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賃貸管理

不動産業の入居者対応はAIでどこまで自動化できる?3方式と人の判断

入居者からの連絡をAIで受ける方式は、賃貸管理システムの拡張機能、規約と契約書を参照する社内検索、個別開発の三つです。

編集 BoostX編集部2026.09.2211分で読めます

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この記事の要点

  • 入居者からの連絡をAIで受ける方式は、賃貸管理システムの拡張機能、規約と契約書を参照する社内検索、個別開発の三つです。
  • どれを選んでも、緊急対応の判断、業者手配の可否、完了の判定は管理担当に残ります。
  • 本メディアでは、緊急語句で自動回答を止める経路を持てない方式は選ぶべきでないと判断します。

AIが受けるのは記録と分類と一次回答の下書き、人が決めるのは緊急対応と完了判定

入居者からの連絡は、同じ型の質問が毎日届く仕事です。書き写す仕事と探す仕事はAIに渡せます。漏水を緊急と見て現場を動かす判断は、会社が定めた確認者に残ります。

三つの方式は、この線の引き方では差が付きません。差が出るのは、対応履歴の置き場所と、緊急の連絡を人へ回す経路の設計です。以下では受付から管理業務報告書までを8工程に割って比べます。

対象は、管理戸数500〜1,500戸を管理担当2〜4名で回す賃貸管理会社

この記事では、管理戸数500〜1,500戸を管理担当2〜4名と業務管理者1名で回す会社を前提に置きます。戸数が違えば以降の工程と時間は当てはまりません。

登録の要否は戸数で分かれます。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、賃貸住宅管理業法)第3条第1項は、賃貸住宅管理業を営む者に国土交通大臣の登録を求めます。国土交通省令で定める規模未満は対象外で、その規模は200戸です(同法施行規則第3条・確認 2026-09-22)。

連絡は電話・メール・入居者アプリで届き、対応記録は賃貸管理システムかExcelに残す形を前提に置きます。繁忙期は2〜4月と置きますが、公的統計の区分ではありません。

以下では受付から管理業務報告書までを8工程に割って比べます

入居者対応は連絡の受付から管理業務報告書まで8工程で回る

工程の起点は入居者からの着信です。夜間と休日は転送先の担当者が受け、私物端末で受ける状態も起きます。量の目安は公的統計に無いため、管理戸数800戸で月150件、うち緊急が月5件、記録と一次回答に1件15分と前提を置きます。

着手から完了までの流れ。色の付いた工程はAIが担える部分があり、「人」はその工程で人が決めることが残る工程です。
  1. 1電話・メール・アプリで連絡を受ける
  2. 2電話メモを対応記録へ書き写すAIと人
  3. 3内容を分類し緊急度を判定するAIと人
  4. 4契約書と管理規約で負担区分を確かめるAIと人
  5. 5一次回答を返すAIと人
  6. 6修繕業者へ依頼するAIと人
  7. 7オーナー承認を取り完了を確認するAIと人
  8. 8管理業務報告書へ苦情と対応状況をまとめるAIと人

AIが担える人が決める

  1. 1

    電話・メール・アプリで連絡を受ける

    担当: 管理担当 / 使うもの: 電話、入居者アプリ / 量・時間: 月150件(前提)

    AIが解決すること
    この工程はAIを使わない(受けるのは人)
    人が決めること
    受ける窓口と時間帯
    詰まるところ
    夜間の着信が私物端末に入る
    失敗したときの損失
    着信が記録に残らない
  2. 2

    電話メモを対応記録へ書き写す

    担当: 管理担当 / 使うもの: 対応記録(Excelまたは賃貸管理システム) / 量・時間: 月150件(前提)

    AIが解決すること
    連絡内容を部屋番号と契約に紐づけて記録に起こす
    人が決めること
    記録に残す項目
    詰まるところ
    メモが個人の手帳に留まる
    失敗したときの損失
    同じ話を二度聞く
  3. 3

    内容を分類し緊急度を判定する

    担当: 管理担当 / 使うもの: 対応記録、緊急連絡先一覧 / 量・時間: 緊急は月5件(前提)

