本文へ移動
卸売AIジャーナル 運営 株式会社BoostX

無料相談

需要・販売予測

卸売の需要予測AIが効く品目、効かない品目と内示の確度の決め方

需要予測の仕組みを入れるかどうかを検討している、卸売の商品担当の責任者と営業責任者が想定読者です。

大口案件に合わせて積んだ品目が倉庫に残り、同じ月に、発注枠を削られた定番品の欠品でお詫びの電話が入ります。予測の仕組みでこの両方を減らせるのかを判断できるよう、AIに任せる品目、得意先の内示や見積中の案件を予測にどう足すか、外れた後の発注取消しで気をつける法律を、月次締めから発注書までの日程に沿って整理します。

需要・販売予測 更新 6分 運営 株式会社BoostX

卸売の需要予測にAIを入れても、内示の読み方は商品担当に残る

先に結論

予測をAIに任せやすいのは、消耗品・補修部品・包装資材のような補充型の定番品です。得意先の内示や見積中の案件で動く品目は、営業責任者が確からしさ(確度)で区分を分け、区分ごとにどれだけ足すかを決めてから予測に入れます。数量と時期の書かれていない案件は予測表に入れず、営業へ戻します。

AIが受け持つのは、締めの翌営業日の実績の並べ替え、内示の様式合わせ、区分ごとの予測値と幅の算出までで、確度そのものはAIに付けさせません。採用する予測値は商品担当、発注量と分納は仕入担当が決め、予測を理由に発注量を動かせるのは発注書を出す前までです。

内示と案件を同じ重さで足すと、欠品と滞留が同じ月に出る

内示は得意先の計画で、確約ではありません。案件も、案件管理表に載った時点ではまだ受注ではなく、満額で足せば予測は実力より膨らみ、一律に割り引けば動いた品目で欠品します。

見積提出済みの大口案件を満額で足すと、仕入担当はその数量に合わせて発注し、倉庫の空きと資金がその品目に寄ります。翌月、案件が競合に取られれば、積んだ分はそのまま倉庫に残ります。同じ月、発注枠を削られた定番品で欠品が出て、得意先へのお詫びの電話が営業に回ってくる、という順番です。

残った在庫を値引で動かすか、評価損を立てるかは、滞留在庫を値引・返品・評価損などで処分する条件と決める人の側の判断です。仕入先に返す道は、取適法の製造委託に当たる取引では使えないことがあります。実績だけで予測が立つ品目と、確度の区分を先に決める品目を分けるのは、この順番を断つためです。

確度の区分・予測値・発注量は、締め後に3人が別々に決める

AIの作業が集まるのは締めの直後と内示の締切の2か所で、確度の区分・採用する予測値・発注量はそれぞれ別の人が決めます。

図の要点:月次締めから翌月の締め後までの7つの時点。締めの翌営業日にAIが実績・在庫・入荷予定を品目別に並べ、品番がつながらない品目と古い入荷予定に印を付ける。内示の締切日にAIが内示の様式をそろえて実出荷との差を並べ、区分の打ち合わせで営業責任者が内示と案件を区分に振る。発注書の前々日にAIが区分ごとの予測値と幅を出して商品担当が採用する予測値を決め、前日に仕入担当が発注量と分納を決める。翌月の締め後に商品担当が区分ごとの差を数える。数量と時期の無い案件は予測表に入れず営業へ戻す。

数量と時期の無い案件は予測表に入れず、営業へ戻す

  1. 締めの翌営業日

    AIが実績・在庫・入荷予定を品目別に並べる
  2. 同じ日

    品番がつながらない品目と古い入荷予定にAIが印を付ける
  3. 内示の締切日

    AIが内示の様式をそろえ、実出荷との差を並べる
  4. 区分の打ち合わせ

    営業責任者が内示と案件を区分に振る
  5. 発注書の前々日

    AIが区分ごとの予測値と幅を出し、商品担当が採用する予測値を決める
  6. 発注書の前日

    仕入担当が予測表を見て発注量と分納を決める
  7. 翌月の締め後

    商品担当が区分ごとの予測と実績の差を数える

締切日を過ぎて届いた内示が直近の数か月(たとえば過去3か月)に何件あったかを得意先ごとに数えると、区分の打ち合わせを発注書の何日前に置けるかが決まります。締切日を過ぎて届いた内示はその月の予測に入れず、翌月の締め後に予測と実績の差として扱います。

発注書を出す前々日までに区分が決まらない月なら、前月の区分のまま予測値を出し、そのことを予測表の根拠の列に書いておきます。数量と時期の書かれていない案件は、予測表に入れず営業へ返します。

