旅館の予約対応AI、電話は折り返し・フォームは書き出し・OTAは返信案
電話・自社サイトのフォーム・OTAの予約を少人数で受けている旅館で、支配人や予約担当として受付の分担を決める方が対象です。
夕方はチェックインと予約の電話が重なり、予約メールをPMSへ打ち直す作業が夜に回りがちです。急いで打つと、「子どもはえびが食べられない」といった要望が備考の末尾に残り、到着予定表に載らないまま当日の朝を迎えます。電話・フォーム・OTAのうちどこからAIを入れるかは、PMSの提供元の答えと、通話の録音を外部に預ける契約を確かめてからでないと決まりません。

先に結論
予約対応のAIは、経路ごとに受け持つ仕事を変えます。電話は用件の聞き取りと要約、自社サイトのフォームと直接のメールは日程・泊数・人数・食事・要望の書き出し、OTAはメッセージの返信案までをAIに任せます。
空室の返事と、電話・フォームで受けた予約のPMSへの登録の確定は予約担当が持ち、登録前に日程・泊数・人数の内訳・食事・部屋タイプの5項目を見比べます。食物アレルギーの要望は備考とは別の欄に書き出させ、料飲責任者が受け取りの印を付けます。
OTAの予約が大半の館は返信と照合から、直接の予約が多い館は自社サイトのフォームから試します。予約の控えは宿泊者名簿の代わりにせず、名簿は到着時の本人の記入から別に作ります。
なぜ経路ごとに、AIへ回す仕事を変えるのか?
予約がPMSに届くまでに人の手が入る所が、電話・フォーム・OTAで違うからです。電話で空室まで答えさせるのは、PMSの在庫を照会できる連携があると提供元に確かめた館だけです。
図の要点:予約の経路ごとに分かれた4つの流れ。電話はAIの自動応答が用件を聞き取って要約し、予約担当が空室と料金をPMSで確かめて折り返す。道順・送迎・忘れ物の用件はフロントへ戻す。自社サイトのフォームと直接のメールは、AIが日程・泊数・人数・食事・要望を欄に書き出し、本文に無い欄は空のまま返し、予約担当が5項目を見比べて登録を確定する。OTAはサイトコントローラーがPMSへ取り込み、AIがメッセージの返信案を作り、予約担当が取消の規定をプラン条件と照合する。食物アレルギーの要望はどの経路でもAIが備考とは別の欄に書き出し、料飲責任者が受け取りの印を付けて到着予定表を締める。
空室の返事はどの経路でも予約担当、PMSへの登録はOTAだけ取り込みで入る
- 電話
- AIの自動応答: 用件を聞き取り、文字にして要約
- 予約担当: 空室と料金をPMSで確かめて折り返す
- 戻す: 道順・送迎・忘れ物の用件はフロントへ
- 自社サイトのフォーム・直接のメール
- AI: 日程・泊数・人数・食事・要望を欄に書き出す
- AI: 本文に無い欄は空のまま返す
- 予約担当: 5項目を見比べて登録を確定する
- OTA
- サイトコントローラー: 予約をPMSへ取り込む
- AI: 客からのメッセージに返信案を作る
- 予約担当: 返信に写す取消の規定をプラン条件と照合
- 食物アレルギーの要望(どの経路でも)
- AI: 備考とは別の欄に書き出す
- 料飲責任者: 受け取りの印を付けて到着予定表を締める
自館の予約がどの経路に多く入っているかは、この図と照合しながら先に数えておきます。旅館の電話には、予約のほかに道順や送迎の時刻、忘れ物、「到着が1時間遅れる」という連絡も同じ番号で入ります。夕方のチェックインと重なるため、電話では、フロントへ戻す用件を先に切り分けます。
登録の確定で予約担当が見比べるのは、日程、泊数、人数の内訳、食事、部屋タイプの5項目です。到着日まで誤りが残ると、部屋と食事の準備をやり直すしかない項目なので、確定の画面ではこの5つを他の欄より上に置きます。
【説明用の架空の記入例】
- 日程: 11月の土曜日にチェックイン
- 泊数: 1泊
- 人数の内訳: 大人2名・子ども1名(小学生)
- 食事: 1泊2食、夕食は部屋食
- 部屋タイプ: 本文に記載なし(空欄のまま返す)
- 食物アレルギーの要望(備考とは別の欄): 子どもはえびが食べられない
空室を答えさせずに折り返させる理由は、AIの答えとPMSの在庫がずれることにあります。本文に無い欄を空のまま返させるのも同じ理由で、推測で埋めた人数や食事は、登録の確定まで誰にも気づかれずに残ります。
AI電話の公開料金は、着信件数で増える費目まで読む
AI電話の月額は、一例のアイブリー(IVRy)の公式料金表で、年払いなら月3,317円(税抜)からです。表示はすべて税抜きで、基本プラン料金とは別に電話番号維持費と従量利用料金がかかります。
