塾の学習記録の一元化は切替日から、紙とExcelの過去分は写さない
出欠・宿題・テストの記録が紙とExcelに分かれている学習塾で、記録のまとめ直しを任された方へ
面談の前に生徒一人の状況をまとめようとすると、出欠は紙の名簿、宿題は担当講師のメモ、テストの点はExcelと、開く場所が3つに分かれます。一か所にまとめると決めても、数年分の紙を打ち込む時間は取れず、新しい生徒だけ切り替えれば、出欠を付ける名簿が2つになります。決めることは、過去の記録を移す範囲、切り替える日、記録の置き場所です。

先に結論
過去分は全件写さず、新規の生徒だけにもしません。切替日を1日決め、その日から在籍生全員の出欠・宿題・テストを生徒ごとの記録に書きます。切替日の前に写すのは、在籍生の一覧(氏名・学年・クラス)と、次の面談で使う直近の記録だけです。紙の名簿とExcelの点数表は捨てずに、参照用として保管します。
記録の置き場所は、表計算を生徒ごとの1つの表にまとめ直す案と管理アプリの案を、利用料に移行・入力・集計の時間を足した1年分で比べて選びます。入力する人が限られる教室なら、表計算で足りることがあります。
この移行にAIは要りません。切替日・写す範囲・置く項目は教務責任者が決め、日々の記録は授業を担当した講師が確定します。記録のAI要約は、生徒ごとの記録が続き、外部へ送る項目の範囲を決めてから始めます。
過去の記録を写さず切替日で分けると移行が止まらない
紙の名簿とExcelに分かれた塾の学習記録は、過去分を全件写そうとすると、数年分の入力が授業の合間では終わりにくくなります。写し終える前に次の講習期が来ると、切り替えそのものが止まります。
写す量を在籍生の一覧(氏名・学年・クラス)と直近の記録に絞り、全員を同じ日に切り替えれば、準備は授業の合間に進められる量になります。直近の記録とは次の面談で使う分で、たとえば今学期の小テストの点です。3つの移し方を、写す手間と切替後に残る困りごとで比べます。
| 移し方 | 写す手間 | 切替後に残る困りごと |
|---|---|---|
| 過去分を全件写す | 数年分の紙の名簿と点数表 | 写し終える前に講習期が来やすい |
| 新規の生徒から始める | ほぼ無い | 同じクラスに出欠の名簿が2つ残る |
| 切替日で分ける | 在籍生の一覧と直近の記録 | 過去を見るときは紙を開く |
切替後に残る困りごとは、移し方によって重さが違います。新規の生徒から始めると、在籍生は紙、新しい生徒は新しい記録になり、在籍生が卒業するまで出欠の名簿が2つ残ります。切替日で分ける場合に残るのは、古い出欠や点数を見るときだけ紙を開く手間です。
切替日は、月謝の締め・定期テストの直前・講習の初日を避け、月や学期の区切りに置きます。図の週数は段取りの目安で、授業日数に合わせて教務責任者が前後させます。
図の要点:切替日の前後の段取りを時系列で並べた図。3週前ごろに教務責任者が置く項目を決めて在籍生の一覧と直近の記録だけを写し、前の週に1クラスで試す。切替日に講師と受付が全員分を生徒ごとの記録へ書き始めて紙の名簿への記入をやめ、翌週に教務責任者が紙への記入が残っていないかを確かめる。1か月後ごろに教室長が紙とExcelの保管場所と期限を決め、AIの要約は記録が続いてから試す。
写す作業は切替日の前に終え、切替日の後は紙の名簿に書かない
-
3週前ごろ
教務責任者が置く項目を決め、在籍生の一覧と直近の記録だけを写す -
前の週
教務責任者が講師へ書く場所を伝え、1クラスで試しに書いてもらう -
切替日
講師と受付が全員分を生徒ごとの記録へ書き始め、紙の名簿への記入をやめる -
翌週
教務責任者が紙の名簿を開き、切替日以降の記入が残っていないかを確かめる -
1か月後ごろ
教室長が紙とExcelの保管場所と保管の期限を決め、参照用として保管する -
記録が続いてから
教室長が外部へ送る項目の範囲を決め、教務責任者がAIの要約を試す
切替日と、その前に写す範囲の2つが決まれば、残りの日付は図の順に置けます。写す作業は切替日の前に終わらせ、切替日の後に残りを少しずつ写す期間は作りません。
紙の名簿は捨てませんが、切替日以降は書きません。念のためと紙にも丸を付け続けると、紙と生徒ごとの記録で出欠が食い違います。どうしても両方に書く期間を置くなら、終わる日を先に決めておきます。
生徒ごとの一か所に置く記録と、置かない記録
学習記録の一元化とは、出欠・宿題・テストの記録を、生徒一人につき1つの場所で書いて見られる状態にすることです。紙とExcelの中身を全部1つのファイルへ集めることではありません。
面談の前日に、教務責任者が中学2年の生徒の状況をまとめる場面を考えます(説明のための仮の場面です)。出欠は紙の名簿、宿題は担当講師のノート、小テストの点は共有フォルダのExcelにあります。担当講師が休みの日は、宿題のところだけ埋まりません。