入荷予定に古い印が付いた品目は、仕入担当が仕入先に納期を確かめ直してから、予測表の入荷予定に入れます。同じ入荷予定は、得意先からの在庫と納期の照会に答えるときにも使う表で、ここが古いと予測と照会の両方がずれます。

実績だけで予測できる補充型の定番品と、先に数える実績の年数

出荷実績だけで予測が立つのは、得意先の店頭や工場で毎月ほぼ同じだけ使われ、季節の山が出荷実績に素直に出る補充型の定番品です。材料は基幹システムの販売実績、たとえば前年同月と直近3か月の出荷で足ります。

品目の型 予測に使う材料 予測値を決める人
補充型の定番品(消耗品・補修部品・包装資材) 出荷実績(前年同月と直近の動き) 商品担当(AIの値をほぼそのまま採る)
得意先の内示で動く品目 出荷実績と内示、過去の内示と実出荷の差 区分は営業責任者、予測値は商品担当
案件で動く品目 案件管理表の品目・数量・時期 区分は営業責任者、予測値は商品担当
季節品 前年の山と、得意先の売場の変更 商品担当
後継品に切り替わる品目 旧品番の実績を新品番へつないだもの 商品担当

どの型でも、発注量と分納は予測表を見て仕入担当が決めます。補充型なら、予測値は担当の見立てとあまり変わらない所に落ち、AIが縮めるのは品目を1つずつ表計算に並べ直す時間のほうです。季節品は、天候や得意先の売場替えで山がずれ、売場替えの予定は営業しか知らないため、その話を商品担当へ回す道筋が要ります。

予測の手間を左右するのは品目数より、出荷実績が同じ品番で何年分つながっているかです。たとえば品目数が3,000あっても、前々年まで同じ品番で実績が続いていれば、補充型の品目群から先に任せられます。

品番の統廃合を繰り返してきた会社は、旧品番と新品番を結ぶ対応表を先に作ります。似た旧品番を候補としてAIに並べさせても、どれを同じ商品とみなすかは商品担当が規格書と仕入先のカタログで確かめます。

受注生産に近く在庫をほとんど持たない卸には、予測を立てる形が向きません。受注から仕入先の納品までの日数を品目ごとに控えるほうが、欠品を減らせます。予測の前後にある発注や在庫の業務は、需要・販売予測の記事一覧と、受注から請求までの入口がある媒体トップから読めます。

内示と案件は確度の区分を決めてから足す

区分は2つか3つの粗い分け方で始めます。内示なら、過去の内示と実出荷の差が小さく提出も遅れない得意先と、差が大きいか提出が遅れがちな得意先の2つです。案件なら、見積を出して納期の指定まで受けているものと、引き合いの段階で競合の見積も出ているものに分けます。

区分の枠と、それぞれをどれだけ足すかを決めるのは営業責任者です。確度そのものをAIに付けさせると、根拠の見えない数字が予測値に入り、外れた月に誰も理由を説明できなくなるでしょう。見積提出済みでも受注が読めない大口案件は、満額でなく一部だけ足す区分へ移し、直した理由を予測表の根拠の列に残します。

【説明用の架空の記入例】予測表の1行

  • 品目

    自社仕様の包装用フィルム(案件で動く品目)
  • 区分

    見積提出済み・納期の指定なし・競合の見積あり
  • 足す量

    案件の数量1,200本の満額ではなく、営業責任者がこの区分に決めた割合だけ
  • 採用した予測値

    商品担当がAIの出した幅の下側を採用
  • 根拠の列

    「前月の打ち合わせで満額から一部へ変更。得意先の決定は翌月中旬の見込み(営業から)」

内示を出す得意先が数社なら、区分を作るより、営業責任者が1社ずつ電話で確かめたほうが早く済みます。数十社から様式の違う内示が届く会社ほど、様式をそろえて過去との差を並べるAIの作業が役に立ちます。

翌月の締め後に、欠品と滞留のどちらを生んだか分からない差が出た区分は、次の区分の打ち合わせで、営業責任者がその区分だけを1段階細かくします。細かくしても差が縮まらない月が続いた区分は、細かくするのをやめ、満額でなく一部だけ足す区分へ下げます。何か月続いたら下げるか(たとえば2か月)も、その打ち合わせで営業責任者が決めておきます。

予測が外れた後の発注取消しは取適法に触れるか?

製造委託に当たる発注なら、触れるおそれがあります。下請法は法律名が変わり、取適法として令和8年1月1日に施行されました。取適法第2条は、業として行う販売の目的物である物品の製造を他の事業者に委託することを、製造委託に含めています。

卸売で関わりやすいのは、自社ブランド品や自社仕様の包装の品を仕入先に作らせる発注で、カタログ品をそのまま仕入れる取引とは形が違います。自社の発注がどちらか、委託する側と受ける側が資本金の額や従業員の数の基準に当たるかを、購買の責任者が条文で確かめます。

当たる場合、第5条第1項は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに給付の受領を拒むこと(第1号)と、受領した後に引き取らせること(第4号)を禁じています。同条第2項第3号は、責めに帰すべき理由がないのに給付の内容を変更させ、その利益を不当に害することを禁じています。このため購買の責任者は、自社仕様の品の発注について、数量を動かせる期限を発注書の前日に置きます。

予測で発注量を動かすのは、発注書を出す前までにします。予測が外れたのは発注した側の事情で、作った側の責めに帰すべき理由とは言いにくいためです。仕入先へ数量の変更を申し入れるかは購買の責任者が条文を確かめて判断し、AIの予測値を取消しの理由として示すことはしません。

予測値を発注画面へつなぐときに、初めて外部の設計が要る

外部の設計が要るのは、品目数が数千を超え、予測値を発注案として基幹システムに流したくなったときです。費用が膨らみやすいのもこのつなぎ込みですが、区分の枠を決める営業責任者、採用する予測値を決める商品担当、発注量を決める仕入担当の持ち場は、ここでも変わりません。

その手前に、社内で選べるやり方が2つあります。補充型が中心で内示の影響が小さい卸なら、基幹システムの発注点と安全在庫の値を品目群ごとに見直すだけで、担当が替わっても設定値が残ります。内示で動く品目が多く、品目数が数百までなら、商品担当が表計算と生成AIで区分ごとの予測表を作るほうが早く回ります。

発注点の見直し、予測表、基幹システムへのつなぎ込みのどれを選ぶかは、同じ品番で実績が続く年数と、届く内示の様式の種類で比べます。商品担当の責任者がこの2つの数をそろえる前に見積を取っても、発注点の見直しで足りるのか予測表を組むのかを比べる材料になりません。

明日から始める3ステップ

  1. 担当 商品担当

    品番ごとの出荷実績を前々年までさかのぼり、同じ品番で途切れずに続く年数を一覧にする

    次へ進む目安途中で途切れる品番の一覧ができ、実績だけで任せられる補充型の品目群が選べた

  2. 担当 営業責任者

    内示を送ってくる得意先を並べ、過去の内示と実出荷の差と提出の遅れで2つの区分に分ける

    次へ進む目安内示を出すすべての得意先がどちらかの区分に入り、区分ごとにどれだけ足すかが決まった

  3. 担当 商品担当の責任者

    翌月の締め後、区分ごとの予測と実績の差を、欠品と滞留の件数と並べて見る

    次へ進む目安差が大きかった区分を営業責任者へ渡し、次の月に使う区分が1段階細かくなった

AI活用診断在庫と納期の照会、FAXの注文、ばらばらのカタログ。最初にAIへ任せる1工程。6問でAI活用診断(約1分・登録不要)

無料相談(オンライン)

BoostXは、卸売・商社の受発注・在庫・問い合わせ対応へのAI導入を支援しています

  1. 01無料相談

    注文の入力・商品マスタ・照会への回答から、最初の1業務を決める

  2. 02進め方の提案

    規模に合う進め方を提案する

  3. 03作って試す

    一緒に作り、現場で試して直す

  4. 04定着まで伴走

    毎月1テーマずつ積み上げる

作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援

無料相談の日程を選ぶフォームで問い合わせる

オンライン(Google Meet)・30分または45分・無料

出典

  1. 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法・昭和31年法律第120号)(第2条第1項・第5条第1項第1号・第2項第3号・第5条第1項第4号) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
  2. 公正取引委員会「取適法」(法律名の変更と施行期日) 公正取引委員会 確認日 2026.09.28

編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり

よく読まれている記事過去30日

  1. 1位 商社の問い合わせ対応AIを4つの型で選ぶ|納期回答を止める入荷予定の条件
  2. 2位 AI作成物を外部公開する前の確認、卸のカタログ文と画像で人が見る範囲
  3. 3位 得意先品番の対応表を引き継げる形にする、1対多と廃番済みの行の分け方
  4. 4位 卸売の滞留在庫をAIで洗い出すときの5つの出口と、確保分の外し方
  5. 5位 商社の価格改定、AIに任せるのは売価案まで|適用日と例外を決める人