KY活動の記録にAIを入れる時刻と、危険の候補を朝礼の前に配らない理由
読み手として考えているのは、毎朝のKY用紙を班から集めて確認印を押す現場監督、月末に元請の指定様式へ転記する安全担当、朝礼で書記役を兼ねる職長です。
朝礼では書記役の職長が発言を追いかけて書き取り、夕方は現場監督が班ごとの用紙を読んで確認印を押し、月末は安全担当が元請の指定様式へ転記します。この手間はAIで減らしたくても、作業員が危険を挙げなくなる朝礼は避けたいところです。AIを開く時刻とどこまで任せるか、KY活動の名前が付く製品の料金の見方、危険性の調査の記録との分け方に、条文と公式ページから答えます。

先に結論
KYの記録にAIを開くのは、朝礼が終わってからです。朝礼の前と最中は、作業員がその朝の現場を見て危険を挙げる時間に充てます。
走り書きや録音から用紙の欄を整える清書、夕方に空白の欄と前日と同じ文面の用紙へ印を付ける作業、月末の元請様式への転記と工種別の分類は、AIに任せられます。危険と対策を挙げて決めるのは職長と作業員です。清書の工種名・部位・数値は職長が署名の前に直し、確認印は現場監督が全枚を読んで押します。
前日の用紙を書き写して済ませている班では、清書より先に朝礼の進め方を見直します。候補から足した危険のほうが多くなった班は、現場監督の判断で候補を止めます。
候補の一覧は、その朝の足場と搬入の変化を知らない
前日に作る危険の候補は、手順書と過去のKY記録、ヒヤリハット報告から書き出せる「ありそうな危険」までです。雨上がりの足場や、予定より早く着いた搬入のトラックは、その一覧に入っていません。
候補を朝礼の冒頭で読み上げると、作業員は候補にうなずき、用紙は候補の文言で埋まって、記録はむしろ整って見えます。KYの記録で気づきにくい失敗はこの運用です。月末の分類では前日と同じ文面の用紙の割合が上がり、店社のパトロールで用紙と現場の作業のずれを指摘されても、用紙の上には抜けがありません。
それでも、前日の夕方に作る候補には使いどころがあります。朝礼で発言が出尽くした後、職長が手元の一覧を見て、挙がっていない危険があれば作業員に聞いて、その朝の作業に当てはまると確かめられたものだけを用紙に足します。一覧に危険度の順位や作業中止の可否まで載せると朝礼の判断がその順位に寄ってしまうので、候補は文だけにしておきます。
候補の一覧と朝礼で決めた危険の違いが週を追って無くなっていく班は、候補が朝礼の前に出回っています。前日と同じ文面を示す印がたとえば3日以上続くような班は、候補の出し方より朝礼の進め方に手を入れる班です。
朝の清書に進んだ班の用紙には、作業員が挙げた危険と、発言が出尽くした後に職長が候補の一覧から足した危険が並びます。足した危険の行頭に書記役が印を付けておけば、2つは同じ用紙の上で数え分けられます。
足した危険の数が挙げた数を週単位で上回る班は、作業員が自分で危険を挙げず、候補に頼っています。現場監督はその班に一定の期間(たとえば2週間)候補を渡さず、その間に朝礼で出た発言の数を数え直します。
清書は朝礼の直後から、確認印は夕方に全枚へ
KY用紙にAIが手を出すのは、危険と対策が朝礼で決まった後の清書と、夕方と月末の見直しです。班ごとに書記役が決まり、朝礼の走り書きか録音が残る現場でなければ、清書の材料がそろいません。
図の要点:前日の夕方から月末までの8つの工程の流れ。職長が前日の夕方に作業内容欄を埋め、危険の候補は職長の手元だけに置く。朝礼で職長と作業員が天候・足場・同時に動く班を見て危険と対策を挙げる。朝礼の直後にAIが走り書きの写真か録音から欄を整え、職長が署名の前に工種名・部位・数値を直す。夕方にAIが空白の欄と前日と同じ文面に印を付け、現場監督が印の無い用紙も含め全枚を読んで確認印を押し、空白は職長へ戻す。作業が変われば職長が追記し、月末にAIが確認印まで通った用紙だけを元請の様式へ転記して工種別に分ける。
危険を挙げる工程にAIは入らず、清書は朝礼が終わってから始まる
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前日の夕方に作業内容欄を埋める
危険の候補は職長の手元だけに置く
職長
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朝礼で危険と対策を挙げる
天候・足場・同時に動く班を見て決める
職長と作業員
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朝礼の直後に欄を整える
走り書きの写真か録音から、危険要因と対策へ
AI
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署名の前に工種名・部位・数値を見る
聞き違いと誤変換をこの場で直す
職長
