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製造の見積にAIを使う前に、過去見積の残り方で届く段を決める

AIは図面の項目と過去見積の候補を並べ、参考の1件は技術課長、金額と納期は営業部長が決める

見積でAIが出せるのは原価の候補までで、届く段は過去見積と実際原価のつながりで変わる。自社の残り方を表に当てれば、試す段と差し戻しの基準が定まる。

更新  約7分で読めます 編集 BoostX編集部 運営 株式会社BoostX(AI導入支援)

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製造業の見積をAIにどこまで任せるか 原価の候補までが線

30秒でわかること

  1. 何が問題か

    過去見積は通った値で、儲かった値ではない。原価とつながらないまま候補を並べると赤字の案件が上に来る。

  2. 何を見れば判断できるか

    過去見積の残り方と、今回の図面で材質や表面処理が変わったかどうかで、AIが届く段が分かれる。

  3. 誰が何をすれば解決するか

    参考の1件は技術課長、原価は技術担当、利益率と金額は営業部長が確定し、AIは項目と候補と転記まで。

差し戻しが集まるのは、参考にする1件を決める段

見積の10工程のうち、AIの候補が人の判断にいちばん強く効くのは、参考にする過去見積の1件を技術課長が決める段です。工程の数え始めは営業担当が引き合いを台帳に登録した時点、数え終わりは見積書を送付した時点です。

図の要点:営業・生成AI・技術担当・技術課長の4列で見積の10工程を並べた図。営業担当が引き合いを台帳に登録し、AIが図面の項目を一覧にし、技術担当が図面と照らす。AIが条件の近い過去見積を並べ、技術課長が参考の1件を決め、材質か処理が違えば積み上げ直しへ戻す。AIが工程と工数の候補を積み、技術担当が当月の単価表で原価を確定し、営業部長が利益率と金額と納期を置いて承認し、営業担当が送る。

参考にする1件を技術課長が決めるまで、AIの候補は金額に進まない

営業

生成AI

技術担当

技術課長

  1. 営業

    営業担当が引き合いを台帳に登録し、図番と版を確かめる

    戻す版が不明なら客先に問い合わせる

  2. 生成AI

    表題欄と注記から材質・寸法・公差・処理を一覧にする

    手書きの注記は読み落としが増える

  3. 技術担当

    一覧を図面と1項目ずつ照らし、採否を決める

  4. 生成AI

    条件の近い過去見積を並べ、材質と処理の違いに印を付ける

    推薦の一文は付けない

  5. 技術課長

    参考にする1件を決める

    戻す材質か処理が違えば積み上げ直しへ

  6. 生成AI

    工程の候補、標準工数、材料の数量を積む

  7. 技術担当

    材料単価表の当月版で原価を確定し、差分の見込みを書く

  8. 営業

    営業部長が利益率と金額を置き、生産管理課長に納期を確かめる

  9. 生成AI

    見積書様式に金額・条件・根拠の案件番号・単価表の版を転記する

  10. 営業

    営業部長が承認し、営業担当が送付する

    戻す転記の食い違いは技術担当へ

図の10段を通さない引き合いもあります。前に見積を出した品番で、図番も版も前回と同じ再見積です。技術課長は前回の案件を参考の1件にそのまま置き、技術担当は当月の単価表で材料費だけを積み直します。候補を並べる段に書いた「推薦の一文は付けない」は、並び順が推薦に見えて技術担当が上の1件しか開かなくなるのを防ぐ指示です。

「図面を入れると価格が出る」とうたう製品を使っても、利益率を載せて金額にする手は、受注するか、その客先との取引をどう続けるかの判断と切り離せません。それでも、見積フォルダを品番と客先名で探す時間と、見積書への転記は手を離れます。

納期の候補日をAIが並べてよいのは、負荷表が当週の版で更新されている工場に限ります。月初に作ったままの負荷表なら、並ぶ日付は実態より早めです。負荷表を当週の版に保つ段取りは、週次の負荷表と標準工数の見直し方と同じ順番で組めます。

過去見積の残り方で、AIが届く段は3通りに分かれる

AIが届く段は、過去見積が実際原価とつながっているかで変わります。見積金額は通った値で、儲かった値ではありません。実際原価の列が無いと、赤字で終わった案件が候補の上位に来ても、技術担当は気づけません。

過去見積の残り方 AIが届く段 先に整えるもの
見積Excelと実際原価表が案件番号でつながる 原価の候補を積む段まで 候補の一覧に実際原価の列を足す
見積Excelは1つのフォルダにあるが、原価は品目別の月次だけ 過去見積を並べる段まで 案件単位で実際原価を拾える形
見積が担当者のパソコンや紙の控えに散っている 図面から項目を拾う段まで 見積を1つのフォルダへ集め直すこと

自社がどの行に当たるかで、AIを試す段が決まります。見積の集め直しも案件番号の振り直しも、検索の仕組みを入れる前の作業で、外に頼んでも客先ごとの事情を知る社内の担当者の時間は残ります。