| プラン | 料金(税抜・〜から) | 条件 |
|---|---|---|
| フリー | 月0円 | 着信30件まで |
| スターター | 月払い月3,980円/年払い月3,317円 | 年払いは年額39,800円から |
| スタンダード | 月払い月6,480円/年払い月5,400円 | 英語・中国語・韓国語の応答はここから |
プランを選ぶ前に、電話機の履歴で1か月の着信件数と、そのうち予約の電話の件数を数えておきます。従量の料金があるため、この件数が見積もりの幅になります。外国語の電話が入る館は、スタンダード以上が前提です。
フロントが1人で電話もチェックインも受ける館ほど、一次受けを任せる意味は大きくなります。予約担当がPMSの画面の前で電話を受けられている館には、自動応答は向きません。挟むと、折り返しの手間が増えるからです。
PMSの提供元に書面で問う3つの項目は、登録・出力・費用
フォームやメールの書き出しを任せる前に、外から予約を登録できるか、予約データをどの形式で出力できるか、それぞれに費用がかかるかをPMSの提供元へ書面で問います。外から登録できる連携機能が無ければ、AIが書き出した一覧を予約担当が見ながら打つ所で止まります。
観光庁は、PMSと各種システムのデータ連携の仕様が標準化されておらず、システム間の連携が進んでいないとしています。令和7年度には、調査の結果として標準データセット定義書などが公表されました。自館のPMSがどこまで対応しているかは提供元にしか分からないので、その答えを受け取ってから書き出しの範囲を決めます。
連携機能が無くても、確認の返信の下書きと、料飲や清掃への申し送りは、受信箱と表計算だけで始められます。打ち直しは残りますが、過去のメールを探して日付と人数を書き換える手間はここで減らせます。
海外からの予約に英語などで返す確認文は、取消の期限が訳で1日ずれやすいので、規定の段落を訳文表から貼る多言語の予約確認文として別に組みます。訳文表の行を確定するのは、支配人と言語の確認者です。
通話の録音と予約メールを外部のAIに渡す前に、契約を読む
通話の録音と予約メールには客の氏名、電話番号、同行者の人数が入るので、預ける先との契約がどれに当たるかを申し込む前に支配人が読みます。氏名の部分を伏せても、電話番号と宿泊日からPMSの予約を引けば本人に行き着くため、渡す材料は個人データに当たります。
預け先がその個人データを取り扱わない旨を契約で定め、アクセスを適切に制限していれば、提供には当たりません。中身を取り扱う契約なら、予約の目的の範囲で処理を頼む委託と読めるかを条項ごとに見ます。
委託と読めれば館が第25条に沿って預け先を監督し、読めなければ第三者への提供になるので、第27条に従い客の同意を得てから渡します。国外の会社なら、委託であっても第28条による同意が要るかを別に確かめます。
契約の読み分け方は、予約の欄ごとにAIへ渡すかを決める手順と変わりません。予約の電話で別に見るのは、録音です。
録音を聞ける職員の範囲、提供元が録音や文字起こしを学習に使うか、解約したときに録音が消えるかを規約で確かめます。受付の共用端末から聞けるなら、夜勤の当番まで聞けるようにするかも決めておきます。
予約の控えは宿泊者名簿の代わりにならない
予約のメールや電話から書き出した氏名と人数は名簿の下書きにとどまり、名簿は到着時に本人の記入を確かめて別に作ります。書き出した氏名は、本人の記入と照合する前の仮の値です。
旅館業法第6条は、営業者に宿泊者名簿を備え、宿泊者の氏名、住所、連絡先などを記載するよう求めています。都道府県知事の要求があったときの提出も、同じ条の義務です。施行規則第4条の2は、正確な記載を確保する措置を講じたうえで名簿を作り、作成の日から3年間保存すると定めています。
日本国内に住所を持たない外国人については、国籍と旅券番号の記載も求められます。このため、AIの書き出しを名簿の欄へそのまま流し込む組み方にはせず、予約の控えと名簿は保存先を分けます。
試す経路は、OTAの割合と人数変更の多さで選ぶ
OTAからサイトコントローラー経由の予約が大半なら、フォームの書き出しより先に、OTAのメッセージへの返信と、連携していないOTAの予約の照合から始めます。直接の予約が少ない館では書き出す対象がわずかで、照合の手間だけが増えるからです。
取消やキャンセル料を聞かれる返信は、返信案に写す取消の規定の出どころを先に決めておくと、送る前に確かめやすくなります。外国語で届く問い合わせが多い館なら、夜のうちに送る返信と朝へ回す質問の分け方も予約の返信に使えます。
