商社の仕入でAIが作る発注量の案、最小ロットで止める行と確定で見る列
この記事は、基幹システムの在庫と受注残から仕入先ごとの発注数量を決めている、商社・卸売の仕入担当・仕入・購買の責任者・業務部長向けです。
週次の発注日に仕入担当が休むと、その週の発注書が出ないまま仕入先の受付の締めを過ぎてしまう会社があります。在庫・受注残・予測値を見比べ、仕入先ごとのリードタイムと最小ロットを思い出して数量を決める作業が、担当者の頭の中にしかないためです。この計算をAIに移すとき、仕入担当が確定の前に何を確かめ、どの品番の行で案を止めるかに答えます。

先に結論
発注量の案と、その数がどの数字から出たかを示す根拠の列はAIに作らせ、数量と仕入先は仕入担当が確定します。AIの案は、予測値から使える在庫を差し引き、リードタイム分の必要数を最小ロットと入数で丸めた数です。
次の5つに当たる行には、AIは案を出しません。条件の登録日が古い行、丸めで増えた数が大きい行、仕入先が2社以上ある品番、廃番予定・新規の品番、確保分が登録されていない受注を含む行です。止めた行は仕入担当が手で数量を入れ、そのうち丸めで増えた数が大きい行と仕入先が2社以上ある品番は、仕入の責任者が数量と仕入先を決めます。
発注量の確定に要る交渉の余地は、基幹のデータに無い
発注量の計算に使う数字は、基幹システムに登録されています。在庫、受注残、発注済みで未入荷の数、仕入先ごとのリードタイムと最小ロットは、どれも発注管理の画面で見ている数字です。
一方で、数量を確定するのに要る情報には、登録データの外にあるものがあります。最小ロットを今回だけ下げてもらえるか、2社ある仕入先のどちらが今月は納期を守れそうかは、仕入担当が電話やメールのやり取りで知っていることです。
確定までAIに任せると、こうした事情を知らないまま、登録どおりの数で発注書が出ます。計算は登録データだけで済む範囲に限ってAIに渡し、登録の外の事情を足して数を決める作業を仕入担当に残せば、誤りは発注書を出す前の案の段階で直せます。
予測値から発注量の案までの計算をAIが受け持つ
発注量の案は、予測値を受け取ってから発注書の数になるまで、決まった順番の計算でできています。AIに渡すのは、基幹から出した品番ごとの在庫・受注残・確保分(得意先のために取り置いた在庫)・発注残と、仕入先の条件の一覧です。
図の要点:発注量の案ができて発注書になるまでを、AI・仕入担当・仕入の責任者の3つのレーンで示した図。AIが予測値の受取り、使える在庫の差し引き、リードタイム分の必要数、最小ロットと入数での丸めを受け持ち、案を止める5つの行は数量を「未確認」で返す。仕入担当が根拠の列を見て数量を確定し、止めた行のうち丸めで増えた数が大きい行と仕入先が2社以上ある品番は仕入の責任者が決めてから発注書を出す。
丸めた数と登録日を仕入担当が見るまで、AIの案は発注書にならない
AI
仕入担当
仕入の責任者
- AI
商品担当が採用した予測値を品番ごとに受け取る
予測値は書き換えない
- AI
在庫から受注残と確保分を引き、発注残を足す
確保分の無い受注を含む行は止める
- AI
リードタイム分の予測値に安全在庫を足し、必要数を出す
登録日の古い条件の行は止める
- AI
最小ロットと入数で丸め、発注量の案にする
戻す止める5つの行は「未確認」で返す
- 仕入担当
根拠の列を見て数量を確定し、止めた行は手で数量を入れる
案から変えた理由を備考に書く
- 仕入の責任者
止めた行のうち、丸めで増えた数が大きい行と仕入先が2社以上ある品番を決める
最小ロットの交渉か仕入先の切替えか
- 仕入担当
確定した数量で仕入先へ発注書を出す
送り方はメール・FAX・EDIのいつもの経路
止める5つの行に当たった品番は、数量の欄が「未確認」のまま発注案の一覧に並びます。発注日の朝、仕入担当はその品番の数量から先に決めます。
仕入先の条件には、リードタイム・最小ロット・入数のほか、それぞれを最後に登録した日を付けて渡します。予測値そのものの作り方と内示の扱いは、品目の型と内示の確度の決め方で先に決めておきます。
使える在庫を出すときは、受注残と確保分の重なりに気をつけます。受注残のうち在庫を引き当て済みの分を確保分としても引くと、同じ数を二度引くことになり、案が多めに出ます。どちらの数で引くかを品番の区分ごとに決めてから、AIに渡します。
必要数は、リードタイムの日数分の予測値に安全在庫を足し、使える在庫を引いて出します。安全在庫の数はAIに決めさせず、仕入の責任者が品目群ごとに決めた値を登録しておきます。発注点を使う品番では、使える在庫が発注点を下回った品番だけを計算の対象にします。
AIへの指示には、計算の順番のほかに2つの決まりを入れます。登録日の無い条件は計算に使わず、その行の数量を「未確認」と返すこと、丸めで増えた数を必ず列に書くことです。案は発注日の朝までに発注案の一覧として出し、仕入担当がその一覧で確かめます。こうした業務の全体は仕入・調達の業務と商社・卸売の業務別のAI活用で見渡せます。
最小ロットの丸めで増えた数が大きい行は案を止める
次の条件に当たる行には、AIに数量の案を出させません。数量の欄は「未確認」のまま、仕入担当の手入力に回します。
| 案を止める行 | 止める理由 | 戻し先 |
|---|---|---|
| 条件の登録日が古い | 実際の納期・ロットと違う恐れ | 仕入担当が仕入先に確かめる |
| 丸めで増えた数が大きい | 交渉か切替えの余地がある | 仕入の責任者 |
| 仕入先が2社以上ある品番 | 比べ方が登録データに無い | 仕入担当と仕入の責任者 |
| 廃番予定・後継品切替え・新規 | 過去の実績が計算に合わない | 商品担当と仕入担当 |
| 確保分の未登録の受注を含む | 使える在庫が分からない | 営業事務が確保分を登録する |
丸めで増えた数が大きい行を止めるのは、その行が最小ロットの交渉か仕入先の切替えを考える場面だからです。どれだけ超えたら止めるかは、保管場所の空きや賞味期限・使用期限の長さを見て、仕入の責任者が品目群ごとに決めます。
登録日の古い条件は、案の数がもっともらしく見えるぶん見落とされやすい誤りです。仕入先が最小ロットを引き上げたのに登録が古いままなら、案は発注を受けてもらえない数になります。リードタイムが実際より短く登録されていれば、入荷が得意先への納期に間に合いません。何か月前の登録を古いとみなすかは、仕入先から条件変更の案内が来る頻度を見て決めます。
止めた行の数と、仕入担当が案の数量を書き換えた行の数は、発注日ごとに数えて残します。たとえば4回の発注日分を並べ、書き換えが減らない品目群があれば、その品目群はAIの計算を広げずに登録の見直しへ戻します。
仕入担当は根拠の列を見て数量と仕入先を決める
確定のときに仕入担当が見るのは、案の数そのものより、その数がどの数字から出たかを示す根拠の列です。発注案の一覧には、案の数の横に次の列を並べます。
| 根拠の列 | 中身 | 確定前に確かめること |
|---|---|---|
| 使える在庫 | 在庫−受注残−確保分+発注残 | 同じ数を二度引いていないか |
| 予測値 | リードタイム分の予測の合計 | 商品担当が採用した値か |
| リードタイムと登録日 | 仕入先の条件と登録した日 | 最近の納期回答と合うか |
| 丸め前の必要数 | 最小ロットで丸める前の数 | 丸めで増えた数が妥当か |
| 仕入先 | 登録上の主な仕入先 | 2社目と比べる必要がないか |
リードタイムの登録日だけでは判断がつかない行は、納期管理表と照合します。直近の発注で仕入先から届いた納期回答が登録の日数より遅れていれば、数量を増やすか発注を早めるかを仕入担当が決めます。
確定した数と、案から変えた理由は、発注書を出す前に発注案の一覧の備考に書きます。理由が残っていれば、在庫が積み上がったときや欠品が出たときに、AIの計算と人の判断のどちらで数が変わったかを後から分けられます。積み上がった在庫の値引・返品・評価損の分け方は、滞留在庫の出口と確保分の外し方で扱っています。
PB品の製造委託では、確定した発注をいつ書面で示すか?
