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AI活用の基礎・選び方

学習塾のAI活用はどの業務から?棚卸しは生徒情報と判断の有無で分ける

AIを試す最初の業務を決めかねている、学習塾の教室長と、複数の教室を見る経営者が対象です。

11月の教室長の机には、冬期講習の時間割づくり、体験の問い合わせへの返信、講師の募集原稿、保護者への面談案内、成績の入力が同時に並びます。どれもAIに頼めそうに見えるのに、学習塾のAI活用をどの業務から始めるかの物差しが無く、手が止まりがちです。教室の1週間の作業の書き出し方、最初の1業務を選ぶ基準、生徒の記録が入る業務をいつ扱えるかを順に取り上げます。

AI活用の基礎・選び方 7分 運営 株式会社BoostX

AI活用の基礎・選び方の現場のイメージ写真

先に結論

講習前に試す1業務は、保護者や生徒の個人の情報を入れずに済み、送る前に法令の確認も成績の評価も要らない、毎週のように繰り返す作業の中から選びます。体験の問い合わせに返す文面の型づくりが代表例で、宛名と個別の事情は受付が書き足します。

業務名と月の回数・1回の分数を書いた一覧なら生徒の情報は入らないので、重複の整理、四つの区分への仮置き、回数×分数での並べ替えはAIに渡せます。並んだ候補から講習前に試す1業務を決めるのは教室長(複数教室なら経営者)で、成績や面談記録を扱う業務を対象に入れる時期も同じ人が決めます。

最初の対象は、生徒の情報も判断も要らない業務から

最初の対象から生徒の情報が入る業務を外すのは、下書きの誤りも入力した情報の扱いも、そのまま家庭の信頼に関わるためです。書き出した業務を1つずつ、上から順に問いにかけていきます。

図の要点:書き出した業務を3つの問いで振り分ける判断図。生徒の氏名・成績・記録が入る業務は最初の対象から外し、送る前に法令・金額・評価の判断が要る業務はAIの下書きまでにする。どちらも無く、月に何度も繰り返して材料がそろう業務が最初の候補になり、候補が複数あれば教室長が講習前に試す1業務を決める。

生徒の情報と送る前の判断が無く、材料のそろう業務だけが最初の候補に残る

  • 問1 生徒の氏名・成績・記録が入る

    最初の対象にしない。入力の決まりを作ってから扱う

  • 問1は「いいえ」、問2 送る前に法令・金額・評価の判断が要る

    AIは下書きまで。確定する人を決めて次の段階へ

  • 問2も「いいえ」、問3 月に何度も繰り返し、料金表・時間割表・FAQがそろう

    最初の候補。効果と手間で並べる

  • 問3で材料がそろっていない

    料金表やFAQを整えてから候補に戻す

  • 候補が複数残る

    教室長(複数教室なら経営者)が講習前に試す1業務を決める

問いに順に答えると業務ごとの区分が決まり、候補から1業務を選ぶ役は教室長に残ります。区分の仮置きはAIに頼めますが、問1と問2の答えは教室長が一覧の上で確かめます。

送る前に法令・金額・評価の判断が要る業務も、AIの下書きを読み直す人と時間を先に用意しないと回りません。月に何度も繰り返す業務なら、型が合わなくても次の週に人の手へ戻せます。

日本の企業に業務類型ごとの生成AIの活用を尋ねた2026年の国の調査では、「議事録・メール作成補助」の活用が約7割で最も高い結果でした。導入効果を実感した割合も、同じ類型で約7割です。

塾でこれに近いのは、問い合わせへの返信の下書きです。ただし受け付けた文面には保護者の氏名や連絡先が入るので、文面ごとAIに渡すのは避けます。料金・空き時間・体験の流れのように、よく聞かれる内容ごとに返信の型を作り、受付が宛名と個別の事情を書き足して送ります。

塾の業務棚卸しは、1週間の作業を時間帯で書き出す

塾の業務棚卸しは、開室前・授業中・閉室後・講習期の時間帯ごとに、1週間の作業を業務名・月の回数・1回の分数で書き出し、生徒の名前は一覧に入れないようにします。時間帯で区切るのは、授業中に受けた問い合わせが閉室後にたまるように、同じ業務でも量が出る時間がずれ、思い出すだけでは抜けるからです。

  • 開室前

    教材の印刷、時間割表の差し替え、欠席連絡の確認
  • 授業中

    問い合わせフォーム・LINE公式・電話での問い合わせ、入退室管理の確認
  • 閉室後

    問い合わせへの返信、学習記録の入力、保護者への連絡
  • 講習期

    講習の時間割づくり、告知文、講師の募集原稿

書くのは、開室前と閉室後を教室長、授業中の受付分を受付、授業前後の準備と報告を講師です。事務員のいない教室では教室長が全部を書きます。通常の1週間を書き終えたら、講習期だけに出る作業は去年の講習を振り返って足します。1行には、使う材料と確かめる人も書いておくと、後の並べ替えに使えます。

【説明用の架空の記入例】閉室後/体験の問い合わせへの返信/回数と分数は教室で数えた値/材料: 料金表・時間割表・FAQ/確かめる人: 教室長

この一覧は業務名と回数と分数だけなので、AIに渡して整理させられます。依頼文には次の指示を書きます。

  • 同じ業務の重複をまとめる
  • 1つの業務を「材料をそろえる・下書き・確認・送る」の作業に分ける
  • 材料の欄が空の業務は「未確認」と返す
  • 生徒の名前や点数が入る作業に印を付ける

返ってきた分け方は、教室長が印刷した一覧の上で直します。AIが1つにまとめた業務が、実は担当の違う2つの作業なら分け直します。

判断と生徒情報の有無で、業務を四つに分ける

塾の業務は、送る前の判断が要るかと生徒の情報が入るかで四つに分け、両方が無い業務だけを最初の候補にします。

区分 塾の業務の例 最初の扱い
判断なし・生徒情報なし 問い合わせの返信の型、講師の手順書の整理 最初の候補
判断あり・生徒情報なし 入会書面、合格実績入りの告知、講師の時給 下書きまで・確定者を決める
判断なし・生徒情報あり 成績の転記、出欠の集計、振替日程の連絡 入力の決まりを作ってから
判断あり・生徒情報あり 成績の評価、面談での提案、成績低下の連絡 AIは補助に留め人が担う

この表で、自分の教室の業務がどの区分に入り、最初の候補に何が残るかを決めます。「欠席連絡の確認」のように区分に迷う業務は、生徒の情報が入る側に入れて扱います。

生徒の情報が入らなくても、判断が要る業務を最初に選ぶと、確かめる人の手が空かずに止まります。期間と金額が政令の基準を超える塾の契約は特定商取引法の特定継続的役務提供に当たり、事業者には契約前と契約時の書面の交付が義務付けられています。

合格者数や「No.1」を入れた告知は、実際より著しく優良と示す表示を禁じる景品表示法の確認が要ります。講師の募集原稿の時給と勤務条件も、決めた条件と1字ずつ照合する作業です。

AIに任せる範囲は、問い合わせの一次対応、入会手続き、集客原稿、講師の求人原稿、成績の集計、保護者への連絡文の記事で業務ごとに扱っています。ほかの業務はAI活用の基礎・選び方と教育AI活用ジャーナルのトップから探せます。

教室の形によって、最初に見る区分が変わります。

  • 事務員のいない1教室: 授業中の問い合わせが閉室後にたまるので、返信の型から始める
  • 複数教室の本部: 教室ごとの業務の呼び方と数え方をそろえてから比べる。告知文の確定者は本部に1人

効果と手間で並べ、講習前に試す1業務を決める

候補が複数あるときは、月の回数×1回の分数で効果を、材料がそろっているかと確かめる人がいるかで手間を見て、教室長が講習前に試す1業務を決めます。単位は1か月あたりの分です。

手間は2点で見ます。料金表・時間割表・FAQが講習の内容まで更新されているか。AIの下書きを送る前に読み直す人が、その時間帯に教室にいるか。どちらかが欠けた業務は、効果が大きくても後に回します。

並べ替えはAIに頼めます。1か月あたりの分を計算させ、材料の欄が空の業務に印を付けさせます。そのうえで1業務を選ぶのは教室長です。講習期だけ量が増える業務は通常週の数では下位に沈むので、講習の申込が重なる時期の回数で並べ直すかどうかも教室長が決めます。

試す期間は講習の受付期間に合わせ、試す前の1週間と比べられるように数えます。数えるのは、選んだ業務の1か月あたりの作業時間(分)と、問い合わせを受けてから最初の返事を出すまでの時間です。

あわせて、返信の型を使った回数、受付が書き直した回数、誤案内の件数を記録します。誤案内が出た問い合わせの種類はその型を止めて人の返信に戻し、書き直しが続く型は料金表やFAQの側を直します。

成績や面談記録を扱う業務は最初の対象にしない

個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起で、生成AIのサービスに個人情報を含む指示を入れる前に、事業者が確かめる点を2つ挙げています。1つ目は、その入力が、生徒の情報について塾が特定した利用目的の範囲に収まっているかです。

