医院の年間休診日案内をAIで作る方法
医院では毎年秋から冬にかけて、来年の年間休診日案内をどう作るかが事務作業の悩みのタネになります。日曜・祝日に加え、夏季休暇、年末年始、学会出席による休診、院長不在日。これらをホームページの案内文・院内掲示物・LINE配信文といった複数のフォーマットへ反映する作業は、限られた事務スタッフで完結させるには負担が重く、間違いの許されない情報でもあります。生成AIを正しく使えば、休診日リスト1枚から「Web用テキスト」「院内掲示PDF」「LINE配信文」までを一括で整える運用に切り替えられます。本記事では、医院の年間休診日案内を生成AIで作る具体的な手順を、現場で迷わないレベルまで掘り下げて解説します。
目次
医院の年間休診日案内が抱える3つの面倒
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医院の休診日案内は、つくる前に立ちはだかる固有の手間がいくつもあります。まずは何が面倒なのかを言語化しておくと、AIに任せられる部分とそうでない部分の切り分けがしやすくなります。
同じ情報を複数フォーマットに書き直す手間
休診日というのは、ひとつの一次データから派生して、ホームページの案内文、院内に貼り出すA4の掲示物、LINE公式アカウントでの月次配信、Googleビジネスプロフィールの特別営業時間、初診予約フォームの注意書きなど、最低でも5種類以上のフォーマットに書き直す必要があります。日付や時間帯は同じでも、文体や情報量、強調ポイントはチャネルごとに変わります。Webでは検索流入を考えてキーワードを意識した文章が必要になり、院内掲示物では高齢の患者にも一目でわかる大きな文字と短い文が求められ、LINEでは一文目で要点を伝える簡潔さが必要です。同じ情報を3〜5回書き直す作業に、結果として年間で数時間が取られていきます。
変更が出るたびに全フォーマットを修正する手間
当初決めた休診日が、学会日程の変更や院長の所用、急な研修参加で動くことは珍しくありません。一度作って終わりではなく、年に数回の修正が発生します。修正のたびに、ホームページのCMSにログインし、掲示物のWordファイルを開き直し、LINEの予約配信を編集し、Googleビジネスプロフィールにも反映する。この「同じ情報を複数の場所で同時に直す」作業は、抜け漏れが起きやすく、結果として「ホームページには載っているのに掲示物には反映されていない」という案内ズレが生まれます。患者からの問い合わせ電話が増える原因にもなります。
文章の「角」をどう取るかに毎年悩む手間
休診日の案内は、ただ日付を並べるだけでは患者の心象を損ねかねません。とくに年末年始や夏季休暇のように長期間休む案内では、「ご不便をおかけいたしますが」「お急ぎの場合は近隣の医療機関へご相談ください」といった配慮の一文を添えるのが一般的です。この一文をどう書くか、どこまで丁寧にするか、地域や診療科の文化に合わせてどう調整するか。毎年似たような悩みを繰り返している医院は少なくありません。生成AIは、この「文章の角の取り方」をベースとして提案するのが得意な領域です。

AIで休診日案内を作る前に揃えておく材料リスト
生成AIに案内文を作らせるとき、最大の落とし穴は「材料が曖昧なままAIに丸投げしてしまうこと」です。AIは事実を生み出すのではなく、与えられた事実を整える役割を担います。医院の休診日のように、間違えると患者に直接迷惑がかかる情報では、入力データの正確さがそのまま出力の正確さに直結します。次の3種類の材料を、AIに渡す前に手元で確定させておきます。
材料1 ─ 来年1月から12月までの休診日リスト
最初の材料は、シンプルな表形式の休診日リストです。月、日付、曜日、休診の理由、午前午後の区別という5つの列を持ったCSVやスプレッドシートを用意します。たとえば「8月13日(木)〜16日(日) 夏季休暇」「9月14日(月)午後 学会出席のため臨時休診」といった粒度で並べておきます。日付の表記は「2027年8月」のようにそのままWebに貼れる形式に揃えると、AIに渡したあとの修正が最小化されます。祝日は厚生労働省や内閣府が公開している翌年の祝日カレンダーを参照すれば取りこぼしを防げます。
材料2 ─ 通常の診療時間と問い合わせ先
