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医療の受付・電話の混雑、AI電話か予約導線か人員配置かを電話記録で選ぶ

受付2〜3名で外来を回し、電話の件数も用件もまだ記録していない診療所・中小病院の院長・事務長と、受付・医事課の責任者に向けて書いています。

受付2名の外来で、午前9時台に1名が電話に出ると、窓口で再診の受付と保険証の確認を続けるのは残りの1名です。院長にAI電話を勧められても、どの用件の電話が何時に何件来ているかが分からなければ、Web予約・AI電話・人の配置のどれに手間と予算を回すかは決まりません。受付の机に置ける電話の記録表と、公的病院2つの電話対応の事例をもとに、その選び方を扱います。

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予約・受付の現場のイメージ写真

先に結論

受付の電話混雑は、窓口が混む時間帯にかかってくる電話を用件ごとに数え、多い用件に合わせて手を選ぶと減らせます。翌日以降の予約の変更・キャンセルが多ければWeb予約の導線、診療時間や持ち物の確認が多ければAI電話や自動音声の応答、症状の相談や当日の連絡が多ければ受付・看護師の配置と用件ごとの受付時間の分割から手を付けます。

症状の相談と当日の受診の可否は、AI電話にも自動音声にも渡さず人が受けます。AI電話や自動音声に任せるのは、答えが院内で決まっている確認と、用件の聞き取り・振り分けまでです。どの用件を窓口のピークから外すかは院長・事務長が決め、導入後は総入電件数ではなく、受付が電話に出ている時間で効果を判断します。

電話の混雑は、窓口と同じ時間帯に重なるから受付が詰まる

受付の電話混雑とは、電話の総数が多いことではなく、窓口の受付が集中する時間帯に、受付がその場で答えなくてよい用件の電話が重なり、窓口の手が止まる状態を指します。同じ件数の電話でも、窓口が空いている時間に散らばっていれば、受付は止まりません。

ここからは仮の場面です。受付2名のうち1名が電話に出ている間、窓口では会計待ちと受付待ちの2つの列が同時に伸びます。それでも、その時間に鳴った電話が何件で、どの用件だったかは、どこにも残っていません。

この時間帯の電話には、前日の夜に予定が変わった患者からの予約の変更が混ざっています。ホームページにある診療時間の確認や、「熱があるが今日診てもらえるか」という相談もあります。予約の変更はWeb予約で減らせる電話、診療時間の確認は自動応答で答えられる電話、熱の相談は人が受けるしかない電話です。合計の件数だけを見ても、どの手を選べばよいかは分かりません。

電話の負担は受付だけにとどまりません。厚生労働省が掲載した505床の急性期病院の事例では、導入前、外来看護師が1日の業務時間のうち約6時間を電話対応に費やしていました。回線の混雑で、患者の電話もつながりにくくなっていました。病院の事例なので診療所に同じ割合で当てはまるわけではありませんが、電話が看護の時間まで削っていた例です。

予約から当日の受付までの流れは予約・受付の業務ページに、問診や文書作成など院内のほかの仕事は医療の記事の入口から探せます。電話の外で生成AIを試す仕事を選ぶなら、生成AIの最初の業務を選ぶ記事が入口になります。

受付の電話を時間帯と用件で数える記録表

数え方は、受付の机に紙1枚を置き、30分刻みの時間帯ごとに用件の欄へ正の字を付け、同じ時間帯の窓口の受付件数を右端に書き足すだけです。期間はたとえば2週間とし、月曜から金曜の違いがそれぞれ2回ずつ見えるように事務長が決めます。

用件は6つに分けます。予約の新規、予約の変更・キャンセル、診療時間・持ち物・駐車場などの確認、症状の相談・当日の受診、検査結果・書類、その他です。看護師に回した電話は、正の字の横に印を付けておくと、受付が答えられなかった件数も後で分かります。

【説明用の架空の記入例】記録用紙1日分のうち、午前と午後の一部の行を書き写しました。

時間帯 電話の用件と件数 同じ時間帯の窓口受付件数
8:30〜9:00 変更・キャンセル6、確認3 14件
9:00〜9:30 変更・キャンセル4、症状3、確認2 18件
9:30〜10:00 症状4、確認2、新規1 16件
10:00〜10:30 書類2、新規1 9件
14:00〜14:30 新規2、変更・キャンセル1 4件

この記入例では、窓口の受付件数が多い8時30分から10時までの行に、変更・キャンセルと症状の相談が集まっています。開院直後の1時間は予約の変更、その後の30分は症状の相談が中心で、同じ午前でも手を付ける先が違うことが分かります。

