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在庫・物品

医療の医薬品・材料の在庫とAI、滞留と欠品を使い切り日数で見分ける

期限切れで捨てる箱と、処置の前に借りに行く材料が同じ棚で出ている、診療所・中小病院の院長・事務長・看護師長が読み手です。

期限切れで箱ごと捨てる検査キットと、処置の前に隣の外来へ借りに行く滅菌ガーゼが、同じ処置室の棚で出ています。数え方を細かくしても、何日分を持てば多すぎるのかという線が院内に無ければ、同じことがくり返されます。品目ごとの在庫を欠品見込みと滞留に分ける線の引き方と、AIに最初に一覧を作らせる品目を選ぶための材料をまとめました。

在庫・物品 7分 運営 株式会社BoostX

在庫・物品の現場のイメージ写真

先に結論

医薬品・材料の滞留は、何か月動かないかという一律の日数ではなく、品目ごとの期限と納期で切ります。在庫数を1日あたりの使用量で割った使い切り日数が、納品までの日数以下なら欠品見込み、期限までの残り日数と院内で決めた持つ上限日数の短いほうを超えれば滞留です。

最初に一覧へ回すのは、処置で算定する薬剤・材料のように、電子カルテやレセコンに使用がすでに残っている品目です。AIの役目は使い切り日数の計算と品目の振り分けまでで、滞留の品目を使う・返品する・廃棄するかは看護師長が、欠品見込みの発注量と納期・価格は事務長が決めます。麻薬・向精神薬などの規制医薬品と、使用の記録が抜けている品目は一覧に入れません。

在庫の滞留は日数で一律に切らず、期限と納期で切る

滞留の線は「何か月動かないか」ではなく、品目ごとの期限までの残り日数と持つ上限日数の短いほうで引き、欠品は納品までの日数で見ます。AIは品目ごとの使い切り日数を計算し、次の図の区分に振り分けた一覧を作ります。

図の要点:AIが出す使い切り日数を、納品までの日数と期限までの残り日数に並べて品目を分ける図。納品までの日数以下は欠品見込みで事務長が発注量を決め、滞留の線(期限までの残り日数と持つ上限日数の短いほう)を超えるか使用が無い品目は滞留で看護師長が使う・返品・廃棄を決める。納品までの日数が滞留の線以上の品目は区分せず看護師長が見て、規制医薬品は一覧に入れない。

AIが出す使い切り日数を、納品までの日数と滞留の線に並べて分ける

  • 使い切り日数が納品までの日数以下

    欠品見込み。発注量と納期は事務長が決める

  • 納品までの日数より長く、滞留の線以下

    適正。次の棚卸しまで動かさない

  • 滞留の線より長い、または使用が0件

    滞留。使う・返品・廃棄は看護師長が決める

  • 納品までの日数が滞留の線以上

    区分せず、看護師長が品目ごとに見る

  • 麻薬・向精神薬などの規制医薬品

    一覧に入れず、法令に沿った使用記録で確かめる

使い切り日数とは、品目の在庫数を直近の1日あたり使用量で割った日数です。滞留の線は、期限までの残り日数と、院内で決めた持つ上限日数の短いほうです。

使い切り日数が納品までの日数以下なら、次の納品より先に棚が空になります。滞留の線を超えれば、期限内に使い切れない分か、持つと決めた量を超える分が棚に残ります。納品までの日数が滞留の線より短い品目なら、3つの区分は日数の範囲が重ならず、必ずどれか1つに入ります。

一律の日数で切ると、どちらの側にも外れが出ます。期限まで残りわずかな検査キットは、線に届く前に期限を迎えます。期限が数年先で使う量の少ない材料は、期限内に使い切る見込みがあっても滞留と出ます。

一方、期限の長い手袋やガーゼを期限までの残り日数だけで切ると、今度は滞留がほとんど出ません。そこで置き場の広さと使う量から院内で持つ上限日数を決め、期限までの残り日数と比べて短いほうを線にします。上限日数は院長と看護師長が品目の種類ごとに決め、在庫管理表の列に書いておきます。

【説明用の架空の計算例】検査キットの在庫が60回分で、直近の1日あたり使用が2回分なら、使い切り日数は30日です。期限まで残り20日なら、20日間で使うのは40回分で、20回分が期限を迎える見込みになるため滞留です。滅菌ガーゼの在庫が40枚で1日25枚使うなら、使い切り日数は1.6日で、納品まで2日かかれば欠品見込みです。

日数はカレンダーの日で数え、1日あたり使用量も休診日を含む日数で割ります。期限は休診日にも進むので、診療日だけで割ると使い切り日数が短く出て、滞留を見逃します。

厚生労働省が掲載する「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアル(平成30年改訂版)にも、期限の扱いが出てきます。品質管理の項目例に、使用期限の定期的な確認と、期限の短い医薬品から先に使う工夫(先入れ先出し等)があります。