休診日の案内は、それ単体で完結しません。患者が知りたいのは「いつ休みなのか」と同じくらい「では空いている日はいつ何時にどう連絡すればいいのか」です。通常の診療時間(午前9時〜12時、午後15時〜18時など)、休診曜日(木曜・日曜・祝日など)、電話番号、ホームページの予約ページURL、夜間や急患向けの近隣救急医療機関の案内方針を1つのメモにまとめます。これがあるとAIは「文末に診療再開予定と問い合わせ動線を添える」ところまで自動でやってくれます。
材料3 ─ 医院のトーン&マナー(口調の見本)
3つ目の材料は、医院の口調が分かる過去の文章です。今までホームページに掲載してきた院長挨拶、お知らせ、過去の休診案内、院内ニュースレターのいずれかを2〜3本コピーしておきます。AIは、見本となる文章を渡すと、その丁寧さの度合いや文末表現を踏襲して新しい案内を書きます。逆に見本がないと、AI標準のやや硬めな表現になりがちで、患者にとって他人行儀な印象になることがあります。トーン見本は文字数にして合計500〜1000文字程度で十分機能します。
生成AIで年間休診日案内を作る5ステップ
材料が揃ったら、次は実際にAIに案内文を作らせる工程に入ります。慣れれば30分以内で年間分の3チャネル文面が揃います。生成AIは、ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft Copilotなど、医院で使い慣れたツールで構いません。ここでは「無料・有料を問わずチャット形式の生成AIなら共通で再現できる」手順を示します。

STEP 1 ─ 休診日リストを表で整える
材料1で用意した休診日リストを、AIに貼り付けやすいように整えます。スプレッドシート上で「月/日付/曜日/休診区分/備考」の列を作り、上から順番に並べます。臨時休診と固定休診を分けたい場合は「区分」列に「定休(日曜・祝日)」「夏季休暇」「年末年始」「臨時休診」のようなタグを入れておきます。AIに渡すときは表のままコピーし、スペースが詰まらないように整形します。月ごとに区切るとAIが月別の案内文を出しやすく、後の展開にも使い回しやすくなります。
STEP 2 ─ 用途別に文面方針を決める
同じ休診日でも、Web・院内掲示・LINE配信では求められる文面の性格が違います。AIに丸投げする前に、医院側で「3つの用途それぞれに何を書かせたいか」を1〜2行で決めます。たとえばWeb用は「2027年の年間休診日を月別にすべて掲載し、SEO観点で診療科名と地域名を自然に含める」、院内掲示用は「A4 1枚に収まる短い文で、1月〜12月の休診日を表形式で掲載する」、LINE用は「直近1ヶ月分の休診日を、絵文字を使わず読みやすい段落で配信する」といった具合です。この「用途別方針」をAIに先に伝えるかどうかで、出力品質は明確に変わります。
STEP 3 ─ AIに3つの文面を一括生成させる
ここからが本番です。生成AIには次のような構造のプロンプトを渡します。役割の指定、医院情報、休診日リスト、3用途の方針、最後にトーン見本という順番が、出力のブレを最小化するうえで効果的です。プロンプトは1回目で完成させようとせず、出力を見てから「もう少し丁寧に」「絵文字は外す」「冒頭の挨拶を短く」と追加指示を出していくのがコツです。
あなたは中小規模の医院のホームページと広報を担当する事務職員です。
以下の情報をもとに、2027年の年間休診日案内を3つの用途向けに書いてください。
【医院情報】
・院名:◯◯クリニック(内科・小児科)
・通常診療時間:月〜土 午前9時〜12時/午後15時〜18時
・定休:日曜・祝日・木曜午後
・電話:000-0000-0000
【2027年休診日リスト】
(ここに材料1で作った表をそのまま貼り付け)
【用途と方針】
1. Web用:月別に全休診日を掲載。文末に診療再開と予約ページ案内を添える
2. 院内掲示用:A4 1枚に収まる短文+表形式
3. LINE用:直近1ヶ月分のみ、簡潔な段落形式
【口調】
以下の過去案内文の文体を踏襲してください:
(ここに材料3のトーン見本を貼る)
このプロンプトを送ると、生成AIは3用途の文面を順番に出力します。1回の出力で全用途が出ない場合は、「次にLINE用をお願いします」と続けて指示すれば順次補完してくれます。
