Claude Code を経理や営業事務の人に渡すとき、最初の1週間に何を覚えてもらい、何を管理側で先に決めればよいのか。答えは、渡す前に開始時の権限モード・見せないファイルの拒否ルール・商用プランを管理側で固定し、1週目は計画を読んでから承認する・確認画面を読む・巻き戻しの限界を知る・繰り返す注意を CLAUDE.md に書く、の4つだけを覚えてもらうことです。共有の原本や外のシステムへの書き込み、削除、外部への送信は、1週目には任せません。
- 何も設定せずに配ると、今の版では auto モードで動き始めます。開始の仕方は、利用者が上書きできない管理設定で決めます。
- 1週目に教えるのは操作の数より、止まる所・戻せる所・書き残す所の3種類の感覚です。4つに絞れば足ります。
- 任せるかどうかの線は、作業の難しさより、失敗したときに巻き戻しで元に戻るかで引きます。
目次
業務部門に渡す前に、管理側で何を固定するか
Claude Code を業務部門に渡す前に、開始時の権限モード、auto モードを残すか、見せないファイルの拒否ルール、商用プラン、組織の CLAUDE.md の5つを、利用者が上書きできない管理設定で決めておきます。この5つは、使う本人に任せると人によって設定がばらつき、あとから揃えるのに手間がかかるものです。Claude Code で何ができるかの全体像は、Claude Code でできることを整理した記事で扱っています。ここでは、渡す側が決めることに絞ります。
設定には置き場所が4つあり、管理設定が最も強い
Claude Code の設定は、ユーザー、共有プロジェクト、プロジェクトローカル、管理の4つのスコープで持ちます。このうち組織が配る管理設定は、利用者自身の設定ファイルや起動時の指定では上書きできず、利用者やプロジェクトの設定より優先されます。業務部門の人が設定を触っても崩れてほしくないものは、管理設定に置くのが筋です。
許可のルールは、拒否(deny)、確認(ask)、許可(allow)の順に評価され、最初に一致したものが結果を決めます。拒否ルールは、確認をすべて飛ばす bypassPermissions を含むどのモードでも効きます。止めたい操作を確実に止めるなら、拒否ルールに置きます。
| 固定するもの | 誰が・どこで決めるか | 決めておく中身 |
|---|---|---|
| 開始時の権限モード | 情シス(いなければ管理担当)が管理設定で | 最初の週は Manual か plan で始める。決めなければ auto で始まる |
| auto モードを残すか | Team / Enterprise の管理者が管理設定で | 残さないなら disableAutoMode で組織の auto をオフにする |
| 見せないファイル | 情シスが管理設定で | .env や秘密情報の置き場所に Read 拒否ルールを置く |
| 商用プランと学習・保持 | 契約の決裁者が契約のときに | Team / Enterprise を選ぶ。学習に使わず、標準の保持は30日 |
| 組織の CLAUDE.md | 業務部門長と情シスが管理ポリシーとして | 部門をまたいで守ってほしい注意。利用者は除外できない |
商用プランは、学習と保持の扱いで選ぶ
組織で使う場合の提供経路は、Claude for Teams / Enterprise が公式の既定の推奨です。Team・Enterprise・API などの商用条件では、データ提供を自分で選んだ場合を除き、送ったコードやプロンプトはモデルの学習に使われません。商用ユーザーの標準の保持期間は30日です。経理の数字や取引先名が会話に入る前提なら、個人向けの契約で始めず、ここを先に決めます。契約の経路そのものは、Claude の法人契約の経路を扱った記事にまとめています。
情シスがいない会社は、誰が固定するのか
専任の情シスがいない会社では、契約の管理者になる人がこの5つを持ちます。業務部門長が兼ねてもかまいません。大事なのは、使う本人と固定する人を分けることです。使う本人が自分の設定で許可を広げても、管理設定に置いた拒否は崩れません。
何も設定せずに渡すと、Claude Code はどのモードで動き始めるのか