法人や団体の予約がメールで届き、人数の変更の連絡が何度も届く館は、書き出しと照合を先に置く意味があります。変更のたびに打ち直す人数の欄が、そのまま手間の大きさになるからです。直接の予約が多い館は、件数が読める自社サイトのフォームから届く予約で試します。
書き出しが正しく動いていても、要望は落ちます。見比べる5項目に要望が入っていなければ、「子どもはえびが食べられない」という一文は備考の末尾に残り、到着予定表の列に載りません。調理場が気づくのは当日の朝です。
要望の欄をどこに置くかは、書き込む予約担当ではなく、受け取る料飲責任者が決めます。出せるかを原材料と見比べて決めるのは調理担当で、原材料表の直し方は代替品が届いた日の原材料表と同じです。予約の業務を扱うほかの記事は予約から、部門をまたぐ一覧はホテル・宿泊のAI活用から辿れます。
広げる順番を決めるのは、調理場が当日の朝に見つけた要望の件数です。週ごとに数えて1件でも出た週は、ほかの経路へ広げるのをやめ、料飲責任者が到着予定表の欄の置き場所から見直します。日程や人数の書き換えは登録の前に予約担当が見つけますが、備考に残った一文は当日の朝まで誰も気づかないからです。
PMSの連携機能の有無で、登録まで自動にするかを決める
提供元の書面に、外から予約を登録する連携機能が無いと書かれていれば、作り込む部分はほとんど残りません。書き出しは一覧を見て予約担当が打つ所までなので、受信箱と表計算と、職員が使う生成AIから試し、予約担当と料飲責任者が館の中で回します。
連携機能があり、費用も見合うなら、書き出した欄をPMSへの登録まで通す形が選べます。予約の欄とPMSの項目を1つずつ対応させる作り込みになるので、その開発を外に任せる案(AIエージェント開発)もこの段階で並べます。
明日から始める3ステップ
担当 予約担当
電話機の履歴と受信箱とOTAの管理画面から、先月の予約を経路別に数えて1枚に並べる
次へ進む目安電話・フォーム・OTAの件数がそろい、自社サイトのフォームとOTAの返信のどちらから試すかが決まった
担当 支配人
PMSの提供元へ、外からの予約の登録・予約データの出力の形式・それぞれの費用の3点を書面で問う
次へ進む目安3点の答えが書面で届き、書き出しを登録まで通すか、一覧を見て打つ所で止めるかを決めた
担当 料飲責任者
フォームの予約だけをAIに書き出させ、到着予定表に載らず当日の朝に見つかった要望を週ごとに数える
次へ進む目安当日の朝に見つかった要望が1か月で1件も無く、次に電話とメールのどちらへ書き出しを広げるかを決めた。見る期間は館の判断で延ばしてよい
無料相談(オンライン)
BoostXは、旅館・ホテルの予約と問い合わせ対応へのAI導入を支援しています
01無料相談
予約確認・OTAの返信・多言語の問い合わせから、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- IVRy(アイブリー)「料金プラン」注記(税抜・別途費用)・スターター・スタンダード・フリー・機能比較・多言語対応 株式会社IVRy 確認日 2026.09.29
- 観光庁「観光DX推進に向けたデジタルツールのデータ連携における標準化に関する調査結果について」観光庁 確認日 2026.09.28
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用)・Q12-1(外国にある第三者への委託) 個人情報保護委員会 確認日 2026.09.28
- 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)(第二十五条 委託先の監督・第二十七条第一項 第三者提供の制限・第二十八条第一項 外国にある第三者への提供の制限) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)(第六条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 旅館業法施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十八号)(第四条の二) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
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