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管理部門

工事請負契約書と注文書の作成でAIに渡せる工程と法務の確認

契約条件の転記、過去契約との差の提示、記載事項の突き合わせ、台帳への登録はAIに渡せます。

編集 BoostX編集部2026.09.136分で読めます

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この記事の要点

  • 契約条件の転記、過去契約との差の提示、記載事項の突き合わせ、台帳への登録はAIに渡せます。
  • 様式と印紙の判断、条項の妥当性、相手方の約款を受け入れるか、締結の決裁は総務・法務と経営者が持ちます。
  • 本メディアでは、条項の妥当性の判断まで任せることは勧めません。

工事請負契約書と、協力会社へ出す注文書・注文請書は、同じ材料から別の様式で作られます。建設業法は、請負契約の内容を書面にして相互に交付することと、契約書面に記載する事項を定めています。この記載事項が、AIに任せる範囲を決める最初の線になります。

契約書面は誰が作り、どこへ積み上がるか

作るのは総務・法務で、経理や工務が兼務している会社も多い業務です。受注側の契約と発注側の注文が同じ担当の机に並びます。

業務 起点 担当 入力と出力 使う帳票・システム
工事請負契約書を作る 受注の確定、発注者からの請書依頼 総務・法務 見積書・契約条件 → 請負契約書 契約テンプレート、共有フォルダ
注文書・注文請書を出す 協力会社への発注の確定 総務・工務 実行予算・発注条件 → 注文書 契約テンプレート、会計ソフト
締結後に保管し台帳へ登録する 押印・返送の到着 総務・経理 締結済み契約書 → 契約台帳 契約台帳のExcel、保管庫

後工程は、請求と入金の管理、原価管理、追加工事に伴う変更契約です。台帳の1行が埋まっていないと、支払条件と検査の時期を毎回原本で探すことになります。

作るのは総務・法務で、経理や工務が兼務している会社も多い業務です

受注の確定から変更契約までを8工程に割ると、どこが重いか?

色枠がAIに渡せる工程、灰色が人が確定する工程、二重枠が両方で持つ工程です。右上の印は、抜けが後から効いてくる工程を示します。

業務フロー分解図。受注・発注の確定→様式と印紙を選ぶ→契約条件を書き込む→記載事項の抜け確認→社内承認を取る→押印と返送を待つ→契約台帳へ登録→変更契約を作る。AI担当は様式と印紙を選ぶ・契約条件を書き込む・記載事項の抜け確認・契約台帳へ登録・変更契約を作る、人が確定するのは受注・発注の確定・様式と印紙を選ぶ・記載事項の抜け確認・社内承認を取る・押印と返送を待つ・変更契約を作る受注・発注の確定様式と印紙を選ぶ契約条件を書き込記載事項の抜け確社内承認を取る押印と返送を待つ契約台帳へ登録変更契約を作るAIが担う人が確定する両方失敗が起きやすい工程
契約書面の8工程とAI・人の持ち分
工程 担当 使う帳票・システム 量・頻度(自社で計測) 詰まる点
1 受注・発注が確定する 営業・工事部長 見積書、内示、現場説明の議事メモ 案件ごと 合意が電話とメールに散る
2 契約の種別と様式を選ぶ 総務・法務 契約テンプレート、過去の同種契約 案件ごと 初めての形態で手が止まる
3 契約条件を書き込む 総務 Wordのテンプレート、過去契約 作成時間の中心 同じ条件を三度打ち直している
4 記載事項と条項の抜けを確認する 総務・法務・工事部長 社内チェックリスト、相手方の約款 案件ごとに差が大きい 約款の読み合わせに時間がかかる
5 社内の承認を取る 工事部長・経営者 契約書案、見積書、実行予算 案件ごと 決裁者が不在で日をまたぐ
6 相手方へ送り押印を待つ 総務 製本、収入印紙、送付状 郵送と相手の手続き次第 未返送が把握されない
7 保管し契約台帳に登録する 総務・経理 契約台帳のExcel、保管庫 件数に比例 台帳の項目が案件ごとに欠ける
8 追加工事の変更契約を作る 総務・現場代理人 変更見積、工期延長の協議記録 案件末期に集中 工事が先に進み書面が追う
工程 AIが解決すること 人が決めること 失敗したときの損失
1 受注・発注が確定する メールと議事メモから工事名・工期・代金・支払条件を拾う 受注の可否と発注先 条件の取り違えが契約に流れる
2 契約の種別と様式を選ぶ 過去の同種契約から使った様式を示す 様式の選択と印紙の要否 様式違いで作り直しになる
3 契約条件を書き込む 条件メモをテンプレートへ差し込み、過去契約との差を出す 条項を案件に合わせて変える範囲 打ち直しの誤りが金額の齟齬になる
4 記載事項と条項の抜けを確認する チェックリストに照らして記載が見当たらない項目を並べる 不足かどうかと約款の受入れ 記載漏れが契約の不備になる
5 社内の承認を取る 決裁待ちの契約と期限を一覧で出す 締結の可否と支払条件の承認 着工が契約前に走る
6 相手方へ送り押印を待つ 未返送の契約を日数つきで示し督促文を下書きする 督促の可否と伝え方 未締結のまま工事が進む
7 保管し契約台帳に登録する 締結済みの契約から台帳の1行を作る 台帳の項目と保管の場所 支払条件を原本で探し続ける
8 追加工事の変更契約を作る 変更見積と協議記録から変更条項の案を出す 変更額と工期の合意、書面化の時期 書面が無く追加分を請求できない

AIで消える工程はありません。決裁と締結という人の行為が中心に残ります。
短くなる工程は3と4と7です。転記、抜けの洗い出し、台帳への登録が、確認して直す作業に変わります。
新しく増える確認工程は4です。並べられた不足候補を、条文の原文と約款に当てて判断する手順が入ります。

