建設の生成AIツールの選び方は?3系統の候補と名簿を入れる前の8項目
全社で使う生成AIを決めるのは経営者ですが、規約と管理画面を受け持つ総務と、現場の使われ方を知る工事部長がそろわないと判断の材料が足りません。
経営会議でChatGPT、Copilot、Geminiと製品名を並べて機能を比べても、全社の標準はなかなか決まりません。その間に現場では、個人で登録した無料版で日報を整える監督が出てきます。作業員名簿や発注者の図面をどこまで入れてよいかも、決まらないままです。候補の分け方と、名簿を入れる前に契約で確かめることを、建設会社の帳票に沿って整理しました。

先に結論
最初に試す系統は、日報と議事録をいま書いている場所で1つに絞ります。置き場所がグループウェアなら付属のAI、紙やExcelなら法人向けの対話型AIが1本目で、施工管理アプリや積算ソフトのAI機能は全社の標準と分けて担当の部署が選びます。
生成AIが受け持つのは、定例会議の議事録と現場日報の下書きまでです。作業員名簿・発注者の図面・原価の明細を入れるかと、法人契約のアカウントを誰から配るかは経営者が決めます。
入れるのを止めるかは、帳票ごとに決めます。規約で8項目を読み切れない候補に名簿は渡さず、守秘条項で迷う図面は工事部長が入れない判断をします。
書く場所で、総務が持つ管理画面の数が決まる
試す系統を書く場所に合わせるのは、利用者のアカウント(契約によっては利用ライセンス)と利用履歴を見る管理画面の数が、そこで決まるからです。候補は、対話型AIの法人向けプラン、グループウェアに付くAI、施工管理アプリや積算ソフトのAI機能の3系統です。
図の要点:日報と議事録をいま書く場所から、最初に試す系統を選ぶ分岐図。日報も議事録もグループウェアで書くなら付属のAIを1本目にし、管理画面は総務が持つ。日報が施工管理アプリで議事録が事務所のパソコンなら、現場はアプリのAI、事務所は対話型AIか付属のAIで、管理画面が2つになるので退職者のアカウントを消す人を先に決める。日報が紙かExcelなら、法人向けの対話型AIを1つ選んで打ち直しで試し、管理画面は総務が持つ。
グループウェアで書く会社は付属のAIから、紙とExcelの会社は対話型AIから試す
- 日報も議事録もグループウェアの文書とメール
- 付属のAIを1本目にし、議事録と報告メールで試す
- 管理画面は総務が持ち、アカウントの追加と削除を受け持つ
- 日報は施工管理アプリ、議事録は事務所のパソコン
- 現場はアプリのAI、事務所は対話型AIか付属のAI
- 管理画面が2つ。退職者のアカウントを消す人を先に決める
- 日報は紙かExcelで、工務事務が夕方に打ち直す
- 法人向けの対話型AIを1つ選び、打ち直しで試す
- 管理画面は総務が持つ
2本に分けるかどうかは、総務が管理画面を2つ回せるかで判断します。分ければ、毎月の退職者のアカウントの削除も、利用履歴の確認も2か所です。試した結果の差が小さいなら、1本に寄せたほうが長く続きます。
建設の生成AIツールは3系統から2つ、業務ソフトは部署が選ぶ
全社の標準にするのは、3系統のうち前の2つのどちらかです。3つ目の業務ソフトのAIは、その業務を受け持つ部署が別に選びます。
| 系統 | 代表的な製品 | 向く業務 |
|---|---|---|
| 対話型AIの法人向けプラン | ChatGPT、Claude、Gemini | 日報の文面、報告書、提案書の下書き |
| グループウェアに付くAI | Microsoft 365のCopilot、Google WorkspaceのGemini | 議事録、社内の通知、発注者への報告メール |
| 施工管理アプリ・積算ソフトのAI機能 | 各製品のAI機能 | 日報、写真台帳、数量の算出 |
表の3行目を全社の会議に混ぜると、議論が製品の機能比べに流れます。比較サイトの一覧は積算・工程表・ナレッジ検索のように用途ごとに製品を並べますが、積算や工程表のAIは積算担当や工事部が自分の業務に合わせて選ぶものです。積算ソフトの比べ方は積算AIの型ごとの比較にあり、全社の会議はその結果を待たずに進めます。
グループウェアに付くAIの強みは、会社の契約の中で動くことです。Microsoftは、Copilotのプロンプト、応答、データを基礎LLMの学習に使わないと説明しています。Google Workspaceも、顧客のコンテンツを許可なくドメイン外で学習に使わないとしています。どちらも法人の契約の話で、個人が無料で登録した版は含みません。