これは医薬品の手順書の例で、マニュアル自身も記載をそのまま守ることは求めていません。それでも、滞留と出た品目を先に使う処置へ回す考え方は、衛生材料にも当てはめられます。

医療材料の使用量は、記録の残り方で取り方が変わる

使い切り日数の分母になる1日あたりの使用量は、品目の種類によって残っている記録が違います。

月末の金曜、午後診の前に処置室で創傷処置の準備をしていた看護師が、滅菌ガーゼの箱が空なのに気づき、隣の外来へ借りに行ったとします(仮の場面です)。同じ棚の上段には、前の冬に卸の勧めで多めに入れた検査キットが、期限を控えて箱のまま残っています。看護師長に「どれを動いていない在庫と見ればいいのか」と聞かれても、事務長には答えに使える線がありません。

品目の種類 使用量の取り方 AIに回す時期
処置で算定する薬剤・材料 電子カルテ・レセコンの算定記録 最初から回せる
算定しない衛生材料 棚の補充記録の差 補充記録が1周期たまった後
期限の短い薬剤・ワクチン 入庫時の期限と使用・接種の記録 期限を入庫時に書いてから
季節で量が変わる検査キット 前年同月の算定記録 前年分の記録がそろってから

処置で算定する薬剤・材料は、電子カルテやレセコンの記録から使用量が取れます。一方、算定しない手袋やガーゼは棚の補充記録でしか数えられず、AIの一覧に回せるのは記録がたまってからです。

補充記録は、在庫管理表に「補充日・補充した数・補充後の棚の数」の3列を足し、補充した看護師がその場で書きます。前回の補充後の数から今回の補充前の数を引いて日数で割れば、1日あたりの使用量になります。ここでいう1周期は、同じ品目を2回補充するまでの期間です。

期限の短い薬剤やワクチンは、入庫の検品で期限を在庫管理表に書き写すことが前提です。手順書作成マニュアルも、検品で確かめる項目例に使用期限年月日を挙げています。同じ品目で期限の違う箱が棚にあるときは、行を期限ごとに分けると、どの箱が滞留かまで一覧で分かります。

在庫のAI抽出は、算定で使用が残る品目から始める

最初にAIへ回すのは、処置で算定する薬剤・材料のように、使用が電子カルテやレセコンにすでに残っている品目です。記録を新しく付けずに始められ、一覧の結果を月末の棚卸しですぐ確かめられます。

渡す表は2つです。1つは在庫管理表(Excelか在庫管理ソフトの書き出し)で、品目名・規格・在庫数・最も近い期限・納品までの日数・持つ上限日数の6列にします。もう1つは電子カルテかレセコンから書き出した品目別の日ごとの使用数で、集計した期間を表の見出しに書きます。納品までの日数は、卸の発注システムに残る発注日と納品日の差から品目ごとに入れます。

AIへの指示には「在庫数・使用数・期限・納品までの日数のどれかが空欄の品目は計算せず、未確認と書く」と入れます。あわせて「滞留の線は期限までの残り日数と持つ上限日数の短いほう」「区分の線は表の列の値だけで決める」と書きます。返ってくるのは、品目ごとの使い切り日数と、図のどの区分に入るかの一覧です。

一覧は、月末の棚卸しで看護師長が棚の前に持っていき、一覧の在庫数と現物を照合します。数が合わない品目は区分を使わず、在庫管理表の数を直してから翌月の一覧に回します。よく使っているのに滞留と出た品目は、算定しない処置での使用や他部署への貸し出しが使用数から抜けていないかを確かめます。

使用数の書き出しには、患者IDと氏名の列を入れません。それでも件数の少ない品目は、院内の記録と突き合わせれば患者に行き着くことがあります。病歴を含む個人情報は、個人情報保護法の要配慮個人情報です。どこまでを院外のAIに入れるかの線は、生成AIに入れてよい患者情報を3段階で決める記事を見てから引きます。

院外のAIサービスに渡す前に、事務長が契約書と管理画面の設定を見て、どの扱いになるかを決めます。事業者が個人データを扱わないと契約で決まっている場合、取扱いの委託に当たる場合、第三者への提供に当たる場合の3つです。

医療法施行規則第1条の11第2項第2号は、病院・診療所の管理者に、医薬品安全管理責任者を配置する措置を求めています。その責任者に、医薬品の安全使用のための業務手順書の作成と、手順書に基づく業務の実施を行わせる措置です。

手順書作成マニュアルは規制医薬品の項目例に、法令を遵守した使用記録の作成・保管と、定期的な在庫量の確認を挙げています。規制医薬品の在庫数はAIの一覧に入れず、院の手順書と使用記録で確かめます。

一覧を始めた翌月末には、期限切れで廃棄した品目数と、処置の前に材料を切らした回数を前月と並べます。切らした回数は、看護師が在庫管理表の欄外に日付と品目を書いて数えます。