    AIが解決すること
    設備・騒音・契約・鍵に分類し緊急度の案を出す
    人が決めること
    緊急対応の判断
    詰まるところ
    漏水や火災が通常の順番に並ぶ
    失敗したときの損失
    初動が遅れ被害が広がる
  4. 4

    契約書と管理規約で負担区分を確かめる

    担当: 管理担当 / 使うもの: 賃貸借契約書、管理規約 / 量・時間: 月150件(前提)

    AIが解決すること
    該当条項と同種案件を並べる
    人が決めること
    適用する条項の確定
    詰まるところ
    規約を探すのに時間がかかる
    失敗したときの損失
    誤った案内を後から覆す
  5. 5

    一次回答を返す

    担当: 管理担当 / 使うもの: 対応記録、入居者アプリ / 量・時間: 1件15分(前提)

    AIが解決すること
    条項を根拠に下書きし参照条項を添える
    人が決めること
    回答の採否と送信
    詰まるところ
    同じ質問に毎回書き直す
    失敗したときの損失
    根拠の無い回答が苦情になる
  6. 6

    修繕業者へ依頼する

    担当: 管理担当 / 使うもの: 修繕依頼書、業者一覧 / 量・時間: 月150件の一部(前提)

    AIが解決すること
    部屋・症状・希望日時から依頼文を作る
    人が決めること
    業者手配の可否と発注先
    詰まるところ
    依頼が電話で伝わり記録に残らない
    失敗したときの損失
    手配漏れと二重手配
  7. 7

    オーナー承認を取り完了を確認する

    担当: 管理担当 / 使うもの: 見積書、作業完了報告 / 量・時間: 月150件の一部(前提)

    AIが解決すること
    承認待ちと未完了を滞留日数順に並べる
    人が決めること
    負担区分と完了の判定
    詰まるところ
    承認待ちのまま案件が止まる
    失敗したときの損失
    修繕が進まず退去につながる
  8. 8

    管理業務報告書へ苦情と対応状況をまとめる

    担当: 管理担当・業務管理者 / 使うもの: 管理業務報告書、対応記録 / 量・時間: 1年を超えない期間ごと(法定)

    AIが解決すること
    物件別・原因別に分類し該当欄を下書き
    人が決めること
    報告に載せる内容
    詰まるところ
    記録がExcelと電話メモに分かれる
    失敗したときの損失
    報告の裏付けが取れない

図の見方は、枠の色が担当の別で、三角は取りこぼしの起きやすい工程です。

業務フロー分解図。1 連絡を受ける→2 対応記録へ写す→3 分類と緊急度判定→4 規約で負担区分→5 一次回答を返す→6 修繕業者へ依頼→7 承認と完了確認→8 管理業務報告書。AI担当はなし、人が確定するのは1 連絡を受ける・2 対応記録へ写す・3 分類と緊急度判定・4 規約で負担区分・5 一次回答を返す・6 修繕業者へ依頼・7 承認と完了確認・8 管理業務報告書1 連絡を受ける2 対応記録へ写す3 分類と緊急度判4 規約で負担区分5 一次回答を返す6 修繕業者へ依頼7 承認と完了確認8 管理業務報告書AIが担う人が確定する両方失敗が起きやすい工程
入居者対応は連絡の受付から管理業務報告書まで8工程で回る

AIで消える工程:工程2の、電話メモを後から対応記録へ書き写す作業が無くなります。

AIで短くなる工程:工程3の分類、工程4の条項の確認、工程5の下書き、工程6の依頼文、工程8の集計です。

新しく増える確認工程:緊急語句に当たる連絡を自動回答から外し、管理担当と緊急連絡先へ回す工程が、工程9として増えます。

対応件数と初動までの時間を数えていない会社は、方式を選べない

詰まりは工程3から工程5に集まります。分類し、規約を探し、回答を書く三つが、電話を受けながら同じ担当に乗るためです。夜間の着信が翌朝に固まると、緊急の1件が埋もれます。

