候補者の引き継ぎで経緯をどう残す?AIが書く4欄と後任が書く3欄
AIは記録の事実を日付つきで欄に振り分け、避ける先と次の提案は後任が読み合わせで書く
引き継ぎで落ちるのは記録にない「なぜ」の側だ。事実の欄はAIの日付つき下書き、判断の欄は後任の記入と分け、書かない情報まで決まる。

30秒でわかること
何が問題か
担当が辞めると、後任は同じことを候補者に聞き直し、候補者は一から説明し直すことになる。
何を見れば判断できるか
要約の各欄が元の記録の日付で裏づけられるか、前任の判断が要るかで書き手を分ける。
誰が何をすれば解決するか
AIが事実の欄を下書きし、後任が記録と並べて削り、読み合わせで判断の欄を書く。
採用管理システム(ATS)の連絡履歴に面談日と推薦日は残っても、年収の希望を下げた理由は面談記録の自由記述に、辞退した企業の名前は前任の受信箱に散ります。なぜ次にその求人を出すかは、前任の記憶にしかありません。
要約は候補者1人1枚、事実には元の記録の日付を付ける
要約は候補者1人につき1枚とし、事実と日付で書く欄と、後任が読み合わせで書く欄を先に決めます。記入例は仮の候補者のものです。
図の要点:候補者1人分の引き継ぎ要約の記入例。希望の変化と時期、提案済みの求人と結果、本人の事情と連絡の注意、記録なしの欄の4つはAIが元の記録の日付つきで下書きする。避ける企業・派遣先、希望の読み方と次の提案、次に確かめることの3つは、前任との読み合わせで後任が書く。
候補者1人分の引き継ぎ要約(読み合わせの前の下書き)
- 希望の変化と時期
- 年収の下限を下げた。理由は通勤時間(面談記録の日付)AI が下書き
- 提案済みの求人と結果
- B社は二次面接の前に本人が辞退(メールの日付)AI が下書き
- 本人の事情と連絡の注意
- 平日の電話は19時以降。家族の通院で水曜は17時までAI が下書き
- 記録なしの欄
- 辞退の理由が記録に無い。読み合わせで前任に聞くAI が下書き
- 避ける企業・派遣先
- C社(理由の種類: 通勤)人が確定
- 希望の読み方と次の提案
- 通勤の短い求人を先に出す(後任が記入)人が確定
- 次に確かめること
- D社の結果を待つか、並行して応募するか人が確定
事実と日付で書くのは、人物の評価で書くと後任の見方が最初から決まってしまうからです。「年収にこだわる人」と書かれていれば、後任は年収の低い求人を外します。「前回の面談で下限を下げた、理由は通勤時間」と書かれていれば、通勤の短い求人を先に出せます。
避ける企業の欄をAIに書かせないのは、理由の種類を選ぶ作業に前任の判断が入るからです。希望年収や勤務地といった希望条件シートの値そのものは、要約に書き写しません。シートの側を正にしておき、要約には値が動いた経緯を残します。
欄の名前は、ATSの候補者画面に自由記述の項目があればそこに合わせます。項目が無ければ、共有のExcelに候補者ごと1行で持ちます。
候補者の経緯はどこに散っているか
経緯は、ATSの連絡履歴、前任の個人の受信箱、日程調整のチャット、前任の記憶の4か所に散っています。記録に残るのは「何をしたか」で、「なぜそうしたか」は担当の頭の中に残る作りだからです。
退職の告知が出たら、CA責任者がATSで前任が担当の候補者を抜き出します。選考中、推薦待ち、面談済みで未提案、しばらく連絡の無い人の順に並べ、後任と渡す順番を決めてください。
退職日までに読み合わせが終わらない人数なら、選考中の人から先に回します。しばらく連絡の無い人は、後任の最初の連絡で近況を聞く側に回して構いません。
いちばん詰まるのは、個人の受信箱とチャットにだけ残ったやり取りです。退職してアカウントが止まると取り出せなくなるため、告知の週のうちに、選考中の候補者の分から前任に会社の記録へ移してもらいます。
前任がすでに辞めていて読み合わせができないなら、要約の下書きの後に記録なしの欄を一覧にします。その一覧を、後任が最初の連絡で候補者本人に確かめる形に置き換えます。
AIに履歴を渡すときに添える決まり
AIに渡すのは、会社の記録に入った候補者1人分の履歴と、欄の名前と、書き方の決まりで、個人の受信箱に残ったままのやり取りは外します。欄は希望の変化と時期、提案済みの求人と結果、本人の事情と連絡の注意の3つで、記録に無いものは記録なしの欄に集めさせます。決まりは短くてよく、毎回同じ文で添えてください。
「次の欄に分けて、時系列で要約してください。各行の末尾に、元の記録の日付を括弧で付けてください。記録に無いことは推測せず『記録なし』と書くこと。本人の発言は言い換えず、記録の言葉のまま短く引いてください。」