PB品のように自社の仕様で製造を委ねる発注が取適法の対象になる場合は、内容を示す時期が決まっています。委託事業者は委託をしたら直ちに、給付の内容・代金の額・支払期日と支払方法などを書面か電磁的方法で示さなければなりません。
発注量の案を一覧に出した時点では、まだ委託をしていません。示す時期の起点になるのは、仕入担当が数量を確定して発注書を出すときです。止めた行の数量が決まらないまま、ほかの行だけを先に発注する日もあります。その場合も、先に出した行の内容はその時点で示します。
内容が定まらないことに正当な理由がある事項は、定まった後に直ちに示すと定められています。仕入担当は、行ごとに数量を確定した日と発注書を送った日を、発注案の一覧の備考に並べて残します。
仕入先の既製品を買うだけの発注は、製造を委ねる取引ではありません。PB品の仕入先ごとに対象になるかは、資本金の額や常時使用する従業員の数の基準もあるため、仕入の責任者が公正取引委員会の窓口で確かめます。
メールやEDIで送る発注書が電磁的方法として認められる形かも、仕入の責任者が公正取引委員会規則で見ておきます。発注書を出した後に予測が外れて数量を減らす場面は、需要予測の記事の発注取消しの節を見てから運用を決めます。
登録日を持てない基幹は、改修から外部の手を借りる
社内で先に片づけるのは、リードタイム・最小ロット・入数に登録日を付け、古い条件を仕入先に確かめ直す作業です。仕入担当が仕入先へ問い合わせて進める作業なので、外部に出しても仕入先とのやり取りは社内に残ります。
外の力が要るのは、基幹の仕入先マスターに登録日の欄が無い、発注候補の画面へ案を戻す口が無い、といった基幹側の事情があるときです。この場合は、基幹のベンダーに欄の追加を頼む方法と、基幹から出した一覧で計算して結果を戻す仕組みを外部の開発で作る方法を、品番の数と発注日の頻度で比べます。
確保分が基幹に登録されていない受注は、外部の仕組みを入れても仕入の中だけでは片づきません。取り置きを決めているのは営業担当なので、受注の入力と同じ時点で営業事務が確保分を登録する決まりがあるかどうかで、AIが案を止めずに出せる品番の広さが変わります。
明日から始める3ステップ
担当 仕入担当
取引額の大きい仕入先5社分の品番について、リードタイム・最小ロット・入数を最後に登録した日を基幹から書き出し、登録日の無い条件と仕入先の最新の案内と違う条件に印を付ける
次へ進む目安品番ごとに登録日と印の入った一覧ができ、仕入先に確かめ直す品番が決まった
担当 仕入の責任者
案を止める5つの条件のうち、丸めで増えた数と登録日の古さについて止める幅を品目群ごとに決め、止めた行の戻し先と合わせて一覧にする
次へ進む目安品目群ごとの止める幅と戻し先が1枚にまとまり、仕入担当と営業事務に渡した
担当 仕入担当(集計は仕入の責任者)
4回の発注日について、AIの案と根拠の列を並べた発注案の一覧から仕入担当が数量を確定し、止めた行の数と案から書き換えた行の数、書き換えた理由を品目群ごとに数える
次へ進む目安4回分の止めた行と書き換えた行の数が品目群ごとに並び、計算を広げる品目群と登録の見直しへ戻す品目群が分かれた
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BoostXは、卸売・商社の受発注・在庫・問い合わせ対応へのAI導入を支援しています
01無料相談
注文の入力・商品マスタ・照会への回答から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援
出典
- 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法・昭和31年法律第120号)(第4条第1項本文・第4条第1項ただし書・第2条第1項・第2条第8項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.10.24
- 公正取引委員会「取適法」(法律名の変更と施行期日) 公正取引委員会 確認日 2026.10.24
編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり










