会計事務所のAI費用はいくら?10人分の年額と見積で所内に残る作業
想定しているのは、記帳のAI化の見積を手元に並べ、初年度の予算を組む会計事務所の所長と管理部門の責任者です。
記帳のAI化について桁の違う見積が2通届いても、稟議に書く初年度の額は所長が1つに決めなければなりません。ところが生成AIの料金表と業者の見積を足しただけでは、請求書に出てこない所内の作業時間が抜けたままになります。利用者ごとの年額、補助金を使える範囲、見積の読み方、進め方ごとの費用の出方まで、稟議の表を埋める順に並べました。

先に結論
初年度の費用は、生成AIの年額、業者の見積、所内に残る作業の時間の3つを足して比べます。生成AIは公式料金表の年払いの単価で、10人分なら円建ての3製品で年約19万〜38万円です。法人向けの契約で用意するアカウントは全職員分ではなく、顧問先名を伏せずに試算表を開く職員の人数分です。
AIの仕組みとして見積に載るのは、証憑の読み取りと仕訳候補、会計ソフトごとの取込設定、電子取引データの保存先の設定です。科目ルール表を書くこと、候補の採否、保存が要件に合うかの判断は、監査担当・入力担当・品質担当の仕事として事務所に残ります。
見積の額を動かすのは、顧問先の数より会計ソフトと証憑の形の組み合わせの数です。取込設定の本数が組み合わせの数より少ない見積は、外れた分を監査担当の予定に入れた総額で比べ直します。ルール表を書ける人が所内にいなければ、事務所用に組まず読み取りサービスを足す側で止めます。
請求書に出ない費用は、科目ルール表を書く監査担当の時間
記帳のAI化の費用は、業者に払う見積と、請求書に出ない所内の時間に分かれます。稟議に載せる額を生成AIの料金表と見積だけで出すと、科目ルール表を書く監査担当の時間が抜け落ちます。
図の要点:見積に載る作業と事務所に残る作業の比較。見積に載るのは、証憑を読み取って仕訳候補を出す仕組み、会計ソフトの種類ごとの取込設定、電子取引データの保存先と閲覧権限の設定。事務所に残るのは、監査担当が過去の仕訳(たとえば1年分)からルール表を書くこと、入力担当が候補の採否を付けること、品質担当が保存の要件に合うかを判断すること。見積が安いほど、所内に残る作業が増える。
見積が安いほど、所内に残る作業が増える
見積に載る作業
- 証憑を読み取り、仕訳候補を出す仕組み
- 会計ソフトの種類ごとの取込設定
- 電子取引データの保存先と閲覧権限の設定
事務所に残る作業
- 監査担当が過去の仕訳(たとえば1年分)からルール表を書く
- 入力担当が候補の採否を付ける
- 品質担当が保存の要件に合うかを判断する
事務所に残る3つの作業のうち、費用として数え漏れやすいのはルール表づくりです。監査担当がかけた時間を週ごとに数えて人件費に直し、生成AIの年額と見積に足した額が、初年度に比べる総額になります。
生成AIの年額は、使う人数でいくらになるか
法人向けの生成AIは、利用者1人ごとのアカウントで料金が決まります。料金表で「シート」「ユーザー」と書かれている単位です。年額は、1人分の月額×12か月×アカウント数で出せます。公式の料金表の年払いの単価で、5人分と10人分を並べると次のとおりです。
| 製品と単価(年払いの月額) | 5人分の年額 | 10人分の年額 |
|---|---|---|
| Google Workspace Business Standard 1,600円(税別) | 96,000円 | 192,000円 |
| Microsoft 365 Copilot Business 3,148円(税別) | 188,880円 | 377,760円 |
| ChatGPT Business 標準シート 3,050円(税の表記なし) | 183,000円 | 366,000円 |
| Claude Team スタンダードシート 20ドル | 1,200ドル | 2,400ドル |
Copilot の単価は、利用中の Microsoft 365 への上乗せ分なので、本体の料金は別にかかります。割引期間には2,698円の値も並びます。月払いを選ぶと、ChatGPT は1人分3,850円、Claude は25ドルになり、年払いより高くなります。
掛けるアカウント数は、全職員の数ではありません。たとえば記帳担当が6人いて、顧問先名を伏せずに試算表を開くのが4人なら、法人向けの契約が要るのは4人分です。残りの2人が税法や通達を調べるだけなら、学習利用の設定を確かめた別のプランでも足ります。
ドル建てのアカウントは為替で年額が動くため、稟議には円に直した総額と、直した日の相場を並べます。どの資料をどの契約のアカウントに入れてよいかは、生成AIツールの選び方の記事にある区分表で決めます。
記帳の仕組みづくりに補助金はどこまで使えるか?