窓口の受付件数は、電話のたびに数えなくても、終業後に電子カルテやレセコンに残る受付時刻から時間帯ごとに数えられます。出られずに切れた電話はこの表に残らないので、折り返した件数を用紙の余白に書いておきます。

予約導線・自動応答・人員配置で受けられる電話

窓口のピークと重なる電話が予約の変更・キャンセルならWeb予約の導線、診療時間や持ち物の確認なら自動応答から手を付けます。症状の相談や当日の連絡が多いなら、人員配置と受付時間の分割が先です。

図の要点:予約導線と自動応答を並べた比較図。予約導線(Web予約・変更の入力画面)は翌日以降の予約の新規・変更・キャンセルを受け、自動応答(AI電話・自動音声案内)は診療時間・持ち物などの確認と用件の振り分けを受ける。症状の相談・当日の受診・当日の変更はどちらも受けず、受付・看護師の配置と受付時間の分割で人が受ける。効果は総入電件数ではなく、受付が電話に出ている時間で見る。

予約導線と自動応答で受けられる電話、人へ回す電話

予約導線(Web予約・変更の入力画面)

  • 受ける電話:翌日以降の予約の新規・変更・キャンセル
  • 人へ回す電話:当日の変更、症状を添えた予約の相談
  • 先に要るもの:予約枠の設定と、掲示や予約票での案内
  • 効果を見る数字:変更の電話件数と、電話に出ている時間

自動応答(AI電話・自動音声案内)

  • 受ける電話:診療時間・持ち物・駐車場の確認、用件の振り分け
  • 人へ回す電話:症状の相談と当日の受診の可否
  • 先に要るもの:院長が確認した回答の一覧と、人へつなぐ番号
  • 効果を見る数字:受付が電話に出ている時間

記録表でいちばん多かった用件を図のどちらかの「受ける電話」に当てはめ、どちらにも入らない用件が多ければ、受付・看護師の配置と受付時間の分割を先に考えます。ここで選ぶのは製品ではなく、窓口のピークから外す用件1つです。

AI電話は、患者が話した言葉を音声認識で聞き取り、用件を記録したり、決まった答えを返したりする電話の仕組みです。自動音声案内は、番号を押してもらって用件ごとに担当へつなぐ仕組みで、AIを使わないものもあります。確認の電話が多いだけなら、番号で振り分ける自動音声案内とホームページの掲載で足りる場合があります。

AI電話が患者の氏名や電話番号、予約の内容を院外の事業者のサービスで記録する形もあります。その場合は契約の前に、預ける情報の範囲と保存の扱いを院内の個人情報の担当者と確かめておきます。

AI電話を入れた直後は、確認の電話が増えることがある

厚生労働省が掲載したJCHO大阪病院の事例では、AI電話で受診予約の変更を受けるようにした後も、2025年10月から2026年3月の効果検証で、外来の1日当たりの総入電件数は345件でした。目標の280件には届いていません。導入前の当初値は396件です。AIでの変更に不安を持つ患者が、確認のために既存の窓口へ電話をかけたことが、要因の1つに挙げられています。

予約関連の電話に外来看護師が使う1日当たりの時間は、当初の430分から、目標の301分ではなく507分に増えました。病院は要因として、患者の確認電話のほかに2つを挙げています。音声認識の精度が足りず職員が電話番号から患者を特定し直したことと、電話交換から外来へ転送する流れが決まっていなかったことです。

看護師の電話対応時間の合計はほぼ横ばいで、中身が相談から予約の事務に寄りました。電話にかかる時間の総量は変わらず、受ける電話の種類が入れ替わったことになります。

一方で、病院はポスター、ホームページ、職員からの直接の案内で広報を続けました。予約センターでAI電話が受けた割合は、導入初期の2025年9月の40%から2月には85%に増えています。AI電話を入れた月の数字だけで、続けるかやめるかを決めないことが分かる例です。

この病院は、総コール数のように一時的に悪くなりうる指標と、看護師が電話対応に使う総時間のような本来の目的の指標を分けて評価するよう考察しています。診療所に置き換えるなら、見るのは受付が電話に出ている時間です。

導入前に、AIが受けた予約の変更を誰がいつ予約表へ入れるか、患者への案内を誰がどこに貼るか、移行期にやめる業務は何かを決めておきます。505床の病院の事例なので、件数や時間の増え方を、そのまま診療所の見込みに使わないでください。