どこまで任せ、どこから法務が確定するか

左がAIに渡せる作業、右が総務・法務と経営者が確定する判断です。中央の線が止めどころです。

AIと人の境界図。AIが担うのは条件メモからの転記・過去契約との差の提示・記載事項の突き合わせ・台帳の1行の作成・期限と未返送の督促案。人が確定するのは様式と印紙の判断・条項の妥当性・相手方約款の受入れ・締結の決裁。止めどころは締結の決裁は経営者。AI担当は条件メモからの転記・過去契約との差の提示・記載事項の突き合わせ・台帳の1行の作成・期限と未返送の督促案、人が確定するのは様式と印紙の判断・条項の妥当性・相手方約款の受入れ・締結の決裁AIが担う(写す・比べる・下書き)人が確定する条件メモからの転記過去契約との差の提示記載事項の突き合わせ台帳の1行の作成期限と未返送の督促案様式と印紙の判断条項の妥当性相手方約款の受入れ締結の決裁確定止めどころ締結の決裁は経営者
契約書面でAIが担う範囲と総務・法務が確定する範囲

本メディアでは、条項が自社にとって妥当かどうかの判断を任せる運用は勧めません。理由は、契約書面の記載事項が法で定められ、相手方の約款との関係で意味が変わるからです。前提は、社内にチェックリストと承認の段があることです。定型の注文書だけを扱い、条項を一切変えない会社では、確認の負担そのものが小さくなります。

もう一つの判断です。本メディアでは、着手は契約台帳への登録と記載事項の突き合わせからだと判断します。国土交通省の参考資料集では、すべて書面で契約している会社が83.0%、一部電子が15.3%、すべて電子が1.7%と示されています。紙が主体のままでも、台帳と確認は電子で回せます。

最初に着手する工程の選び方

判定は、判断を含むか、材料が電子で残っているか、誤りがいつ表に出るかです。

工程3と7は判断が薄く、見積書とテンプレートという材料があり、誤りは締結前と台帳の確認で拾えます。ここが着手点です。工程4は不足候補を並べるところまでで、判断は人が持ちます。工程6は未返送の把握が効きますが、督促の可否は取引関係を見て決めます。

契約件数が月に数件の会社なら、工程7の台帳から始めると手戻りが少なく済みます。協力会社への注文書が多い会社なら、工程3の差し込みが先に効きます。電子契約を導入している会社なら、工程6の未返送は締結の履歴から拾えます。契約テンプレートが1つしかなく毎回手直ししている会社なら、テンプレートの整理が先です。

2週間の試行で測る3つの数字

  1. 総務の責任者が対象を決めます。工事請負契約と注文書のどちらか一方に絞ります。
  2. 直近の契約10件について、作成時間と確認で見つけた不足の件数、締結までの日数を自社で計測して書き出します。
  3. 建設業法が定める記載事項を社内チェックリストへ写し、自社の必須項目を確定します。
  4. 2週間、条件の差し込みと不足の洗い出しを回し、総務が直した箇所を記録します。
  5. 締結した契約から台帳の1行を作らせ、欠けた項目を数えます。
  6. 2週目の終わりに、続けるかチェックリストを直すかを総務の責任者と工事部長で決めます。

測る指標は、契約書1件の作成時間、確認で見つけた記載不足の件数、締結までの日数です。合わせて、未返送のまま着工した件数を数えます。不足の件数が減らないなら、チェックリストの写し方を見直します。

本番にするとき決める承認と記録と例外

承認は、締結の決裁を経営者が、条項の変更を法務の担当が確定する形にします。決裁の金額基準を決めずに下書きだけ速くすると、承認待ちが詰まります。

記録は、契約書の版、確認した不足と対応、決裁の日付と決裁者、締結済み原本の保管場所、台帳の行を結びつけて残します。監査や紛争のときに、どの版で締結したかを示せる状態にします。

例外は、相手方の約款が自社の様式と大きく違う契約、公共工事の指定様式、初めての取引先です。この場合は下書きを参考にとどめ、法務の担当が原文から作ります。

契約書面のAI化でよくある失敗

最も多いのは、過去契約の条項がそのまま残ることです。前の案件の支払条件や検査の時期が消えずに残り、締結後に食い違いが出ます。止め方は、差し込んだ箇所と前回からの差を必ず示させ、総務が差だけを見ることです。

次に、チェックリストが古いまま使われる失敗があります。法改正があった月は、チェックリストの更新を先に行います。並べられた不足候補は、条文の原文に当てて判断します。

三つ目は、外部のサービスへ契約情報を入れる範囲が決まっていないことです。発注者名、請負代金、施主の情報をどこまで渡すかを社内規程に書き、判断がつかない項目は伏せて扱います。

費用の考え方と、入れない方がよい会社

費目は、下書きと確認の利用料、チェックリストとテンプレートを整える設計、契約台帳や会計ソフトとの受け渡し、導入前後の計測、法改正と様式改定への追随の5つです。金額は契約件数と様式の数で変わるため置きません。

入れない方がよいのは、契約書のテンプレートが無く毎回一から作っている会社、記載事項のチェックリストを持たない会社、契約の保管場所が担当者ごとに違う会社です。この状態では、下書きが出ても当てる基準がありません。先にテンプレートとチェックリストを作ります。

出典

  1. 建設業法(昭和24年法律第100号)e-Gov法令検索 e-Gov法令検索 確認日 2026.09.22
  2. 国土交通省 不動産・建設経済局建設業課「参考資料集」(令和8年4月3日) 国土交通省 確認日 2026.09.22

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