もう一つ効くのは、品番の繰り返し方です。多品種の一品物が中心の工場では、過去見積を探す段がいちばん長く、AIを当てたときの差も大きく出ます。ただし、同じ客先の繰り返し品が大半で、技術課長が単価を覚えている工場では、探す時間がもともと短く、回答までの日数は動きません。その場合は、検索の仕組みより客先ごとの単価表の整備が先です。

見積も請求書も社長が一人で打っている町工場なら、見積だけでなく注文書の照合や転記も含めて入口を選びます。その選び方は、町工場で最初に触る帳票の選び方で確かめられます。引き合いの台帳や受注登録の記事は見積・受注に集めてあり、生産計画から出荷までは製造業AI活用ジャーナルの入口から探せます。

材質と表面処理が変わる図面は積み上げ直す

候補に並んだ案件と今回の図面の違いは、性質で二つに分かれます。数量が50個から200個に増えた違いなら、段取り費を何個で割るかを変えれば、過去の見積から組み直せます。

材質がSS400からSUS304へ変わった違いは別物です。材料単価だけでなく、切削条件も刃物の持ちも変わり、過去の加工費に係数を掛けても届きません。三価クロメートからニッケルめっきへ変わる表面処理も同じで、外注先も単価も変わります。

こうした図面は、技術担当が材料単価表の当月版と標準工数表から積み上げ直します。過去見積は、工程の抜けを確かめる控えとして横に置くだけです。候補の一覧に材質と表面処理の列を必ず持たせ、今回と違う行に印を付けさせるのはそのためです。

印は目安にすぎません。印の付かない行も、技術担当が図面と照らしてから採否を決めます。

顧客仕様書から図面を起こす受注設計の案件では、見積の前に要求仕様整理表の未記載の行を顧客へ確かめる設計の段が入ります。仕様の固まらない図面で原価を積まずに済みます。

図面の版の違いは、これより軽い問題です。ファイル名に版数が入る取引なら、引合台帳の受付欄へ版数を書き写すだけで旧版の見積を防げます。版の分からない名前で届く取引では、営業担当が受付の時点で客先へ確かめます。

専用の見積AIと汎用の生成AIは探し方で分ける

類似図面の検索や見積の計算を支える専用製品か、汎用の生成AIかは、図面の枚数と、形で探したいかどうかで分かれます。専用製品のSellBOTは、公式サイトで月額10万円からと示し、初期導入費は別途としています。税の扱いと契約期間の表記はありません。

汎用の生成AIは1人ごとの席の契約です。製品ごとの月額は、生成AIツールの料金比較と帳票の渡し方で並べて比べられます。形の似た図面を画像で探したい工場なら、専用製品が候補になります。材質や処理の文字で探せば足りる工場は、汎用の席と見積Excelの整理で始め、過去見積を探す段が詰まった時点で専用製品を比べます。

どちらを選ぶ場合も、客先の図面を外部のサービスに入れてよいかは、客先と結んだ秘密保持契約で変わります。図面PDFを送る前に、営業担当が図面を外へ出せない客先を契約から拾い、台帳に印を付けておきます。

取適法の価格協議に見積の根拠を残す

材料や外注の単価が上がり、受託する側が見積を出し直して協議を求める場面で、見積の根拠が効きます。下請代金支払遅延等防止法は改正で中小受託取引適正化法(取適法)となり、2026年1月1日に施行されました。親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者に呼び名が変わっています。

第5条第2項第4号は、中小受託事業者が代金の額の協議を求めたのに、協議に応じず、または必要な説明や情報の提供をせずに、一方的に額を決めることを禁じています。

第5条第1項第5号は、同種または類似の給付に通常支払われる対価に比べ、著しく低い額を不当に定めることを禁じる条文です。対象の取引かどうかは、双方の資本金や従業員数の区分で決まるので、自社の取引が当たるかを先に確かめます。

条文が定めるのは委託事業者の側の禁止で、受託する側が何を持って協議に臨むかは書いていません。実務で材料になるのは、今回の見積がどの案件を根拠にし、材料単価表のどの月の単価で積んだかという記録です。見積書の控えに案件番号と単価表の版を残しておけば、半年後の値上げの申し入れで差の理由を1行で示せます。

自社が熱処理やめっきを外注へ出す取引では、立場が逆になります。その外注が取適法の対象になる取引なら、自社は委託事業者です。製造委託等をしたら直ちに給付の内容、代金の額、支払期日、支払方法などを書面か電磁的方法で明示します(第4条第1項)。給付や受領、支払などを記載した書類の作成と保存も義務です(第7条)。

注文書の下書きをAIに作らせても、明示する欄が埋まっているかは購買担当が確かめます。

金額欄まで下書きしてよいのは単価契約品

客先と年間の単価表を取り交わした繰り返し品なら、品番と数量から単価表を引き当て、金額欄まで下書きさせて構いません。金額が契約で決まっていて、見積の段に残る判断が、どの単価表のどの数量区分かの引き当てだけになるからです。営業担当は、単価表の改定日と数量区分を確かめて送ります。