STEP 4 ─ 院長または管理者が事実確認する
AIの出力をそのまま掲載するのは禁物です。生成AIは、与えられたデータを丁寧に整形する一方で、文末の慣用表現や曜日表記でわずかな揺れを生むことがあります。日付と曜日のずれ(例:8月13日は本当に木曜日か)、診療時間の表記揺れ、電話番号の桁数、年末年始の開始日と終了日。この4点は人間が必ず最終チェックします。チェックは10分前後で済みますが、ここを省くと過去のお知らせと矛盾する案内が出てしまう恐れがあります。
STEP 5 ─ 各チャネルに展開し雛形を保存する
承認が下りた文面を、ホームページのCMS、院内掲示物のWord/PDF、LINE公式アカウントの予約配信、Googleビジネスプロフィールの特別営業時間に順次反映します。最後に重要なのが、AIに渡したプロンプトと出力結果を「来年の雛形」として保存することです。年が変わって日付だけ差し替えれば、来年は5ステップのうちSTEP 1〜2を5分で終えられるようになります。これが生成AIを使う本当の価値で、1年目の作業時間を「2年目以降の節約資産」に変える発想です。
患者に伝わる休診日案内の書き方ポイント
AIが文面を作ってくれるとはいえ、「患者に伝わるかどうか」を判断するのは医院側の役目です。とくに高齢患者の比率が高い内科系や、子育て世代が多い小児科系では、伝わり方の優先順位が異なります。AIへの指示と最終チェックの両方で意識したい4つのポイントをまとめます。
ポイント1 ─ 日付は「曜日と漢数字付き」を基本に
「8/13〜16」のような省略表記は、Web上ではコンパクトで便利ですが、紙の掲示物では読み間違いを生みます。「2027年8月(木)〜16日(日)」と曜日を併記し、年と月を省略しない書き方が、紙とWebの両方で誤読を最小化します。AIに「日付は必ず年・月・日・曜日をフルに書く」と一文加えるだけで、出力は安定します。
ポイント2 ─ 「お盆休み」「年末年始休診」は意味の幅が広い
「お盆休み」と聞いて思い浮かぶ日数は地域や世代で違います。8月12日からの場合もあれば、15日のみ休む場合もあり、患者にとっては誤解の原因になりやすい言葉です。「夏季休暇(8月13日〜16日)」「年末年始休診(12月29日〜1月3日)」のように、必ずカッコで具体的な日付を補う書き方をAIに指定します。これだけで電話問い合わせがかなり減ります。
ポイント3 ─ 急患対応の動線を必ず添える
休診案内は「閉まっています」だけで終わると患者の不安を生みます。急ぎの場合の連絡先、近隣の救急医療機関、夜間休日急病センターの電話、地域の小児救急電話相談(#8000)など、診療科に応じた次の選択肢を1〜2行添えると、案内文の品格と安心感が一段上がります。AIに「急患対応の代替案内を必ず文末に1段落入れる」と指示しておくと、毎回の文面に自動で含まれるようになります。
ポイント4 ─ 過度な絵文字や記号は避ける
LINE配信を中心に、生成AIは指示しないと絵文字や記号を多用しがちです。医院の発信は「丁寧で落ち着いた印象」を保つことで信頼感が伝わります。プロンプトに「絵文字や顔文字、記号を本文に挿入しない」と明記し、強調が必要なところは【お知らせ】のような全角の角括弧で代替します。これは生成AI全般に共通する作法で、医療系・法律系・行政系の発信では特に重要です。
AI生成案内をWeb・院内掲示・LINEに展開する方法
最後の工程は、生成AIで作った文面を実際のチャネルに展開する作業です。ここはAIだけでは閉じない部分で、医院のCMS、印刷、配信ツールを組み合わせて運用します。それぞれのチャネルで気をつけたい点を整理します。
Webサイトへの掲載
ホームページには、トップページの目立つ位置に「2027年の年間休診日のお知らせ」というリンクを置き、別ページに月別の休診日一覧と再開予定を掲載するのが定番です。SEOの観点では、ページのタイトル要素に「◯◯クリニック 2027年 年間休診日のお知らせ」と医院名と年を入れ、見出しに月別の日付を含めると、検索からの流入が安定します。固定ページではなく投稿として更新できるWordPress構造であれば、毎年同じURLを使い回さず「2027年版」「2028年版」と年度別ページを残すと、過去の患者にも親切です。