3つの記録は、書く人と時刻が違います。出欠は授業の始めに講師か受付が付け、宿題は授業中に講師が確かめ、小テストの点は採点の後にまとめて入力します。生徒ごとの記録に置く項目は、講師が授業の前後の短い時間で書ける量に絞ります。欄が多いと、入力が続かなくなります。
置く項目は、日付・科目・出欠・宿題の提出・小テストの点・気づきの1行です。理解度は欄を分けず、気づきの1行に書きます。
【説明用の架空の記入例】10月14日/数学/出席/宿題: 提出・8割/小テスト: 10点満点の7点/気づき: 連立方程式の文章題で式を立てるところで手が止まる
講師の宿題メモは全文を移しません。生徒ごとの記録には宿題の提出と気づきの1行を残し、ノートは講師の手元に置いたままにします。過去の年度の点数、月謝、保護者の連絡先も、生徒ごとの記録には入れません。氏名・学年・連絡先を載せた生徒台帳の側で管理します。学習記録の前後の業務は、学習記録・進捗管理の業務にまとまっています。
映像授業の視聴履歴は写さず、見る場所を決める
映像授業の視聴履歴は生徒ごとの記録に写さず、映像のサービスの書き出しや連携を使うか、見に行く日と担当を決めます。視聴履歴は映像のサービスの管理画面に残るので、手で写すと同じ内容が2か所にでき、写し忘れた日から食い違います。
先に確かめるのは、映像のサービスに視聴履歴の書き出しや、ほかの仕組みとの連携があるかどうかです。あれば、週に1回書き出して生徒ごとの記録と同じ生徒番号で並べれば、写す作業は要りません。
書き出しも連携も無いときは、生徒ごとの記録に視聴の欄を作らず、見に行く日と担当を決めます。たとえば週の最後の授業日に、教務責任者が映像の管理画面で視聴が止まっている生徒を見て、気づきの1行にだけ書きます。教室での演習の結果は、ほかの科目と同じく生徒ごとの記録に置きます。
表計算のまとめ直しで足りる塾、管理アプリが要る塾
表計算のまとめ直しか管理アプリかは、利用料だけで決めません。移行にかかる時間と、毎日の入力・週の集計にかかる時間を1年分で足して比べます。入力する人が教務と数人の講師に限られる教室なら、表計算を生徒ごとの1つの表にまとめ直すだけで足りることがあります。
管理アプリが要るのは、複数の講師が同じ時刻に入力する場合です。保護者への連絡とつなげたい場合や、教室をまたいで見たい場合も当てはまります。
| 費目 | 表計算のまとめ直し | 管理アプリ |
|---|---|---|
| 利用料(1年分) | 今の契約に追加があるか | 月額×12か月 |
| 移行の時間 | 表を作り、在籍生の一覧を写す | 初期設定と在籍生の取り込み |
| 毎日の入力 | 1コマの分数×コマ数 | 試用して同じ式で測る |
| 週の集計 | 生徒別に並べ直す時間 | 一覧が出るかを試用で見る |
この表に入れる数字は、自塾で測った値です。時間は担当者の時給を掛けて金額に直し、利用料と足して1年分の総額にします。1年分の総額は「利用料+(移行の時間+入力の時間+集計の時間)×時給」で出します。
【説明用の架空の計算例】入力が1コマ2分で、週20コマ、年48週なら、2分×20コマ×48週=1,920分で、1年に32時間です。この時間に時給を掛けた額を、利用料と並べます。
使ってきた学習管理アプリの利用料が上がったときも、同じ式を使います。続ける・別のアプリへ乗り換える・表計算へ戻すの3つの案を並べ、乗り換えと表計算には移行の時間を足します。利用料の差だけを見ると、移行と毎日の入力の手間を見落とします。
記録が続いてからAIに任せる作業
AIに任せるのは、生徒ごとの記録がそろった後の、面談の前の整理メモの下書きです。入力の前に、教室長がAIの利用規約を読み、外部へ送ってよい項目の範囲を決めます。決めた範囲の中で、たとえば直近4週分の出欠・宿題の提出・小テストの点・気づきの1行を入力します。指示文には「記録に無いことは書かず、未確認と書く」と入れます。
下書きは教務責任者が生徒ごとの記録と照合し、記録に無い内容が入っていたら使いません。そのときは記録の一覧をそのまま面談に持っていきます。切替日の後も紙の名簿への記入が続いている間は、記録が欠けているので要約を始めません。
過去の紙を写真に撮り、AIに読み取らせて全件入れる方法も取りません。氏名と成績を外部へ送る範囲を決める前の作業になり、読み取った結果を人が全件確かめる手間も残ります。
未成年の記録を預ける前に確かめる契約と権限
個人情報保護法は、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じること(第23条)を事業者に求めています。取扱いを委託する場合は、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督も求められます(第25条)。生徒ごとの記録には未成年の氏名・出欠・点数が入るため、置き場所を決める前に教室長が契約を読みます。
