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給与・年末調整

給与計算でAIに渡す勤怠の整形と、給与担当が前月比で確かめる6つの変動

顧問先の給与計算を受託し、毎月の締めで届く勤怠を給与ソフトに取り込んで計算結果を確かめる給与担当と、その手順を決める上席・所長に宛てています。

締め日の翌営業日、顧問先の勤怠が勤怠システムのCSV、担当者が手で集計したExcel、紙の出勤簿をスマホで撮った写真で届きます。取込用の形に直し、全員分の明細を前月と見比べるうちに、支給日までの数日が終わります。どの作業をAIに渡し、誤支給とマイナンバーの事故を避けるためにどこで手を止めるかに、届いた形ごとの照合表と変動の型の表で答えます。

給与・年末調整 8分 運営 株式会社BoostX

給与・年末調整の現場のイメージ写真

先に結論

届いた勤怠を給与ソフトの取込用の表に作り替え、従業員番号と勤怠項目名が登録と合うかを照合し、前月から金額が大きく動いた従業員を一覧にする作業はAIに渡せます。一覧に並んだ差を認めるか、どの手当を付けどの控除を引くかは、給与担当が顧問先の給与規程と担当者の返事を見て決めます。

AIの作業を止めるのは2か所です。紙の出勤簿の写真から読んだ勤怠は、労働日と労働時間の合計が写真と一致するまで給与ソフトに入れません。マイナンバーの載る列や書類、社会保険の届出の作成は、最初からAIに渡す範囲の外に置き、届出は社会保険労務士へ回します。

変動の理由は勤怠の外にあるので、差を並べる所で止める

前月との差の理由は、勤怠データの外にあります。勤怠データに書かれているのは出勤した日と時刻だけで、昇給や転居、休職、規程の改定は給与規程と顧問先の人事の連絡の側にあります。

図の要点:顧問先の給与計算の月次を5つに分けた流れの図。顧問先から勤怠システムのCSV・手集計のExcel・紙の出勤簿の写真の3つの形で勤怠が届き、AIが変換ルール表に沿って取込用の表にそろえ、従業員番号と勤怠項目名を給与ソフトの登録と照合して合わない行を出し、紙の写真は給与担当が労働日と労働時間の合計を写真と照合する。AIは前月確定分と比べて変動の大きい従業員を並べ、給与担当が給与規程・入退社の書類・顧問先の連絡で説明できるかを確かめ、説明できない差だけを顧問先の担当者に問う。

差の理由は勤怠データに無いので、AIは差を並べるところで手を止める

  1. 届いた3つの形

    勤怠システムのCSV・手集計のExcel・紙の出勤簿の写真

  2. 取込用の表

    列名と番号を変換ルール表でそろえ、登録と合わない行を一覧に出す

    AI

  3. 前月との差

    前月の確定分と比べ、金額が大きく動いた従業員を並べる

    AI

  4. 給与担当の確認

    紙の写真の合計を照合し、規程・入退社の書類・顧問先の連絡で差を説明できるか

    人

  5. 顧問先への問い

    書類で説明できなかった差だけを担当者に聞く

    人

このため、給与計算のうちAIに渡す作業は、勤怠データの形式変換と取込前の照合、前月比で変動の大きい従業員の抽出の3つで止めます。変動が妥当か、手当と控除をどう扱うかは、給与担当が給与規程を読み、顧問先の返事を受けて決めます。AIが添えた理由の推測は、「問題なし」の根拠にしません。

仮の場面で追います。締め日の翌営業日、3社の勤怠がCSV・Excel・紙の写真で同時に届きました。AIは3つを取込用の表にそろえましたが、紙の写真の1社は労働時間の合計が写真と合わず、そこで止まりました。前月比では通勤手当が増えた1名が一覧に出ました。給与担当は顧問先に転居の有無を確かめ、返事を受けてから計算を確定しています。