2026年9月に公開された Claude Code v2.1.283 からは、権限モードを何も指定していなければ、ターミナルでも VS Code でも対話は auto モードから始まります。管理設定で開始時のモードを決めておけば組織のセッションはそのモードで始まりますが、利用者は途中で auto に切り替えられます。組織として auto を使わせないなら、Team と Enterprise の管理者が管理設定の disableAutoMode でオフにします。
Manual と plan は、人が止まる所を作るモード
Manual モード(設定値は default)は、ファイルの編集、シェルのコマンド、ネットワークへのアクセスなど、ほとんどの操作の前に止まって確認を求めます。plan モードでは、Claude Code が作った計画を人が承認するまで、ファイルの編集は行われません。どちらも、操作の手前で人が読む時間を作るモードです。
業務部門の人にとって、最初の週は「何が起きようとしているか」を読む練習の期間です。確認なしで進む状態から始めると、読む機会そのものが減ります。開始時のモードを Manual か plan に固定するのは、そのためです。
開始モードの固定だけでは、auto は止まらない
見落としやすいのは、開始時のモードを管理設定で決めても、それは「始まり方」を決めるだけだという点です。利用者は auto に切り替えられます。1週目は auto を使わせたくない、と決めたなら、開始モードの固定に加えて disableAutoMode まで入れておきます。2週目以降に auto を解禁するかは、最後の節で挙げる確かめを見てから決めれば足ります。
最初の1週間で覚えてもらうのは、この4つだけ
最初の1週間は、計画を読んでから承認する、確認画面の選択肢の意味を知る、巻き戻しで戻るものと戻らないものを知る、同じ注意を2回したら CLAUDE.md に書く、の4つに絞ります。コマンドや機能を広く覚えるより、止まる所・戻せる所・書き残す所が分かっていれば、2週目から任せる範囲を広げられます。下の表の日の割り振りは、Claude Code 公式ドキュメントの仕組みを本記事が並べ直した整理で、公式の研修手順ではありません。
| 時期 | 覚えること | 分かっていればよいこと |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 計画を読んでから承認する | plan モードでは承認するまで編集されない。読んで差し戻してよい |
| 3日目 | 確認画面を読んで選ぶ | 「はい、今後は聞かない」を選ぶと承認が残り、以後は聞かれない |
| 4日目 | 巻き戻しの限界を知る | 巻き戻せるのは Claude の編集。Bash だけが変えたファイルは残る |
| 5日目 | 繰り返す注意を CLAUDE.md に書く | 同じ間違いが2回出たら書く。ただし強制の仕組みではない |

1〜2日目:計画を読み、差し戻してよいと知る
最初の2日は、作業を頼んだら計画を出させ、それを読んでから承認する流れだけを繰り返します。plan モードなら、承認するまでファイルは編集されません。覚えてほしいのは、計画が意図と違えば差し戻してよいこと、読んで分からない計画は承認しないことです。ここで「読まずに承認する癖」がつくと、あとの3つが効きません。
3日目:「今後は聞かない」で何が残るかを知る
Manual で動かすと、操作のたびに確認画面が出ます。ここで「はい、今後は聞かない」を選ぶと、その承認はリポジトリのルートにある .claude/settings.local.json に保存され、同じ操作は以後尋ねられません。押す前に、何を今後ずっと許すのかを読む。この1点を覚えてもらいます。確認画面が多すぎて作業が進まないときは、本人が押して減らさず、管理側で許可の範囲を見直します。
4日目:巻き戻しで戻るものと戻らないものを知る
/rewind か、入力が空の状態で Esc を2回押すと、巻き戻しのメニューが開きます。戻せるのは Claude がファイルを編集した分で、Bash のコマンドだけが変えたファイルはチェックポイントで追跡されず、巻き戻しても残ります。チェックポイントはバージョン管理の代わりではなく、長く残す履歴には Git などを使い続けるよう公式も書いています。この日に覚えてほしいのは操作より、「戻らないものがある」という事実です。次の節の線引きは、ここから決まります。
5日目:同じ注意を2回したら、CLAUDE.md に書く
CLAUDE.md に足すのは、Claude が同じ間違いを2回したときなど、毎回説明し直すことになる内容です。「金額は税込で集計する」「列の並びは前月の表に合わせる」のような部門の決まりが、その候補になります。ただし CLAUDE.md は動きを形づくる指示で、操作を強制的に止める仕組みではありません。止めたい操作は、管理側の拒否ルールに置きます。
1週目に任せる作業と任せない作業は、巻き戻せるかで分ける
Claude Code を渡した最初の週は、失敗しても巻き戻しで元に戻せる作業(手元の写しでの集計や下書き)だけを任せ、Bash や外のシステムで変わって巻き戻しで戻らない作業(共有の原本への上書き、削除、外部への送信)は任せません。作業が簡単か難しいかより、戻せるかどうかで線を引きます。
| 作業 | 1週目 | 線を引く根拠 |
|---|---|---|
| 手元の写しでの集計・表の作り直し | 任せる | 原本に触れず、Claude の編集は巻き戻せる |
| 文書やメールの下書き | 任せる | 送るのは人。Claude の下書きは何度でも直せる |
| ファイルの読み取り・中身の要約 | 任せる(拒否の外だけ) | 見せないファイルは管理側の Read 拒否で止めてある |
| 共有フォルダの原本への上書き・削除 | 任せない | Bash で変わったファイルは巻き戻しで戻らない |
| 基幹システムへの書き込み・外部への送信 | 任せない | 手元のファイル編集ではなく、巻き戻しを当てにできない |
月末の売上集計に当てはめると
仮の例として、経理の担当者に月末の売上集計表の作り直しを任せる場合を考えます。Claude Code には、担当者の手元に置いた写しで作業させ、共有フォルダの原本は開かせません。仕上がった表を確かめて共有フォルダに置くのは、担当者自身です。こうしておけば、集計の途中で表が崩れても巻き戻しで戻せ、原本は最初から無事です。
任せない作業は、禁止ではなく順番の話
表の下2行は、ずっと任せないという意味ではありません。1週目に外すのは、担当者が計画を読んで差し戻す経験も、Bash で変わったファイルが残る場面も、まだ見ていないからです。共有フォルダへの上書きなら、2週目以降に担当者が計画を読んでから承認する形で1件ずつ試せます。業務部門が自分でツールを作ってよい範囲をどう決めるかは別の問いで、業務部門の自作を許す範囲の決め方を扱った記事で整理しています。
2週目に進んでよいかは、何を見て決めるか
2週目に任せる範囲を広げるかは、担当者が計画を読んで差し戻せたか、「今後は聞かない」で残した承認を説明できるか、繰り返した注意を CLAUDE.md に書けているか、の3つで決めます。日数が過ぎたことは、進む根拠になりません。
確かめる3つの問い
1つ目は、計画を読んで、意図と違う所を1回でも差し戻したかです。全部そのまま承認していたなら、読めていない可能性があります。2つ目は、settings.local.json に残った承認を本人が見て、何を許したのかを自分の言葉で言えるかです。3つ目は、同じ注意を2回したときに、それを CLAUDE.md に書けているかです。3つとも満たしていれば、任せる範囲を一段広げる候補になります。
範囲を広げる前に、管理側を先に直す
任せる作業を増やすときは、本人の設定より先に、管理側の拒否ルールと管理設定を直します。拒否ルールはどのモードでも効き、管理設定は利用者が上書きできないので、ここを動かせば部門全体の線が一度に揃います。あわせて、Claude Code は手元の ~/.claude/projects/ に会話の記録をプレーンテキストで30日間保存します。扱うデータを広げる前に、その端末に誰が触れるかも確かめておきます。
この記事のまとめ
- 情シスか契約の管理者と30分の時間を取り、確認表の5行それぞれに「決めた・未定」と担当者名を書き込みます。
- 最初に渡す担当者を1人に決め、1週目に任せる作業を、手元の写しでできるものから1つだけ選んでおきます。
- 1週目の終わりに、担当者の settings.local.json と CLAUDE.md を一緒に開く時間を予定に入れます。
公開日:2026年10月
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この相談で持ち帰れるもの
- 01
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- 02
投資対効果(ROI)のシミュレーション
- 03
いまの悩み・疑問への、その場の個別回答