国の補助金では、デジタル化・AI導入補助金の通常枠を記帳の仕組みの費用に使える可能性があります。補助率は1/2以内(条件を満たすと2/3以内)です。補助額は、1プロセス以上なら5万円以上150万円未満、4プロセス以上なら150万円以上450万円以下です。
この数字は、補助を受けられる額の範囲を示すだけです。補助率1/2で試算すると、1プロセス以上の上限まで補助を受けるには対象経費が300万円近く要ります。仕組みの値段がこの帯に収まる、という意味ではありません。
補助の対象には、ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入コンサルティング、導入設定や導入研修、保守サポートが並びます。会計事務所が申請できるか、入れたい仕組みが対象のツールに当たるかは、その年の公募要領で確かめます。
見積は取込設定の本数と保存の判断から読む
見積で最初に確かめるのは、会計ソフトの種類ごとの取込設定と、電子取引データの保存先の設定が載っているかです。導入研修と保守サポートの有無も、同じ並びで確かめます。
見積を動かすのは、顧問先の数より、会計ソフトと証憑の形の組み合わせの数です。たとえば顧問先が100社でも会計ソフトが1種類で、証憑がほぼデータ連携なら、取込の設定は1本で済みます。仮に30社でもソフトが4種類に分かれ、紙とPDFが混ざれば、設定とルール表は組み合わせの数だけ要ります。
【説明用の架空の記入例】顧問先台帳から数えた組み合わせ表です。社数と仕訳本数は説明のための仮の値です。
- 会計ソフトA × データ連携: 42社・月1,900仕訳
- 会計ソフトA × 紙: 11社・月600仕訳
- 会計ソフトB × PDF: 7社・月350仕訳
この表なら組み合わせは3つなので、見積に取込設定が3本載っているかを確かめます。社数の合計60社が顧問先台帳の社数と一致すれば、表はでき上がりです。
見積が2通あり、片方には読み取りの仕組みしか載らず、もう片方に取込設定や保存の設計まで載っているなら、金額の差は事務所が自分で持つ作業の差です。安いほうを選ぶなら、ルール表を書く監査担当の時間を所内の予定に先に入れられるかを確かめます。
設定が見積に載っていても、口座ごとの取込経路と保存が要件に合うかの判断は所内に残ります。所長が口座ごとにデータ連携か通帳の読み取りかを決めないまま仕組みを入れると、同じ入出金が両方から入り、二重計上を探す照合に監査担当の月末の時間が消えます。
保存の判断を外に出さないのは、電子帳簿保存法第7条が、電子取引をした保存義務者に取引情報の電磁的記録の保存を求めているからです。保存先の設定を外に頼んでも、顧問先の保存が電子帳簿保存法の要件を満たすかを見る仕事は品質担当に残ります。
取込設定の本数が組み合わせの数より少ない見積では、外れた組み合わせの作業が所内に回ってきます。所長はどの組み合わせを外したかを業者に聞き返し、その分の時間を監査担当の予定に入れた総額で比べ直します。顧問先の追加や会計ソフトの乗り換えがあった月は、管理部門が組み合わせの表に行を足してから見積を読み直します。
進め方で費用の出方はどう変わるか
同じ記帳のAI化でも、既存の会計ソフトの自動仕訳を広げるか、読み取りサービスを足すか、事務所用に組むかで費用の出方が違います。どれを選ぶかは、顧問先の会計ソフトがそろっているかで先に分かれます。
顧問先の会計ソフトが1種類にそろっているなら、自動仕訳を広げるのが早く、追加の費用もほとんど出ません。費用は既存の契約の中に収まり、止めるときも設定を戻せば済みます。ソフトが分かれていて統一の予定も無いなら、読み取りサービスを足すか、事務所用に組むかになります。
読み取りサービスの費用は仕訳の本数で動く
仕組みを作らず外のサービスを借りる場合、費用の桁は料金表で分かります。会計事務所向けの記帳支援サービス STREAMED は、初期費用0円、基本料金が月額1万円(税込11,000円)です。データ化料金は1仕訳あたり20円(税込22円)で、顧問先の追加は0円と公表しています。
この形では、利用料は顧問先の数ではなく読ませた仕訳の数で動きます。たとえば月2,000仕訳を読ませると、データ化料金だけで月4万円(税込4万4,000円)です。
