得意先品番の対応表を引き継げる形にする、1対多と廃番済みの行の分け方
受注入力の担当が替わり、得意先の独自品番を自社品番へ読み替えられる人がいなくなった卸売・商社で、営業事務、営業事務の責任者、業務課長の方に役立つ内容です。
受注入力を長く一人で担ってきた営業事務が退職すると、FAX注文書の「K-210」をどの自社品番で入力するかを知る人が社内にいなくなります。後任は入力のたびに、担当営業や得意先へ電話で確かめることになります。前任者の記憶を対応表へ移すときに、1行へどの列を持たせ、いつ誰が登録し、どの行を見直すかを決める材料をまとめました。

先に結論
得意先品番の対応表は、得意先コードと注文書の表記の組を1行にし、1対1・1対多・廃番済みの種別の列を持たせます。登録は受注入力を確定した時点で営業事務が行い、月1回、営業事務の責任者が1対多・廃番済み・しばらく使っていない行を見直して確定します。
自動で自社品番に置き換えるのは、種別が1対1の行に限ります。1対多の行は見分け方の欄を読んで営業事務が選び、廃番済みの行は、得意先の了承の記録が無ければ、商品担当が確かめた後継品番を得意先に確認してから入力します。生成AIを使うのは初版づくりで、過去の受注実績から組の候補を出させ、種別は営業事務が確定します。
得意先品番の対応表は、行の種別を分けないと引き継げない
得意先の表記を自社品番へ読み替える行には1対1・1対多・廃番済みの3種類があり、後任が迷うのは後の2つです。注文書の表記を対応表で検索した結果は、行が無い場合を加えると、次の4つに分かれます。
図の要点:注文書の表記を対応表で検索した結果を4つに分けた図。行が無ければ営業事務が担当営業か得意先に確かめ、入力の確定後に行を足す。種別が1対1なら対応表の自社品番をそのまま入力し、自動で置き換えてよいのはこの行に限る。1対多は見分け方の欄を読んで営業事務が選び、廃番済みは後継の自社品番と切替日を見て、得意先の了承の記録が無ければ確かめてから入力する。
1対多と廃番済みの行、対応表に無い表記は、確かめてから入力する
- 対応表に行が無い
- 営業事務が担当営業か得意先に確かめる
- 受注入力を確定してから、対応表に行を足す
- 種別が1対1の行
- 対応表の自社品番をそのまま商品コード欄に入力する
- 自動で置き換えてよいのは、この行に限る
- 種別が1対多の行
- 見分け方の欄を読み、営業事務が自社品番を選ぶ
- 条件に合わなければ担当営業に聞く
- 種別が廃番済みの行
- 後継の自社品番と切替日を見る
- 得意先の了承の記録が無ければ、確かめてから入力する
自社の記録でまず数えたいのは、先週かけた確認の電話のうち、対応表やメモに行があったのに迷った件数です。行があっても迷うのなら、足りないのは行の数ではなく、種別と見分け方の欄です。
説明用の場面で考えます。出荷締め前の午前、後任の営業事務が受注入力画面を開き、FAX注文書の品番欄にある略称を商品コード欄へどう入力するかで手を止めます。前任者が迷わなかったのは、同じ略称が納入先によって別の品を指すことや、廃番になった番号の後継を覚えていたからです。
商品には、ブランドを持つ事業者が設定したGTIN(JANコード)が付いているものがあります。これは「どの事業者の、どの商品か」を表す国際標準の商品識別コードで、得意先が社内で使う番号とは別のものです。
注文書に得意先側の番号や略称が書かれている間は、対応表で検索する項目を注文書の表記にしておきます。受注入力の前後にある作業は、見積・受注の業務とAIの分担から探せます。
対応表の1行は、得意先と注文書の表記の組で持つ
得意先品番の対応表とは、得意先コードと注文書に書かれた表記の組を、自社品番に結び付ける表です。行を自社品番ごとに作ると、同じ略称が得意先によって別の品を指す場合を書き分けられません。得意先コードと表記の組を1行にすれば、後任は注文書の文字をそのまま検索して行を見つけられます。
| 列 | 書く内容 | 埋める人 |
|---|---|---|
| 得意先コード | 基幹システムの得意先コード | 営業事務 |
| 注文書の表記 | 注文書に書かれたままの文字 | 営業事務 |
| 自社品番 | 商品マスターの品番(候補は並べる) | 営業事務 |
| 種別 | 1対1・1対多・廃番済み | 営業事務 |
| 見分け方 | 1対多の選ぶ条件、廃番の了承 | 営業事務(担当営業に確認) |
| 後継の自社品番と切替日 | 廃番済みの行だけ記入 | 営業事務(商品担当に確認) |
| 最終使用日 | この行で最後に入力した日 | 営業事務 |
| 登録者と登録日 | 行を足した人と日付 | 営業事務 |
後任が電話をかけずに入力できるかどうかは、種別・見分け方・後継の自社品番と切替日の3列で決まります。最終使用日と登録者・登録日は、月1回の見直しで対象の行を選び、書いた人に経緯を聞くために使います。
【説明用の架空の記入例】
- 1対多の行: 得意先コード T0318/注文書の表記「白ボード9.5」/自社品番 PB-0936 と PB-0938/種別 1対多/見分け方「現場直送なら PB-0936、倉庫納めなら PB-0938」
- 廃番済みの行: 得意先コード T0318/注文書の表記「K-210」/自社品番 7702-110/種別 廃番済み/後継の自社品番と切替日「7702-115・4月1日」/見分け方「後継での納品を了承済み(4月3日・購買の窓口)」
単価の列は対応表に作らず、得意先別価格表を正とします。同じ得意先コードで検索できるので、単価を2か所に持つ必要がありません。
1対多と廃番済みの行は、自動で置き換えない
自動で自社品番に置き換えてよいのは種別が1対1の行に限り、1対多と廃番済みの行は営業事務が確かめてから入力します。置き換えに表計算の検索の関数を使う場合も、生成AIを使う場合も、この条件は変わりません。
1対多の行でどの自社品番になるかは、納入先・用途・数量の単位で決まり、表記だけでは決まりません。見分け方の欄は「現場直送なら」「ケースの注文なら」のように、条件と自社品番の組で書きます。「いつもの方」のような書き方では、前任者にしか通じません。条件に合わない注文が来たら担当営業に聞き、聞いた答えを同じ欄に書き足します。
ケースとバラのように入数の違いで自社品番が分かれる得意先もあります。自社の商品マスターが入数違いを別の品番にしているかは、入数の違うケースを商品マスタで統合しない条件と突き合わせて確かめます。
廃番済みの行は消さずに残します。得意先の手元のカタログや発注の控えが旧番号のままなら、廃番の後も同じ表記で注文が届くからです。行を消すと、後任は旧番号を見るたびに商品マスターで廃番の印を調べ、後継を探すことになります。
後継品は寸法や仕様が変わっている場合があるので、最初の注文では得意先に切り替えてよいかを確かめます。了承を得たら、見分け方の欄に日付と相手の部署を書きます。後継の欄が空いている行は、商品担当に後継の有無を聞いてから得意先へ連絡します。
対応表に無い表記を、似た行から推測して入力することもしません。1対1の行なのに別の自社品番で入力する注文が来たら、その場で種別を1対多に直し、見分け方を書きます。
対応表への登録は受注入力の確定時、見直しは月1回
対応表への登録は、受注入力を確定したその場で営業事務が行います。月1回の見直しは、1対多の行・廃番済みの行・最終使用日が古い行に対象を絞ります。
受注入力の確定時
- すること
- 新しい組の登録と最終使用日の更新
- 担当
- 営業事務
廃番・切替の通知時
- すること
- 種別を直し、後継と切替日を記入
- 担当
- 営業事務(商品担当に確認)
月1回の見直し
- すること
- 対象の行を確かめて確定
- 担当
- 営業事務の責任者
登録を月末にまとめると、電話で分かった答えはその日まで担当者の記憶にしか残りません。出荷締め前で手が離せない日は、注文書の余白に答えを書き留め、出荷指示を出した後、その日のうちに登録します。
見直しの対象を絞るのは、全行を毎月読み直す運用が、行数が増えるほど続けにくくなるためです。最終使用日がどれだけ前の行を対象にするかは、営業事務の責任者が決め、対応表の先頭に書いておきます。古い行は消さず、得意先との取引が続いているかを担当営業に聞いてから扱いを決めます。
対応表が足りてきたかは、確認の電話の件数で分かります。後任の営業事務が、電話を「行が無かった」と「行はあったが迷った」に分けて週ごとに数え、見直しの場に出します。行が無かった電話が減らなければ、確定時の登録が抜けている日を探します。行はあったが迷った電話が減らなければ、見分け方の欄を条件の形に書き直します。
初版は過去の受注実績から、AIに組の候補を出させる
初版は、過去の注文書と入力済みの受注明細を突き合わせて作り、組の候補を出すところまでを生成AIに任せます。どの得意先から作り始めるかは、FAX注文の入力で保留にする欄と対応表を作る得意先の順番で扱っています。
注文がEDIやWeb受注で届き、自社品番のまま入ってくる得意先に、対応表づくりは向きません。行を作る対象は、注文書に独自の表記を書いてくる得意先です。
生成AIに渡すのは2つの一覧です。1つは基幹システムから出力した受注明細で、得意先コード・受注日・自社品番・品名・数量の列を使います。もう1つは、同じ期間の注文書の品番欄を営業事務が表計算に書き写したものです。注文書にある担当者の氏名や電話番号は書き写しません。
得意先コードと品番の一覧も取引の情報なので、使う生成AIは会社が業務利用を認めたものにします。注文書の画像ごと読み取らせる場合は契約の確認が別に要り、その確かめ方も、先に挙げたFAX注文の入力の記事にあります。
指示文には、入力の項目と出してほしい形を具体的に書きます。
- 得意先コードと表記の組ごとに、入力されていた自社品番・件数・最後の受注日を一覧にする
- 全角と半角、ハイフンや空白の有無が違う表記は、同じ組の候補としてまとめ、元の表記も残す
- 同じ組に自社品番が2つ以上ある行には「1対多の候補」と付ける
- 受注明細に相手が見つからない表記は、推測せず「未確認」と返す
出てきた候補は対応表とは別のシートに置き、営業事務が確定した行だけを対応表へ移します。過去の入力には誤入力や代替品の出荷も混ざるため、件数の少ない自社品番は注文書の原本で確かめます。
1対多の見分け方は担当営業に聞き、廃番の印がある自社品番は商品担当が後継を確かめます。まとめた表記が別の品だったと後で分かったら、その行を別のシートへ戻し、表記ごとに行を分けて確定し直します。
得意先品番を基幹に持てるかで、外部に頼む範囲が変わる
いまの基幹システムに得意先ごとの品番を登録する欄があるかどうかは、マニュアルか保守の担当に確かめます。欄があり、受注入力画面でその品番から商品を呼び出せるなら、表計算の対応表を移すのは社内の作業で足ります。
得意先ごとの品番の欄が、1つの表記に1つの自社品番しか登録できないなら、基幹へ移すのは種別が1対1の行にとどめます。1対多と廃番済みの行は、見分け方と了承の記録を書ける表計算に残し、営業事務が見て入力します。どの行を移すかは営業事務の責任者が決め、業務課長が保守の担当へ依頼します。
欄が無く、受注入力のたびに別の画面で対応表を検索する手間を無くしたい場合は、外部の設計が要ります。依頼の前に対応表の行数を種別ごとに数えておくと、自動で置き換えられる範囲を見積の相手に示せます。
1対多の行が多い得意先は、仕組みを入れても人が選ぶ作業が残ります。受注入力の次に担当営業の交代が控えているなら、取引条件の引継ぎ書に残す欄も同じ時期に決めておけます。ほかの業務は、商社・卸売の業務別の入口から選べます。
社内でも外部でも扱いにくいのは、得意先が自社のシステムを入れ替え、注文書の品番を一斉に変えてきたときです。確認の電話が急に増え、「行が無かった」の件数がその得意先に集中します。
このときは1行ずつ登録するのをやめ、営業事務の責任者が担当営業を通じて、新旧の品番の対照表をもらえるかを得意先に聞きます。対照表が届いたら、旧い表記の行は消さずに最終使用日で区別し、新しい表記の行を初版と同じ手順で足します。
明日から始める3ステップ
担当 営業事務
直近の受注明細を基幹システムから出力し、同じ期間の注文書の品番欄を、得意先コード・注文日・表記・数量の4項目で表計算に書き写す
次へ進む目安最初に取りかかる得意先について、注文書の表記と入力済みの自社品番を並べた一覧ができた
担当 営業事務(廃番品の後継は商品担当に確認)
一覧を会社が業務利用を認めた生成AIに渡して組の候補を出させ、候補の行ごとに種別・見分け方・後継の自社品番と切替日を埋める
次へ進む目安候補の全行に種別が入り、1対多の行は見分け方が条件の形で書かれ、確定した行が対応表に移っている
担当 後任の営業事務が数え、営業事務の責任者が見直しを確定
受注入力の確定時の登録を始め、確認の電話を「行が無かった」「行はあったが迷った」に分けて週ごとに数え、月1回の見直しに出す
次へ進む目安4週分の件数が並び、1対多・廃番済み・最終使用日が古い行の扱いが全行決まった
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一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援
出典
- GS1 Japan「GTIN(JANコード)とは」GTIN(JANコード)とは 一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan) 確認日 2026.10.13
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