窓口のピークに受けない電話を、受付時間で分ける

増員できない医院は、翌日以降の予約変更のように急がない用件の受付時間を午後に分けると、その用件の電話を窓口のピークに受けずに済みます。国立病院機構の舞鶴医療センターは、代表電話の自動音声案内で用件の番号を選んでもらい、翌日以降の予約変更を13時30分〜15時00分に受けています。

同じ案内では、診療に関する問い合わせは8時30分〜11時30分、当日の予約変更は別の番号、文書に関することとその他の問い合わせも別の番号に分けています。平日夜間と土日祝日に受けるのは緊急の連絡だけで、急がない連絡は平日の日中にかけ直すよう案内しています。

診療所なら、音声案内の設備が無くても始められます。院内の掲示、予約票、ホームページに「翌日以降の予約の変更は午後2時から3時まで」のように書き、受付の電話口でも同じ時間を伝えます。分ける時間帯は記録表で窓口の受付件数が少ない行から選び、決めるのは院長と事務長です。

時間を分けないのは、症状の相談と当日の受診の可否です。こうした電話を受付・看護師のどちらが受けるかを決め、ピークの時間帯にその担当が窓口から離れられる配置にします。急患と当日の電話をAIの受付で扱わない理由は、予約受付のAIと受付の分け方の記事で取り上げています。

受付時間を分けてから2週間後に同じ記録表を付け、ピークの行の変更・キャンセルが減っていなければ、案内を貼った場所と言い方を見直します。それでも減らないときは、患者が電話以外で変更できる予約導線の整備に移ります。

音声案内の番号と予約画面を作り直す人が院内にいるか

外の手が要るのは、電話設備の音声案内や転送の設定、Web予約の枠の設定、AI電話の事業者との契約内容の確認のように、記録表の外にある仕組みを変えるときです。電話機や回線の契約、予約システムの管理画面を院内で触れる人がいなければ、ここで止まります。

記録用紙を作って2週間付けること、用件の6区分を院内の言い方に合わせること、受付時間の分割を掲示や予約票に書くことは、受付の責任者と事務長で進められます。どの用件を外すかを決める材料も、記録表と比較図でそろいます。

一方、記録表を付けてもピークの行に電話がほとんど入っていない医院もあります。その場合、窓口が詰まる原因は電話ではなく、保険証の確認や会計の手順の側にあります。AI電話は入れない方がよく、電話設備の設定に外の手を借りても窓口の列は短くならないので、先に窓口の手順を見直します。

明日から始める3ステップ

  1. 担当 受付の責任者

    受付の机に、30分刻みの時間帯を行、6つの用件を列にした記録用紙を置き、電話に出た人がその場で正の字を付ける。終業後に、同じ時間帯の窓口の受付件数を電子カルテかレセコンの受付時刻から書き足す

    次へ進む目安2週間分の診療日すべての用紙がそろい、どの行にも窓口の受付件数が入っている

  2. 担当 事務長(院長が承認)

    窓口の受付件数が多い時間帯の行を上から2つ選び、その行でいちばん多い用件を1つ決めて、Web予約・自動応答・受付時間の分割のどれで受けるかを比較図から選ぶ

    次へ進む目安外す用件・使う手・効果を見る数字の3点が1枚に書かれ、院長の承認が入っている

  3. 担当 受付の責任者

    選んだ手を始める前の週と始めた後の週に、ピークの1時間だけ受付が電話に出た時刻と切った時刻を書き、電話に出ていた合計時間を出す

    次へ進む目安始める前と後で同じ曜日の5診療日分の合計時間が並び、事務長に渡っている

AI活用診断朝の電話から診療録の記載まで、最初にAIへ任せる1工程を決める。6問でAI活用診断(約1分・登録不要)

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出典

  1. 厚生労働省掲載 取組事例 JCHO大阪病院「AI電話導入による看護師業務効率化と患者サービスの向上」取組事例19(1)サマリ As-Is(資料の通し番号 p.130)・取組事例19(資料の通し番号 p.130)・(3)検証結果 一覧(資料の通し番号 p.132)・(3)検証結果 詳細 考察(資料の通し番号 p.133)・(3)検証結果 詳細(資料の通し番号 p.135)・(5)考察・学び(資料の通し番号 p.136) 厚生労働省(事例: 独立行政法人地域医療機能推進機構大阪病院) 確認日 2026.11.03
  2. 自動音声案内導入のお知らせ独立行政法人国立病院機構 舞鶴医療センター 確認日 2026.11.03

編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり

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