2つ目は、入れた個人データが回答を返す以外の目的に使われないかで、本人の同意を得ずに入力してそう扱われれば、法の規定に違反するおそれがあるとしています。そのため、提供事業者が機械学習に使わないこと等の確認が要ります。

この確認が済むまで、次の業務は最初の対象から外します。

  • 定期テストの成績の転記と成績表
  • 面談記録と、面談前の成績の見立て
  • 授業後の学習記録の要約と、退塾の兆しの見立て
  • 保護者への個別の連絡
  • 入会書面と合格実績の表示(生徒の情報は無いが法令の確認が要る)

扱えるようになるのは、入力してよい情報の範囲と、使うAIサービスが入力を学習に使うかを確かめた後です。生徒の記録を外部のサービスに渡すなら、契約でサービス事業者が中身を取り扱わない旨が定められ、アクセスが適切に制限されているかを見ます。取り扱う契約なら委託と言えるかを確かめ、言えなければ第三者提供として本人の同意を得る必要があります。

氏名の列を受講番号に変えても、在籍名簿で本人に行き着く表は個人データのままです。詳しい確かめ方は学習記録のAI下書きの記事にあります。

文部科学省の生成AIのガイドライン(Ver.2.0)は、教職員や教育委員会などの学校教育関係者を主な読み手とした資料です。塾の入力の決まりは、このガイドラインではなく個人情報の保護に関する法律と使うサービスの契約から作ります。

棚卸しを教室で進めるか、外部と組むかの分かれ目

外の手が要るのは、教室が2つ以上あり、同じ「体験の問い合わせへの返信」でも教室ごとに回数の数え方や担当が違う場面です。数え方をそろえないまま区分を比べると、本部が選んだ1業務がどの教室でも効果の出ない業務になりかねません。

料金表や時間割表を改定するたびに返信の型も直す仕組みは、教室の手だけでは続きにくい作業です。生徒の記録を扱う区分の入力の決まりづくりも、AIサービスの契約と設定を読み合わせる仕事なので、外部と組む候補になります。

1教室で、料金表と時間割表の改定と返信の型の直しを同じ人が担えるなら、書き出しから1業務の選定までは教室長の手で進められます。外部と組むかを分けるのは、教室の数と、改定のたびに型を直す役を教室に置けるかの2点です。教室長が見るのは、選んだ業務の1か月あたりの作業時間(分)が試す前より減ったかどうかで、減らなければ型を止めて人の返信に戻します。

最初の候補の区分に入っていても、受付が宛名と個別の事情を書き足す手間が型の文面より大きい問い合わせがあります。兄弟の在籍や途中入会の相談は、型を使うより受付が最初から書いた方が早く済むことがあり、そうした問い合わせは候補から外します。

明日から始める3ステップ

  1. 担当 教室長(授業中の受付分は受付、授業前後の準備と報告は講師)

    来週の1週間、開室前・授業中・閉室後に分けて作業を書き出し、講習期だけの作業は去年の講習を振り返って足す

    次へ進む目安一覧の全行に業務名・月の回数・1回の分数・使う材料・確かめる人が入り、生徒の名前は1つも書かれていない

  2. 担当 教室長

    一覧をAIに渡して重複をまとめさせ、四つの区分に仮置きした結果を印刷した一覧の上で直す

    次へ進む目安すべての業務が四つの区分のどれかに入り、生徒の情報が入る業務と送る前の判断が要る業務に印が付いている

  3. 担当 教室長(複数教室なら経営者)

    最初の候補を月の回数×1回の分数で並べ、材料と確かめる人がそろった中から講習前に試す1業務を決める

    次へ進む目安試す1業務・試す期間・数える指標(月の作業時間〔分〕と一次対応までの時間)が教室の共有の表に書かれている

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  1. 01無料相談

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  2. 02進め方の提案

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出典

  1. 総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章第1節(3)生成AIの業務利用状況図表Ⅰ-2-1-7 業務類型ごとの生成AI活用状況と効果の実感(日本) 総務省 確認日 2026.10.27
  2. 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)e-Gov法令検索第41条(特定継続的役務提供の定義)・第42条(書面の交付) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.27
  3. 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)e-Gov法令検索第5条第1号(不当な表示の禁止) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.27
  4. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(1)個人情報取扱事業者における注意点 ①② 個人情報保護委員会 確認日 2026.10.27
  5. 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)e-Gov法令検索第25条(委託先の監督)・第27条第1項(第三者提供の制限) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.27
  6. 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」はじめに(ガイドラインの位置付け及び構成) 文部科学省 確認日 2026.10.27

編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり

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