院内掲示物の印刷
A4 1枚に収まる文面に整えたら、表形式に組み直してPDF化します。生成AIに「Wordで貼り付けたときに表として崩れない形式で出して」と指示すると、罫線やセル幅が整った状態で出力されることが多くなります。色は基本的に黒文字+ワンカラー(青や緑など医院のロゴ色)に絞り、年末年始や夏季休暇など長期休診日のみ色付けすると、高齢患者にも認識しやすい掲示物に仕上がります。
LINE公式アカウントでの配信
LINEは1回あたりの文字数が多すぎると開封率が下がる傾向にあるため、1か月先までの休診日に絞って配信するのが効果的です。生成AIに「LINE用は500文字以内、冒頭1行で要点が伝わる構成で」と指示すれば、ちょうどよい長さに整います。配信タイミングは、月初か月末の固定の曜日に決めておくと、来院サイクルが長い患者にも届きやすくなります。
Googleビジネスプロフィールの特別営業時間
見落とされやすいのが、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)の「特別営業時間」設定です。ここを更新しないと、Google検索やGoogleマップに「営業中」と表示されてしまい、来院後に「閉まっていた」というクレームにつながります。AIで作った休診日リストをそのまま管理画面に流し込めば、20分程度で年間設定が完了します。診療科を問わず、地域検索からの新患流入を支えるチャネルとして、忘れずに更新します。
よくある質問
Q無料の生成AIで医院の休診日案内を作っても問題ありませんか
A休診日案内のような公開情報を整える用途では、無料プランの生成AIでも品質面で大きな問題は生じません。ただし、患者の氏名・カルテ情報・予約者リストなどを入力する場合は、医療情報の取り扱いに配慮した有料プランや法人向けの生成AIを利用するのが安全です。本記事の手順では、休診日と診療時間という公開情報のみを扱うため、無料プランで十分に再現できます。
Q院長が高齢でAIに不慣れですが、誰がやるのが現実的ですか
A休診日案内のAI化は、事務スタッフや受付スタッフが主体になり、院長には事実確認だけお願いする運用が現実的です。AI操作は、Wordやメールが使えるレベルであれば習得できる程度の難易度です。最初の年だけ手順書を作っておけば、翌年以降はスタッフ交代があっても再現性高く運用できます。
Q急な休診変更が出たとき、AIで作った案内はどう更新しますか
A初年度に作ったプロンプトと出力結果を保存しておくと、変更時はそのプロンプトに「11月22日(金)の臨時休診を追加」のような差分指示を加えるだけで、3チャネル分の文面を5分以内に再生成できます。再生成後の確認は院長が日付のみチェックすれば十分で、全文を作り直す必要はありません。
Q個人情報やカルテ情報をAIに入力するのは大丈夫ですか
A休診日案内の作成では、個人情報やカルテ情報を入力する必要はありません。万が一、別の業務でAIに患者情報を扱わせる場合は、入力データが学習に使われない設定が用意された法人向けプラン、または院内クラウド連携型のAIを選びます。BoostXの伴走顧問サービスでは、医院でのAI利用範囲と入力ルールを最初に取り決めたうえで運用を開始しています。
Q休診日案内以外に、医院でAIが活躍する文書業務はありますか
A診療案内文、初診時の問診票、紹介状の下書き、院内ニュースレター、SNS投稿の素案、職員向け申し送りメモなど、文章を扱う業務は概ねAIで効率化できます。導入順としては、休診日案内のように「公開情報のみで完結し、毎年作り直す業務」から始めると、現場で抵抗が少なく定着しやすい傾向があります。
まとめ
- 医院の年間休診日案内は「複数フォーマットへの転記」「修正展開」「文章のトーン調整」の3つが面倒の正体
- AIに任せる前に「休診日リスト」「通常診療時間と連絡先」「医院のトーン見本」の3材料を揃える
- 5ステップ(リスト整備→用途別方針→AI生成→事実確認→展開と雛形保存)で年間案内が30分以内で揃う
- 日付の曜日併記、お盆や年末年始の具体日付明記、急患動線の明示、絵文字非使用が患者に伝わる4つのコツ
- Web・院内掲示・LINE・Googleビジネスプロフィールの4チャネルすべてを更新して初めて運用が完成する