勤怠の受け取りから社会保険の手続き、年末調整、法定調書までの順は、給与・年末調整の業務の一覧で追えます。証憑回収や記帳を含む事務所の業務全体は、会計事務所の業務別のAI活用記事の一覧から選べます。

勤怠のCSV・Excel・紙の写真を、取込用の表にそろえる

勤怠を取り込む前にどの形でも照合するのは、従業員番号と勤怠項目名です。ある給与ソフトの公式ヘルプは、他社ソフトのCSVから勤怠を取り込むとき、従業員を従業員番号で紐づけると説明しています。勤怠項目名が給与ソフト側と一致しないときは、CSVのタイトル行を直すよう案内しています。

使っている給与ソフトの条件は、そのソフトのヘルプで確かめます。人数や合計の照合は、届いた形に応じて足します。

届いた形 AIがする整形 取り込む前に照合する点
勤怠システムのCSV 列名を勤怠項目名へ置き換える 項目名の一致と従業員の人数
手集計のExcel 社員番号を従業員番号へ置き換える 番号の一致と空欄の有無
紙の出勤簿の写真 日ごとの時刻を読み取り表にする 労働日と労働時間の合計

置き換えの決まりは、顧問先ごとに1枚の変換ルール表で持ちます。顧問先が勤怠システムを替えたら、その月に表を見直します。

【説明用の架空の記入例】A社の変換ルール表です。
– 勤怠CSVの「残業」→給与ソフトの勤怠項目名「普通残業時間」
– 勤怠CSVの「深夜」→「深夜残業時間」
– 社員番号「S-0012」→従業員番号「12」
– 時間の表記(7:30 か 7.5 か)は給与ソフトの取込の形式に合わせる
– 生年月日と住所の列はAIに渡さない

勤怠の表は、氏名と従業員番号が並ぶ個人データです。氏名を番号に置き換えても、給与ソフトの登録で本人に結び付く以上、個人データのままです。AIサービスに渡す前に、使うサービスの契約を読み、どの扱いになるかを3点で確かめます。

  • 契約でサービス側が中身を取り扱わない旨が定められ、アクセスの制御も適切か
  • そうでなければ委託と言える形か。顧問先との契約で決めた扱いの範囲に収まるか
  • 第三者提供に当たる形なら、その使い方はしない

給与台帳や扶養控除等申告書をどの区分に置き、どの契約のAIサービスまで入れてよいかは、生成AIツールを預かる資料の4区分で選ぶ記事が前提になります。

AIへの指示には3点を書きます。1点目は渡すもので、届いた勤怠ファイル、変換ルール表、給与ソフトに登録した従業員番号と勤怠項目名の一覧です。2点目は返させる形で、給与ソフトの取込用CSVの列の順です。3点目に、元のファイルに無い値は空欄のままにし、登録と合わない番号・項目名とあわせて「未確認」の一覧に出させることを書きます。

紙の出勤簿の写真は、読み取りの誤りが残業時間に直に出ます。手書きの退勤時刻を1つ読み違えるだけで、残業は実際より増えます。給与担当は、AIが作った表の労働日と労働時間の合計を写真と照合し、一致するまで取り込みません。

始業と終業の時刻は、タイムカードなどの客観的な記録を基礎に確認し記録するよう、厚生労働省のガイドラインが使用者に求めています。写真しか届かない顧問先には、元になる記録がどれかを聞いておきます。出勤簿は労働関係の重要な書類として顧問先が保存するもので、労働基準法は5年、当分の間は3年の保存を使用者に求めています。

取込用の表の誤りは、給与ソフトではなく変換ルール表の側で直します。取り込んだ後に誤りが分かったら、給与担当は確定の処理をする前に表を直して取り込み直します。

前月比で見る6つの変動と、毎年決まって動く月

前月比で変動の大きい従業員は、残業・欠勤や休職・入退社の日割り・手当の変更・社会保険料の改定・住民税の切替の6つの型に分けます。型が決まれば、給与担当が確かめる先も型ごとに決まります。

