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候補者管理

スキルシートの作成はどの工程からAIに任せられるか

書類からの項目抽出、重複登録の候補提示、要約文の下書きはAIに渡せます。

編集 BoostX編集部2026.08.297分で読めます

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この記事の要点

  • 書類からの項目抽出、重複登録の候補提示、要約文の下書きはAIに渡せます。
  • 登録の可否、資格名と就業期間の確認、強みの書き方は登録事務とコーディネーターが持ちます。
  • 本メディアでは、項目定義を決めてから抽出に着手すべきだと判断します。

定義対象は、コーディネーターと登録事務が登録者の書類からスキルシートを作り、採用管理システムに登録するまでの業務です。

案件が来てから名簿を検索しても、該当者が出てこない。派遣元の支店で起きるこの空振りは、登録者が少ないからではありません。フォークリフトを「リフト」と書く人、資格名を略す人、経験年数を「長い」と書く人が混じり、検索の語で引き当てられないからです。

AIを入れる前に要るのは、スキルシートを作る仕事を工程に割ることです。割らないまま「登録業務をAIで」と決めると、読み取りの速さだけが上がります。表記が揃っていなければ、速く作ったシートも検索では拾えません。

スキルシートは登録のどの段階で作られているか?

対象は、コーディネーターと登録事務が登録者の書類からスキルシートを作り、採用管理システムに登録するまでの業務です。書類を受け取るところから、項目を打ち込み、面談で聞いた内容を足し、資格取得や就業終了で更新するところまでを扱います。案件が来たときの検索と取引先への提示は後工程なので、ここでは触れません。

棚卸しの単位で並べます。起点は登録面談の当日、書類の受領、資格取得や就業終了の連絡です。担当は登録事務とコーディネーターで、面談した担当者が後から書き足す会社もあります。成果物は項目が埋まった候補者データと、要約プロフィールであるスキルシートの2つです。使うのは採用管理システム、Excel、書類のPDFと紙の原本です。

スキルシートには用途が2つ混ざります。社内で候補者を探すための検索データと、取引先へ提示する経歴の文章です。求められる形が違うため、項目を決めずに1つの欄で兼ねると、検索にも提示にも中途半端な書類になります。書類の量は登録者ごとに違うので、件数も時間も置かず、表には測る単位だけを示します。

AIを入れる前に要るのは、スキルシートを作る仕事を工程に割ることです

書類の受領から更新まで、7つの工程に割る

スキルシート作りは「書類を打ち込む仕事」ではありません。着手から完了までを時系列に並べると、担当も帳票も違う7つの工程が並びます。まず担当・帳票・量・詰まる点を見ます。

工程 担当 使う帳票・システム 量・時間(測る単位) 詰まる点
1 書類を受け取る 登録事務 メール添付、応募フォーム、紙の原本 受領から着手までの日数 不足書類が揃わず止まる
2 重複登録を確かめる 登録事務 採用管理システムの登録履歴 1件あたりの検索分 表記ゆれで同一人物を拾えない
3 項目を打ち込む 登録事務・コーディネーター 履歴書、職務経歴書、資格証の写し 1件あたりの入力分 書式が人ごとに違い定型にならない
4 面談で聞いた内容を足す コーディネーター 面談メモ、チャットの履歴 面談から記入までの日数 後回しで翌日以降に持ち越す
5 スキルシートにまとめる コーディネーター スキルシートの様式、Excel 1件あたりの作成分 書き方が担当ごとに違う
6 同意と保管期限を記録する 登録事務 同意の取得記録、保管ルール 登録1件あたり 抜けてもその日は気づかない
7 資格取得や就業終了で更新する コーディネーター 更新の連絡、就業終了の報告 更新までの日数 更新の合図が無く古いまま残る

