建設の安全パトロールのAIはどの型から?巡視の夕方の指摘票と完了の印
安全パトロールのAIと聞くと、カメラが現場の危険を見つける製品を思い浮かべがちです。けれども困っているのが、巡視の後に事務所で指摘票を清書し、先月の未是正がいくつ残っているかを数えられないことなら、選ぶ型は変わります。型ごとに先にそろえる物と、是正の完了を誰が判定するかを決めないまま製品を選ぶと、夕方の清書は残ったままです。

先に結論
写真・映像・指摘票の3つの型のうち、先に入れるのは巡視の後の清書を補う指摘票の型です。写真から危険を見つける型は撮り方の決まり、映像で見張る型はカメラと通信が先に要るので、2番目以降に回します。
夕方の清書では、指摘の文面と分類の下書き、是正前後の写真の並べ替え、月末の集計がAIの持ち分です。作業中止の指示と是正期限・危険度は巡視した安全担当が入れ、完了欄の印は現場代理人が写真を見比べて押します。
様式が現場ごとにばらばらで、巡視の写真を会社の置き場に集めていない段階では、型を選ぶ前に様式を1つに決めます。使い始めた後は、安全担当が下書きを直した件数を月次の集計表で追います。
指摘票の型は、巡視で必ず残る写真と声のメモで始まる
写真と声のメモは巡視のたびに必ず残るので、指摘票を起こす型だけは材料を集め直す手間がありません。製品ごとに呼び名は違っても、巡視のどこを補うかで分けると3つの型に収まります。
| AIの型 | 見るもの・補う場面 | 先にそろえるもの |
|---|---|---|
| 写真から危険を見つける | 巡視で撮った写真。歩いた人の見落としを補う | 撮る範囲と撮り方の決まり |
| 映像で常時見張る | 固定・身に付けるカメラの映像。巡視の間を補う | カメラの設置、通信、映像の保存期間 |
| 指摘票を起こす | 写真と声のメモ。巡視の後の清書を補う | 社内の指摘票の様式、写真の置き場 |
「先にそろえるもの」がそろっていない型は、入れても材料が集まりません。指摘票の型なら、足すのは社内の様式と写真の置き場の2つで済みます。
写真の型は、立入禁止の区画や保護具の未着用、重機への近づきすぎのような候補と対策の案を返します。候補を採るかどうかは歩いた安全担当が決め、その場の作業中止の判断は人に残ります。映像の型は同じ候補を巡視のいない時間に知らせる役で、機材の費用と通信の手配が先に立ちます。
重機と人が近い作業が毎日続く土工の現場は、映像の型が候補に上がります。経験の浅い安全担当が1人で回っている会社は、写真の型で見落としを補えます。ただ、指摘票が現場ごとの手書きで、写真が個人の端末にしか無いうちは、どの型を選んでも材料がそろいません。
建設業の安全パトロールは義務か?
元請が行う作業場所の巡視は義務です。労働安全衛生法第30条第1項第3号は、元請にあたる特定元方事業者の講ずべき措置に「作業場所を巡視すること」を挙げています。頻度は労働安全衛生規則第637条が毎作業日に少なくとも1回とし、関係請負人はこの巡視を拒めません。毎日の義務なので、指摘票の清書も毎日の仕事として、誰がいつ書くかを先に決めておきます。
巡視を統括する役職は、人数で変わります。同じ場所の作業従事者が常時50人以上の現場では、特定元方事業者が統括安全衛生責任者を選任します(第15条)。ずい道等・一定の橋梁・圧気工法の仕事なら常時30人以上です。現行の条文は数える人を「作業従事者」とし、労働者以外の人も含める書き方になっています。
本社から回る店社パトロールは、現場の種類で扱いが変わります。主要構造部が鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の建設や、ずい道等の仕事で、作業従事者が常時20人以上いて、統括安全衛生責任者を置く人数に届かない現場です。
このとき元請は、請負契約を結んだ店社ごとに店社安全衛生管理者を選任します。少なくとも毎月1回の巡視が、その職務に入ります(第15条の3、規則第18条の6・第18条の8)。
条文が決めているのは、巡視の頻度と選任する役職までです。指摘票の様式も、是正が完了したと誰が判定するかも書かれていません。完了欄の印を押す役職と、期限切れの知らせを受け取る役職は、社内の安全衛生管理規程に役職名で書きます。
指摘票の下書きは巡視の日の夕方に回す
AIの下書きを入れる時点は、巡視を終えた日の夕方の清書です。社内の指摘票の様式が1つに決まり、巡視の写真が会社の置き場に集まっている現場でなければ、この流れは回りません。
図の要点:巡視の日から安全衛生委員会までの6つの時点の図。巡視の日の現場では写真と声のメモを残し、作業中止の指示は安全担当がその場で出す。同じ日の夕方にAIが文面と分類を下書きし、安全担当が写真と全件見比べて期限と危険度を入れる。翌朝の朝礼の前に依頼文を職長へ送り、所長が期限切れの未是正の件数を見る。是正報告書が届いた日にAIが是正前後の写真を並べ、現場代理人が見比べて完了欄に印を押す。月末にAIが分類表で指摘を数え、安全担当が区分を確かめる。委員会は同じ型が続いた指摘の対策を決める。
期限と危険度は空欄のまま返り、完了の印は是正報告書が届いた日に人が押す
-
巡視の日・現場
写真と声のメモを残す。作業中止の指示は安全担当がその場で出す -
同じ日の夕方
AIが文面と分類を下書きする。安全担当が写真と全件見比べ、期限と危険度を入れる -
翌朝・朝礼の前
依頼文を職長へ送る。所長は期限切れの未是正の件数を見る -
是正報告書が届いた日
AIが是正前後の写真を並べる。現場代理人が見比べて完了欄に印を押す -
月末
AIが社内の分類表で指摘を数える。安全担当が区分の付け方を確かめる -
安全衛生委員会
同じ型が続いた指摘の対策と、共有する範囲を委員会で決める
作業を止めた指摘は下書きから外し、指摘票の先頭の別枠に安全担当が手で書きます。中止の理由と再開の条件は歩いた本人の頭にしか無く、写真にも声のメモにも残らないからです。再開の日時は、完了欄とは別の欄に書きます。
朝礼の前に所長が見る未是正の件数は、前の週より増えたかを確かめるための数です。増えた週は、どの協力会社の指摘が残っているかを、朝礼で職長に直接確かめます。
依頼文を職長へ直接送るか、現場代理人を通して送るかは、協力会社の数で選べます。数が多い現場は直接送るほうが是正が早く、少ない現場は代理人を通したほうが是正の質がそろいます。朝のKY活動で出た危険の記録と突き合わせるなら、朝礼の後にKY用紙を清書する使い方と同じ置き場に指摘票を置きます。
巡視写真の顔と名前をAIに渡す前に契約を3つに分けて読む
顔や名前の写った巡視写真は個人情報に当たるので、社外のAIへ送る前に預け先との契約を3つの場合に分けて読みます。巡視写真には作業員の顔と、ヘルメットに書いた氏名が写ります。
名前が読める写真はもちろん、顔と撮影日と班の割り当てを突き合わせれば誰か分かる写真も、個人情報保護法第2条の個人情報に入ります。ヘルメットの名前をぼかしても、顔と作業の記録から照合できる限り扱いは変わりません。
契約の文面を読むのは総務です。1つ目は、保管した写真を預け先が取り扱わないと契約書に明記され、預け先の社内でも写真にアクセスできる人が適切に絞られている場合です。写真がそのサーバに置かれていても、会社から預け先への提供の扱いから外れます。
2つ目は、預け先が写真を扱う契約です。下書きをつくる目的の内側でだけ写真を扱うと約した契約かを、利用規約の条項で読みます。そう読めたときに限り、会社は預け先による扱いを必要かつ適切に監督する立場に立ちます(第25条)。
2つのどちらとも読めない預け方は第三者提供に回り、写っている作業員の同意を先に取るのが第27条の原則です。預け先が国外の事業者であれば、委託にあたる形でも第28条の同意が要らないかを別に調べます。
巡視写真で固有に決めておくのは、写真を見られる社員の範囲と、解約したときに写真と文字起こしが消えるかです。発注者との契約で現場写真の持ち出しを制限している場合は、その条項が先に立ちます。作業員名簿や資格証の写しは指摘票の材料に要らないので最初から入れず、名簿の扱いは作業員名簿の転記と資格証の原本確認の側で決めます。
下書きが見比べずに通っていないかは直した件数で見る
下書きが写真と見比べられないまま通っているかどうかは、安全担当が文面を直した件数に表れます。見比べが省かれると、区分も文面も先週と同じ指摘票が積み上がり、月次集計の上位が翌月も動かなくなります。委員会は傾向に変化なしと読み、対策が更新されないまま同じ型の指摘が繰り返されます。
安全担当が下書きの文面を直した跡は、写真と見比べた証拠にもなります。直しが1件も出ない週が続いたら、見比べそのものが省かれていないかを疑い、写真との突き合わせに戻ります。何週続いたら疑うかは、たとえば4週のように安全担当が先に決めておきます。直した件数は、月次集計表の備考に残します。
分類区分は、墜落・飛来落下・感電・重機接触のような社内の分類表を先に1枚にしておきます。無いままだと、AIが付ける区分が月ごとに揺れます。指摘の多い型を新規入場者教育の題材に回すなら、新規入場者教育の現場シートを差し替えて訳す段取りにつながります。
指摘票の様式が増えた会社は、転記の型を外部とつくる
社内の指摘票の様式が1つに決まっている会社は、下書きから月次の集計までを安全担当の手元で続けられます。材料になる写真と声のメモ、分類表、様式が、どれも社内にあるからです。
発注者から様式を指定される現場や、下請として入る現場で元請の様式を使う会社では、下書きの手間は写真の枚数より様式の数で増えます。欄が違えば、下書きの型を様式の数だけ持つことになるからです。
欄の名前だけを並べた対応表で、同じ意味の欄に別の名前が付いている数が少なければ、相手の様式への転記までAIの下書きに回せます。多い会社は、安全担当が社内の指摘票を1つに決め、提出するときに相手の様式へ写し替えるほうが、夕方の清書も委員会の集計も早く片付きます。
清書にかかる分数が、発注者や元請の様式の日だけ社内の様式の日より長いまま縮まらないなら、その様式は安全担当が名前の合わない欄の行を対応表に足し直します。それでも縮まらなければ、社内の様式へ寄せて写し替えるかを安全衛生委員会で決めます。
写し替えが様式の数だけ毎日の清書に残る会社は、対応表から相手の様式へ流し込むところを、AIエージェント開発として外部と組む段階です。ただし映像で常時見張る型は、この物差しの外にあります。カメラの設置と通信が先に立つので、山間部やトンネルの現場では、様式の数より先に、電波が届くかを契約の前に現地で確かめます。
明日から始める3ステップ
担当 安全担当
手始めに、いま回っている現場の指摘票の様式を集め、欄の名前だけを横に並べた対応表を1枚にする
次へ進む目安同じ意味で名前の違う欄が何か所あるかを数え終えた
担当 現場代理人
是正報告書が届いた日に、AIが並べた是正前後の写真を見比べてから完了欄に印を押す
次へ進む目安1か月の指摘票すべてで、印のある行に是正前後の写真が付いている
担当 安全担当
文面を直した件数と、様式ごとの清書の分数を月次の集計表に書いて安全衛生委員会に出す
次へ進む目安直しが決めた期間(たとえば4週)続けて0件の様式と、清書の分数が縮まらない様式を、委員会で1つずつ名指しできた
無料相談(オンライン)
BoostXは、建設会社の積算・日報・安全書類へのAI導入を支援しています
01無料相談
積算・日報・安全書類から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援
出典
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第637条・第18条の6(法第15条の3第1項)・第18条の8第1号 e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第30条第1項第3号・第15条第1項・第15条第1項(作業従事者の定義) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)(第7条第2項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(第2条第1項第1号 個人情報の定義・第25条 委託先の監督・第27条第1項 第三者提供の制限・第28条第1項 外国にある第三者への提供の制限) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」(Q7-53・Q7-54・Q12-1) 個人情報保護委員会 確認日 2026.09.30
編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり









