商社の生成AIツール比較|値上げ案内で任せる工程と10人分1年の料金
専門商社・卸売の経営者と情報システム担当のうち、社員が個人で契約した生成AIを会社の契約1本にまとめる稟議を控えた方へ。
社員が個人で契約した生成AIに、仕入先の価格改定通知や見積の送り状まで貼られていると分かれば、会社の契約1本にまとめる稟議が要ります。値上げ案内の文面作業を例に、生成AIにどこまで任せるか、Google Workspace・Copilot・ChatGPT・Claude を何人分・どの払い方で比べるか、仕入先の資料を入れてよい条件を整理します。

先に結論
候補は、見積書と送り状をいま作っている基盤で1つに絞ります。Excel と Outlook なら Copilot Business、Gmail とスプレッドシートなら Google Workspace の Gemini が先で、基盤がばらばらなら ChatGPT Business か Claude Team で会社の契約を1本にします。
値上げ案内で生成AIが受け持つのは、価格改定通知の抜き出しと、単価欄を空けた案内文の下書きです。抜き出した表を原本と照合するのは営業事務、得意先ごとの単価と送る日は営業責任者が決めます。
開示先を限る秘密保持条項のある仕入先の通知と、得意先別価格表・与信管理表は、試用のアカウントにも入れません。アカウントは文面を作る人の数だけ月払いで取り、たとえば2か月の下書き件数を見て年払いへ移すアカウントを選びます。
単価欄を空けたまま下書きさせる理由
単価欄を空けておかないと、旧単価に改定率を掛けたようなもっともらしい数字が入ります。案内に載る単価は得意先との取引のいきさつで変わり、同じ品番でも、年間の購入量が大きい得意先には改定の幅を抑えることがあるからです。
図の要点:値上げ案内1件の入力から出力までの5つの工程。入力は仕入先の価格改定通知と対象品番を買う得意先の一覧。AIは品番・新旧単価・適用日・入数の変更を表にし、単価欄を空けた得意先別の案内文を下書きする。営業事務が抜き出した表を通知の原本と照合し、入数が変わった品番は商品担当へ戻す。営業責任者が得意先ごとの新単価と送る日、据え置きを求められたときの返し方を決め、単価を書き入れた案内が出力になる。
案内の単価欄は空けて下書きし、営業責任者が得意先ごとに決めた数字を入れる
入力
- 仕入先の価格改定通知(PDF)
- 対象品番を買う得意先の一覧(得意先コードで)
AIの処理
- 品番・新旧単価・適用日・入数の変更を表にする
- 得意先コードごとの案内文(単価欄は空欄)
営業事務の照合
- 抜き出した表を通知の原本と品番ごとに照合
- 戻す: 入数が変わった品番は商品担当へ
営業責任者の判断
- 得意先ごとの新単価と、案内を送る日
- 据え置きを求められたときの返し方
出力
- 単価を書き入れた得意先別の値上げ案内
1通の通知に適用日の違う改定が2段階で書かれていれば、図の流れには収まらないため、営業事務は適用日ごとに表を分けて原本と照合します。
【説明用の架空の記入例】AIが抜き出す表の1行は、次のような形です。品番 K-2040/旧単価 1,000円/新単価 1,080円/適用日 翌月1日出荷分から/入数の変更 なし。案内文の下書きは「K-2040 は翌月1日出荷分より、1個あたり(単価欄)円とさせていただきます」で止めます。単価欄には、営業責任者が得意先ごとに決めた額を書き入れます。
入数の変わる改定と、据え置きを求める得意先への返事も、下書きの範囲に含めません。入数が変わる改定は、単価だけ直すと得意先の発注単位がずれます。新しい品番として持つかは、商品担当が入数の違う商品を別の品番で持つかの基準に合わせて判断します。
同じ下書きは、輸入品の仕入先への英文の納期照会や、得意先から届く規格書の要約にも使えます。在庫と納期の照会なら、答えを止める条件が問い合わせ対応AIの4つの型ごとに違い、送る前に確かめる項目は見積や案内を得意先に出す前に人が確かめる項目と同じです。
得意先との取引がEDIとWeb受注でほぼ流れ、文面を作る仕事が少ない商社には、社員ごとに生成AIのアカウントを配る形が向きません。ここでいうアカウントは、料金表で「ユーザー」「シート」と呼ばれる利用者1人分の契約です。値上げ案内以外で生成AIを使える業務は、ツール選びと社内ルールのハブと、受注・在庫・請求まで並ぶ媒体のトップページで探せます。
稟議に載せるのは1人の月額でなく10人分1年の額
稟議で比べる数字は、1人の月額より、文面を作る人のアカウント数と契約期間を掛けた額のほうが近くなります。下の額は、公式の料金表の1人あたり月額に10人分と12か月を掛けたものです。
| 候補(プラン) | 10人分1年の額 | 税の表示と別にかかるもの |
|---|---|---|
| Business Starter(Google) | 96,000円(年間プラン) | 税別・メール込み |