同じ7工程を、AIと人の受け持ちで見直したのが次の表です。空欄はありません。AIを入れない工程には、その旨を書いています。

工程 AIが解決すること 人が決めること 失敗したときの損失
1 AIを入れない工程。不足書類の依頼は登録事務が行う 外部へ送ってよい書類かどうか 同意のない書類を外部へ渡す
2 氏名・生年月日・連絡先から同一人物らしい既存データを並べる 統合するか別に残すかの確定 同じ人が二重に登録される
3 履歴書と資格証から経歴・資格・就業可能日を項目へ振り分ける 資格名と就業期間を原本と突き合わせる 資格名の誤りが取引先への提示に乗る
4 面談メモを希望条件・懸念点・就業できない条件へ仕分ける 本人の言葉をどこまで残すか 背景が抜け、次の担当が聞き直す
5 項目の内容から要約文を下書きし、用語と表記を社内の言い方に揃える 何を強みとして書くか 表記が揺れ、検索で引き当てられない
6 同意が未取得の登録と保管期限が近いデータを一覧にする 削除の実行と例外の扱い 期限を過ぎた書類が残り続ける
7 就業終了や資格取得の連絡から更新が要るシートを抽出する 更新の要否と更新する担当 提案できる状態と実際の状態がずれる

図の見方は、色枠がAIの担う工程、灰色が登録事務やコーディネーターが確定する工程、二重枠がその両方です。右上の小さな三角は、失敗が起きやすい工程を指しています。

業務フロー分解図。書類を受け取る→重複登録を確かめる→項目を打ち込む→面談内容を書き足す→シートにまとめる→同意と保管を記録→資格取得で更新する。AI担当は重複登録を確かめる・項目を打ち込む・面談内容を書き足す・シートにまとめる・資格取得で更新する、人が確定するのは書類を受け取る・面談内容を書き足す・同意と保管を記録・資格取得で更新する書類を受け取る重複登録を確かめ項目を打ち込む面談内容を書き足シートにまとめる同意と保管を記録資格取得で更新すAIが担う人が確定する両方失敗が起きやすい工程
書類の受領から更新までの7工程で、AIが担う所と人が確定する所が分かれます。

AIで消える工程は2です。氏名と連絡先を手で検索して重複を探す作業が、担当の手から離れます。
短くなる工程は3・5・7です。項目への振り分け、要約の下書き、更新対象の抽出が先に用意されます。
新しく増える確認工程は3の後半です。資格名と就業期間を原本に当てる突き合わせが、登録の前に必ず入ります。

原本と突き合わせる線はどこに引くか?

工程に割ると、渡してよい仕事の性質が見えます。読み取る・写す・並べる・下書きするは作業なのでAIへ、確定する・提案すると決めるは判断なので人に残ります。読み取りの精度を上げるより、突き合わせる項目を絞る方が早く効きます。

AIと人の境界図。AIが担うのは書類からの項目抽出・重複登録の候補提示・要約文の下書き・用語と表記の統一・更新もれの抽出。人が確定するのは登録の可否・資格名と就業期間・強みの書き方・提案する案件の選択。止めどころは確定は登録事務。AI担当は書類からの項目抽出・重複登録の候補提示・要約文の下書き・用語と表記の統一・更新もれの抽出、人が確定するのは登録の可否・資格名と就業期間・強みの書き方・提案する案件の選択AIが担う(写す・比べる・下書き)人が確定する書類からの項目抽出重複登録の候補提示要約文の下書き用語と表記の統一更新もれの抽出登録の可否資格名と就業期間強みの書き方提案する案件の選択確定止めどころ確定は登録事務
登録業務でAIが下書きする範囲と、登録事務が確定する範囲の切れ目が分かります。

突き合わせるのは4項目に絞ります。氏名、資格名、就業期間、経験した作業です。この4つは誤ると取引先への提示にそのまま乗り、後から直しても信用が戻りません。逆に趣味や自己PRの表現は、誤っても登録者に確かめれば済みます。全項目を見ようとすると確認が形だけになるため、線は狭く引きます。

書類の扱いには法令が絡みます。履歴書と面談記録は個人情報であり、病歴などの要配慮個人情報の取得には本人の同意が要ります(個人情報の保護に関する法律)。職業安定法は、業務の目的の範囲内での個人情報の収集を定めています。外部のAIサービスへ送ってよい項目の一覧は、使い始める前に決める事項です。

派遣で就業する人のシートは、待遇の説明にもつながります。労働者派遣法は派遣労働者の待遇に関する規律を定めており、経験や資格の記載が実態と違えば、条件の説明が崩れます。要約を作るのはAIでも、記載の責任は事業者にあります。

最初の1工程は項目の抽出と入力を選ぶ

着手先は3つの問いで選びます。判断か作業か、データが電子で揃っているか、失敗したときの損失がどれくらいか。この3つを当てると工程3が残ります。

工程3は作業です。履歴書と職務経歴書という入力が手元にあり、誤っても原本を開けば戻せます。損失は4項目の突き合わせで止まります。反対に工程5は「何を強みとして書くか」という判断が混じるため、下書きまでに留め、書き方の決定はコーディネーターに残します。

