AIで就業規則・社内規程のたたき台を10分で作成|テンプレート+プロンプト付き
「就業規則を更新しなきゃいけないのは分かってるけど、何から手をつければいいか分からない」——総務担当の方なら、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。
テレワークを始めたのに規程がない。ハラスメント相談窓口の記載もない。SNSの利用ルールなんて存在すらしない。でも日々の業務が忙しくて、規程の整備まで手が回らない。
実は、ChatGPTを使えば社内規程の「たたき台」は10分で作れます。もちろん、そのまま届け出るのはNGです。ただ、AIで8割を仕上げて、最終チェックだけ社労士にお願いする。この流れなら、費用も時間も大幅に削れます。
この記事では、AIで就業規則や社内規程のたたき台を作る具体的な手順と、コピペで使えるプロンプトを3パターンご紹介します。
目次
社内規程が古いまま放置されるとどうなるか
【結論】就業規則の放置は「今すぐ困らない」が、労務トラブルが起きた瞬間に数百万円の損失につながる。特にテレワーク・ハラスメント・SNS関連の規程未整備はリスクが高い。
よくある3つの「放置パターン」
率直に言うと、就業規則が10年以上前のままという中小企業はかなり多いです。常時10人以上の事業所には作成・届出の義務がありますが、「作ったきり更新していない」というケースが目立ちます。
特に多いのが、次の3パターンですね。
| 放置パターン | 具体的な状況 | 起きうるトラブル |
|---|---|---|
| テレワーク規程がない | コロナ以降テレワークを続けているが、規程が未整備 | 通信費・光熱費の負担、労働時間管理で揉める |
| ハラスメント窓口の未記載 | 相談窓口の設置義務は知っているが、規程に反映していない | 被害者が「相談先がなかった」と外部に訴え出る |
| SNS利用ルールが存在しない | 従業員のSNS投稿を制限する根拠がない | 機密情報の流出、炎上時に懲戒できない |
どれか1つでも心当たりがあるなら、規程の見直しは「そのうちやる」ではなく「今月やる」案件です。
放置のコストは想像以上に大きい
「うちは小さい会社だから大丈夫」と思うかもしれません。でも、就業規則の未整備が原因で数百万円の未払い残業代を請求された事例は実際に起きています。
2025年4月には育児・介護休業法も改正されました。「子の看護休暇」が「子の監護等休暇」に名称変更され、対象範囲も広がっています。こうした法改正に就業規則が追いついていないと、労働基準監督署の調査で指摘を受けるリスクもあるんです。
さらに見落としがちなのが、助成金への影響。多くの助成金は「就業規則が最新の法令に適合していること」が受給要件になっています。規程を放置しているだけで、もらえるはずの助成金を逃している可能性があるんですね。
注意
就業規則に懲戒の規定がないまま懲戒処分を行うと、裁判で「無効」と判断されるリスクがあります。問題社員がいても手を打てない——これが規程未整備の最大のリスクです。
AIで社内規程のたたき台を作る手順
【結論】ChatGPTに「業種・従業員数・作りたい規程・現状の課題」を伝えれば、法律の主要ポイントを押さえたたたき台が10分で完成する。ただし、そのまま使うのは厳禁。
準備:AIに伝える「5つの情報」
いきなりChatGPTに「就業規則を作って」と言っても、使えるものは出てきません。ここが最も大事なポイントです。
AIに質の高い出力をさせるには、「自社の文脈」を正しく伝える必要があります。具体的には、次の5つの情報を事前に整理してください。
業種
「製造業」「IT企業」「飲食業」など。業種によって必要な規定が変わります。
従業員数と雇用形態
「正社員15名、パート5名」など。10人以上なら届出義務あり。
作りたい規程の種類
就業規則の全面改訂なのか、テレワーク規程の新設なのか。目的を絞る。
現状の課題・困りごと
「残業ルールが曖昧」「退職時の引き継ぎルールがない」など具体的に。
特に盛り込みたい条項
「副業規定を入れたい」「SNS投稿ルールが欲しい」など。ここまで伝えれば精度が上がる。
「実際にChatGPTで就業規則のたたき台を作ったことがありますが、たたき台としてのクオリティは十分でした。ただ、自社の業種や従業員構成を詳しく伝えないと、どの会社にも当てはまる『当たり障りのない規程』しか出てきません。この”文脈を伝える準備”が一番大事なんです」
— 生成AI顧問の視点
実践:10分でたたき台を完成させる流れ
5つの情報が揃ったら、あとはChatGPTに投げるだけ。具体的な流れはこうです。
ステップ①(2分):プロンプトに情報を入れて送信
次のセクションで紹介するプロンプトに、自社の情報を入力して送信します。
ステップ②(3分):出力された規程をざっと確認
構成・章立て・条文の抜け漏れがないかを確認。足りない条項があれば「○○に関する規定も追加して」と追加指示を出しましょう。
ステップ③(5分):自社の実態に合わせて修正指示
「勤務時間は9:00〜18:00にして」「休日は土日祝にして」など、自社のルールに合わせた修正をAIに依頼します。
これで約10分。あとは出力をWordやGoogleドキュメントにコピペして、社労士に最終チェックを依頼するだけです。
ここで一つ、あまり語られないポイントをお伝えしますね。ネットに転がっている無料テンプレートを使っている会社も多いですが、あれも「そのまま使うのは危険」という意味ではAIの出力と同じです。テンプレートは法改正に対応していないことが多く、自社の業種特性も反映されていません。どちらも「たたき台」としての位置づけは変わらない。だったら、自社の条件を反映できるAIのほうが合理的ではないでしょうか。
生成AIを活用した業務効率化について体系的に知りたい方は、生成AI顧問サービスとは →も参考にしてみてください。
コピペで使えるプロンプト3選
【結論】プロンプトの質=出力の質。「業種・人数・課題」を具体的に書くだけで、汎用テンプレートとは比べものにならない精度のたたき台ができる。
ここからは、ChatGPT(GPT-4o推奨)にそのまま貼り付けて使えるプロンプトを3パターン紹介します。【 】の中を自社の情報に書き換えてください。
就業規則(全般)のプロンプト
▼ プロンプト(コピペ用)
あなたは日本の労働法に詳しい社会保険労務士です。 以下の条件に合った就業規則のたたき台を作成してください。 ■ 会社情報 ・業種:【例:Web制作業】 ・従業員数:【例:正社員12名、パート3名】 ・所在地:【例:東京都】 ・勤務形態:【例:出社+週2テレワーク】 ■ 作成してほしい内容 ・就業規則の全文(章立て+条文形式) ・労働基準法の絶対的必要記載事項をすべて含めること ・以下の項目も必ず盛り込むこと: - テレワークに関する規定 - ハラスメント防止と相談窓口の設置 - SNS利用に関する規定 - 副業・兼業に関する規定 ■ 現状の課題 ・【例:就業規則が10年前のまま更新されていない】 ・【例:ハラスメント相談窓口が設置されていない】 ■ 出力形式 ・「第○条」の条文形式で出力 ・各章にはタイトルをつけること ・注意が必要な条文には【要確認】マークをつけること ※このたたき台は社労士に最終チェックを依頼する前提です。 法的に確定した内容ではないことを前提に作成してください。
ハラスメント防止規程のプロンプト
▼ プロンプト(コピペ用)
あなたは日本の労働法に詳しい社会保険労務士です。 以下の条件でハラスメント防止規程のたたき台を作成してください。 ■ 会社情報 ・業種:【例:製造業】 ・従業員数:【例:正社員30名】 ■ 対象とするハラスメントの種類 ・パワーハラスメント ・セクシュアルハラスメント ・マタニティハラスメント ・カスタマーハラスメント(※2025年以降義務化が進む項目) ■ 必ず含めてほしい項目 ・ハラスメントの定義と具体例 ・相談窓口の設置(社内・社外) ・相談から解決までの対応フロー ・相談者のプライバシー保護と不利益取扱いの禁止 ・懲戒処分の基準 ・再発防止策 ■ 出力形式 ・条文形式(第○条) ・実務で使いやすいよう、各条文に補足コメントを【補足】として添えること ※社労士の最終チェックを受ける前提のたたき台です。
テレワーク規程のプロンプト
▼ プロンプト(コピペ用)
あなたは日本の労働法に詳しい社会保険労務士です。 以下の条件でテレワーク勤務規程のたたき台を作成してください。 ■ 会社情報 ・業種:【例:ITサービス業】 ・従業員数:【例:正社員20名】 ・現在の勤務形態:【例:週3出社+週2テレワーク】 ■ 必ず含めてほしい項目 ・テレワークの定義と対象者 ・申請・承認の手続き ・勤務時間の管理方法(始業・終業の報告方法) ・通信費・光熱費の負担ルール ・情報セキュリティに関する遵守事項 ・テレワーク中の労災適用範囲 ・テレワークの中止・変更の条件 ■ 特に気をつけたい点 ・【例:中抜け時間の扱いをどうするか明確にしたい】 ・【例:自宅以外(カフェ等)での勤務を認めるか】 ■ 出力形式 ・条文形式(第○条) ・各条文の末尾に【カスタマイズ推奨】の注記をつけること ※社労士の最終チェックを受ける前提のたたき台です。
ポイント
プロンプトの末尾に「※社労士の最終チェックを受ける前提」と入れることで、AIが過度に断定的な表現を避け、「要確認」マークを付けてくれやすくなります。ちょっとしたコツですが、効果は大きいですよ。
規程作成に限らず、AIを業務に組み込む方法をもっと知りたい方は、生成AIコンサルティングのページもチェックしてみてください。
AIが作った規程をチェックする5つのポイント
【結論】AIの出力をそのまま使うのは絶対NG。ただし、5つのポイントでセルフチェックしてから社労士に渡せば、チェック費用も時間も大幅に圧縮できる。
ここは誤解を恐れずに言いますが、就業規則は「作って終わり」ではありません。AIで作ったたたき台をそのまま届け出るのは論外ですが、社労士に渡す前に自分でもチェックしておくと、やり取りがスムーズになります。
セルフチェックリスト
| No. | チェック項目 | なぜ大事か |
|---|---|---|
| 1 | 絶対的必要記載事項が揃っているか | 労働時間・賃金・退職の3つは法律上必須。抜けると届出が受理されない |
| 2 | 自社の実態と条文にズレがないか | AIは一般論で書くため、実際の勤務時間や休日と合わないことがある |
| 3 | 最新の法改正が反映されているか | AIの学習データには期限がある。2025年の法改正が反映されていない場合も |
| 4 | 懲戒事由と処分の段階が明確か | 曖昧だと問題社員への対応ができない。「戒告→減給→出勤停止→解雇」の段階設計が必要 |
| 5 | 従業員に不利益な変更がないか | 既存の労働条件を下回る変更は、従業員の合意なしにはできない |
社労士に依頼するときのコツ
社労士にゼロから就業規則の作成を依頼すると、相場は20万〜50万円程度。一方、AIで作ったたたき台の「チェックと修正」だけなら、5万〜15万円で済むことが多いですね。
依頼するときは、こんなふうに伝えるとスムーズです。
「AIで就業規則のたたき台を作りました。法令適合性の確認と、当社の実態に合わせた修正をお願いしたいです。特に懲戒規定とテレワーク規定は重点的に見てください」
こう伝えれば、社労士も作業範囲が明確になるので見積もりが出しやすくなります。丸投げより具体的なほうがお互いにとって効率がいいんですね。
「正直なところ、就業規則は”作って終わり”と思っている経営者の方がまだ多い印象です。でも本当に大事なのは、作った後に従業員へ周知して、法改正のたびに更新し続けること。AIを使えば更新作業のハードルがグッと下がるので、”生きた就業規則”を維持しやすくなります」
— 生成AI顧問の視点
AIを使った業務改善に踏み出す企業が増えています。その理由は選ばれる理由 →で詳しく紹介しています。
よくある質問
Q.AIが作った就業規則はそのまま届け出できますか?
A.結論からいうと、そのまま届け出るのはおすすめしません。AIの出力はあくまで「たたき台」です。労働基準法の絶対的必要記載事項(労働時間・賃金・退職)が正しく記載されているか、自社の実態と条文にズレがないか、最新の法改正が反映されているかを社労士に確認してもらってから届け出てください。チェック費用は5万〜15万円が目安です。
Q.法改正があったときはどう対応すればいいですか?
A.ChatGPTに既存の就業規則を貼り付けて、「○○法の改正内容を踏まえて、この就業規則で変更が必要な箇所を指摘して」と指示すれば、対応が必要な条文を洗い出してくれます。たとえば2025年4月の育児・介護休業法改正なら、看護休暇の名称変更や対象範囲の拡大に対応する条文を特定できます。洗い出したあとは社労士に確認を。
Q.ネットの無料テンプレートとAIの出力は何が違いますか?
A.ケースバイケースですが、一番の違いは「自社の条件を反映できるかどうか」です。ネットのテンプレートはどの会社にも使える汎用型なので、業種特有の規定や自社の勤務形態には対応していません。一方、AIなら「製造業・従業員20名・週2テレワーク」と伝えれば、その条件に合ったたたき台が出てきます。ただし、どちらも「たたき台」である点は同じ。最終的な法令適合チェックは必要です。
まとめ
社内規程の整備で悩んでいるなら、まずは無料相談の流れ →をご覧ください。AIを活用した業務効率化の進め方についても、具体的にお話しできます。
この記事のまとめ
- 就業規則の放置は、労務トラブル・助成金の機会損失・法令違反リスクにつながる
- ChatGPTに「業種・従業員数・課題・作りたい規程」を伝えれば、10分でたたき台が完成する
- AI出力をそのまま届け出るのは厳禁。セルフチェック後に社労士へ最終確認を依頼すること
- ゼロから社労士に頼むと20万〜50万円。AIのたたき台チェックだけなら5万〜15万円で済む
- 就業規則は「作って終わり」ではなく、法改正のたびにAIで洗い出し→社労士確認のサイクルを回すのが正解
執筆者
吉元大輝(よしもとひろき)
株式会社BoostX 代表取締役社長
中小企業の生成AI導入を支援する「生成AI伴走顧問」サービスを提供。業務可視化から定着支援まで、一気通貫で企業のAI活用を推進している。
※本記事の情報は2026年2月時点のものです。