医療の患者への説明・案内とAI、4種類を数えて下書きに回す案内を選ぶ
読み手として考えているのは、検査前の食事や次回受診の持ち物の答えが担当者で違い、患者の聞き直しが減らない診療所・中小病院の事務長・看護師長・医事課長です。
火曜の午後診が終わる17時台の会計窓口を例にします。次回予約票を受け取った患者に「次の採血の前は朝ごはんを抜くんですか」と聞かれた医事課の担当者が、看護師によって答えが違っていたことを翌朝の電話で知ったとします。答えの食い違いに印を付けて割れている案内を見つけ、その答えを看護師長と医師が先にそろえてから下書きへ回す、という順番で最初の1種類を選びます。

先に結論
AIの下書きで減らせるのは、駐車場や支払方法などの定型の問い合わせへの答えと、次回受診の来院時刻・持ち物の案内のように、院内に決まった文面がある案内です。絶食が要るか、服薬を続けるかといった患者ごとの条件は看護師が、保険の区分や自己負担は医事課が下書きに書き足します。選定療養などの費用の説明と同意、医師がその患者に出した個別の指示は、下書きに回さず人が伝えます。
始める種類は、2週間の数え表を見て事務長と看護師長が選びます。担当者で答えが割れていた案内は、下書きより先に院内の答えをそろえる作業が要るので、最初の1種類にはしません。
患者への説明・案内の揺れは、決まった文面がない案内に出る
担当者によって答えが変わるのは、院内に決まった答えが無く、聞かれた人が自分の言葉で答えている案内です。17時台の会計窓口で次回予約票を渡しながら持ち物を伝える場面でも、答えが1つに決まっていれば誰が答えても同じになります。
図の要点:案内が生まれてから患者に渡るまでを担当別に並べた図。診察室・会計・電話で案内が生まれ、AIは院内の文面集から下書きを作る。看護師は絶食が要るかや服薬など患者ごとの条件を、医事課は保険の区分と自己負担を足し、受付・看護師が患者に渡す。選定療養などの費用の説明と同意は医事課、病状説明と個別の指示は医師が持ち、下書きには回さない。
文面集から下書きするのはAI、患者ごとの条件と同意は人が持つ
受付
AI
看護師
医事課
- 受付
診察室・会計・電話で生まれた案内を種類で分ける
検査前後・費用・次回受診・問い合わせ
- AI
院内の文面集から案内文と持ち物の一覧を下書きする
文面集に無い問いは「未確認」と返す
- 看護師
絶食が要るか、服薬を続けるかを書き足す
検査のオーダーと処方を電子カルテで確かめる
- 医事課
保険の区分、自己負担、明細書の見方を書き足す
院内掲示の金額と照合する
- 受付
次回予約票や案内の紙を患者に渡し、看護師と口頭で添える
戻す下書きを使わず文面集の文面で伝える
- 医事課
選定療養などの費用の説明と同意を取る
下書きに回さない。病状説明と個別の指示は医師が持つ
図の看護師と医事課の行に書き足すことが何も無い案内は、文面集の答えだけで患者に渡せます。駐車場や支払方法の問い合わせがこれに当たり、反対に検査前後の注意は、看護師の行が毎回埋まります。AIの下書きは、院内で決めた答えを案内の種類ごとにまとめた文面集を言い直すことはできても、決まっていない答えを決めることはできません。
医療法第1条の4第2項は、医師・看護師などに、医療を受ける人が理解できるよう適切に説明する努力義務を置いています。療担規則(保険医療機関及び保険医療養担当規則)第13条も、療養上必要な事項は理解しやすいように指導することを保険医に求めています。どちらも院内の答えのそろえ方までは定めていませんが、同じ質問への答えが担当者で違えば、患者は理解しにくくなります。
2週間の電話メモと会計の申し送りに、案内の種類で印を付ける
患者への説明・案内は、検査前後の注意、費用の案内、次回受診の指示、定型の問い合わせ回答の4種類に分けます。数えるのは、件数・聞き直し・答えの食い違いの3つです。聞き直しは患者が同じことをもう一度尋ねたとき、答えの食い違いは前に別の担当者が違う答えをしていたと分かったときに付けます。
冒頭の場面を続けます(仮の場面です)。診察室で医師は「次は4週後、採血あり」とだけ伝え、外来看護師は別の患者の処置で手が離せません。翌朝の電話で、看護師Aは「水は飲んでよい」、看護師Bは「何も口にしないで」と答えていたことが分かります。この電話は、次回受診の話の中で出ても「検査前後の注意」に件数・聞き直し・答えの食い違いを1つずつ付けます。
| 案内の種類 | 答えが割れやすい所 | 記入例(説明用の架空の数字) |
|---|---|---|
| 検査前後の注意 | 採血前の食事・水分、服薬 | 件数12・聞き直し5・食い違い2 |
| 費用の案内 | 明細書の見方、選定療養の金額 | 件数9・聞き直し2・食い違い0 |
| 次回受診の指示 | 来院時刻、持ち物 | 件数20・聞き直し4・食い違い0 |