同じ品番でも、過去見積を探す段からやり直す注文があります。図面の改訂記号が単価表を結んだときと変わった品番、数量が区分から外れた注文、単価の改定を協議している最中の品番の三つです。この三つは、技術担当が積み上げ直し、営業部長が金額を置きます。

単価表の外から届く引き合いは、過去見積を探す段がいちばん長く、候補の当たり外れも技術担当が図面で見分けやすいので、試しの題材に向きます。見積が担当者のパソコンや紙の控えに散っている工場では、技術課長が試す前に1つのフォルダへ集め直させます。

差し戻しの中に材質か処理の違いの見落としが混ざる週は、候補の一覧の材質と表面処理の列が、図面の注記どおりに拾えているかへ戻って確かめます。

明日から始める3ステップ

  1. 見積フォルダと原価表を開き、残り方の表の3行のうち自社がどれに当たるかを確かめる

    担当
    技術課長
    次へ進む目安
    AIを試す段が、原価の候補・過去見積の並べ・図面の項目拾いのどれか1つに決まった
  2. 単価表の外から届いた引き合いで、過去見積の候補を材質と表面処理の列つきで並べさせ、今回の図面と照らす

    担当
    技術担当
    次へ進む目安
    1か月分の引き合いで、候補の一覧が図面の注記どおりに材質と処理を拾えていた
  3. 参考の1件を決める段で差し戻した件数と、そのうち材質か処理の違いを見落とした件数を週ごとに控える

    担当
    技術課長
    次へ進む目安
    次の1か月の引き合いで見落としが0件だったことを技術課長が控えで確かめ、見積書への転記の下書きにAIを使い始める日を決めた

この記事の見方を、自社に当てはめる

得られるもの
段階の見立てと、最初にAIに任せる1工程の理由、人が確かめる所と止める条件、2週間で試す手順が出る
所要時間
約1分(6問)
登録
結果を見るまで登録は要りません
押した後
答えるとその場で、最初にAIへ任せる1工程と、人が確かめる所、2週間の試し方が出ます。資料として受け取るときだけ、会社名・お名前・メール・役職を入力します。

引き合いから回答までの設問を含む診断で、最初にAIを試す1工程を知る

関連記事を先に読む具体的な進め方を相談する(オンライン45分)

出典・参考資料3件
  1. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(昭和31年法律第120号) e-Gov法令検索(第5条第2項第4号・第5条第1項第5号・第4条第1項・第7条)デジタル庁 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.28
  2. 公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」公正取引委員会 確認日 2026.09.29
  3. REVOX「SellBOT」公式サイト(料金について)REVOX 確認日 2026.09.29
編集・監修体制BoostX編集部

BoostX編集部(株式会社BoostX)が、官公庁・業界団体などの一次情報を原典で確かめて書いています。下書きにはAIを使い、編集担当者が内容と出典を確認してから公開しています。

編集と監修の決まり(運営者情報)

更新履歴

最終更新

図のすぐ後に、図番も版も前回と同じ再見積は10段を通さず、前回の案件を参考の1件に置くという例外を足した。手順の3つ目は、次の1か月の引き合いで見落としが0件かを確かめてから転記の下書きに広げる形にした

すべての更新履歴5件
  1. 図のすぐ後に、図番も版も前回と同じ再見積は10段を通さず、前回の案件を参考の1件に置くという例外を足した。手順の3つ目は、次の1か月の引き合いで見落としが0件かを確かめてから転記の下書きに広げる形にした
  2. 試しの題材に単価表の外の引き合いが向く理由を締めの段落で言い直し、見積が散っている工場で集め直させるのは技術課長と書いた。手順の3つ目は、見落としの無い週を何週重ねたら転記の下書きに広げるかを自社で決める形に改めた
  3. 冒頭に一文の結論と30秒で読める要点を置いた。見出しを各章の答えに直し、最初の章で差し戻しが集まる段を先に示した。最後の章を試しの題材を選ぶ理由と戻し先に絞り、試す手順を担当ごとの3つに分けて示した
  4. 旧タイトル「製造業の見積をAIにどこまで任せるか 原価の候補までが線」と「製造業の見積AIは原価の候補まで|10工程の分担と積み上げ直す図面」を改めた。仮の場面で始まる冒頭の2段落を外し、担当4列の図を記事の最初に置いた。汎用の生成AIの料金は料金の比較記事への案内に替えた。最後の節を、過去見積の残り方の表の行ごとに試し方を分け、技術課長が差し戻し件数を週ごとに数える形に組み直した。取適法第5条第2項第4号の説明を条文どおりの1文に直し、外注に出す側の義務は取適法の対象になる取引の場合と書き添えた。条文と公正取引委員会のページ・SellBOTの料金を開き直した
  5. 見積の段ごとの分担を担当4列の図(差し戻しつき)にした。過去見積の残り方による違いを表にし、専用の見積AIと汎用の生成AIの分け方を独立した節にした。材質と処理の違いの印を人が全行照らす手順に直した。条文と料金を開き直した