工程表のAIに休日の前提を渡さないと、雨で遅れた作業が土曜に入る
読んでほしいのは、雨や欠員のたびに週間工程表を組み直す現場代理人と、休日の作業を認める工事部長、36協定の残りを数える総務です。
火曜が雨で作業が飛ぶと、木曜に週間工程表を組み直すことになります。そのときAIに残った作業と工期だけを渡すと、出てくる案は土曜に作業を置き、36協定の枠が減ったことに月末まで気づけません。工程表のAIに休日と天候の前提をどう渡すか、休日に置かれた作業を誰が認めるか。法定休日と所定休日で36協定の数え方が変わる点も含めて、順に見ていきます。

先に結論
雨で飛んだ作業を組み直す前に、法定休日の曜日を1つ、協力会社ごとの休む曜日、雨と猛暑で止める工種、36協定の残りを一覧に書いて渡します。猛暑日と協力会社の休みの行が埋まるまでは、出てきた案を詰所に貼りません。
残った作業の並べ替えと組み直しの案、休日に置いた作業に法定か所定かを分けた印を付けるところまでがAIの受け持ちです。印の付いた作業を認めるかは工事部長が1件ずつ決め、月末に出面表と印の数を合わせるのは総務です。
組み直しのたびに休日へ流れる現場は、週間工程表の工夫では足りません。休日の印とその理由の記録を、雨休と猛暑日を工期に入れる協議の材料に回します。
休日を制約に入れない一覧では、AIは土曜も空き日と読む
休日が「作業できない日」として一覧に入っていなければ、AIは土曜にも作業を置きます。工期に収まる答えを探す計算なので、渡された工程表の上では、土曜も火曜も同じ空き日に見えるからです。
工程表にAIを使う形には、見積や図面から着工前の全体工程を作るもの、工程管理ソフトに付いた機能、対話型のAIで週間工程表を組み直す使い方があります。どれも、作業の順序と日数と工期を渡せば、工期に収まる案を返します。
休日出勤の案が紛れ込みやすいのは、雨や欠員で飛んだ作業を毎週動かす週間工程表の側です。全体工程と施工計画書の章立ては、施工計画書のどの章をAIに下書きさせるかの段階で固まっています。
国土交通省の令和7年度の調査では、工期が足りなかった工事の対応として休日出勤を挙げた建設企業が41.7%で、作業員の増員(52.0%)に次ぐ2番目でした。休日へ作業を寄せる組み直しは、現場ではすでに身近な手段です。AIがその手段を黙って選ばないよう、休日を制約として先に渡します。
週間工程表は木曜の日報から組み直す
組み直しは前週の作業日報から始まり、月末の突き合わせで終わります。週間工程表を作っていない現場や、出面が毎朝の電話でしか分からない現場では、AIに渡す前に週単位の表を作るところからです。
図の要点:週間工程表を組み直す7つの工程の流れ図。木曜の夕方にAIが前週の日報から残った作業を並べ、現場代理人が雨で空いた日と来られない職種を協力会社に電話で確かめる。AIが制約の一覧と残作業から案を作り、休日に置いた作業に法定休日か所定休日かを分けて印と理由を付ける。工事部長が休日の作業を認めるかを決め、認めない作業は外させる。現場代理人が版番号を入れて詰所と協力会社へ配り、月末に総務が出面表と休日の印を突き合わせる。
休日の印が付いた案は、工事部長の承認を経てから詰所に貼る
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前週の日報から残った作業を並べる
木曜の夕方。紙の日報は現場代理人が読む
AI
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雨で空いた日と来られない職種を数える
出面の見込みを協力会社に電話で確かめる
現場代理人
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制約の一覧と残作業から案を作る
協力会社の顔ぶれで1案か2案
AI
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休日に置いた作業に印と理由を付ける
法定休日か所定休日かを分ける
AI
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休日の作業を認めるかを決める
認めない作業は外させる
工事部長
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版番号を入れて詰所と協力会社へ配る
貼り替えた人が番号を日報に書く
現場代理人
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月末に出面表と休日の印を突き合わせる
合わない協力会社は翌月の一覧へ
総務
案を1つ出させるか2つ出させるかは、協力会社の顔ぶれを見て現場代理人が決めます。毎週同じ協力会社が入る現場なら1案で足り、職種の入れ替わりが多い現場ほど、2案を比べたほうが見落としは減ります。