日付を付けさせるのは、後任が元の記録を開いて確かめられるようにするためです。後任は下書きの全行をATSの連絡履歴と並べて読み、日付の合わない行や、記録に無い理由が書かれた行を消します。消した欄は記録なしに戻し、読み合わせで前任に聞く一覧へ移してください。
下書き全体が元の記録と食い違う候補者は、要約を使わず、後任が履歴を直接読みます。
「言い換えず」を入れるのは、候補者の発言が一般化されるのを防ぐためです。「転勤は避けたい、子どもの学校が決まるまで」が「転勤不可」に丸められると、学校が決まった後の提案の幅が見えなくなります。
履歴書や面談記録をどの外部サービスに入れてよいかを会社として決めていないなら、下書きをAIに回すのは待ちます。前任と後任が個人の契約のツールに履歴を貼り始めると、候補者の情報の行き先を会社が把握できないからです。欄ごとに入れてよいかを分ける考え方は、生成AIの席と履歴書の欄の選び方で先に決めておきます。
引き継ぐ候補者が数人で、前任が読み合わせに十分な時間を取れるなら、AIの下書きは向きません。欄だけ決めて口頭で埋めるほうが早く済みます。
読み合わせでは、記録なしの欄を上から前任に聞き、答えは前任の言葉のまま後任が書き込みます。希望の読み方と次の提案を決めるのは、この場の後任です。前任の見立てと後任の判断が違うなら、違ったまま両方を書き、最初の連絡で候補者本人に確かめます。
引き継ぎ要約に書かない情報
職業紹介事業者に向けた厚生労働省の指針は、集めてはならない個人情報を3つ挙げています。社会的差別の原因となるおそれのある事項(人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地など)、思想及び信条、労働組合への加入状況です。特別な職業上の必要性があり、目的を示して本人から集める場合は例外です。
集めた個人情報の保管と使用も、集めた目的の範囲に限られます。派遣の登録スタッフについては、派遣元事業主に向けた指針に同じ3つの事項が並んでいるため、紹介と派遣のどちらの要約でも同じ区分で外します。
要約は前任の記憶を記録に移す作業なので、面談の雑談で聞いた話まで一緒に移りやすくなります。区分ごとの扱いは次のとおりです。
| 区分 | 例 | 要約での扱い |
|---|---|---|
| 集めてはならない事項 | 本籍、信条、組合の話 | 書かない。AIへの入力にも入れない |
| 紹介に要らない私生活 | 離婚の経緯、家族の病名 | 働き方の条件だけを書く |
| 根拠の無い人物評 | 「気難しい」「押しが弱い」 | 起きた事実と日付で書く |
| 避けたい先の生の言葉 | 派遣先の上司の名前と不満 | 理由の種類だけを残す |
迷う話は、働き方の条件として書けるかどうかで分けます。「家族の通院で水曜は17時まで」は働き方の条件なので書いてよく、病名は要りません。面接の日程を変えたことも、「気まぐれ」ではなく「日程を変更(変更した日付)」と書けば、後任は理由を本人に聞けます。
AIに渡す入力にも同じ区分を使います。書かない区分の話が面談記録に混ざっていれば、前任が削ってから渡します。AIに「不要な部分を除いて」と任せないのは、何が不要かを知っているのが記録を書いた本人だからです。
派遣の登録スタッフで重くなる欄
派遣コーディネーターの退職では、要約の欄のうち「避ける企業・派遣先」と「本人の事情と連絡の注意」が重くなります。紹介のように選考が一度で終わらず、同じ登録者に何年も続けて案件を打診するからです。
避ける派遣先は、読み合わせで前任が先の名前と理由の種類を挙げ、後任が書き込みます。理由の種類は、通勤、業務内容、職場の人間関係、以前の就業を途中で終えた、といった粒度です。若手が知るべきなのは「ここは打診しない」とその理由の種類で、電話で聞いた出来事の中身ではありません。
働き方の希望は、曜日、時間帯、残業の可否、通勤時間の上限のように、案件の条件と突き合わせられる形で書きます。以前どの派遣先でいつ働いたかは抵触日の確認とも関わるので、正にするのは要約ではなく、派遣元管理台帳と案件の履歴です。要約には「前回の就業先と時期は台帳を見る」とだけ書いておきます。
就業中のフォロー面談で聞いた話は、就業中のフォロー面談で聞いた話の分け方をそのまま使い、要約へ移すのは打診の判断に要る分にとどめます。登録者のスキルの書き方が担当ごとにばらついているなら、スキルシートの表記ゆれを直す言い換え表を先に整えると、後任が案件検索で登録者を見つけやすくなります。
後任の最初の連絡で何を確かめるか?
後任の最初の連絡は、要約を読み上げる場ではなく、要約の中身が今も合っているかを候補者に確かめる場です。「前任から、前回の面談でここまで伺っています。そこから変わった点はありますか」と入れば、候補者は一から話し直さずに済みます。
聞く順番は、要約の「次に確かめること」の欄のとおりです。選考中の候補者なら、次の選考日と、その企業への志望が変わっていないか。見送りが続いている候補者なら、希望の変化の欄を読み、変えた理由がまだ続いているかを聞きます。避ける企業の欄は読み上げず、次の提案から外すことで使います。
電話で聞いた答えは、その日のうちに後任が要約の欄へ日付つきで書き足します。前任の見立てと本人の答えが違えば、本人の答えを正にし、前任の見立ての行は消さずに古い日付の行として残します。担当が替わったことは、推薦中の企業のRAにも同じ日に伝えると、企業からの連絡が前任宛てで止まりません。
聞き直しが集まった欄から書き方の決まりを直す
引き継ぎの出来は、後任が候補者に同じことを聞き直した件数に出ます。要約に書いてあったのに聞き直した点は、その欄の書き方の決まりが崩れた印なので、後任はATSの連絡履歴に「聞き直し」とどの欄の話かを書き添えます。
希望の変化の欄に集まるなら、AIに添えた決まりの「言い換えず」が守られているかを、下書きと元の記録で見比べます。避ける企業の欄に集まるなら、読み合わせで前任が理由の種類まで挙げたかを確かめます。
直した欄は、CA責任者が次の引き継ぎの読み合わせで最初に回します。退職の告知より前に選考中の候補者の要約を埋めておけば、直した決まりを急な退職の週に初めて試すことにもなりません。
明日から始める3ステップ
担当CAごとに選考中の候補者を抜き出し、個人の受信箱やチャットにだけ残るやり取りを会社の記録へ移す日を決める
- 担当
- CA責任者
- 次へ進む目安
- 選考中の候補者の辞退や日程の連絡が、どれもATSの連絡履歴から読める
選考中の1人分の連絡履歴で事実の4欄をAIに下書きさせ、全行を元の記録と突き合わせて、日付の合わない行を記録なしへ戻す
- 担当
- 担当CA
- 次へ進む目安
- 残った行すべてに元の記録の日付が付き、記録なしの欄が、引き継ぎの読み合わせで聞く一覧になった
引き継ぎ後の最初の連絡で聞き直した点を、どの欄の話かを付けて数え、欄ごとの件数を控える
- 担当
- CA責任者
- 次へ進む目安
- 直した欄の聞き直しが次の2回の引き継ぎで0件なら、残りの担当の候補者にも同じ要約を使う(回数は自社で決める目安)
この記事の見方を、自社に当てはめる
- 得られるもの
- 5段階のうち今の段階と、面談記録の整理や連絡の空いた候補者の抽出を含む6つの候補から最初の1工程とその理由、人が確かめる所と止める条件、2週間で試す3つの手順が分かる
- 所要時間
- 約1分(6問)
- 登録
- 結果を見るまで登録は要りません
- 押した後
- 答えるとその場で、最初にAIへ任せる1工程と、人が確かめる所、2週間の試し方が出ます。資料として受け取るときだけ、会社名・お名前・メール・役職を入力します。
出典・参考資料2件
- 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号)第五の一(二)・第五の一(五)厚生労働省 確認日 2026.09.28
- 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針(平成11年労働省告示第137号)第2の11(1)イ厚生労働省 確認日 2026.09.28
編集・監修体制BoostX編集部
BoostX編集部(株式会社BoostX)が、官公庁・業界団体などの一次情報を原典で確かめて書いています。下書きにはAIを使い、編集担当者が内容と出典を確認してから公開しています。
更新履歴
最終更新
冒頭に一文の結論と30秒で読める要点を置き、最初の章の見出しを要約の書き方の答えに改めた。聞き直しの件数から直す欄を選ぶ段を独立させ、担当ごとの3つの手順を記事の終わりに添えた
すべての更新履歴3件
- 冒頭に一文の結論と30秒で読める要点を置き、最初の章の見出しを要約の書き方の答えに改めた。聞き直しの件数から直す欄を選ぶ段を独立させ、担当ごとの3つの手順を記事の終わりに添えた
- 旧タイトル「担当CAの退職で候補者の経緯を落とさない、引き継ぎの要約に置く欄」。冒頭を、経緯が面談記録・前任の受信箱・前任の記憶に散る問題の説明に改めた。最初に埋める候補者と、聞き直しの件数で書き方を直す手順を最後にまとめ、出典に派遣元指針の改正(令和8年10月1日適用)の記録を足した
- 欄の一覧と工程表を、記入例つきの引き継ぎ要約1枚に置き換え、AIが下書きする欄と後任が書く欄を分けた。要約に書かない情報に派遣元指針の定めを足し、判断に使わない統計を外した