どちらも減らなければ、衛生材料を足す前に、使用数の書き出し漏れと納品までの日数の入れ方を見直します。発注や棚卸しの記事は在庫・物品の業務のページに、受付やレセプトなど医療機関のほかの業務は医療の業務別トップから探せます。

季節で使う量が変わる検査キットは、前年同月と比べる

流行期に使う量が増える検査キットは、直近の使用量ではなく、前年同月の1日あたり使用量で使い切り日数を出します。

流行が始まる前の落ち着いた月の使用量で割ると、使い切り日数が長く出て滞留と表示され、流行期に入ってから欠品見込みが遅れて出ます。流行期の終わりはその逆で、直近の多い使用量で割るため、残った箱が適正と表示されたまま期限に近づきます。

在庫管理表で季節品目の行に印を付け、その行だけ前年同月の使用数を電子カルテかレセコンから書き出して渡します。前年の記録が無い品目は、一覧に「前年分なし」と出させ、区分は付けません。どの品目を季節品目とするかと、今年の流行の見込みを足すかどうかは、院長と看護師長が決めます。

棚の定数補充を卸に預けるか、院内の在庫表で回すか

卸の担当者が棚を見て減った分を補う定数補充に預けると、在庫を数えて発注する手間は院内から減ります。ただし棚に置く数(定数)が多すぎれば滞留は残り、期限が近い品目を使うか、返すか、捨てるかは、預けた後も院内で決めることになります。

手順書作成マニュアルは、病棟に置く医薬品の品目と数量について、使用実績と必要性から定期的に見直す項目例を挙げています。卸に預ける場合も、使い切り日数の一覧があれば、定数を減らす品目と増やす品目を卸の担当者と品目ごとに話せます。返品できるかどうかは卸との取引条件で決まるので、滞留の品目を返品に回す前に、事務長が条件を確かめます。

院内の在庫表で回すなら、手間がかかるのは、電子カルテやレセコンの使用数を毎月同じ形で書き出し、在庫管理表に取り込む作業です。書き出しの設定や在庫管理ソフトとのつなぎ込みは、システムの事業者か外部に頼める作業です。

どちらで回すにしても、最初の作業は算定品目だけで一覧を1回出し、月末の棚卸しで現物と照合することです。その月の廃棄した品目数と切らした回数を見て、事務長と看護師長が預ける品目を決めます。

一部の品目だけを預けるなら、在庫管理表に「定数補充」の列を作って預ける品目に印を付けます。印の付いた品目は、卸の補充記録の数で使い切り日数を出し、院内の表と二重に数えないようにします。

明日から始める3ステップ

  1. 担当 事務長と医事課の担当者

    処置で算定する薬剤・材料について、在庫管理表に品目名・規格・在庫数・最も近い期限・納品までの日数・持つ上限日数の6列をそろえ、電子カルテかレセコンから品目別の日ごとの使用数を書き出して同じファイルに入れる

    次へ進む目安算定品目のすべての行で6列が埋まり、埋まらない品目には「未確認」と書かれ、使用数の表の見出しに集計した期間が入っている

  2. 担当 看護師長(欠品見込みの品目の発注量は事務長)

    2つの表をAIに渡して使い切り日数と区分の一覧を出し、月末の棚卸しで一覧の在庫数を棚の現物と照合してから、滞留の品目を使う・返品・廃棄に振り分ける

    次へ進む目安滞留の行すべてに使う・返品・廃棄のどれかと決めた日が書かれ、在庫数が現物と合わなかった品目は在庫管理表の数が直されている

  3. 担当 事務長と看護師長

    一覧を始めた翌月末に、期限切れで廃棄した品目数と、処置の前に材料を切らした回数を、在庫管理表の欄外の記録から前月と並べる

    次へ進む目安2か月分の廃棄した品目数と切らした回数が1つの表に並び、衛生材料を一覧に加えるかどうかを決めた日と理由が書かれている

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出典

  1. 医療法(昭和23年法律第205号)(第6条の12) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.11.06
  2. 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)(第1条の11第2項第2号ロ) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.11.06
  3. 「医薬品の安全使用のための業務手順書」作成マニュアル(平成30年改訂版)本マニュアル(改訂版)の活用に当たって(p.1)・第2章 医薬品の購入 2.入庫管理と伝票管理(p.7)・第3章 調剤室における医薬品管理 2.品質管理(1)(p.10)・第3章 調剤室における医薬品管理 1.保管管理(4)規制医薬品(p.10)・第6章 病棟における医薬品の管理 1.保管管理(3)医薬品の定数管理(p.18) 厚生労働省(平成29年度厚生労働科学特別研究) 確認日 2026.11.06
  4. 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(第2条第3項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.11.06
  5. 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用) 個人情報保護委員会 確認日 2026.11.06

編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり

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