事業者が証憑の中身を取り扱わない契約で、アクセスも制限されていれば、個人データの提供には当たりません。データ化の途中で事業者のスタッフが証憑を見る形なら、記帳のためだけに扱いを預ける約束かどうかを利用規約で読みます。
そう読めれば事務所が事業者を監督し(個人情報保護法第25条)、読めない形なら本人の同意を先に取る第三者提供です(第27条)。記帳は顧問先から預かった仕事なので、顧問契約が再委託を認めているかも先に確かめます。読ませてよい資料の範囲は区分表で決めます。
顧問先ごとに候補で採算が戻るかは、記帳代行の採算を顧問先別に出す記事で見分けられます。記帳の工程ごとの分担は記帳の業務一覧に、証憑回収から申告までのどれを先にAI化するかは会計・税理士の業務別の入口にあります。
取込設定は外に出せても、科目ルール表を書く手は所内に要る
事務所用に組む作業を外に頼めるかは、科目ルール表を書ける監査担当が所内にいるかで決まります。仕組みと取込設定は見積に載せられても、ルール表と候補の採否、保存の判断は所内の担当にしか持てないからです。
書ける人がいれば、まず組み合わせの表で顧問先の多い組み合わせを1つ選んで仕組みを組ませ、取込設定と保存先の設定を業者の見積に載せます。いなければ、読み取りサービスを足す側で止めるほうが戻しやすくなります。組んだ仕組みは、止めたときも維持する人が要るからです。
続けるかは、導入後の一定期間(たとえば4週間。期間は所長が決めます)、監査担当がルール表の手直しと照合にかけた時間を週ごとに数えて決めます。見積を比べたときに所内の予定に入れた時間に収まっていれば次の組み合わせへ広げ、4週とも上回るなら、外れた組み合わせを業者に聞き返すか、読み取りサービスを足す側へ戻します。
明日から始める3ステップ
担当 管理部門の担当者
見積を頼むより先に、顧問先台帳から会計ソフトの種類と証憑の形(紙・PDF・データ連携)の組み合わせごとに、顧問先の数と月の仕訳本数を数える
次へ進む目安組み合わせ表の社数の合計が、顧問先台帳の社数と一致した
担当 所長
顧問先名入りの試算表を開く職員を数え、法人向けのアカウント数と年額を円に直して稟議の表に書く
次へ進む目安アカウント数と年額、円に直した日の相場が稟議に並んだ
担当 所長
見積ごとに、所内に残る作業の時間を週の予定に置き、生成AIの年額と足した初年度の総額を1枚に並べる
次へ進む目安総額の並びから、発注する1社と所内で持つ作業が決まった
無料相談(オンライン)
BoostXは、会計事務所の記帳・月次・申告準備へのAI導入を支援しています
01無料相談
証憑の回収・記帳・申告の準備から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成10年法律第25号)(第7条) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
- 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠」(補助率・補助額・補助対象) 独立行政法人中小企業基盤整備機構 確認日 2026.09.28
- Anthropic「プランと料金」(Team プランのスタンダードシート) Anthropic 確認日 2026.09.27
- Google「Google Workspace 料金プラン」(Business Standard) Google 確認日 2026.09.27
- OpenAI「ChatGPT 料金」ビジネス・エンタープライズ向け(Business 標準シート) OpenAI 確認日 2026.09.27
- Microsoft「Microsoft 365 Copilot Business」(料金) Microsoft 確認日 2026.09.27
- クラビス「STREAMED」公式サイト(料金) 株式会社クラビス 確認日 2026.09.27
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(第25条・第27条第1項・第5項第1号) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.09.28
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