| 定型の問い合わせ回答 | 駐車場、支払方法 | 件数31・聞き直し1・食い違い0 |
印は、受付の電話メモと会計の申し送りに4種類の欄を足し、案内した人がその場で付けます。答えの食い違いの印には、どちらの答えが出ていたかを一言書き添えます。次の節で院内の答えを決めるとき、その一言がそのまま材料になります。
電話が窓口の混む時間帯に重なるなら、受付の電話を時間帯と用件で数える記事の記録表も同じ2週間で付けられます。電話の数が多すぎるのか、案内の中身が割れているのかを、同じ期間の記録で分けて見られます。
担当者で割れた答えは、看護師長と医師が1つに決める
答えの食い違いの印が付いた案内は、AIに渡す前に院内の答えを1つにします。医学的な内容を含む答えは看護師長が案を作って医師が決め、費用と手続きの答えは医事課長が院内掲示や料金表と照合して決めます。
上の記入例なら、採血前の食事は「水は飲んでよい」「何も口にしない」の2通りが出ていました。看護師長が院内で行う採血の検査項目ごとに標準の答えを書き出し、医師が確認して1つに決めます。標準の答えに当てはまらない検査は、文面集の同じ行に「看護師がオーダーを見て伝える」と注記し、標準の答えとしては載せません。
決まった答えは、文面集の該当する行に、決めた人と決めた日を添えて残します。置き場所は、受付・外来・医事課の誰もが開ける院内の共有フォルダか、電子カルテの定型文の欄です。答えを決めないまま、2通りの答えが文面集やメモに残った状態でAIに渡すと、AIはどちらか一方を選んで文面にしてしまいます。
案内文の下書きはAI、患者ごとの条件は看護師と医事課
院内の文面集を材料にAIが作るのは、案内文の下書き、平易な言い直し、持ち物や来院時刻の一覧です。患者ごとに変わる条件は、下書きを渡す前に看護師と医事課が書き足します。
AIに渡すのは、案内の種類、文面集の該当する行、紙1枚に収める字数の目安の3つです。指示には「文面集に無い問いには答えを作らず、未確認と書く」と入れます。出てきた下書きは、検査前後と次回受診の案内なら看護師長が、費用の案内なら医事課長が文面集と1行ずつ照合し、使う下書きとして登録します。
【説明用の架空の記入例】文面集の行は「採血前の食事: 前日21時以降は食べない、水は飲んでよい」です。AIの下書きは「次回の採血の前は、前日の夜9時からは何も食べずにお越しください。水は飲んでかまいません」となります。看護師が医師の指示と院内の標準の答えを見て書き足す条件は「朝の血圧の薬は、いつもどおり水で飲んでください」です。
患者ごとの条件は、看護師が電子カルテで検査のオーダーと処方を見て、絶食が要るか、服薬を続けるかを書き足します。医事課は保険の区分と自己負担を確かめます。領収証は個別の費用ごとに区分して無償で交付する決まりがあり(療担規則第5条の2)、その見方の問い合わせも、費用の案内として医事課が受けます。
定型の案内の下書きは、患者の情報を入れずに文面集だけで作れます。患者の氏名や処方を院外の生成AIに入れて案内文を作る場合は、病歴を含む情報が個人情報保護法の要配慮個人情報に当たります。氏名を番号に替えた場合も、院内の台帳と突き合わせて本人が分かるなら、個人データとして扱います。
その場合は、どの扱いに当たるかを契約と設定で先に確かめます。1つは、契約で事業者が個人データを取り扱わないと定め、アクセス制御もしている場合です。ほかに、取扱いの委託(第27条第5項第1号)と言える場合と、第三者への提供に当たる場合があり、院内でする手続きが変わります。
どれに当たるかは、事業者の契約書と管理画面の設定を事務長が確かめ、確かめた日と結果を記録に残します。入れてよい患者情報の範囲は、院内で生成AIに入れてよい患者情報を決める記事で扱っています。
最初に試す案内と、選定療養など人が伝える案内
答えの食い違いが無く件数の多い種類から試します。記入例なら定型の問い合わせ回答、その次に次回受診の指示です。検査前後の注意と費用の案内は、患者ごとの確認が多く、人が書き足す部分が大きくなります。
| 案内 | 下書きに回す所 | 人が確かめる所 |
|---|---|---|
| 定型の問い合わせ回答 | 駐車場・持ち物・支払方法 | 苦情が混じる問い(受付の責任者) |
| 次回受診の指示 | 来院時刻・持ち物 | 次回の検査の有無(看護師) |
| 検査前後の注意 | 採血前の食事の標準の答え | 絶食が要るか・中止薬(看護師・医師) |
| 費用の案内 | 支払方法・明細書の見方 | 保険の区分・選定療養(医事課) |
検査前後の注意から始めるなら、案内の紙の元になる検査説明書も、文面集と同じ答えにそろえておきます。説明書を平易に作り直す手順と原本との照合は、検査説明書をAIで作る範囲の記事にあります。