契約の形は3つに分かれます。預け先の事業者が記録を取り扱わないことが契約で定められ、かつ事業者側のアクセス制御が適切に行われている場合は、個人データを提供したことになりません。事業者が記録を取り扱う契約のときは、塾が決めた利用目的の中で取扱いを任せる形かどうかを契約書で確かめます。
取扱いを任せる形が委託に当たる場合は、第25条のとおり塾に事業者を監督する義務があります。委託に当たらないときは第三者への提供になり、あらかじめ本人の同意を得る必要があります(第27条第1項)。
預け先の会社が国外にあるときは、任せる形の契約でも、あらかじめ本人の同意が要る場合があります(第28条第1項)。預け先の所在国も契約書で読みます。
氏名の代わりに生徒番号を使っても、塾の生徒台帳と照合すれば誰の記録か分かるため、個人データとしての扱いは変わりません。契約書と利用規約では、保存場所と保存期間、解約時の削除、再委託の有無、AIの学習に使われるかどうか、漏えい時の連絡を確かめます。
教室の中の権限も決めます。講師が見られるのは担当する生徒の記録までにするか、全員分にするかを教室長が決め、退職した講師のアカウントはその日に止めます。
利用する必要がなくなった個人データは、遅滞なく消去するよう努めることとされています(第22条)。退塾した生徒の記録と、参照用に保管した紙の名簿・Excelの点数表にも、保管の期限を決めておきます。
学習記録の移行で外部に頼むのは連携と集計
外部の手が要るのは、映像のサービスや保護者への連絡と生徒ごとの記録をつなぎ込む場合です。複数の教室の記録を本部で集計したい場合や、預け先の契約と権限の設定を点検したい場合も当てはまります。項目を決めること、切替日を決めること、紙の保管は、教務責任者と教室長で進められます。
最初の作業は、教務責任者が生徒1人を選び、紙の名簿・講師の宿題メモ・Excelの点数表を机に並べることです。面談と引き継ぎで実際に見ている項目に印を付けると、生徒ごとの記録に置く項目が決まります。
切り替えた後に数えるのは、切替日以降に紙の名簿へ書かれた出欠の件数と、生徒一人の状況を見るのに開く場所の数です。たとえば2週間数えて紙への記入が0件なら、そのまま続けます。記入が残る教室では、どの欄が書きにくいのかを講師に聞きます。
受付で受ける欠席の連絡を出欠の記録へつなげる場合は、受付の作業を仕組みへ移す範囲の分け方が前提になります。ほかの業務は教育のAI活用の記事一覧にあります。
複数の教室がある塾では、切替日を教室ごとに変えると、本部は紙の教室と新しい記録の教室を同時に見ることになります。教室ごとに講習の日程が違っても、切替日は本部が1日にそろえます。そろえられない事情がある教室だけ、本部の教務責任者が遅らせる日を決めます。
明日から始める3ステップ
担当 教務責任者
面談を控えた生徒1人の記録3種を集め、面談と引き継ぎで使った項目だけを抜き出して、生徒ごとの記録に置く項目の一覧と切替日の案を作る
次へ進む目安置く項目の一覧、切替日、写す範囲(在籍生の一覧と直近の記録)が1枚に書かれ、教室長が確かめて講師へ伝える日が決まっている
担当 教務責任者・担当講師
表計算の案と管理アプリの案のそれぞれで1クラスの1週間分を入力し、1コマの入力の分数と週の集計の分数を測って、1年分の総額の式に入れる
次へ進む目安利用料・移行・入力・集計の1年分が2つの案で並び、預け先の契約にある個人データの取扱いの定めと所在国を教室長が読み終えている
担当 教務責任者・講師
切替日から在籍生全員の出欠・宿題・テストを生徒ごとの記録だけに書き、紙の名簿は記入をやめて、紙に書かれた出欠の件数を週ごとに数える
次へ進む目安2週続けて紙への記入が0件で、教室長が紙とExcelの保管場所と保管の期限を決めている。記入が残った週は、置く項目を減らすか書く場所の伝え方を直している
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01無料相談
問い合わせの返信・教材・保護者連絡から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)e-Gov法令検索第23条(安全管理措置)・第25条(委託先の監督)・第22条(データ内容の正確性の確保等)・第27条第1項(第三者提供の制限)・第28条第1項(外国にある第三者への提供の制限)・第2条第1項第1号(個人情報の定義) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.12
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用) 個人情報保護委員会 確認日 2026.10.12
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