| Business Standard(Google) | 192,000円(年間プラン) | 税別・メール込み |
| Copilot Business(Microsoft) | 377,760円(年払い) | 税別・本体は別料金 |
| ChatGPT Business 標準シート | 366,000円(年額課金) | 税の表記なし |
| Claude Team スタンダードシート | 2,400ドル(年払い) | ドル建て |
Google の2行は、メールと保存領域の料金を含む Google Workspace のプランです。すでに Google Workspace でメールを回している商社なら、生成AIのために新しく払う額ではありません。
Copilot Business は Microsoft 365 に足すプランで、いま払っている本体の額に上乗せになります。割引期間の単価で申し込めるなら、稟議には年払い323,760円で載せられます。
試用を月払いで始めるなら、ChatGPT Business は462,000円、Claude Team は3,000ドルで比べます。Copilot Business の年払いは自動更新の年間契約という表示なので、解約の時期も稟議に書き添えます。料金は改定されるため、稟議に載せる前に情報システム担当が各社の料金表を開き直します。
いまのメールの基盤で候補は1つに絞れる
候補は、見積書と送り状をいまどの基盤で作っているかで、ほぼ1つに絞れます。乗り換えの手間が要らない候補から試すほうが、配ったアカウントが使われやすいからです。
Excel の見積書と Outlook の送り状で回っている商社なら、Copilot Business が最初の候補です。入れる前に、情報システム担当が営業部の共有フォルダの権限を棚卸しします。権限が広すぎると、本来は見るはずのない得意先別価格表や与信管理表まで、営業の下書きの材料に入るためです。
Gmail とスプレッドシートの商社なら、Business Starter でも Gmail の中と Gemini アプリで Gemini が使えます。値上げ案内をドキュメントで作るなら、10人分1年で96,000円の差を払って Business Standard に上げるかを見ます。
基盤がばらばらで、営業や貿易事務が個人で生成AIを契約している商社なら、会社の契約を1本にまとめる選び方になります。ChatGPT Business と Claude Team は、どちらも既定では業務の入力をモデルの学習に使わないと料金表で示しています。提供する側の表示なので、契約の条項と管理画面の設定は情報システム担当が自分で確かめます。
仕入先の資料と得意先の価格表は入れてよいか?
仕入先から届いた価格改定通知を入れてよいかは、その仕入先との秘密保持契約の条項しだいです。得意先への周知を前提に出された通知なら入れられる場合がありますが、開示先を社内の特定の部署に限る条項があれば、仕入先名と品番を伏せても入れません。秘密保持の条を取引基本契約の中に置いている仕入先もあるため、営業部長が仕入先ごとに契約書を開いて入力の区分を決めます。
自社の資料でいちばん重いのは、得意先別価格表と与信管理表です。不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を、秘密として管理されている事業活動に有用な技術上又は営業上の情報で、公然と知られていないものと定めています。得意先別価格表を個人の無料版に貼ることを誰も止めていなければ、秘密として管理しているとは言いにくくなります。そのため、この2つの表は試用のアカウントにも入れない区分に置きます。
改定通知の署名欄や販売実績には、仕入先と得意先の担当者の名前も載っています。サービス側が入力の中身を取り扱わない旨が契約で定められ、アクセスも適切に制限されていれば、サーバに保存されていても個人データを提供したことにはなりません。
サービス側が中身に触れる契約では、自社の利用目的の範囲で取扱いを任せる形になっているかを条項で読みます。委託と言えれば委託先を監督し(第25条)、そう言えない契約は第三者提供に当たり、原則として本人の同意が先に要ります(第27条)。
提供元が国外の事業者なら、委託に当たる場合でも、第28条の本人の同意が要らないかを規約の記載で見分けます。
規約は、総務の担当が情報システム担当と一緒に読みます。見るのは、学習への利用、保存場所と保存期間、終えたときの削除、再委託、履歴を見られる人、操作の記録、漏えいのときの連絡です。名前を消しても、仕入先コードや得意先コードから自社の台帳で担当者が分かるので、アカウントを配るのは確かめ終えてからです。
アカウントは文面を作る人に配り、まず月払いで試す