試した2週間で見るのは、選んだ種類の聞き直しと答えの食い違いの件数です。前の2週間より減っていれば続け、隣の種類へ広げるかを看護師長が決めます。減っていなければ、下書きが文面集から外れていないか、文面集の答え自体が2通りに読めないかを確かめます。
療担規則第5条の4は、選定療養などで費用を受けるとき、あらかじめ患者に内容と費用を説明して同意を得ることを保険医療機関に求めています。同じ条の第2項と第3項は、その内容と費用を院内に掲示し、原則としてウェブサイトにも載せることを求めています。この説明と同意は、文面がそろっていても医事課が患者と向き合って行い、下書きの金額が掲示と違えばその下書きは使いません。
病状説明と、医師がその患者に出した個別の指示(薬の中止や再開など)も人が伝えます。島根県も、県立病院へのAI導入の提案への回答で、病状説明は受け止めの個別性が高くAIでは難しいとしました。そのうえで、検査の手順や注意事項の説明へのAI導入を検討するとしています。
苦情は、定型の問い合わせに混じって入っても受付の責任者が事務長へつなぎます。下書きに文面集に無い内容が入っていたら、気づいた担当者は下書きを使わず、文面集に書いてある文面で伝えます。
案内の文面集は院内で直し、連携の設定は外に頼む
外の手を借りる候補になるのは、予約システムや電子カルテの次回予約と下書きをつなぎ、予約票への印字やSMSの送信に流す設定です。SMSの文には予約日時など本人に結び付く情報が入るので、送信の設定を外部が扱うなら、委託として契約に入れるかを設定の前に確かめます。
反対に、文面集の答えを決めて直す作業は院内に残します。検査前後と次回受診の行は看護師長、費用と手続きの行は医事課長が改訂の担当になり、行ごとに改訂日を残します。答えを決めるのは院内の医師と看護師で、外部がこの作業を代わることはできません。
つないだ後に起きやすいのは、文面集を直したのに、予約システムに登録した送信の文面だけが古い金額や古い来院時刻のまま残るずれです。設定を頼むときは、送信に使う文面がどこに何本保存されているかの一覧を受け取り、文面集の改訂日と同じ表で管理します。
明日から始める3ステップ
担当 受付の責任者と外来看護師長
受付の電話メモと会計の申し送りに、検査前後・費用・次回受診・定型の問い合わせの4つの欄を足し、案内した人が件数・聞き直し・答えの食い違いの印をその場で付ける
次へ進む目安2週間分の診療日すべてのメモに印が入り、4種類ごとの件数・聞き直し・答えの食い違いが1枚に集計されている
担当 看護師長と医師(費用の案内は医事課長)
答えの食い違いの印が付いた案内について、書き添えた答えを並べて院内の答えを1つに決め、文面集の行に決めた人と日付を添えて書く
次へ進む目安食い違いの印が付いた案内のすべてについて、文面集の行に標準の答えか「看護師がオーダーを見て伝える」の注記が入っている
担当 事務長と看護師長
食い違いが無く件数の多い1種類を選び、文面集をAIに渡して下書きを作り、看護師か医事課が患者ごとの条件を足してから渡す運用を2週間続ける
次へ進む目安選んだ1種類について、前後2週間の聞き直しと答えの食い違いの件数、下書きを使わず文面集の文面で伝えた件数が同じ表に並んでいる
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出典
- 医療法(昭和23年法律第205号)(第1条の4第2項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.11.05
- 保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)(第13条・第5条の4第1項〜第3項・第5条の2第1項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.11.05
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(第2条第3項・第27条第5項第1号) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.11.05
- 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)個人情報保護委員会・厚生労働省 確認日 2026.11.05
- 島根県「県立病院でのAIの導入について」(知事への提案箱 提案No.A2024-00235と回答)島根県(政策企画局広聴広報課・回答は病院局県立病院課) 確認日 2026.11.05
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」Q7-53(クラウドサービスの利用) 個人情報保護委員会 確認日 2026.11.05
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