・判断・出力の図。料飲責任者が到着予定表と宴会台帳、1人前の使用量の表と調理担当が数えた在庫表を書き出す。AIと表計算が宿泊と宴会の人数を日付で合わせて食数表にし、食数×使用量−在庫で発注量の案を出し、人数が確定前の宴会の行は分けて示す。調理長が宴会の見込みと送る数・銘柄を決め、調理担当が代替品を受けるかを決め、原材料表を直すまで献立を確定しない。出力は仕入先ごとの発注書と、案と違う数の理由を1行ずつ残した控え。

送った数が案と違えば、その理由が控えに1行ずつ残る

料飲責任者が書き出す入力

  • 到着予定表と宴会台帳(日付・人数・献立)
  • 1人前の使用量の表と、調理担当が数えた在庫表

AIと表計算の処理

  • 宿泊と宴会の人数を日付で合わせて食数表に
  • 食数×使用量−在庫で発注量の案を出す
  • 人数が確定前の宴会の行は分けて示す

調理長と調理担当が決めること

  • 調理長:宴会の見込みと、送る数・銘柄
  • 調理担当:代替品を受けるか
  • 戻す:原材料表を直すまで献立を確定しない

出力

  • 仕入先ごとのFAX・メールの発注書
  • 案と違う数の理由を1行ずつ残した控え

調理長は案の数を、週末の天気・仕入先の入荷の癖・使い切りたい在庫と見比べて送る数を決めます。この3つが案と違う数の理由の行になります。

【説明用の架空の記入例】

  • 品目

    乾燥わかめ
  • 案の数

    3袋
  • 送った数

    4袋
  • 理由

    土曜の宴会で酢の物を1品足す見込みのため、1袋多く送った

到着予定表から、日付別の人数とプランの食事の有無を書き出せるかは、PMSの提供元に先に問い合わせます。書き出せない場合は、料飲責任者が週に一度、手で食数表に写す形からでも計算の部分は試せます。

案が外れるのは、宴会の人数の確定が仕入の締めより後の所

外れやすいのは、人数の確定と仕入の締めの順が逆になっている所です。宴会の人数の確定日が魚や肉の締めより後なら、案は確定前の数で出るしかありません。これは計算では直らず、宴会の打ち合わせで確定日を締めの前に置き直す話です。

食事の区別もずれの元になります。子ども食、朝食なし、部屋食、夕食の時刻違いがプラン名の文字にしか書かれず、PMSの項目に分かれていない館では、献立別の数が合いません。プラン一覧に食事の有無と献立の列を足すのが、仕組みより先の仕事です。

1人前の使用量が空欄の献立は、最初は調理長の目分量を書き込んで始めてかまいません。その数を直すかどうかは、月末に発注書の控えの理由を見て決めます。使用量の表は調理場の新人に盛り付けの量を教える材料にもなるので、ベテランの段取りを教材にする方法と同じ要領で、調理長の話を録って表にできます。

館の規模と献立の組み方でも、食数表が向くかどうかは変わります。宴会が週末ごとに入り、人数の変更が締め時刻を越えて届く館ほど、案を持つ意味が大きくなります。仕入先が少なく、宴会もほとんど無く、献立が季節ごとに固定されている館には、食数表の仕組みは向きません。受発注の画面に前週の発注を写して直すほうが早く済みます。

代替品が届いた日に原材料表を直す

発注の案で数より注意が要るのは、いつもと違う銘柄の代替品が届いたときです。たとえば、仕入先の欠品でいつもの白だしが別の銘柄で届き、数と日付が合っていたので検品を通したとします。新しい銘柄に前の銘柄に無かった特定原材料が入っていても、原材料表とアレルギー対応表は前のままで、配膳の指示もその表から出ます。

AIが発注書と納品書の違いを並べても、代替品の行を見て原材料表を開くのは調理担当です。代替品を受けた記録は納品書の控えに残し、原材料表を直した日付を横に書いておきます。

原材料表とアレルギー対応表の根拠になるのは、加工品のラベルです。消費者庁は、容器包装された加工食品に特定原材料を含む旨の表示を義務付けています。旅館が仕入れる出汁、たれ、練り物、菓子のうち、容器包装で届く物にはラベルがあります。

2026年4月1日には、特定原材料にカシューナッツが追加されました。この追加には2年間の経過措置期間があり、その間はラベルに表示が無くてもカシューナッツを含む加工品があり得ます。宴会の菓子やたれのうちナッツを使っていそうな物は、発注書の品目ごとに仕入先の規格書で確かめます。

