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販売商談

中古車商談の提案資料はAIで組み立て、営業が確かめる

初回商談のあとに営業が作る提案資料を、書き起こしから次の商談の記録まで7工程に割ります。

編集 BoostX編集部2026.08.247分で読めます

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この記事の要点

  • 初回商談のあとに営業が作る提案資料を、書き起こしから次の商談の記録まで7工程に割ります。
  • 要望の整理、条件に合う在庫の抽出、装備と維持費の比較表づくりはAIに渡せます。
  • 提案する車両の選定、値引きと下取り額、支払総額の示し方は営業に残ります。

定義対象は、来店または電話で要望を聞いたあと、次の商談までに営業が提案資料と比較表を作る業務です。

資料が膨らむのは、比べる軸が多いからです。自動車検査登録情報協会の平均車齢は乗用車(軽を除く)で9.44年、平均使用年数は13.35年です。長く乗る前提で選ぶ人には、価格だけでなく車両の状態、整備履歴、維持費まで並べることになります。枚数が増える理由はここにあり、増えた分だけ営業の準備時間が削られます。

削られるのは時間だけではありません。準備が間に合わないまま次の商談に入ると、比較の軸が曖昧なまま値引きの話に流れます。支払総額の内訳を誤れば、契約の直前に条件を作り直すことになり、表示の指摘まで受けかねません。

提案資料の準備はどこで膨らむのか?

対象は、来店または電話で要望を聞いたあと、次の商談までに営業が提案資料と比較表を作る業務です。成約後の契約書類は含みません。読むのは中古車販売店の経営者、店長、営業責任者を想定しています。

同じ「資料」でも、起点と中身が違う3つが並んでいます。どれを分解するのかを先に決めないと、着手先がぶれます。

業務 起点 担当 入力と成果物 使うシステム・帳票
候補車両の比較資料 初回商談の終了 営業 商談メモ・在庫→比較表と状態説明 顧客管理、在庫管理、商談メモ
支払条件の一覧 下取り査定の確定 営業、店長 車両価格・諸費用・査定→支払条件 見積システム、信販の条件表
商談後の記録 商談の終了 営業 顧客の反応→商談記録と次の方針 顧客管理、商談メモ

例外はこの表の外に出します。候補車両が自社在庫に無い場合、下取り額が想定と離れた場合、家族の同席で条件が変わった場合、納期が読めない車両です。例外を同じ資料に混ぜると、作り直しが一度で済みません。

言葉の範囲をそろえます。提案資料づくりとは、初回商談で聞いた要望から候補車両を絞り、車両の状態と整備履歴と支払条件を同じ軸で並べ、次の商談で使う比較表と説明の材料にまとめるまでの仕事です。要点は3つです。

  • 候補の絞り込み、比較表の組み立て、説明文と維持費の下書きはAIに渡せます
  • 薦める車両と伝え方、支払総額と支払条件の確定は営業が持ちます
  • 在庫データに整備履歴と修復歴が入っていない店は、資料づくりより在庫情報の整備が先です

初回商談の直後から次の商談までを順に追う

ここからは候補車両の比較資料だけを、商談の書き起こしから次の商談の記録までの時系列で7工程に割ります。担当と帳票を先に固定し、そのうえでAIが解決することと人が決めることを分けます。

工程 担当 使う帳票・システム 量か時間 詰まるところ
1 商談の内容を書き起こす 営業 商談メモ、顧客管理 商談1件につき1回 翌日に回すと思い出す時間が加わる
2 条件に合う在庫を探す 営業 在庫管理、グループ在庫 絞り込みの条件が増えるほど時間が延びる
3 車両ごとの情報を集める 営業 評価点、修復歴、整備履歴 情報の置き場所が車両ごとに違う
4 諸費用と維持費を調べる 営業 登録費用、税、自賠責の資料 候補台数と条件の数の掛け算になる
5 支払条件を並べる 営業、店長 見積システム、下取り査定 条件を1つ増やすたび作り直しが出る
6 資料に組み立てる 営業 店舗の資料の型 判断が少ない割に体裁の時間が長い
7 商談で説明し記録を残す 営業 提案資料、顧客管理 記録が後回しになり、聞き直しが増える