ChatGPT Business は料金表で「従業員数2~200名のチーム向け」、Claude Team は「2〜150名のチーム向け」とされています。グループ全体でアカウントを配る規模の商社はこの2つから外れ、法人向けの上位の契約の見積を取ることになります。
上限の内側でも、アカウントは文面を作る人に配ります。たとえば営業部30名のうち、値上げ案内と見積の送り状を作るのが営業事務と一部の営業で10名なら、10人分から始めます。英文の照会やインボイスの読み取りが貿易事務に集まる輸入品の多い商社なら、営業より先に貿易事務へアカウントを置きます。そのほうが、1アカウントあたりの利用件数が多くなります。
アカウント数が決まらないうちは、たとえば2か月は月払いで試し、使われたアカウントだけを年払いに移します。ChatGPT Business を10人分で1年持つと、月額課金は年額課金より試算で96,000円高くなります。この差は、使われないアカウントを1年抱えないための費用と見ることができます。練習には、自社カタログの商品説明や公開済みの案内文のように、外に出ても困らない資料を使います。
2か月の下書き件数で、1件も無いアカウントは年払いへ移さずに外し、その部署で文面を作る件数を営業部長が数え直してから配り直します。区分の無い仕入先の通知が貼られていたと分かったら、営業部長がその仕入先の契約書を開き直し、入力の区分を決め直します。
外部に頼むのは、規約と秘密保持条項の読み比べだけ
迷いが出やすいのは料金ではなく、規約で読む7つの項目と、仕入先ごとの秘密保持条項の読み比べです。仕入先の数が多く、取引基本契約の中に秘密保持の条が散らばっている商社ほど、営業部長と総務の担当だけでは区分決めが稟議の日程に間に合いません。グループで人数の上限を超え、上位の契約の見積を比べる場合も、条項の読み比べが重くなります。
外部に頼んでも、仕入先ごとの入力の区分、得意先ごとの単価、どの部署に何アカウント配るかは社内で決めます。取引先との約束と部署の仕事を知るのは、営業部長・営業責任者・情報システム担当だからです。
取引の多い仕入先1社の区分を、契約書を開いた当日に社内で決め切れたなら、残りの仕入先も同じ読み方で進められます。1社目で条項の解釈が割れたら、その時点で読み比べだけを外に出すかを決めます。
明日から始める3ステップ
担当 営業部長
価格改定通知を送ってくる仕入先ごとに、取引基本契約か秘密保持契約の開示先の条項を開き、入力の区分を書き出す
次へ進む目安取引の多い仕入先から区分が決まり、管理部長が情報管理規程の別表に載せた
担当 情報システム担当
見積書と送り状をいま作っている基盤から候補を1つに絞り、文面を作る人の数だけ月払いのアカウントを取る
次へ進む目安学習への利用から漏えい時の連絡まで規約の7項目を確かめてから、試用のアカウントが配られた
担当 営業事務
区分の決まった仕入先の値上げ案内1件を試用のアカウントで下書きし、週末にアカウントごとの下書き件数を種類別に控える
次へ進む目安2か月分の件数がそろい、下書きが1件も無いアカウントを外して、年払いへ移すアカウントの数が出た
無料相談(オンライン)
BoostXは、卸売・商社の受発注・在庫・問い合わせ対応へのAI導入を支援しています
01無料相談
注文の入力・商品マスタ・照会への回答から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援
出典
- Google「Google Workspace 料金プラン」(Business Starter・Business Standard) Google 確認日 2026.09.28
- Microsoft「Microsoft 365 Copilot Business」(料金) Microsoft 確認日 2026.09.27
- OpenAI「ChatGPT 料金」(Business 標準シート・Business の対象人数・Business のデータの扱い) OpenAI 確認日 2026.09.27
- Anthropic「プランと料金」(Team プランのスタンダードシート・Team プランのデータの扱い) Anthropic 確認日 2026.09.28
- 不正競争防止法(平成5年法律第47号)(第2条第6項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用) 個人情報保護委員会 確認日 2026.09.29
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第25条・第27条第1項・第27条第5項第1号・第28条第1項(外国にある第三者への提供の制限) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
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