日報の記載が薄いと、並べられる残作業も減ります。終わらなかった作業の数量と理由が日報に無いなら、薄い日報に数字と理由を足させる工夫を先に済ませます。
版番号を入れる作業は、AIとは関係のない手当てです。修正した表を送っても、詰所の掲示が前の版のまま朝礼を迎えることがあります。右上の番号を日報に書く形にしておけば、旧版で作業を始める朝が減ります。
工程表のAIに渡す休日と天候の制約
制約は、休日と協力会社の休み、天候、労働時間の残りを1枚の一覧にまとめ、行ごとにAIに返させるものを決めておきます。表の右の列が、案を受け取ったときに現場代理人が見る所です。
| 制約 | 一覧への書き方 | AIに返させるもの |
|---|---|---|
| 法定休日 | 曜日を1つ固定して書く | 置いた作業に「法定」の印 |
| 所定休日・閉所日 | 4週8閉所の閉所日を日付で | 置いた作業に「所定」の印と理由 |
| 協力会社の休み | 会社名ごとに休む曜日 | 休む会社の作業を外した案 |
| 雨休 | 降水の予報で止める工種 | 止まる工種を後ろへずらした案 |
| 猛暑日 | 暑さ指数で止める時間帯 | 作業を午前へ移した案 |
| 同時にできない作業 | 同じ階で重ねない組合せ | 重なった日の指摘 |
| 36協定の残り | 自社は総務、協力会社は各社から | 残りを超える案の印 |
【説明用の架空の記入例】法定休日: 日曜/閉所日: 第2・第4土曜/協力会社の休み: 型枠のA社は日曜、設備のB社は土日。雨休: 降水の予報が出た日は外部足場の作業を止める/猛暑日: 暑さ指数が高くなる午後は屋外の作業を止める/36協定の残り: 自社の社員は総務から、協力会社の作業員は各社から聞いた時間を書く。曜日や工種は説明のための架空の例で、どの現場にも当てはまる決め方ではありません。
7行のうち、空けたまま渡すと休日へ作業が流れやすいのは、猛暑日と協力会社の休みの行です。
雨と猛暑の行は、工期に関する基準の考え方を現場の言葉に直したものです。基準は、工期を決めるときに降雨日(雨休率)と、暑さ指数(WBGT)が31以上の猛暑日の不稼働を考えるよう求めています。国土交通省発注の土木工事では、午前8時から午後5時までで暑さ指数が31以上の時間を集め、1日8時間で日数に換算して作業不能日に入れます。
同じ令和7年度の調査で、工期の設定に猛暑日を不稼働日として入れている企業は26.2%でした。契約の工期に入っていない猛暑日は、週間工程表の側で吸収することになり、午後に止まった作業がそのまま休日へ回りやすくなります。
協力会社の休みは、元請の閉所日と一致しないことがあります。型枠は日曜だけ休み、設備は土日とも休む、という組み合わせです。元請として4週8閉所を提案した(された)企業は62.4%でした。閉所日の行は元請の予定表から埋められても、協力会社の行は現場ごとに聞いて書き足します。
法定休日と所定休日で減る36協定の枠が違う
同じ土曜の出勤でも、その日が法定休日か所定休日かで、減る36協定の枠が変わります。工程表の上ではどちらも「休みの日に置いた作業」に見えるので、AIに渡す一覧で書き分けます。
労働基準法第35条は、毎週少なくとも1回の休日を求め、4週を通じて4日以上の休日を与える形も認めています。第36条でいう「休日」は、この第35条の休日です。週休2日の現場なら、2日ある閉所日のうち法定休日ではない1日は、この条文の休日に当たりません。そのため一覧の休日欄には、法定休日の曜日を1つ決めて書きます。
法定休日に置いた作業の時間は休日労働で、第36条第6項の1か月100時間未満と、2〜6か月平均80時間以内の枠に入ります。
所定休日に出た時間は、第32条の週40時間を超えた分が時間外労働です。こちらは月45時間・年360時間の限度時間に数えられ、100時間未満の枠にも入ります。2つの枠を分けて数えるため、AIの印も「法定」と「所定」に分けます。
建設の事業にも、2024年4月からこの上限がかかっています。例外は第139条の災害時の復旧・復興の事業で、100時間未満と平均80時間の枠が外れます。通常の工事の週間工程表を組むときに、この特例を当てにはできません。
36協定は雇い主ごとに結ぶものです。元請の総務が勤怠で数えられるのは自社の社員の時間で、型枠や鉄筋の協力会社の作業員の残りは、その協力会社が数えています。一覧の「36協定の残り」の行は、自社の分を総務から、協力会社の分を各社から聞いて埋めます。
休日に置いた作業は工事部長の承認を通す
休日に置いた作業を認めるのは工事部長です。工程表を作るのは現場で、労働時間を数えるのは雇い主の側なので、承認の工程が無いと、休日の作業が増えたことに気づくのが月末まで遅れます。