「量か時間」が「—」なのは、工程ごとの所要時間を示す公的統計が無いためです。導入前に自社で2週間測り、この欄を自社の数字で埋めます。

工程 AIが解決すること 人が決めること 失敗したときの損失
1 商談メモから予算・用途・希望装備・懸念を項目に分ける どこまで書き残すか、次の提案の方針 記録が薄く、次の商談で同じことを聞き直す
2 要望の条件に合う自社在庫とグループ在庫を並べる 候補に入れる車両と、外す車両 条件に合う在庫を見落とし、他店の提案に負ける
3 年式・走行距離・装備・評価点・整備履歴を車両ごとに集める どの情報を出すか、実車との差の扱い 掲載情報のまま書き、査定票や実車と食い違う
4 登録費用・税・自賠責・次回車検までの期間を車両ごとに出す どこまで概算で示すか、注記の書き方 概算のまま提示し、契約前に金額を作り直す
5 車両価格・諸費用・下取り額から支払総額と回数別の額を組む 値引きと下取り額、提示する回数の組み合わせ 支払総額の示し方を誤り、成約後の不信になる
6 比較表と状態説明を店舗の型に流し込む 見せ方と並び順、どの順で出すか 体裁づくりに時間を取られ、提案が翌日に回る
7 顧客の反応から商談記録の下書きを起こす 提案の順番、条件の出し方、次の一手 担当が交代したときに引き継げない

色枠がAIの担う工程、灰色が営業と店長が確定する工程、右上の三角が失敗の起きやすい工程です。

提案資料の7工程の図。色枠はAIが担う工程。灰色は人が確定する工程。三角は失敗が起きやすい工程。商談を書き起こす条件に合う在庫探車両情報を集める諸費用と維持費支払条件を並べる資料に組み立てる説明し記録を残すAIが担う人が確定する両方失敗が起きやすい工程
提案資料づくりを商談直後から次の商談まで7工程へ割った図
  • AIで消える工程:工程6のうち、材料を店舗の型に流し込んで体裁を整える動きが消えます。
  • 短くなる工程:工程1の書き起こしと工程3の情報集め、工程4の費用の算出が短くなります。
  • 新しく増える確認工程:提示の前に修復歴と走行距離を査定票と照らす工程が入ります。支払総額の示し方を店長が確かめる工程も足します。

AIが組む比較表と、営業が確かめる支払条件

左の色枠がAIの下書きする仕事、右の灰色が営業と店長が確定する仕事です。矢印の位置が止めどころで、資料を顧客に見せる前に査定票と照らします。

AIと人の境界図。左はAIが下書きする仕事。右は営業が確定する仕事。中央が止めどころ。AIが担う(写す・比べる・下書き)人が確定する商談メモから要望を整理条件に合う在庫を並べる車両の状態と履歴を集める諸費用と維持費を並べる比較表の体裁を作る提案する車両の選定値引きと下取り額支払総額の示し方修復歴と走行距離の照合提案の順番と次の一手確定止めどころ提示の前に査定票と照合
提案資料でAIが組む材料と、営業が確かめる条件の切れ目

提案する車両の選定は人に残します。条件で並べた候補のうち、どれを先に見せるかは顧客との会話の流れで変わります。家族の同席で条件が動くことも、名簿にも在庫にも載りません。値引きと下取り額も、現車を見た査定と店の在庫の状況で決まる判断です。

支払条件の説明も人が行います。ローンが絡む提案では割賦販売法の定めがあり、条件の説明の責任は販売店にあります。AIが作った支払総額の表で説明を代替しません。在庫サイトや広告の表示には業界の表示基準があり、表示の責任も販売店にあります。修復歴と走行距離は査定票と照合してから資料に載せます。

顧客の氏名や連絡先、下取り車両の情報を外部のAIサービスへ送ってよいかも決めます。個人情報の保護に関する法律の扱いとして、社内で範囲を文にします。

本メディアでは、支払条件の組み立てまでAIに任せる設計は勧めません。理由は、支払総額の示し方の誤りが成約後の不信に直結するためです。前提は、見積システムと在庫管理が別々に動いている店を想定していることです。見積システムが諸費用の設定まで一元で持っている店なら、この判断は緩められます。

着手先は判断の少ない工程から選ぶ

着手先は、判断を含むか、データがあるか、失敗の損失がどこに出るか、の3つで決めます。工程3の情報集めは判断をほとんど含まず、材料は在庫管理と整備履歴にあり、失敗しても資料の段階で止まります。工程5の支払条件は逆で、失敗が顧客に届きます。だから工程3が先で、工程5は最後です。

車両の評価点と整備履歴が在庫管理に紐づいている店なら、工程3からそのまま着手できます。評価点が紙の査定票にしか無い店なら、着手を工程1に変え、商談メモの書き起こしから始めます。グループ在庫を共有している店では、工程2の抽出の効きが大きくなります。

軽自動車と低年式車が中心で、比べる軸が価格と走行距離に絞られる店では、工程4の効果は小さくなります。商談メモを残す習慣が無く、記憶で次の商談に入る店なら、AIは入れない方がよい店です。書き起こす材料が無く、資料の作り直しは減りません。

本メディアでは、着手は工程1の書き起こしと工程3の情報集めを同時に進めるべきだと判断します。理由は、書き起こしが薄いままでは工程2の抽出条件が作れないためです。商談記録を営業全員が同じ様式で残している店では、工程3だけを先に入れても構いません。

2週間の試行は候補3台までで回す

  1. 対象を絞ります。自社在庫だけを候補にし、工程1と工程3を試します。グループ在庫と取り寄せは外します。
  2. 導入前を測ります。同じ営業で2週間、資料1件あたりの準備時間と、作り直した回数を控えます。
  3. 元データを出します。在庫管理の車両一覧と評価点、整備履歴、諸費用の設定、商談メモの様式を書き出します。
  4. 候補の数を決めます。1件の資料につき候補は3台までとし、増やさずに回します。
  5. 確認の型を決めます。営業は「修復歴」「走行距離」「評価点」「次回車検までの期間」の4点を査定票と照らします。
  6. 合格の線を先に置きます。店長が「資料の作り直しが導入前を下回る」を開始前に決めます。
  7. 2週間後に並べます。導入前と導入後を同じ表に置き、諸費用まで広げるかを店長が決めます。
測る指標 測り方 合否の見方
資料1件あたりの準備時間 工程1の開始と工程6の終了を営業が控える 導入前の平均を下回る
作り直した回数 提示前に候補や条件を組み直した回数を数える 導入前を下回る
次の商談での聞き直しの数 商談記録に残らず再度聞いた項目を数える 導入前と同じか下回る

商談記録の残し方と承認を本番の前に置く

承認は、資料の提示を営業が押し、支払条件は店長が確かめる形にします。誰が確定したかを記録に残すと、金額の根拠を後からたどれます。商談の音声を使う場合は、録音の同意を先に取る手順を決め、営業全員が同じ順序で行います。

記録は、要望の整理、候補に入れた車両、外した理由、提示した条件、顧客の反応をひと続きで残します。提示した内容だけを残すと、次の担当が同じ候補を並べ直します。外した理由が残っていれば、二度目の提案が早くなります。

拡張は、同じ商談記録を使う隣の業務へ広げます。次は下取りを含む見積の下書き、その次は契約書への転記です。指標が導入前を下回る状態が2か月続いてから移します。

失敗は掲載情報の流用と支払総額で起きる

工程3の失敗は、掲載用の文言をそのまま資料に写したときに起きます。修復歴や走行距離が査定票や実車と食い違うと、商談の場で説明が崩れます。資料に載せる前に、査定票の4点と照らす工程を型に組み込みます。

工程5の失敗は、条件を増やしたときに出ます。回数別の支払額を並べるほど、どの条件の総額なのかが読めなくなります。支払総額を先に置き、回数別の額はその内訳として示す並びに固定します。

日本自動車工業会の2025年度乗用車市場動向調査では、買い替えのきっかけで最も多い回答は「一定の基準に達した」で27%です。複数回答のため割合どうしは足せません。車検や走行距離を節目に動く人に対しては、次回車検までの期間と維持費を資料の前のほうに置くと、比較の軸がそろいます。

出典

  1. 日本自動車工業会「2025年度 乗用車市場動向調査」(2026年4月14日公表) 日本自動車工業会 確認日 2026.09.22
  2. 自動車検査登録情報協会「平均車齢」(令和7年3月末) 自動車検査登録情報協会 確認日 2026.09.22
  3. 割賦販売法(昭和36年法律第159号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  4. 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22

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