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夕方に空白の欄と前日と同じ文面の用紙へ印を付ける
班ごとの用紙を並べて印を付ける
AI
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確認印を押す
印の無い用紙も含め全枚を読み、空白は職長へ戻す
現場監督
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作業が変わったら追記する
足す危険と対策は職長が書く
職長
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月末に元請の様式へ転記し、工種別に分ける
確認印まで通った用紙だけを転記する
AI
安全衛生の規程には、AIを開くのは図の2つ目の朝礼が終わってからと書き、6つ目の確認印を押す時刻と並べておきます。雨で作業が組み替わった朝は、図の順を待たずに手書きの用紙のまま回し、用紙の右上に印を付けて清書を後から入れます。
前日の用紙を書き写して済ませている班に、清書のAIは向きません。前日の文面がきれいに清書されて残るだけなので、その班では先に朝礼の回し方を直します。新規入場者が加わる初日の朝礼は、新規入場者教育の現場シートと翻訳版の読み合わせを先に済ませてから回します。
用紙を写真でAIに渡すときは、作業員の氏名が並ぶ署名欄を外して撮ります。清書に要るのは作業内容・危険要因・対策の欄で、署名は紙の用紙に残ります。署名欄を外しても、発言の中に作業員の名前が出る用紙や、班と日付から出面表で本人に行き着く用紙は個人情報を含みます。預け先との契約の確かめ方は作業員名簿を預ける前に総務が契約で確かめる項目に沿います。
清書の材料を録音にするか写真にするかは、班ごとに朝礼の場所で選びます。重機が動く横で朝礼をする班は書記役の用紙の写真、朝礼小屋で回す班は録音というように、同じ現場で分けてかまいません。
夕方の確認印は、AIの印が付かなかった用紙も読んでから押します。巡視で見つかった是正を指摘票と是正報告書に落とす作業も、安全パトロールの指摘票をAIで下書きする型と並んで、現場監督の夕方の仕事に入ります。
書記役の職長が聞く側に回る
清書を朝礼の後に回して最初に変わるのは、書記役の手です。これまで書記役は発言を追いかけて用紙に書き取るので、自分では危険を挙げられず、聞き返すこともできませんでした。走り書きの写真か読み上げの録音があれば用紙は後で整うので、書記役は朝礼のあいだ顔を上げていられます。
顔を上げた書記役は、挙がった危険に「どこで」「何時ごろ」を聞き返せます。「足元に注意」が「10時の揚重の間、2階の開口の北側」に変わった用紙は、AIが整える前から、その日の作業の記録になっています。
【説明用の架空の記入例】
- 作業内容: 2階スラブ型枠の解体と資材の揚重
- 危険要因1: 10時の揚重の間、2階の開口の北側で吊り荷の下に入る
- 対策1: 揚重の間は開口の北側を立入禁止にし、合図者を1人置く
- 危険要因2(行頭に印・職長が候補の一覧から足した危険): 解体材の仮置きで通路の幅が狭くなる
- 対策2: 仮置きは東側の壁際に限り、昼までに搬出する
行頭の印があるのは2つ目だけなので、この班のこの日の数は、作業員が挙げた危険1つ、候補から足した危険1つと数えます。
KY活動のAIは災害事例型と写真解析型
KY活動の名前が付くAIは、入力した作業から過去の災害事例と危険のポイントを示す型と、現場の写真から危険箇所を検知する型に分かれます。公式ページの金額はどれも消費税を含まない額で、製品によって「税別」と書くものと「税抜」と書くものがあります。
| 型 | 製品と公式の料金 | 朝礼との関係で見る所 |
|---|---|---|
| 災害事例型(ゼネコンの自社開発) | 鹿島セーフナビ(K-SAFE・販売の記載なし) | 作業内容を入れると類似作業の事例が並ぶ |
| 災害事例型(販売) | HACARUS KY(月額3万円・税別) | 作業名から危険ポイントを提案する |
| 写真解析型 | tomoth AI(月額9,800円・税抜) | 朝礼前に撮った写真から資料を作る |
表の右の列で見分けるのは、朝礼の前に開く作りか、朝礼の後でも使える作りかです。鹿島セーフナビは、自社・職場のあんぜんサイト・日建連の災害事例、合計約70,000件をAIで解析するもので、販売と料金の掲載はありません。
HACARUS KYは、作業名から災害事例と危険ポイントを提案し、KYシートをExcelで出せます。料金は初期費用10万円・月額3万円(税別)で、作成上限の500枚を超えた分は1枚40円(税別)です。
tomoth AIは、朝礼の前に現場を撮って解析し、KYミーティングの資料を作る作りです。標準プランは初期費用0円・月額9,800円(税抜)です。
