AIが生成した物件紹介文のチェック、公正競争規約で止める語と止める人
入稿の締めの前日に、生成AIが書いた物件紹介文がまとめて届きます。「最高の住環境」に赤を入れるのは誰で、台帳から写し違えた面積には誰が気づくのか。店で決めていないと、どちらも確認をすり抜けたままポータルに載ります。止める語の一覧を誰が持ち、どの資料で確かめるかまで、規約の号に沿って組み立てます。

先に結論
入稿前のチェックで生成AIに任せるのは、一覧の語と値下げの一文への印と号、台帳の道路距離からの徒歩の分の数え直しまでです。価格・面積・間取り・徒歩の分は、印が付いていない原稿も物件担当が台帳と図面で確かめます。
印の付いた語の可否と言い換えは店長が号を添えて決め、本文を読み通して一覧に無い言い回しも見つけます。申込や成約が入った部屋は、台帳の状態欄を見て入稿を止めます。
止める語の一覧は可否を出す店長が持ち、最初の版は付箋やメールで戻した原稿の、直す前と直した後の語から起こします。
AIの印が付かない誤りは、物件担当と店長で分けて止める
生成AIの印は、一覧にある語と決まった計算にしか付きません。数値は物件担当が物件台帳と図面で、語は店長が社内の一覧と規約の号で、それぞれ別の資料から確かめます。
図の要点:物件担当・生成AI・店長の8つの工程。物件担当が下書きと台帳の行・図面・価格の公表履歴を渡し、生成AIが一覧の語と値下げの一文に印と号を付け、道路距離から徒歩の分を数え直す。物件担当が価格・面積・間取り・徒歩の分を全原稿で台帳と照合し、状態欄で申込と成約を見る。店長が印の語ごとに可否と号を書き、本文を読み通して一覧に無い言い回しを見つける。最後に物件担当が入稿する。
数値は物件担当が全原稿で、語は店長が号を添えて確かめる
物件担当
生成AI
店長
- 物件担当
下書きと台帳の行・図面・価格の公表履歴を渡す
賃貸か売買かの欄も添える
- 生成AI
一覧の語と値下げの一文に印と号を付ける
言い換えを2案返す
- 生成AI
台帳の道路距離から徒歩の分を数え直す
下書きとの差を返す
- 物件担当
価格・面積・間取り・徒歩の分を全原稿で台帳と照合する
戻す台帳が古ければ元付か売主に確かめる
- 物件担当
台帳の状態欄で申込・成約の有無を見る
戻す入っていれば入稿をやめ、掲載中の先も止める
- 店長
印の語ごとに可否と号を書き、言い換えを選ぶ
戻す根拠の資料が無い語は言い換えへ
- 店長
本文を頭から読み通し、一覧に無い言い回しを見つける
見つけた語は一覧に足す候補
- 物件担当
可否のそろった広告原稿を不動産ポータルの入稿画面へ入れる
価格と面積を全原稿で台帳と照合するのは、物件台帳の面積を写し間違えた一文には語としての問題が無く、印が付かないからです。価格・面積・間取り・徒歩の分は、印の付いた広告原稿に限らず、物件担当が毎回台帳と比べます。
店長の読み通しを省けないのも同じ理由で、一覧に無い言い回しは印の対象になりません。読み通しで見つけた語は、その場で言い換えを決め、一覧に足す候補として確認票の余白に控えます。
印が1本に十数か所も付く店では、物件担当が印を開かなくなります。一覧が長すぎるか、設備欄が「エアコン・他」で止まっていて、空いた所を褒め言葉で埋めた下書きが返っているかです。後者は設備欄の埋まり方で下書きを任せる物件を選ぶ手順で先に手を入れます。
公正競争規約で入稿前に止めるのは第18条第2項の6種類の語
止めるのは、不動産の表示に関する公正競争規約の第18条第2項が挙げる6種類の語です。どれも、表示の中身について合理的な根拠を示す資料が店の手元に現にあるときしか、紹介文に使えません。生成AIに紹介文を「魅力的に」と頼むだけで、こうした語は下書きに入り込みます。
最上級を意味する語と、著しく安い印象を与える語には、さらに条件が付きます。根拠となる事実を広告原稿に併せて書く場合に限って使えるので、物件資料が事務所の棚にあるだけでは足りません。
| AIが書きやすい表現 | 当たる号 | 言い換えと手元に要る資料 |
|---|---|---|
| 最高の住環境 | 第1号(最上級) | 道路幅員や道路距離を数字で。測量図・台帳 |
| 格安・掘出し物件 | 第2号(著しく安い印象) | 価格だけを書く。使うなら比較の事実を併記 |
| 完璧なリフォーム済み | 第3号(欠けるところがない) | 交換した設備と工事の年を書く。工事の請書 |
| 眺望抜群・他に類を見ない | 第4号(競争相手より優位) | 階数と窓の向きを書く。図面と現地の写真 |
| 厳選の1室 | 第5号(選別) | 選んだ条件を書く。選んだ基準の記録 |
| 完売間近の人気エリア | 第6号(売行きのよさ) | 資料が無ければ削り、状態欄の値で書く |
言い換えを選ぶときは、手元に要る資料が店に無い語から削ります。資料を探してから使う順にすると、掲載前の締めの前日に、図面や写真の探し物が集中します。
この表示ルールが及ぶのは、協議会に加わる業界団体の会員業者と、個別に参加した事業者で、規約そのものは法令ではありません。法令としては、実際より著しく良い・得だと人に思わせる広告を、宅地建物取引業法第32条が禁じています。下書きを生成AIが書いても広告を出す業者の表示であることは変わらないため、可否を出す担当は店の側に残します。
「日当たり良好」「閑静な住宅街」のように、規約の語には挙がっていないものの、賃貸仲介や売買仲介の店として避けてきた言い回しもあるはずです。こうした語は号の欄に「社内の基準」と書いて同じ一覧に入れます。規約の語と分けておくと、後で見直すときに根拠の強さを取り違えません。
不利な事項の指摘欄は、賃貸住宅の原稿には置かない
規約第13条が求める不利な事項の表示は売買などの原稿で確かめ、賃貸住宅の原稿では確認票のその欄を空けておきます。
規約第13条は、一般消費者が通常予期できない地勢・形質・立地・環境などの事項を、見やすい場所に分かりやすく書くよう求めています。著しく不利な取引条件のうち施行規則で定める事項も同じ扱いです。この義務には「賃貸住宅を除き」とあり、賃貸住宅の広告には及びません。
同じ確認票で賃貸仲介と売買仲介を回している店では、この違いで欄が二重になります。物件種別の欄を下書きと一緒に渡せば、第13条の事項が本文に見当たらないという指摘を、賃貸住宅以外の原稿にだけ生成AIに返させられます。両方を扱う店で賃貸住宅の本数が多いなら、賃貸住宅用の短い確認票を別に作るほうが、物件担当が欄を読み飛ばしにくくなります。
値下げ・納戸・徒歩の分は台帳の値で確かめる
数字の決まりは、語の一覧ではなく物件台帳の値と計算で確かめます。生成AIの下書きは数字をもっともらしく丸めるので、決まりどおりに数え直さないと1分短い原稿や、1室多い間取りが通ります。
紹介文の値下げの一文は、施行規則第12条の範囲です。過去の販売価格を比べる価格として並べるには、次の要件を全部満たし、その期間その価格で販売していたことを資料で示せなければなりません。
- 過去の価格を不動産ポータルなどで公表した日と、値下げした日を明示する。
- 比べる価格は値下げ直前のもので、値下げ前2か月以上公表していた価格。
- 値下げの日から6か月以内の表示である。
- 公表日から表示の日まで、物件の価値に同一性がある。
- 土地か建物についての表示である。
5つの要件は物件担当が価格の公表履歴で確かめ、1つでも欠けるなら今の価格だけを書きます。生成AIには公表履歴を渡し、公表日と値下げ日が埋まらない下書きに印を付けさせます。
間取りは施行規則第9条第17号で、建築基準法上の居室と認められない納戸などは「納戸」等と表示します。規約第23条も、居室に当たらない部屋を居室と誤認させる表示を不当表示に挙げています。図面の室名を読まずに部屋数だけ数えた下書きは、2LDKと納戸を「3LDK」と書くため、物件担当は図面の室名と照合します。
徒歩の分は、道路距離80メートルごとに1分で数え、1分に満たない端数は1分とします。道路距離が680メートルとすると8.5分なので、表示は9分です。施設名と距離を周辺情報の台帳から写させる組み方は、チラシを刷る前に施設名と徒歩の分を台帳で確かめる手順にあります。
成約済みの部屋の紹介文は掲載状態で止める
規約第21条がおとり広告に挙げる型の1つが、実在はしても、実際には取引の対象となり得ない物件の表示です。申込や成約が入った部屋の掲載が残るのは、この典型です。第24条により、広告を出し続けている物件に変更があれば、速やかに表示を直すか取りやめます。
入稿前の確認で止められるのは、台帳の状態欄が正しいときに限られます。申込を電話で受け、物件担当が後で台帳に入れる店では、状態欄が募集中のまま翌日のポータルと自社サイトへの入稿が進みます。成約の連絡が状態欄に届く経路を先に直してから、状態欄の確認をチェックに組み込みます。
掲載中の先を止める順番は、成約した物件を台帳から先に直して掲載を止める順番で確かめられます。SNSに流した投稿は、成約済みの部屋の投稿を物件IDで引いて消す台帳から消します。
止める語の一覧は店長が持ち、差し戻しから作る
止める語の一覧は、可否を出す店長が持ちます。物件担当に持たせると、入稿の忙しい週に更新が止まり、生成AIに渡す一覧が古いまま回るからです。
どの語を止めるかが、ひとりのベテランの物件担当の頭の中にしか無いこともあります。その人が抜けると、AIの印は残っても、印を見て可否を出す基準が消えます。一覧は、その人がいるうちに作ります。
複数の店舗が同じ物件を不動産ポータルへ出している会社なら、一覧は本部で1枚にまとめ、店ごとに見つけた語は、本部が決めた間隔(たとえば月に1回)で本部へ送ります。店ごとに一覧を持つと、同じ物件の原稿が店によって通ったり止まったりします。
差し戻しの束には、店で実際に止めてきた語が、直した後の言い換えと一緒に残っています。店長が最初の版をそこから起こし、号の欄をベテラン本人に埋めてもらえば、その人が抜けても、印を見て可否を出す基準が一覧に残ります。
版を改めるかは、繁忙期が明けた月に、修正を求められた原稿のうち一覧に無かった語の数で決めます。0件なら版を据え置き、1件でもあれば号の欄を埋めた語を足した版に番号と日付を付けて全店へ配り、生成AIに渡す一覧も同じ日に差し替えます。古い版は、差し替えた日を書いて残しておきます。
一覧の版を本部で配る会社は、印付けの組み込みを外部と比べる
1店舗で入稿の本数が限られる店なら、止める語の一覧を頼み方に添えて汎用の生成AIに印を付けさせ、店長の読み通しと物件担当の照合で回せます。一覧の持ち主が店長なので、差し戻しで見つけた語をその週のうちに足せます。
複数の店舗が同じ物件をポータルへ出す会社では、本部が1枚にまとめた一覧の版を、各店の下書きの道具へ同じ日に行き渡らせる手間が増えます。物件台帳と価格の公表履歴を下書きと並べて渡し、印と号を付けて返す作業を入稿の流れに組み込むなら、AIエージェント開発で受けられます。号の付け方や社内の基準の語を差し戻しを見ながら見直す場が要るなら、AI顧問の範囲です。
外部へ移る目安は、繁忙期が明けた月の見直しで見つかる、古い版の一覧のまま入稿された原稿の件数です。版を店ごとに手で差し替えていて、その件数が続けて1件以上出るなら、印付けを入稿の流れに組み込む仕組みを外部と比べます。何か月続いたら比べるかは本部が決め、たとえば2か月を目安にします。
明日から始める3ステップ
担当 物件担当
繁忙期を1回含む期間までさかのぼり、付箋やメールで戻した原稿と、掲載で修正を求められた原稿を束にする
次へ進む目安束から、直す前の語と直した後の語が1行ずつ書き出せた
担当 店長
書き出した語の号の欄をベテランの物件担当に埋めてもらい、規約の語と社内の基準に分けた最初の版を生成AIに渡す
次へ進む目安次の入稿の締めで、印の付いた語のすべてに号を添えて可否を出せた
担当 本部の担当
繁忙期が明けた月に、修正を求められた原稿を全店から集め、一覧に無かった語を書き出す
次へ進む目安0件なら版を据え置き、1件でもあれば語を足した版を全店へ配った
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出典
- 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第32条(誇大広告等の禁止) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(規約集)表示規約 第18条第2項(特定用語の使用基準)・施行規則 第9条第9号・第17号(徒歩の所要時間・納戸)・施行規則 第12条(過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示)・表示規約 第13条(特定事項の明示義務)・表示規約 第21条(おとり広告)・第23条(不当表示)・第24条(表示の修正・取りやめ) 不動産公正取引協議会連合会 確認日 2026.09.29
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