仮に火曜が雨で飛び、休日の抜けた一覧で組み直しを頼めば、案は土曜に作業を置きます。この週だけなら戻せても、同じことが月に何度か続けば、職種によっては月45時間の限度時間に届きます。法定休日に置いた日が重なれば、100時間未満の枠にも近づきます。月45時間に近い職種が毎月同じなら、組み直しの前に協力会社へ増員を相談する段取りを、現場代理人と工事部長で決めておきます。
月末の突き合わせで、休日の印が付いた日と出面表で休日に人が入った日の数が合わないときは、原因が2通りあります。工程表の外で決まった休日作業があるか、法定休日と所定休日の書き分けが誤っているかです。出面表は元請の手元にあるので、協力会社の勤怠を見なくても、どちらの原因に当たる現場かは見分けられます。
休日へ流れる現場は契約工期から見直す
組み直しのたびに休日へ作業が流れる現場は、週間工程表の工夫では足りず、契約の工期そのものが短い見込みがあります。建設業法第19条の5は、注文者にも建設業者にも、通常必要な期間に比べて著しく短い期間を工期とする契約を禁じています。短すぎる工期は受注した側の問題にもなるので、協議の材料を現場から集めておきます。
工期に関する基準は、気象などの自然要因を必要に応じて受発注者間で協議し、工期に反映するよう求めています。令和7年度の調査では、工期中の猛暑日を不稼働日とするよう注文者に申し入れた企業は約2割でした。申し入れた場合には、約7割が契約条件への反映か工程調整などで対応を受けています。
協議に持ち出せるのは、休日の印が付いた作業と、その理由の記録です。理由の欄に「雨」か「猛暑」かが残っていれば、次の工事の見積の段階で、雨休と猛暑日を工期に入れるよう注文者に示せます。
36協定の残りを各社に聞いて回る手間が、外部と組む分かれ目
制約の一覧づくりと組み直しの案は、現場代理人の手元で完結します。一覧の7行は現場と総務がすでに持っている情報で埋まり、生成AIサービスに読ませた案も、詰所に貼る前に工事部長の承認で止められるからです。
手間が残るのは、36協定の残りの行です。自社の分は総務が勤怠から、協力会社の分は各社から聞いて埋めるので、現場と協力会社が多い会社ほど、木曜の夕方までに行がそろいません。勤怠と出面表、工程表の休日の印を1つの表でつなぐところまで考えるなら、社内の表で持つ範囲を、外部の顧問(AI顧問)と決める段階です。
協力会社1社ごとに、出面表で休日に人が入った日から休日の印が付いた日を引いた日数を見て、一覧を今の書き方で続けるかを決めます。差が残る協力会社は、休みの行を書き直すまで、休日に印の付いた案を貼りません。
明日から始める3ステップ
担当 現場代理人
木曜の夕方、まず法定休日の曜日と協力会社ごとの休む曜日、雨と猛暑で止める工種を一覧に書き込んでから案を作らせる
次へ進む目安猛暑日と協力会社の休みの行が埋まった案だけを、工事部長へ回した
担当 工事部長
休日に印の付いた作業を1件ずつ見て、認めるか外させるかを決める
次へ進む目安その週の案で、印の付いた作業のすべてに認めたか外したかが書かれた
担当 総務
月末に協力会社ごとに、出面表で休日に人が入った日の数と休日の印が付いた日の数を並べる
次へ進む目安差が1日でも残った協力会社の名前を、現場代理人に渡した
無料相談(オンライン)
BoostXは、建設会社の積算・日報・安全書類へのAI導入を支援しています
01無料相談
積算・日報・安全書類から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援
出典
- 国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」集計結果(問1-14 工期不足に対応するために実施したこと・問1-6 猛暑日を不稼働日として考慮しているか) 国土交通省 確認日 2026.09.29
- 国土交通省「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)」調査結果(建設企業)概要現場閉所率(4週8閉所の提案)・要点(猛暑日の申し入れ) 国土交通省 確認日 2026.09.29
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)(第32条・第35条・第36条・第139条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.29
- 工期に関する基準(令和2年7月20日 中央建設業審議会決定・令和6年3月27日最終改定)中央建設業審議会(国土交通省掲載) 確認日 2026.09.29
- 建設業法(昭和24年法律第100号)(第19条の5) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.29
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