総務省「令和8年版 情報通信白書」では、業務類型別に「議事録・メール作成補助」での活用を回答した割合が日本で約7割と示されています。書類を読んで項目に写す作業は、この類型に性質が近い仕事です。ただし派遣会社の登録業務に限った値は示されていないため、効果は自社で測ります。

試行の2週間で数えるのは3つだけ

試行は6つの段で足ります。長い手順書は要りません。

  1. 支店を1つ選び、導入前のひと月分を測ります。1件あたりの入力分、登録後の修正件数、案件検索での該当件数の3つです。
  2. 項目定義を先に決めます。経歴、資格、就業可能日、希望条件、通勤範囲の5つが入口です。
  3. 用語の言い換え表を作ります。フォークリフト、玉掛け、リーチ、カウンターなど、現場で言い方が割れる語だけで足ります。
  4. 外部へ送ってよい項目の一覧を作り、登録事務と共有します。ここが決まらないうちは書類を渡しません。
  5. 工程2・3・5をAIに下書きさせ、登録事務が4項目を原本に当ててから登録します。
  6. 2週間後に同じ3つを並べ、支店長が続けるか止めるかを決めます。合否の線は開始前に引いておきます。

3つの数字は、時間・誤り・結果の出方に対応します。入力分が時間、登録後の修正件数が誤り、案件検索での該当件数が表記の揃い具合です。該当件数が増えないなら、読み取りではなく言い換え表の作りが足りていません。

本番化で決めるのは確認する4項目と保管期限

承認は、登録事務が4項目を原本に当てて登録を確定する形から動かしません。確認する項目を減らすのは、修正件数が導入前を下回る状態がひと月続いてからです。減らす範囲は書類の種類で区切り、全項目を一度に省きません。

記録は5つ残します。書類の原本、抽出された入力案、確定した候補者データ、突き合わせで直した箇所、確認者です。直した箇所を残さないと、どの項目で読み取りが外れるのかが分かりません。

例外は文字で決めます。病歴や家庭の事情が書類に書かれていた場合、外国籍で在留資格の確認が要る場合、同意が未取得の場合は、抽出を止めて登録事務が扱います。該当する条件を一覧にしておかないと、判断の要る書類が型に流れます。

表記が揃わないまま検索だけ速くすると何が起きるか?

起きやすい失敗は、シートは増えたのに案件検索の該当件数が変わらないことです。原因は、抽出の速さだけを上げて、用語と表記を揃える工程を省いたためです。防ぎ方は、言い換え表を先に作り、要約の下書きでその表を必ず通すことです。

もう一つは、更新が止まったシートが残ることです。就業が終わった人のシートが古いままだと、提案できる状態と実際の状態がずれます。就業終了の報告を更新の合図として登録し、更新が要るシートを毎月抽出します。

本メディアでは、スキルシートのAI化は項目定義と言い換え表を先に決めてから着手すべきだと判断します。理由は、抽出の精度が上がっても、検索で引き当てられなければ案件は埋まらないからです。前提は、候補者を社内の名簿で探していることです。案件ごとに媒体で新しく集める方針なら、この順番は当てはまりません。

本メディアでは、要約文をそのまま取引先への提示文に使うのは勧めません。理由は、強みの書き方が推薦の可否に直結し、実態と離れた表現が混じるからです。前提は、提示先が継続して取引のある派遣先であることです。社内の検索用途だけで使うなら、下書きのまま回しても実害は出ません。

登録データが揃っていない会社は順番を変える

書類が紙のままでPDF化していないなら、AIより先にデジタル化です。採用管理システムに項目の欄が無く、自由記述だけで運用しているなら、項目を作るのが先です。外部へ送ってよい情報の範囲が決まっていないなら、そこを決めるまで書類を渡しません。

この3つが揃わない状態で足すと、工程3の確認だけが増え、検索の空振りは減りません。商工中金の「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」では、導入検討フェーズの課題として「導入を推進する人材がいない」が32.0%です。工程を1つに絞れば、推進役が片手間でも回せる範囲に収まります。

出典

  1. 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  2. 職業安定法(昭和22年法律第141号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  3. 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  4. 総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの業務利用状況 総務省 確認日 2026.09.22

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