変動の型 AIが添える材料 給与担当が確かめる先
残業時間 残業の多い日と前月の時間 勤怠の元の記録
欠勤・休職 欠勤の日付と控除の額 顧問先の連絡と給与規程
入退社の日割り 入社日・退職日と日数 入退社の書類と規程の計算方法
手当の変更 変わった手当と前月の額 顧問先の連絡(転居など)
社会保険料の改定 保険料の差と前月の額 標準報酬の決定通知書
住民税の切替 特別徴収税額の前月との差 市区町村の税額の決定通知書

表の型に当たらない差は、6つのどれかに無理に入れず、給与担当がそのまま上席に見せます。

毎年同じ月に、大半の従業員の金額が動く変動があります。住民税の特別徴収は、通知された税額の12分の1ずつを6月から翌年5月まで毎月徴収するため、6月分から額が替わります。

算定基礎届をもとに決まる標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に使われます。保険料の控除が何月の給与から変わるかは、顧問先の徴収の仕方で決まります。昇給月が4月の顧問先なら、4月もこの一覧に入ります。

こうした月を顧問先ごとに変動月の一覧へ書いておけば、その月の大量の差を全部問い合わせずに済みます。外すのは顧問先への問いだけで、決定通知書と金額の照合は外しません。

前月比較は、前月分の計算が確定していることが前提です。ある給与ソフトのヘルプは、前月比較の機能を使うには前月支給分の確定処理を済ませておく必要があると書いています。確定前の数字と比べた一覧は、使わずに作り直します。

源泉徴収した所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに納めます。支給後に計算の誤りが分かると、従業員との精算に加えて、納める税額の見直しも要ります。

手当と控除の扱いは、給与規程と顧問先の返事で決める

手当の支給要件や控除の扱いは、顧問先ごとの給与規程と労使協定で決まります。AIは規程の該当箇所と顧問先への問いの下書きまでを作り、扱いは給与担当が顧問先に確かめて決めます。

労働基準法は、賃金を全額払うことを原則にしています。賃金の一部を控除できるのは、法令に定めがある場合と、労働者の過半数を代表する者などとの書面による協定がある場合です。社宅費や親睦会費のような控除を新しく引く前に、給与担当は協定があるかを顧問先に確かめます。

日割りの方法や手当の要件も、規程によって違います。前月と同じ扱いのまま計算を続けると、規程が改定された月に誤りが残ります。AIに引かせる規程の該当箇所も、改定後の最新の版から取らせます。

【説明用の架空の記入例】通勤手当が増えた従業員について、AIが作る問いの下書きです。
– 宛先: B社の総務の担当者
– 対象: 従業員番号27(営業部)
– 差: 通勤手当が前月より増えている
– 当たる規程: 給与規程の通勤手当の条(経路の変更の届出)
– 問い: 転居や経路の変更の届出はありましたか。あれば届出の日付と新しい経路を教えてください

返事が来るまで、その従業員の行は確定しません。返事の内容と確かめた日は、給与担当が確認事項一覧(計算を確定する前に、顧問先に確かめた事項と返事を従業員ごとに残す表)に書きます。

賃金台帳は、賃金計算の基礎となる事項と賃金の額を、支払のたびに記入する帳簿です。手当の扱いを決めた理由が確認事項一覧に残っていれば、翌月以降に同じ差が出たときも説明できます。

マイナンバーと社会保険の届出は、AIの入力に入れない

特定個人情報とは、マイナンバーを含む個人情報です。番号法では、提供と収集・保管ができるのは法律が定める場合に限られています。

マイナンバーの載る列や書類は、取込用の表を作る前に外し、外部のAIサービスに入れません。給与ソフトの従業員の登録にマイナンバーの欄があるなら、勤怠の書き出しにその列が混ざっていないかを給与担当が先に見ます。

社会保険の届出書類の作成とその提出の代行は、社会保険労務士法で社会保険労務士の業務とされています。労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成も、同じ条に挙げられた業務です。社会保険労務士でない者が報酬を得てこれらを業として行うことは、第27条で制限されています。このため、届出書の下書きもAIに作らせません。