HACCPに沿った衛生管理の側では、食品衛生法第51条が、省令の基準に従って公衆衛生上必要な措置を定めて守ることを営業者に求めています。基準には、危害の発生を防ぐために特に重要な工程を管理する取組が含まれ、小規模な営業者などは扱う食品の特性に応じた取組で足ります。どの帳票に何を書き、誰が見比べるかは館の手順で決めることです。

予約で受けた食物アレルギーの要望を、どの欄に立てて料飲へ渡すかは、予約対応でAIに任せる範囲と一続きの話です。要望の欄と原材料表の両方がそろって、配膳の指示が正しい表から出ます。

廃棄を量る機器と食数表のどちらが先かは、捨てる物で決まる

捨てている物の多くが客の皿の残りなら機器が先で、仕込みの余りや在庫表に残る品なら食数表が先です。見ている物が違うからです。

見比べる所 廃棄を量る機器(カメラと秤) 食数表からの発注の案
分かること 何がどれだけ捨てられたか 何を何食分、どの仕入先に頼むか
向いている場面 朝食バイキングや宴会の大皿の残り 部屋食や会席など1人前が決まった献立
毎回の手間 捨てる前に秤に載せる 締めまでに案を読んで数を確定する
始める前に要る物 置き場所と下げ場の動線 到着予定表と宴会台帳の書き出し

朝食をバイキングで出し、下げた大皿の残りが目立つ館なら、量る機器で何が残るかを見れば翌日の仕込みを直せます。会席の部屋食が中心で、発注の足し引きが調理長の頭にしか無いことが困りごとなら、食数表から入ります。

鮮魚の毎日の締めまで案を回せるかが、仕組みを外に頼む分かれ目

案と違う数を送った理由の行には、案が外れる向きが出ます。雨の週だけ多めに送っているのか、毎週少なめに直しているのかで、直す先が変わります。

同じ向きに直す締めが続いた品目は、調理長が1人前の使用量の表を書き換えます。宴会の品目で理由の行が続くときは、確定日と仕入の締めの順を次の打ち合わせで置き直してから計算に戻ります。締め4回分を並べても同じ品目の欠品が消えないなら、仕入先を増やさず、使用量の表と確定日の順へ戻るのが先です。

週に一度締める乾物の仕入先から試すのは、到着予定表を料飲責任者が手で写す形でも、案が締めに間に合うからです。毎日締める鮮魚まで広げると、写す作業と案を読む時間が締めに追いつかず、調理長は結局いつもの数を書くことになります。

PMSの書き出しを食数表と発注書まで自動でつなぐ仕組みが要るのは、この段階です。外部の開発(AIエージェント開発)に頼むかの材料は、日付別の人数と食事の有無をPMSから書き出せるかという提供元の答えと、毎日締める仕入先の数です。

明日から始める3ステップ

  1. 担当 調理長

    締めが週1回の乾物・調味料の仕入先を1つ選び、その品目の1人前の使用量を表に書き込む(空欄は目分量で埋める)

    次へ進む目安その仕入先から取る品目のすべてに、使用量の数字が入っている

  2. 担当 料飲責任者

    到着予定表と宴会台帳から次の締めまでの日付別の人数と献立を食数表へ写し、発注量の案を出す

    次へ進む目安仕入の締めの前日までに、案が調理長の手元に届いた

  3. 担当 調理長・料飲責任者

    案と違う数を送った品目に理由を1行ずつ控え、締めの日ごとに理由の行数と欠品の件数を数える

    次へ進む目安締め4回分の控えがそろい、欠品が0件なら、締めが週1回のほかの仕入先へ広げる

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出典

  1. 観光庁 令和6年度「宿泊業の人材確保・育成の状況に関する実態調査事業」報告書図Q12(施設種別) 観光庁 確認日 2026.09.28
  2. 観光庁「令和8年版観光白書」第I部 図表I-59・I-61(宿泊施設へのアンケート調査結果) 観光庁(国土交通省) 確認日 2026.09.28
  3. 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」特定原材料の表示義務・お知らせ(2026年4月1日) 消費者庁 確認日 2026.09.28
  4. 消費者庁 事務連絡「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日)(経過措置期間) 消費者庁 確認日 2026.09.28
  5. 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)(第五十一条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28

編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり

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