どちらの型も、候補を先に出す道具です。朝礼の前に開けば候補が先に並ぶので、開く時刻は製品ではなく現場の決まりとして会社の安全衛生の規程に書き、協力会社の職長にも伝えます。月末の様式への転記まで任せたいなら、出力の形式が元請の指定様式に合うかを、契約の前に1班ひと月分の用紙で確かめます。
KY用紙と危険性の調査は別の綴りにする
労働安全衛生法にも労働安全衛生規則にも、「危険予知」という語は出てきません。条文が事業者に求めるのは、第28条の2の危険性又は有害性等の調査と、その結果に基づく措置で、努めなければならないという努力義務です。
化学物質以外の調査では業種が絞られ、規則第24条の11第2項が引く施行令第2条第1号に建設業が並びます。努力義務でも建設業は調査の対象から外れないので、KY用紙とは別に調査の記録を持つ前提で綴りを組みます。
調査の時期は規則第24条の11第1項にあり、第3号は作業方法や作業手順を新規に採用し、又は変更するときです。作業手順を変えた週は、KY用紙の追記とは別に、調査の記録を見直す日を安全担当が決めます。
職長の側には第60条の職長等の教育があります。規則第40条第2項は、危険性又は有害性等の調査の方法、措置、設備や作業の具体的な改善の方法に4時間以上を割くよう定めています。この教育を受けた職長がいる班なら、朝のKYで挙がった危険を調査の記録へ渡す役も任せやすくなります。
毎朝のKYは、会社の安全衛生管理規程と元請の指定様式で回る現場の活動です。第28条の2の調査記録とKY用紙を同じ綴りに入れると、法の調査を朝の用紙で代えた記録に見えるので、綴りを分けます。
朝礼の回し方は現場に残し、元請ごとの転記を仕組みにする
KYの記録で社外に任せられないのは、朝礼の回し方と、AIを開く時刻の決まりです。候補を渡すか止めるかも、班の発言を見ている現場監督が決めます。
月末の転記は、確認印まで通った中身を元請の欄へ移すだけの作業で、朝礼の声に触れずに安全担当の月末の残業を減らせます。試す順番の先頭に置けるのはそのためです。元請が1社で様式も1つなら、先月分の用紙から起こした欄の対応表と手元の生成AIで足ります。販売されている製品の出力が元請の様式に合う現場は、清書から転記までをその製品の中で済ませられます。
手が足りなくなるのは、元請ごとに指定様式の違う現場を同じ月に抱え、対応表が様式の数だけ要る会社です。確認印まで通った用紙を各様式へ転記して工種別に分ける流れは、AIエージェント開発で仕組みにする作業に当たります。
紙の提出しか受け付けない元請なら、転記を仕組みにしても印刷と綴じ込みは残ります。その元請の現場が大半を占める会社は、開発の話より前に、電子で受け取れる様式があるかを安全担当が元請に確かめます。
明日から始める3ステップ
担当 安全担当
先月分のKY用紙から1班を選び、元請の様式への転記をAIにさせて、欄ごとに元の用紙と読み合わせる
次へ進む目安転記の誤りを欄ごとに書き出し、様式の欄と用紙の欄の対応表ができた
担当 職長
朝の清書に進んだ班で、発言が出尽くした後に候補の一覧から足した危険の行頭に印を付ける
次へ進む目安1週間、どの班の用紙でも足した危険と挙げた危険が見分けられた
担当 現場監督
金曜の確認印の後、班ごとに足した危険と作業員が挙げた危険を1週間分数える
次へ進む目安足した数が挙げた数を上回った班に、翌週から候補を渡さないと伝えた
無料相談(オンライン)
BoostXは、建設会社の積算・日報・安全書類へのAI導入を支援しています
01無料相談
積算・日報・安全書類から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援
出典
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)(第28条の2・第60条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)(第24条の11・第40条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)(第2条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.30
- AIを活用した危険予知活動支援システム「鹿島セーフナビ(K-SAFE)」鹿島建設株式会社 確認日 2026.09.30
- 危険予知活動支援サービス HACARUS KY株式会社HACARUS 確認日 2026.09.30
- tomoth AI(KY活動)(料金・機能) tomoth(G-cam)提供会社 確認日 2026.09.30
編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり










