人材紹介の求人情報チェックはAIが表示の誤りを拾い、停止は責任者が決める
充足した求人がまだ媒体に載っていて、求職者からの問い合わせで初めて気づくことがあります。公開前の求人票の点検をどの日に終え、明示事項の空欄や紛らわしい表示を見つける作業をAIにどこまで預けるかを、職業安定法と施行規則が職業紹介事業者に求める措置から組み立てます。

先に結論
求人情報のチェックでAIに回すのは、明示事項の欄ごとに申込書の値と求人票の値を並べること、誤解表示や年齢・性別を限る語に印を付けること、充足や変更の連絡を止める候補と直す候補に分けることです。公開してよいか、止めるかの判断は出力から外します。
空欄と印はRAが企業に確かめ、公開を決めるのは求人部門の責任者です。指摘が出なかった求人でも、職種名と賃金の上限は企業に聞いてから公開します。
公開後は、受理日か確かめた時点のどちらを表示するかを企業ごとに決めます。充足とはっきり書かれていない連絡は保留に置いてRAが確かめ、停止までの日数が縮まない企業から、連絡の受付窓口を直します。
求人票の点検は掲載を下ろす日まで終わらない
職業紹介事業者に求められる措置は公開した後の求人にもかかるので、全媒体で掲載を下ろした日が点検の終わりです。公開と停止をAIの照合に預けないのは、企業に聞かないと分からない事実が判断に入るからです。
職業安定法第5条の4の第1項は、求人について偽りの表示や誤解を招く表示を禁じています。同じ条の第3項は職業紹介事業者に、載せた情報を最新で誤りの無い状態に保つ措置を講じさせています。
AIの照合で見つけられるのは、申込書と求人票の文字の食い違いまでです。申込書に「一般事務」とある求人なら、AIは求人票の「事務職」を食い違いとして挙げません。
実際には外回りの営業が中心なら、厚生労働省のQ&Aが誤解表示の例に挙げる形と同じです。実際の業務や払う見込みのある賃金は企業に聞かないと分からないので、指摘が出なかったことは公開を決める材料の一つにとどまります。
担当が替わる2か所で点検が途切れやすい
求人1件の点検は、企業から求人の申込みを受けた日に始まり、全媒体で掲載を止めた日に終わります。途中で企業へ戻す場面が2か所あり、どちらも企業の返事が来るまでは公開も停止も決めません。
図の要点:求人1件の点検を、申込みの受理から掲載の停止までの9つの工程で示した流れ。RAが申込書と採用要件シートを受け、求人担当が求人票を作る。AIが明示事項の欄ごとの空欄と申込書との食い違いを出し、誤解表示や年齢・性別を限る語に印を付ける。RAが空欄と印を企業に確かめ、求人部門の責任者が公開を決める。求人担当が充足や変更の連絡を共有の受信箱に集め、AIが止める候補と直す候補に分けて「一旦ストップ」は保留に回し、責任者が全媒体で止めるか直すかを決める。
申込書に無い値は原稿で埋めず、RAが企業へ戻す
-
求人の申込みを受ける
申込書・採用要件シート・メール
RA
-
求人票を作る
求人管理システムの様式に入れる
求人担当
-
欄ごとの空欄と食い違いを出す
明示事項の欄名と申込書を並べる
AI
-
誤解表示や年齢・性別の語に印を付ける
似ている型の名前を添える
AI
-
空欄と印を企業に確かめる
戻す: 申込書に無い値はRAが聞く
RA
-
公開を決める
直さない指摘には理由を1行
求人部門の責任者
-
充足・変更の連絡を受付窓口に集める
メールと電話メモを共有の受信箱へ
求人担当
-
止める候補と直す候補に分ける
戻す: 「一旦ストップ」は保留に
AI
-
全媒体で止めるか直すかを決める
求人の時点の表示も直す
求人部門の責任者
5番と7番は、担当が替わるところで止まりやすい工程です。5番では、RAが企業の返事を待つあいだに求人担当が原稿を公開待ちに回すと、空欄が推測の値で埋まります。7番では、充足の連絡がRA個人のメールで止まると、媒体の管理画面まで伝わりません。
明示事項の空欄は欄名で、誤解表示は語で見つける
明示事項の空欄は、欄名の一覧があれば機械的に見つけられます。誤解表示と年齢・性別の限定は、似た語に印を付けるところまでで、当たるかどうかは条文と申込書を見た人が判断します。
明示事項は、職業安定法施行規則第4条の2第3項に並ぶ11の事項です。業務の内容と就業の場所は、どちらも変更の範囲まで要ります。労働契約の期間、試用期間、始業と終業の時刻・時間外労働の有無・休憩・休日、賃金の額も入ります。
残りは、4つの保険の適用、雇う者の氏名か名称、受動喫煙を防ぐ措置です。更新のある有期の求人では更新の基準と上限、派遣の求人では派遣労働者として雇用する旨も要ります。有期でも派遣でもない求人なら、この2つは空いていてよい欄としてAIの一覧から外させます。
試用期間中と試用期間の後で業務の内容や賃金が違う求人は、それぞれを示すことになっています(同条第6項)。申込書に試用期間の条件が1行しか無ければ、AIには「試用期間中の条件の有無」を空欄として返させます。
誤解を生む表示は、職業安定法第5条の4第1項が虚偽の表示と並べて禁じています。厚生労働省のQ&A(問2-2)は、虚偽でなくても一般的・客観的に誤解を生じさせる表示なら当たると答えているので、印の型はQ&Aの例から作ります。
- グループ会社の実績を、求人企業の実績のように大きく書く
- 請負の案件を、雇用の募集と同じ表示で載せる
- 給与の高い社員の基本給を、全員の基本給のように書く
- 固定残業代の時間数を示さず、基本給に含めて書く
- 営業が中心の業務を、事務職と表示する
賃金に幅を持たせること自体は認められています。一方で、幅の上限を実際より高い賃金が払われる可能性があるように見せると、誤解表示に当たります(問2-3)。虚偽の広告や虚偽の条件で職業紹介を行えば第65条第9号の罰則(6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金)もあるため、賃金の上限は企業に確かめる欄として扱います。
年齢と性別を限る語は、例外を条文で確かめる
3つ目の観点は、募集と採用の段階で年齢や性別を限る表示です。性別にかかわりなく均等な機会を与えること(男女雇用機会均等法第5条)と、年齢にかかわりなく均等な機会を与えること(労働施策総合推進法第9条)が求められます。年齢には省令で決まった例外があるので、「35歳まで」に印が付いた求人は、例外に当たるかを人が条文で確かめます。
AIが書いた求人票は申込書と並べて確かめる
生成AIに求人票を書かせると、渡していない値が整った文で埋まって返ってくることがあります。勤務時間の「9:00〜18:00」、転勤の「なし」、手当の一覧、社員の声、選考の段取りなどです。どれも読んだだけでは、渡した値か創作かが見分けられません。
確かめる相手は、企業から受けた求人の申込みです。職業安定法第5条の3第2項は、求人者が職業紹介事業者に申し込むときに、業務の内容や賃金などの労働条件を明示するよう定めています。その申込みの記録が、点検で照合する相手です。
照合に使うのは、求人申込書、採用要件シート、企業とのメールです。AIが書いた文面を別のAIに読ませて整っているかを見ても、創作は見つかりません。原稿づくりそのものをどこまで機械に任せるかは、原稿を社内で書くか制作会社に出すかの比べ方で扱っています。
AIに返させる形は、明示事項の欄ごとの「申込書の値」「求人票の値」「空欄か食い違いか」の3つです。空いた欄を推測で補うことと、公開してよいかを書くことは出力から外します。
求人部門の責任者は、指摘の出なかった求人でも、職種名と賃金の上限だけはRAに企業へ確かめさせてから公開を決めます。印が付いたのに直さないと決めた指摘には、理由を1行残します。「年齢の例外(省令)に当たる」「幅の上限は昨年度の実績」のような理由がたまれば、印の型を見直す材料になります。
型の照合まで回すかは、求人の出し方で変わります。企業の採用ページの文面を預かって載せるだけの求人なら、明示事項の空欄に絞っても大きくは外れません。賃金の幅や職種名を自社で書く紹介求人なら、型の照合まで回したほうが、面接の場で条件の食い違いが見つかる件数を減らせます。
ただし、申込書を受けずに電話の聞き取りだけで求人票を作っている部門では、照合する資料がありません。AIを入れる前に、RAが聞き取った条件を採用要件シートに残す形へ直すほうが先です。
充足・条件変更の連絡で掲載を止める
企業から充足か条件変更の連絡が届いたら、職業紹介事業者は遅滞なく掲載を止めるか直します。施行規則第4条の3第4項が並べる、公開後の措置は次の3つです。
- 企業から提供の中止や内容の訂正を求められたら、遅滞なく中止か訂正をする
- 正確でない、または最新でないと確認したら、遅滞なく企業に訂正の有無を確かめるか、提供を中止する
- 定期的に最新かどうかを企業に確かめるか、求人の情報の時点を明らかにする
3つ目は、定期的に確かめるか時点を示すかのどちらかを選べるので、どちらを取るかを企業ごとに決めます。Q&A(問2-9)は、求人の申込みを受理した日を示せば時点を明らかにする措置になるとしており、変更した時点や最新だと確認できた時点を示すことも認めています。
確かめる頻度に特段の定めは無く、一定の期間を設けて確かめる必要があるとされています(問2-8)。条件の変更がほとんど無い企業の求人なら、受理日の表示で足ります。賃金や勤務地をたびたび動かす企業では、受理日だけだと古い条件が最新に見えるので、確かめた時点を表示し、間隔も短く取ります。
連絡の文面から止める候補と直す候補を分ける作業は、AIに向きます。気をつけたいのは、企業が「一旦ストップで」と書いてきた連絡を充足と読み違えることです。まだ受けてよい求人を下ろしてしまうので、充足とはっきり書かれていない連絡は保留の欄に入れさせ、RAが企業に確かめます。
連絡の受付窓口を1つにまとめるまでは、AIが読める連絡は一部に限られます。その間は、停止候補の一覧に載らなかった求人も、公開中の一覧から人が確かめます。保留の欄に何日も前の連絡が残っていれば、その求人は止めるか直すかが決まらないまま載り続けるので、求人部門の責任者は保留の欄を読む当番を決めておきます。
停止までにかかった日数を、月末に企業別に並べる
公開後の点検が回っているかは、充足の連絡が届いた日から全媒体で掲載が下りた日までの日数に出ます。1か月分を月の終わりに企業別に並べ、日数が前の月より縮んだ企業は今の受付窓口のまま続けます。縮まない企業は、その企業の連絡がRA個人の受信箱・電話のメモ・保留の欄のどこで止まったかをたどり、止まった場所へ戻って受付窓口を直します。
縮まない企業が複数あるときは、公開中の求人の数で直す順番を決めます。止める手間は新しく出す求人の数ではなく公開中の求人の数で膨らむので、公開中の件数が多い企業から着手します。
保留の連絡が残り続けたら、停止の受付窓口を外部と作り直す
保留の欄に何日も前の連絡が毎週残るようになったら、求人部門の手で止める作業は回り切っていません。AIが充足と読み切れなかった連絡をRAが企業に確かめる手間が、新しい求人の対応に押されて後回しになっているからです。
保留の欄が月末に空になる月が続いているうちは、共有の受信箱と当番の決め事を足していくだけで、取引する企業が増えても同じ形で止められます。外部を入れる理由は、まだありません。
空にならない月が続いたら、充足の連絡を読み取り、求人管理システムと各媒体の管理画面に止める候補を並べるまでを仕組みにする時期です。この作り込みはAIエージェント開発が扱い、印の型や直さない理由の見直しを毎月一緒に進める相手が要るならAI顧問という形もあります。
明日から始める3ステップ
担当 求人担当
求人管理システムの様式から明示事項の欄名の一覧を起こし、有期でも派遣でもない求人で空いてよい欄に印を付ける
次へ進む目安欄名の一覧に、試用期間中の条件と、業務と就業場所それぞれの変更の範囲の行まで入っている
担当 求人部門の責任者
企業ごとに、受理日を示すか確かめた時点を示すかを決め、充足や条件変更の連絡を送る共有の受信箱を企業に知らせる
次へ進む目安宛先を知らせた企業の充足の連絡が、RA個人のメールではなく共有の受信箱に届いた
担当 求人担当
停止した求人1件ごとに、充足の連絡が届いた日と全媒体で掲載が下りた日を残し、月の終わりに企業別に並べる
次へ進む目安日数の長い企業ごとに、連絡が止まった場所(個人の受信箱・電話のメモ・保留の欄)を1行で書けた
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01無料相談
求人票・スカウト・面談記録から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- 職業安定法(昭和22年法律第141号)(第5条の3第1項・第2項・第5条の4第1項・第2項・第3項・第65条第9号) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)(第4条の2第3項・第4条の3第4項・第4条の2第6項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 厚生労働省「令和4年 改正職業安定法Q&A」(問2-2・問2-3・問2-8・問2-9) 厚生労働省 確認日 2026.09.28
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第5条(第5条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第9条(第9条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
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