件数と時間が残っていない会社は、どの方式が合うかを比べられません。数えている会社の割合は、公的統計で確認できませんでした(確認 2026-09-22)。

測る項目 試算用の仮定 あなたの会社
入居者からの連絡(件/月) 前提として150件と置く
緊急に当たる連絡(件/月) 前提として5件と置く
記録と一次回答(分/件) 前提として15分と置く
初動までの時間(分) 公的な統計なし

報告の頻度にも定めがあります。管理業務報告書は1年を超えない期間ごとに作り、記載事項は、報告の対象期間、管理業務の実施状況、入居者からの苦情の発生状況及び対応状況の三つです(賃貸住宅管理業法施行規則第40条・確認 2026-09-22)。

効果の見え方は全業種の調査が目安です。商工中金の2026年1月調査で、積極活用層に評価を尋ねた結果です。

横棒グラフ。有効事例が出てきたは42%、経営へのプラス効果は29.8%、今のところ効果なしは19.3%、評価はこれからは7.1%、大きなインパクトは1.9%。最も大きいのは有効事例が出てきたの42%。出典は商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」p5・積極活用層全体・確認 2026-09-22単位:%有効事例が出てきた42%経営へのプラス効果29.8%今のところ効果なし19.3%評価はこれから7.1%大きなインパクト1.9%
生成AIを活用している企業の自己評価(出典:商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」p5・積極活用層全体・確認 2026-09-22)

「有効事例が出てきている」が42.0%、「効率化など経営へのプラス効果」が29.8%、「今のところ効果はみられない」が19.3%でした(p5・確認 2026-09-22)。全業種の値で、入居者対応を測った調査ではありません。

AIへ渡せるのは工程2の記録、工程3の分類案、工程5の回答下書き、工程8の集計

工程2は番号ごと無くなります。連絡の内容を部屋番号と契約に紐づけ、対応記録へ直接起こせるためです。

工程3は、連絡内容を設備・騒音・契約・鍵などに分け、緊急度の判定案を出すところまでです。結果を「案」と呼び、「判定」と呼ばないことが線です。

工程4と工程5では、管理規約と賃貸借契約書から該当条項を引いて回答を下書きします。参照した条項を添えさせ、確認者が原本と突き合わせるだけで済む形にします。工程8は対応記録を分類し、報告書の苦情の欄を下書きします。

人が決めるのは工程3の緊急対応、工程6の業者手配、工程7の完了判定

三つを人に残す理由は、誤りが入居者の安全と委託者への報告に跳ね返るためです。

AIと人の境界図。AIが担うのは連絡を部屋番号と契約に紐づける・内容の分類と緊急度の判定案・規約と過去の対応から条項を示す・一次回答と業者依頼文の下書き・未完了と承認待ちを並べる。人が確定するのは緊急対応の判断・適用する条項の確定・業者手配の可否と発注先・完了の判定・報告書に載せる苦情の書き方。止めどころは緊急かどうかは人が決める。AI担当は連絡を部屋番号と契約に紐づける・内容の分類と緊急度の判定案・規約と過去の対応から条項を示す・一次回答と業者依頼文の下書き・未完了と承認待ちを並べる、人が確定するのは緊急対応の判断・適用する条項の確定・業者手配の可否と発注先・完了の判定・報告書に載せる苦情の書き方AIが担う(写す・比べる・下書き)人が確定する連絡を部屋番号と契約に紐づける内容の分類と緊急度の判定案規約と過去の対応から条項を示す一次回答と業者依頼文の下書き未完了と承認待ちを並べる緊急対応の判断適用する条項の確定業者手配の可否と発注先完了の判定報告書に載せる苦情の書き方確定止めどころ緊急かどうかは人が決める
入居者対応でAIが下書きする範囲と管理担当が押す判定

緊急語句の一覧は、過去の対応記録から作ります。即時に動いた案件の連絡文から、漏水、水漏れ、火災、ガス、鍵が開かない、といった語を集めます。「今すぐ」「止まらない」のような言い回しの連絡も、分類にかかわらず人へ回します。

緊急に当たるかどうか、適用する条項、完了の判定は、法令・管理受託契約・社内規程に基づき、会社が定めた確認者が判断します。AIの出力だけで確定しない運用が必要です。

本メディアでは、この経路を持てない方式は選ぶべきでないと判断します。前提は、夜間と休日の連絡を受ける体制があることです。日中のみ受付で時間外を留守番電話に寄せている会社では、この前提は外れます。

着手前に要るのは対応記録・管理規約と賃貸借契約書・緊急連絡先一覧

揃える現物は、部屋単位で引ける対応記録、管理規約と賃貸借契約書、緊急連絡先一覧の三つです。

対応記録が電話メモに留まり、規約も担当者の頭の中にある会社は、どの方式でも分類の材料を持てません。本メディアでは、その状態の会社に個別開発は勧めません。まず記録を部屋単位で電子に残します。

記録の保存には期間の定めがあります。賃貸住宅管理業者は事務所ごとに帳簿を備え付け、委託者ごとに契約年月日その他の事項を記載します。帳簿は事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間保存します(賃貸住宅管理業法第18条・同施行規則第38条第3項・確認 2026-09-22)。

導入後は工程2の書き写しが消え、緊急語句を人へ回す工程が増える

同じ8工程をAI活用後の姿で並べ直します。消えるのは工程2だけで、工程1の受付と工程7の完了判定は残ります。代わりに、緊急語句に当たる連絡を人へ回す工程9が増えます。

前後比較図。現状は1 連絡を受ける→2 対応記録へ写す→3 分類と緊急度判定→4 規約で負担区分→5 一次回答を返す→6 修繕業者へ依頼→7 承認と完了確認→8 管理業務報告書。AI活用後は1 連絡を受ける→2 対応記録へ写す(消える)→3 AIが緊急度の案(AI)→4 AIが条項を示す(AI)→5 AIが回答を下書き(AI)→6 AIが依頼文を作る(AI)→7 承認と完了確認→8 AIが苦情を集計(AI)→9 緊急語句を人へ回す(新)。AI担当は3 AIが緊急度の案・4 AIが条項を示す・5 AIが回答を下書き・6 AIが依頼文を作る・8 AIが苦情を集計・9 緊急語句を人へ回す、人が確定するのは1 連絡を受ける・7 承認と完了確認現状1 連絡を受ける2 対応記録へ写す3 分類と緊急度判4 規約で負担区分5 一次回答を返す6 修繕業者へ依頼7 承認と完了確認8 管理業務報告書AI活用後1 連絡を受ける2 対応記録へ写す3 AIが緊急度の案4 AIが条項を示す5 AIが回答を下書6 AIが依頼文を作7 承認と完了確認8 AIが苦情を集計9 緊急語句を人へ回す変わらないAIが担う増える(検証・例外)消える
同じ8工程で見た、入居者対応の現状とAI活用後
工程 現状 AI活用後
1. 連絡を受ける 電話・メール・アプリで管理担当が受ける 変わらない(受ける窓口と時間帯は会社が決めるため)
2. 電話メモを対応記録へ写す(消える工程) 手帳のメモを後からExcelへ入力 消える(部屋番号と契約に紐づけ直接起こす)
3. 分類と緊急度の判定 管理担当が読んで順番を決める AI: 分類と緊急度の案を出す → 人: 緊急対応を判断
4. 規約で負担区分を確かめる 規約と履歴を紙で探す AI: 該当条項と同種案件を示す → 人: 適用条項を確定
5. 一次回答を返す 同じ質問に毎回書き直す・15分/件 AI: 条項を根拠に下書きする → 人: 採否と送信
6. 修繕業者へ依頼する 電話で伝え記録に残らない AI: 部屋・症状・希望日時から依頼文を作る → 人: 発注先
7. 承認と完了確認 承認待ちのまま止まる AI: 滞留日数の順に並べる → 人: 完了の判定
8. 管理業務報告書をまとめる 記録を手で分類する AI: 物件別・原因別に分類し苦情欄を下書き → 人: 説明
9. 増える: 緊急語句を人へ回す なし 増える: 分類にかかわらず自動回答を止めるため

工程3を「変わらない」にしていない点が要注意です。分類はAIに寄りますが、緊急と決めるのは会社が確認者と定めた管理担当のままです。

費用の重さは方式で変わる。拡張機能は運用、社内検索はデータ整備、個別開発は構築

費用は総額で見ず、費目で割ります。三つの方式は、5費目のどこが重いかで違います。

費目 試算用の仮定(期間) あなたの会社
設計(工程の分解と緊急経路の決定) 前提として1〜2週間
構築(分類・回答の下書きと通知) 方式で動く。個別開発が重い
データ整備(対応記録・規約・マニュアル) 方式で動く。社内検索が重い
運用(確認と緊急語句の更新) 毎月の確認時間として続く
外部連携(賃貸管理システム・業者一覧) 連携先の数で動く

社内検索は、規約・契約書・マニュアルから該当箇所を引き、根拠付きで下書きする方式です。文書に無いことは答えられません。

基準 管理システムの拡張機能 社内検索 個別開発
対応履歴との接続 履歴をそのまま使う 履歴を文書として取り込む 入金・修繕記録まで接続
緊急案件の経路 提供元の機能に依存 語句と条件を自社で設計 通知先・条件・時間帯まで設計
回答の根拠 提供元の設計に依存 参照した箇所を示せる 示す形を自社で決める
個人情報の扱い 提供元の規約と設定に従う 取り込む文書と送信範囲を選べる 送信範囲と保管場所を決める
初期の負担 小さい。履歴がシステム内にある前提 中程度。規約の整備が前提 大きい。要件定義と検証が要る
変更のしやすさ 提供元の更新を待つ 文書の差し替えで反映 開発した側が直す

履歴が賃貸管理システムに部屋単位で入っているなら拡張機能から始めます。履歴が電話メモに散る一方で規約が揃っているなら社内検索が向きます。業者手配からオーナー承認まで連携させるなら個別開発を検討します。

回収は記録と一次回答の時間で数え、件数は自社の管理戸数で置き換える

ここでは、記録と一次回答に月38時間、導入後の同じ作業に月15時間、増える確認は月4時間、立ち上げは50時間と前提を置きます。統計の値ではありません。

数える項目 試算用の仮定 あなたの会社
記録と一次回答の時間(時間/月) 前提として38時間と置く
導入後の同じ作業(時間/月) 前提として15時間と置く
増える確認の時間(時間/月) 前提として4時間と置く
立ち上げに要る時間(時間) 前提として50時間と置く
回収までの月数 前提どおりなら3か月
費用と回収の線。横軸は月、縦軸は累計(単位時間)。3か月目に累計の削減額69時間が累計の費用62時間を上回り回収する。出典は本記事が前提として置いた値。出典のある統計ではありません(単位:時間)2761380024681012か月3か月目に回収累計の費用累計の削減額交わった月=回収月
入居者対応の記録と一次回答に投じた時間と、削減できた時間の累計(出典:本記事が前提として置いた値。出典のある統計ではありません)

仮定した作業時間だけで比較すると、3か月目に累計の削減時間69時間が累計の投入時間62時間と並びます。システム利用料、外部委託費、開発費は含まないため、実際の投資回収期間は別途算定が必要です。連絡が月150件より少なければ後ろへずれます。

起きやすい失敗は緊急連絡の埋没・規約に無い回答・記録の取りこぼし

一つ目は緊急連絡の埋没です。漏水や火災の連絡が設備トラブルとして一次回答され、通知が翌朝になります。原因は緊急語句で自動回答を止める経路を後回しにした設計です。防ぎ方は、語句と条件の一覧を方式の選定より先に作ることです。

二つ目は規約に無い回答です。負担区分について契約書にも規約にも書かれていない内容を、それらしい文章で返します。原因は、条項を併記させず体裁だけで採否を決める運用です。防ぎ方は、参照条項の無い下書きを工程4へ差し戻すことです。

三つ目は記録の取りこぼしです。夜間の電話だけが記録に残らず、報告書の苦情の欄が実態より少なくなります。原因は、時間外の受け口が私物端末のままなことです。防ぎ方は、時間外の着信も同じ対応記録へ入る形にすることです。

賃貸住宅管理業法の帳簿と定期報告、借地借家法の更新通知は人が確認する

稟議で聞かれるのは、管理業者としての義務と個人情報の二つです。賃貸住宅管理業法第12条は事務所ごとに1人以上の業務管理者の選任を、第18条は帳簿の備付けを、第20条は委託者への定期報告を求めます(確認 2026-09-22)。業務管理者の選任は法が定める要件で、AIの下書きを誰が確認するかは社内規程で別に定めます。

更新と解約の通知は、条文の主体を取り違えないことが要点です。借地借家法第26条第1項は、更新をしない旨の通知を期間の満了の1年前から6月前までと定め、通知がなければ従前と同一の条件で更新したものとみなされます。第27条は賃貸人の解約申入れから6月の経過で終了すると定め、第28条は正当の事由を求めます(確認 2026-09-22)。

これらの主体は建物の賃貸人であり、管理会社ではありません。通知の内容と時期は賃貸人の判断として確かめます。

入居者の氏名や連絡先を外部のAIサービスへ委託する場合、利用目的の範囲内なら原則として第三者提供に当たりませんが、個人情報の保護に関する法律第25条の委託先の監督は要ります。海外移転は第28条の制限を確認します(確認 2026-09-22)。

契約と設定で確かめる項目は次の八つです。この八つを埋めてから、対応記録を渡す範囲を広げます。

  • 入力した内容が学習に使われないか
  • 保存の場所と保存期間
  • 契約が終わったときの削除の方法
  • 再委託先の有無と範囲
  • 海外へ移転するかどうか
  • 社内でアクセスできる担当者の範囲
  • 操作ログの取得と保管
  • 漏えいが起きたときの連絡先と期限

30日で件数を測り、60日で分類と下書きを任せ、90日で方式を確定する

進め方は1エリアに絞ります。棚卸しで入居者対応を選び、8工程へ割り、判断か作業かで適性を見て、工程2と工程3から着手します。最初の2週間で測るのは、連絡件数・初動までの時間・対応漏れの三つです。

期間 やること 測る指標 その時点の判断
1〜30日 1エリアに決め、工程3から工程5の件数と時間を実測する 連絡件数(件/月)、初動までの時間(分) 実測が取れなければ延ばす
31〜60日 分類と一次回答の下書きをAIに任せ、緊急の判断は管理担当が続ける 対応漏れの件数、緊急の通知までの時間 通知が遅れたら工程3へ戻す
61〜90日 根拠を示せなかった回答を数え、拡張機能か社内検索かを確定する 根拠なし回答の件数、例外の件数 減らなければ方式を替える

90日を終えた時点で、別エリアへ広げるか対応記録の一元化へ戻るかを決めます。同じ型の質問が月に数件しか来ない会社なら、入れない方がよいと判断します。

出典

  1. 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号) e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  2. 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則(令和2年国土交通省令第83号) e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  3. 借地借家法(平成3年法律第90号) e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  4. 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号) e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  5. 中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査) 商工中金 確認日 2026.09.22

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記事に書いた業務の分け方と工程ごとの線引きは、株式会社BoostXがAI導入支援で用いる、業務整理と実装設計の考え方です。読んで終わりにせず自社で動かしたい場合は、次の3つの進め方があります。不動産を含め、業種を問わずお受けしています。

  1. 毎月ひとつずつAI化する

    AI顧問

    今の業務を工程に分けて、任せられるところから毎月ひとつずつAIに置き換えていく進め方です。設計と実装、運用の見直しまでを月額で続けます。

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  2. 部署をまたいで一気に動かす

    FDE型AI伴走支援

    BoostXも当事者として社内に入り、複数の部署にまたがる業務を一緒に組み替えます。月2日の訪問を含む伴走型です。

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  3. 仕組みとして作り切る

    AIエージェント開発

    試して効果が出た工程を、人が起動しなくても動き続ける仕組みにします。小さく試す段階から本番運用まで。

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