会計の入力作業の負荷はAIでどこまで減るか、入力元5つの手入力を外す順
記帳の入力が月末に積み上がり、職員を増やすか入力の仕方を変えるかを決めかねている会計事務所の所長と、記帳担当の責任者・監査担当
月末が近づくと、記帳担当の机には紙の領収書の封筒が積まれ、メールにはPDFの請求書、FAXでは通帳のコピーが届きます。銀行データ連携で取り込み済みの口座まで、通帳から1行ずつ打ち直している事務所もあります。届き方ごとに入力を数え、どれから手入力を外すかと、読取に回しても職員の手に残る入力を、入力元別の表で確かめられます。

先に結論
手入力を最初に外せるのは、銀行・カードの明細連携と、メールで届くPDF請求書です。紙の通帳と手書きの領収書は、読取に回す前に、顧問先が連携や撮影での提出に切り替えられるかを確かめます。
どの入力元でも、読み取りと仕訳候補づくりまではAIの読取や会計ソフトの自動仕訳に渡せますが、勘定科目と消費税区分の確定は記帳担当と監査担当が行います。どの顧問先のどの入力元から切り替えるか、顧問先に提出方法の変更を頼むかは所長が決めます。同じ口座を連携と通帳コピーの両方から取り込んでいる顧問先は、読取を試す前に取込経路を1つにします。
入力作業の負荷は、紙とPDFを打ち直す所に集まるから
会計事務所の記帳の入力作業のうちAIで減らせるのは、銀行・カードの明細やPDF請求書のように、すでにデータで存在する取引の打ち直しです。手書きの紙の領収書に近づくほど、入力と確認が職員の手に残ります。
図の要点:顧問先の取引が事務所の会計ソフトに入るまでの流れ図。銀行・カード会社・取引先の側ですでにデータになっている取引は、明細連携とPDF読取で打ち直しが消える。紙の通帳と領収書は撮影読取に回しても読めない行を職員が手入力する。読み取った内容からAIが科目・税区分・摘要の候補を出し、記帳担当が勘定科目と消費税区分を確定する。
手入力が残るのは、データで届かない紙の経路
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顧問先の取引
銀行・カード会社・取引先の側でデータになっている
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事務所に届く形
明細連携・カード明細・PDF請求書・通帳・紙の領収書
-
日付・金額・相手先の取り込み
明細連携とPDF読取で打ち直しが無くなる
消える
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読めない行の手入力
紙の通帳と領収書は撮影読取の後も残る
人
-
仕訳候補
科目ルールと過去仕訳から科目・税区分・摘要を出す
AI
-
勘定科目と消費税区分の確定
記帳担当が確定し、迷う取引は監査担当へ
人
この図で職員の手入力が残るのは、紙の通帳と領収書を読み取る経路だけです。明細連携とPDF読取の経路では、職員の作業が打ち直しから、取り込まれた内容と仕訳候補の確認に変わります。
説明用の仮の場面で考えます。月末、記帳担当の机に顧問先から紙の領収書の封筒が届き、メールにはPDFの請求書、別の顧問先からはFAXで通帳のコピーが来ています。その通帳の口座は銀行データ連携で会計ソフトにすでに取り込まれているのに、職員はコピーを見ながら日付と金額を1行ずつ入力しています。
この月末の作業の大半は、銀行やカード会社、取引先のシステムの中にある数字を、人の目と手で会計ソフトへ写し直す作業です。入力が月末から月初に集中し、年末調整や確定申告の準備と重なると、記帳そのものが後ろへずれていきます。
記帳の入力元を、顧問先ごとに5つに分けて数える
記帳の入力元は、紙の領収書・レシート、PDF請求書、通帳、カード明細、銀行データ連携の5つに分けます。顧問先ごとのひと月の件数と届き方で数えると、手入力がどこに偏っているかが見えます。担当者の感覚で「この顧問先は重い」と言うだけでは、どの入力元を変えれば楽になるのかが決まりません。
数える元は、受領チェック表と会計ソフトの仕訳帳です。会計ソフトで仕訳の作成元(明細連携・ファイルの読取・手入力)を絞り込めるなら、その件数を使います。絞り込めない場合は、受領チェック表の受領件数と、通帳・明細の行数で代えます。件数の横には、郵送・メール・FAX・連携のどれで届いたかと、職員が手で入力したかどうかを書きます。
【説明用の仮の記入例】小売業の顧問先1社の先月分(数字はすべて仮です)
銀行データ連携
2口座・110行。連携で取得カード明細
1枚・35件。連携で取得PDF請求書
18件。メール添付を印刷して手入力通帳
1口座・70行。FAXのコピーから手入力(連携は未設定)紙の領収書・レシート
140枚。月末に郵送、手入力
この仮の例で手入力しているのは、PDF請求書・通帳・紙の領収書の3つです。件数が最も多いのは紙のレシートですが、最初に手入力を外しやすいのは、件数の少ないPDF請求書と、連携に切り替えられる通帳の口座です。紙のレシートは、顧問先に撮影での提出を頼めるかどうかで扱いが変わります。
件数を採算の計算に使う方法は、記帳代行の採算をAIで戻す顧問先の選び方にあります。
証憑の読み込みから電子取引データの保存までの流れは記帳の業務一覧に、記帳以外の業務は会計・税理士の記事の入口に並んでいます。
AIで入力が消える順は、連携・PDF・通帳・紙の領収書
明細連携は打ち直しが消えて科目の確認が残り、PDF請求書は読取で入力がほぼ消えて登録番号と税区分の確認が残ります。紙の通帳とレシートは、撮影読取でも読めない行の手入力が残ります。
| 入力元(届く形) | AIで消える入力 | 職員の手に残る入力 |
|---|---|---|
| 銀行データ連携(自動取得) | 日付・金額・相手の打ち直し | 科目の確定と通帳との重複確認 |
| カード明細(連携かCSV) | 利用日・金額・利用先の入力 | 私用分の区分と科目の確定 |
| PDF請求書(メール添付) | 請求元・日付・金額の転記 | 登録番号と税区分の確認 |
| 通帳(コピー・写真・FAX) | 読める行の日付と金額 | 不鮮明な行と連携への切替依頼 |
| 紙の領収書(郵送) | 印字の鮮明な日付と金額 | 手書き・退色の行と但し書き |
上の行ほど、読み取りの誤りが入る余地が小さく、職員の作業が確認だけになりやすい入力元です。手入力を外す順番も、この表の上から考えます。
PDF請求書は、紙に印刷して打ち直すと保存の面でも二度手間になります。電子帳簿保存法第7条は、電子メールの添付ファイルで受け取った請求書などの電子取引の取引情報を、電磁的記録のまま保存することを求めています。保存の義務を負うのは顧問先なので、事務所が印刷して入力に回しても、PDFそのものの保存は別に要ります。
読取機能にはPDFを直接渡し、請求元・請求日・税率ごとの金額・登録番号を読み取らせ、読めなかった項目は空欄のまま返させます。記帳担当は仕訳候補の画面でPDFと並べ、金額と登録番号を確かめます。
通帳のコピーや写真も読取に回せますが、銀行データ連携を設定できる口座なら、先に連携へ切り替えるほうが確認は少なくて済みます。紙の領収書は、撮影読取で印字の鮮明な日付と金額は入りますが、手書きの金額や但し書きは職員が読み直します。
なお、紙をスキャナで読み取った電磁的記録を保存して紙の保存に代えられるのは、財務省令で定める要件を満たした場合に限られます(同法第4条第3項)。読取のために撮影することと、その画像を紙の代わりに保存することは別の話で、後者の要件を満たすかは所内で確かめ、AIの判定に任せません。
読み取った内容から科目と税区分の候補を出すところまでは、会計ソフトの自動仕訳や読取機能に渡せます。入力担当がそのまま確定してよい項目と上席へ回す項目は、AI仕訳はどこまで入力担当が確定するかで分けています。候補の元にする過去仕訳の期間と外す条件は、仕訳候補に使う過去仕訳の遡り方にあります。
手書きの領収書が多い顧問先は、入力を人に残す
手書きの領収書や感熱紙のレシートが大半を占める顧問先は、読取に回しても読めない行の手入力と確認が残るので、入力を職員に残すか、提出方法の切替を先に頼みます。取引先ごとに書式がばらばらの紙が多い顧問先や、取引が月に数件しかない顧問先も、読取の設定と確認にかかる手間のほうが大きくなることがあります。
連携で取り込んでいる口座について通帳コピーが届き続けても、コピーからは入力しません。口座ごとに取込経路を1つに決め、通帳のコピーは残高を確かめるときにだけ使います。