第27条には、他の法律に定めがある場合などの例外があります。事務所が給与計算と届出をどこまで受けられるかは、所長が顧問先との契約と社会保険労務士との分担で確かめます。

AIが前月比の一覧から、固定的な賃金が変わった従業員を月額変更の候補として挙げることはできます。その場合も、届出が要るか、届出書の作成と提出は、顧問先が契約する社会保険労務士へ渡します。給与担当がするのは、一覧の該当者を社会保険労務士に伝えるところまでです。

変換ルール表を所内で直し続けられるかが、外注の分かれ目

顧問先が勤怠システムを替えると、CSVの列名が変わります。変換ルール表はその月から使えなくなります。

受託する顧問先が少なく、システムの入れ替えもまれなら、給与担当が表を直して締めに間に合わせられます。一方で、入れ替えが同じ時期に重なる事務所や、紙の写真で届く顧問先が多く照合に時間を取られる事務所があります。マイナンバーの列を外す設定を所内で確かめられない事務所も同じです。こうした場合は、整形と照合の仕組みづくりを外部に任せる方が締めに間に合います。

どちらを選ぶ前でも、上席と給与担当がまず作るのは1社分の変換ルール表です。表があれば、外部に頼むときもどの列をどう置き換えるかを渡せます。

続けるかは、給与担当が締めごとに記録する2つの数で上席が決めます。1つは取込の前後と確定の前に直した計算の修正件数(件/月)、もう1つは1社の確認にかかった時間(分/社)です。手で整形していた月より件数が減らなければ、AIの整形を止め、変換ルール表の書き方に戻って見直します。

年の途中で顧問先が勤怠システムを入れ替える月は、新旧のCSVが同じ締めに混ざります。その月だけ給与担当は変換ルール表を2枚持ち、切り替えた日を表の上に書いてから、日付で分けてAIに渡します。

明日から始める3ステップ

  1. 担当 給与担当

    次の締めで勤怠が届く顧問先を1社選び、勤怠の列名と給与ソフトの勤怠項目名、社員番号と従業員番号の対応を1枚の変換ルール表に書き、AIに渡さない列を決める

    次へ進む目安変換ルール表が1枚でき、上席がAIに渡さない列を確かめて確認日を書いた

  2. 担当 給与担当

    同じ顧問先の給与台帳を過去1年分さかのぼり、昇給・住民税の切替・算定の結果が給与に出た月を変動月の一覧にする

    次へ進む目安3つの変動が出る月が一覧に入り、前月比の一覧から顧問先への問いを外す月が決まった

  3. 担当 給与担当と上席

    翌月の締めでAIの整形と前月比の一覧を使い、取込の前後と確定の前に直した件数と、1社の確認にかかった時間を記録する

    次へ進む目安上席が件数と時間を手で整形していた月の記録と並べ、AIの整形を続けるか変換ルール表を直すかを決めた

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出典

  1. 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)(第2条第1項第1号・第1号の2・第2号・第27条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.25
  2. 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)(第19条・第20条・第2条第9項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.25
  3. 労働基準法(昭和22年法律第49号)(第24条第1項・第108条・第109条・第143条第1項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.25
  4. 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」4(2) 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法 厚生労働省 確認日 2026.10.25
  5. 国税庁 タックスアンサー No.2502「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」(納付期限) 国税庁 確認日 2026.10.25
  6. マネーフォワード クラウド給与サポート「他社ソフトからCSVインポートで勤怠データを取り込む方法」(CSVファイルの作成) 株式会社マネーフォワード 確認日 2026.10.25
  7. マネーフォワード クラウド給与サポート「前月比較機能の使い方」(前月比較機能の利用条件) 株式会社マネーフォワード 確認日 2026.10.25
  8. 地方税法(昭和25年法律第226号)(第321条の5第1項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.25
  9. 健康保険法(大正11年法律第70号)(第41条第2項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.25

編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり

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