2026年3月の全国の企業調査では、生成AIを業務で活用している企業は34.5%、業界別の建設は26.4%でした。同業が使い始めたと聞いて慌てて契約するより、系統を先に決めるほうが、後でアカウントを整理し直す手間が残りません。
画像を作るAIは、施工イメージや提案書の挿絵には使えます。ただし返ってくるのは寸法の無い絵なので、仮設計画図や施工手順図の代わりにはなりません。
作業員名簿と発注者の図面は、入れる前に契約で範囲を決める
名簿・図面・原価の明細は、候補ごとに契約と設定を確かめ終えるまで「入れない」側に置きます。この3つは経営者が決め、日報と議事録の扱いは工事部長と総務が決めます。
作業員名簿には、協力会社から預かった氏名、生年月日、健康診断の受診日、保有資格が並びます。どれも個人データです。預かったときの利用目的に生成AIでの文書づくりが入っているかも、先に確かめる点です。
外部のサービスに入れたときの扱いは3つに分かれます。提供事業者が名簿を取り扱わないと契約に定め、アクセスも適切に制限していれば、名簿がサーバに残っても提供に当たりません。事業者が中身を扱う契約なら、利用目的の範囲で任せる委託と言える条項かを総務が読みます。言えるときに限り、委託先への監督が会社に求められます(個人情報保護法第25条)。
委託にも当たらない預け方は第三者提供となり、本人の同意を得るのが原則です(第27条)。どれに当たるかは総務が規約を読んで経営者が判断し、国外の事業者を含めた確かめ方は安全書類の名簿で整理した判断の順序に合わせます。
| 帳票 | 入れる前に伏せる語 | 入れてよい範囲と決める人 |
|---|---|---|
| 作業員名簿 | 氏名、生年月日 | 下の8項目を確かめ終えるまで入れない(経営者) |
| 発注者から預かった図面 | 物件名、発注者名 | 工事請負契約の守秘条項しだい(経営者・工事部長) |
| 実行予算書と見積の原価 | 協力会社名、単価 | 法人契約のアカウントの中だけ(経営者) |
| 現場日報 | 作業員の個人名 | 伏せたうえで現場監督が使う(工事部長) |
| 定例会議の議事録 | 発言者の個人名 | 事務所の全員(総務) |
表の中で迷いやすいのは発注者の図面です。外部サービスに入れてよいかは、工事請負契約の守秘条項がどこまでの開示を禁じているかで変わります。条項の書き方は発注者ごとに違うため、工事部長が契約書を読み、迷う案件は入れない側に置きます。個人の施主の住宅なら、図面の施主名と住所は名簿と同じ扱いです。
日報は個人名を伏せても、日付と出面表を照合すれば誰の作業か分かる行が残ることがあります。伏せるのは社外へ渡る項目を減らす対策で、個人データとしての扱いが要らなくなるわけではありません。
契約するプランで総務が確かめる点は8つあり、社内で見られること、入れたデータの行き先、相手の体制の順に読むと規約の中で探しやすくなります。
- 会社の中で誰が触れるか(アクセス権限)
- 操作ログが残り、管理者が見られるか
- 入れた文面を学習に使うか、使わない設定があるか
- 入力データを保存する場所と、保存する期間
- データが国外へ移るか
- 契約を終えたとき、入力データが消されるか
- 再委託先がどこか
- 漏えいが起きたとき、いつ誰に連絡が来るか
8つのうち1つでも規約から読み取れない候補には、名簿も、誰の作業か分かる行が残る日報も入れずに試します。名簿の転記そのものを楽にしたいなら、協力会社から安全書類を受け取る段階の見直しのように、受け取る仕組みから組み直すほうが近道です。
無料版で済む仕事と法人契約が要る人は、管理画面で分ける
無料版と法人契約のアカウントは、会社が利用者と履歴を管理画面で見られるかどうかで分けます。法人契約のアカウントが要るのは、上の表で「入れない」「法人契約のアカウントの中だけ」とした帳票に触れる人です。
個人で登録した無料版は、会社の管理画面の外にあります。仮に、若手の現場監督が自分の無料版で日報を整え、新規入場者の一覧を作るために名簿の写真まで読ませていたとします。その場合でも、会社の側からは誰がいつ何を入れたのかを確かめられません。
アカウントは、名簿や原価の明細を扱う事務所の工務事務と総務から配ります。社外向けの挨拶文や、公開されている仕様書の言い回しを確かめる程度なら、無料の範囲でも会社の情報は出ていきません。
アカウント数の上限は、試す前に決めます。事務所の工務事務と総務、試行に出る現場監督のアカウントまでが上限です。月額を比べるときは、請求の通貨、年払いの割引、税の扱いをそろえてから並べます。
同じ議事録と日報で候補を比べる
比べる材料には、定例会議の議事録と現場の日報を使います。評判ではなく、同じ書類から出た下書きをどれだけ直したかで比べるためです。
議事録は、定例会議のメモを工務事務が翌日に清書しているものを使います。同じメモを2つの候補に渡し、決まったこと・宿題・担当・期限を並べた下書きを出させます。日報は、現場監督が夕方に書いた作業・人数・止まった作業のメモから作業員の個人名を伏せて渡し、社内の様式に整えさせます。
下書きを出すのはAIで、直して確定するのは使った本人です。1つの候補を決めた期間使ったら入れ替え、同じ種類の書類でもう一度試します。期間はたとえば2週間で、決めるのは総務です。日報のAI化そのものを先に進めるなら、日報AIが最初に消す作業が続きになります。
議事録1件ごとの「直した箇所の数」と「清書までにかかった分」は、下書きの出来と手間の減り方を別々に表します。直す箇所が少なくても清書の時間が縮まない候補は、確かめる手間が別の所に残っています。数え始める書類には、個人名を伏せる手間が日報より小さく、工務事務1人で回せる議事録の清書が向きます。
試行で直した箇所がどちらの候補でも同じ所に集まるなら、原因は候補ではなく、決まったことと宿題を分けずに書いたメモの側にあります。候補は替えずに、工務事務とメモの型を決め直します。
候補の比較は社内で済み、名簿と図面の扱いは外部と詰める
系統を絞って2つの候補を比べるところまでは、総務と工務事務の手元で終わります。材料は社内の議事録と日報で、数えるのも工務事務の試行記録だからです。規約を読んでも8項目のどれかが埋まらない候補が続く会社は、帳票ごとの表を外部のAI顧問と1行ずつ詰めます。発注者ごとに違う守秘条項で図面の扱いが決まらない会社も同じです。
グループウェアで日報と議事録を書いていても、その管理者を社内の誰も務めていない会社は、法人向けの対話型AIを1本だけ契約して総務が管理画面を持ちます。付属のAIから広げると、利用者の管理が外注先任せのまま残るからです。
明日から始める3ステップ
担当 総務
日報と議事録をいま書いている場所を図の3行に当て、最初に試す系統を1つと管理画面を持つ人を決める
次へ進む目安試す系統と管理画面の担当が、経営会議の議事録に載った
担当 工務事務
定例会議の同じメモを2つの候補に渡して清書させ、直した箇所の数と清書までにかかった分を、議事録1件1行で試行記録に書く
次へ進む目安候補ごとに、総務が決めた試行期間(たとえば2週間)の記録がそろった
担当 経営者
総務が候補ごとに合計した試行記録を見て、全社の標準と法人契約のアカウントを配る順番を決める
次へ進む目安標準の1本とアカウントを配る人の一覧を、総務が全社へ知らせた
無料相談(オンライン)
BoostXは、建設会社の積算・日報・安全書類へのAI導入を支援しています
01無料相談
積算・日報・安全書類から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問FDE型AI伴走支援
出典
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)第25条(委託先の監督)・第27条(第三者提供の制限) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」全体の活用状況・業界別(建設) 株式会社帝国データバンク 確認日 2026.09.28
- Microsoft Learn「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」Microsoft 確認日 2026.09.28
- Google Workspace 管理者ヘルプ「Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ」Google 確認日 2026.09.28
- 個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」(Q7-53・Q7-54) 個人情報保護委員会 確認日 2026.09.29
編集BoostX編集部(株式会社BoostX)編集と監修の決まり