両方から入れてしまったときは、取込経路として決めた側の仕訳を残し、もう一方を削除してから残高を合わせます。差異の原因の調べ方は預金照合のAIの使い方にあります。
通帳の摘要や領収書には、振込人や購入者の個人名が載ることがあります。外部のAI読取サービスに送る前に、3つの扱いのどれに当たるかを確かめます。サービス側が顧問先の情報を取り扱わない形か(契約の定めとアクセス制限の両方が要ります)、委託に当たるか、第三者への提供になるか、です。
委託と言えるかは契約と使い方で変わるので、所内で言い切りません。資料ごとの扱いは会計の機密情報をAIに渡す前に伏せる欄とあわせて決めます。
切り替えた入力元は、翌月に職員が手入力した件数と、読取の結果を直した件数を数えます。手入力の件数が減っていても、直した件数が切替前の手入力の件数とほとんど変わらない入力元は、読取に向いていません。その入力元は手入力に戻すか、顧問先に提出方法の切替を頼むほうを先にします。
顧問先の提出方法の切替を、記帳担当だけで回せるか
紙からの切替でいちばん時間を取るのは、事務所の中の設定より、顧問先への依頼と連携の設定の手伝いです。ネットバンキングを使っているかを聞き、連携の設定に立ち会い、口座ごとに決めた取込経路を記録し、届き続ける通帳のコピーを止めてもらう必要があります。
この依頼を記帳担当が月末の入力と並行して進められる顧問先の数なら、所内で回せます。依頼の文面は、未提出資料の催促と同じ連絡に含めると顧問先の手間が増えません。催促の進め方は未提出資料の催促とAIの下書きにあります。
会計ソフトの標準の読取と自動仕訳で足りない顧問先が増えてくると、話が変わります。顧問先ごとの科目ルールや過去仕訳に合わせた候補づくりと証憑の紐付けを組むには、所内の記帳担当の時間とは別の作り手が要ります。切替を頼む顧問先が多く、口座ごとの取込経路の記録を誰も持ち続けられないときも、外部の手を借りる理由になります。
年末調整と確定申告の準備が始まると、顧問先も事務所も提出方法を変える余裕が無くなります。その時期までに切替の返事が来ない顧問先は、その年は紙のまま受け、繁忙期が明けた最初の月次から頼み直すほうが、記帳の遅れを増やしません。
明日から始める3ステップ
担当 記帳担当の責任者
顧問先を1社選び、先月の入力を銀行データ連携・カード明細・PDF請求書・通帳・紙の領収書の5つに分け、件数(通帳と明細は行数)・届き方・手入力したかを受領チェック表と仕訳帳から書き出す
次へ進む目安5つの入力元の件数と手入力の件数が1枚にそろい、所長が最初に手入力を外す入力元を1つ選んだ
担当 記帳担当(顧問先への依頼は所長か担当の税理士)
選んだ入力元を切り替える。連携できる口座とカードは連携に寄せて口座ごとの取込経路を1つに決め、PDF請求書は読取機能に回し、紙で届くものは顧問先に連携・PDF・撮影での提出を頼む
次へ進む目安口座ごとの取込経路の一覧ができ、依頼した顧問先から切替の返事が届いている
担当 記帳担当の責任者
切替後のひと月、入力元ごとに職員が手入力した件数と、読取の結果や仕訳候補を直した件数を記録し、切替前の月と並べる
次へ進む目安並べた記録を所長が見て、次に手入力を外す入力元か、手入力に戻す入力元を決めた
無料相談(オンライン)
BoostXは、会計事務所の記帳・月次・申告準備へのAI導入を支援しています
01無料相談
証憑の回収・記帳・申告の準備から、最初の1業務を決める
02進め方の提案
規模に合う進め方を提案する
03作って試す
一緒に作り、現場で試して直す
04定着まで伴走
毎月1テーマずつ積み上げる
作って試す・定着までAIエージェント開発AI顧問生成AI研修
出典
- 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(電子帳簿保存法・平成10年法律第25号)(第7条・第2条第5号・第4条第3項) e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日 2026.11.04
- 国税庁「電子帳簿保存法の概要」4.(注)・3. 国税庁 確認日 2026.11.04
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