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Claudeのメモリ機能は、会社で有効のままでよいのか

公開 2026.11.05 ・ 読了目安 約11分

Claudeのメモリ機能は、扱う情報によっては会社で有効のままにして構いません。Team・Enterpriseでは組織の設定が初期でオンでも、社員が各自オンにするまでメモリは働かず、所有者は社員のメモリの中身を見られないため、決めるべきは「何を覚えさせてよいか」の社内ルールです。止める場合は、組織でオフにした瞬間に全員分のメモリが永久に消えるので、周知してから切り替えます。

30-SECOND SUMMARY設定で中身を管理できないので、扱う情報ごとにルールで線を引く
  1. 組織の設定は初期でオンですが、各メンバーは自分でオンにするまでオフです。所有者が個人のメモリをオンにすることも、中身を見ることもできません。
  2. 会話を削除しても、その会話から作られたメモリは残ります。退職や異動の手続きには、会話とは別にメモリの削除を入れます。
  3. 組織でオフにすると、全メンバーの既存のメモリが即座に永久削除されます。止めるなら、先に知らせて各自が中身を確かめる期間を置きます。

Claudeのメモリは、会社で有効のままでよいのか

組織のメモリ設定は初期でオンになっていて、社員は各自がオンにするまでメモリを使っていません。所有者が決めるのは、どの業務で使ってよいか、顧客ごとにプロジェクトをどう分けるか、会話を消してもメモリが残る点をどう扱うかの3つです。この3つを決められるなら有効のまま使わせ、決めても守らせにくい情報を日常的に扱うなら止める、というのが私の整理です。

TeamとEnterpriseのプランでは、メモリを使えるかどうかは所有者が組織の設定で決めます。その設定は「組織設定」の「機能」にあり、初期状態はオンです。ただし各メンバーのメモリは、本人がオンにするまでオフのままで、所有者が代わりにオンにすることはできません。

つまり、何もしていない会社では「社員がオンにすれば使える」状態になっています。誰がオンにしているかを知る方法は、ヘルプの記述からは読み取れませんでした。情シス定例で最初に確かめるのは、組織の設定がいまオンかどうかと、社員がすでに使い始めているかの聞き取りです。

オフが初期状態という説明は、組織の設定とは違う

解説記事のなかには、組織の初期状態をオフと書いたものがあります。公式ヘルプが初期でオフとしているのは各メンバーの設定で、組織全体の設定は初期でオンです。「うちはまだ何もしていないから止まっている」と考えて定例を先送りすると、社員がオンにした分のメモリが積み上がっていきます。

8月の更新で、メモリの何が変わったのか

Claudeのメモリとは、会話の中から役割・案件・仕事上の背景・関わる人物や場所などを項目ごとに保存し、次のチャットで使う機能です。2026年7月の更新で、それまでの日次の要約から、会話中にClaudeが読み書きするカテゴリ分けされた個別の項目に変わりました。

2026年8月の更新では、メモリがクラウドで動くCoworkとチャットの間で共通になりました。チャットで覚えた案件の経緯を、クラウドのCoworkでの作業でも使う、ということです。同じ日に、記憶した内容が「設定」の「メモリ」にトピックとして一覧で出て、項目ごとに編集・削除できるようになりました。手元のPCで動くCoworkのセッションは、メモリを使いません。

7月より前にメモリの扱いを決めていた会社は、決めた時点の前提と仕組みが違っています。

機微な話題は、初期では保存されない

健康・人種・民族・宗教的信念・政治・性自認などの個人的で機微な話題は、初期設定では保存されません。組織でこれらの話題の保存を許した場合でも、各メンバーが自分でオプトインするまでは保存されない仕組みです。人事や労務の相談にClaudeを使う部門がある会社では、組織としてこの許可を出すかどうかも、定例の議題に入れておきます。

所有者は社員のメモリを見られるのか

所有者は社員のメモリを見られるのか。見られません。所有者はメンバー個人のメモリを表示することも編集することもできず、監査ログに残るのは、所有者が組織のメモリ設定をオンやオフに切り替えた記録だけです。メンバー個人がメモリを編集した記録はログに残りません。

確かめたいこと 所有者から見えるか 公式の記述
社員のメモリの中身 見えない・直せない 個別のメモリは表示も編集もできない
社員がメモリを編集した記録 残らない 個別メンバーの編集はログに記録されない
組織の設定の切り替え 監査ログに残る 所有者がオン・オフにしたときを記録する
データのエクスポート メモリも含まれる すべてのメモリデータが含まれる
シークレットチャット メモリには入らない エクスポートに含まれ、組織の保持方針に従う

メモリの項目は保存時に暗号化されています。とはいえ、暗号化は社内の誰が中身を見られるかとは別の話です。所有者が設定画面から中身を点検できない以上、「顧客名を覚えさせてよいか」は設定では管理できず、社内ルールで決めて守ってもらうしかありません。社員が何を入力したかの記録全般については、生成AIの利用ログの管理を扱った記事で整理しています。

エクスポートで分かることは、手順を確かめてから当てにする

エクスポートにメモリのデータが含まれることはヘルプに書かれています。ただ、所有者が組織のエクスポートからメンバーごとのメモリをどの形で読めるかまでは、この記事の範囲では確かめられていません。点検の手段として当てにする前に、管理画面で一度エクスポートを試し、メモリがどう出てくるかを見ておきます。

会話を消してもメモリは残る、退職と異動で何が残るか

会話を削除しても、その会話から作られたメモリは消えません。保持期間によって会話が削除された場合も同じです。メモリを消すには、メモリがオンになっている間に、メンバーが項目を個別に削除します。

チャットを消せばメモリも消えると説明している記事がありますが、公式ヘルプの記述とは違います。顧客との打ち合わせの会話を消したから大丈夫、という運用では、その会話から覚えた案件の経緯や担当者の名前がメモリに残り続けます。

保存期間を設けている組織で及ぶ範囲

チャットにかかるカスタムのデータ保持期間を持つ組織では、新しい統合のClaude体験が組織でオンになっている間、その期間が現在のメンバーのメモリにも及びます。プロジェクトのメモリはこの対象から外れ、プロジェクトを削除したときに消えます。

確かめておく点が2つあります。1つは、Teamプランでチャットのカスタム保持期間を設定できるかです。公式の該当記述はEnterprise向けの記事への案内になっていて、Teamで使えるかは未確認です。もう1つは、自社の組織で「新しい統合Claude体験」がオンになっているかで、これは管理画面で確かめます。どちらかが当てはまらなければ、保存期間でメモリが自動的に消えることは前提にできません。

退職・異動のときは、メモリを本人に消してもらう

所有者は社員のメモリを直せないので、退職や異動の前に本人がトピックの一覧を開き、顧客名や案件に関わる項目を削除する手順を手続きに入れます。顧客ごとのプロジェクトを使っていたなら、そのプロジェクトを引き継ぐか削除するかも同じ場で決めます。アカウントを止めたあとにメモリがどう扱われるかはヘルプに記載が見当たらないため、退職者のアカウントの扱いはAnthropicの窓口か契約の資料で確かめてください。

有効のまま・条件つき・止めるを決める判断表

扱う情報と保存期間の設定の有無で、有効のまま・条件つきで有効・止めるのどれが合うかが変わります。部門ごとに当てはめ、最も慎重な区分の部門に合わせて組織の設定を決めます。組織の設定は全員に一律でかかり、部門ごとにオン・オフを分ける設定はヘルプに書かれていないからです。

区分 当てはまる使い方 使わせる条件・やること
有効のまま 社内文書や企画の下書きが中心で、顧客名や個人情報を入れない 機微な話題は初期で保存されないことを社員に伝える
条件つきで有効(顧客) 営業が顧客名や案件の経緯を扱う 顧客ごとにプロジェクトを分け、アカウントメモリを切る
条件つきで有効(人事) 人事・評価・健康の相談がときどきある その相談は送る前にメモリを切り、機微な話題は許可しない
保存期間で消えない Teamで保持期間を設けられない、または統合体験がオフ 残ったメモリを退職・異動の手続きで本人に消させる
止める 機微な個人情報を日常的に扱い、ルールを守らせにくい 周知と確認の期間を置いてから組織でオフにする
組織のClaudeメモリを、有効のまま・条件つきで有効(顧客)・条件つきで有効(人事)・保存期間で消えない・止めるの5区分に分け、当てはまる使い方と使わせる条件を並べた判断表

「条件つきで有効(顧客)」の要になるのはプロジェクトの分け方です。プロジェクトの中では、Claudeはそのプロジェクトのメモリとプロジェクト外のチャットのメモリを合わせて使い、他のプロジェクトのメモリは使いません。顧客Aの経緯が顧客Bの提案書に混ざらないようにするには、プロジェクトのページの「メモリ」で「アカウントメモリを使用」をオフにして、プロジェクトのメモリを完全に分けます。

どの区分を選んでも、顧客情報をメモリに入れることが個人情報保護法や取引先との秘密保持契約に照らして許されるかは、個別の判断になります。社内の法務か顧問弁護士に確かめる点として、定例の議事録に残しておきます。メモリの内容がモデルの学習に使われるかも、このヘルプには書かれていないので、商用の利用規約で確かめます。

社員に使わせる前に決める6項目

有効のまま、または条件つきで使わせるなら、次の6項目を社内ルールに書いてから社員に知らせます。所有者が中身を点検できないので、ルールは「社員が自分で判断できる」粒度で書くことが前提です。

項目 決めること 決める理由
1. 使ってよい業務 メモリをオンにしてよい業務と、入れてはいけない情報を名指しで書く 所有者は中身を点検できない
2. プロジェクトの分け方 顧客や案件ごとにプロジェクトを作り、アカウントメモリを切るか決める 切らないとプロジェクト外のメモリと混ざる
3. 1回だけ切る場面 人事・評価などの相談では、最初のメッセージの前にメモリを切る 送ったあとでは切り替えられない
4. 退職・異動での削除 本人がトピックの一覧から関係する項目を消し、プロジェクトの引き継ぎ先を決める 所有者が代わりに消せない
5. 会話削除との関係 消したい内容は、会話ではなくメモリの項目から消すよう案内する 会話を消してもメモリは残る
6. 止める場合の周知 止めるときの予告期間と、各自が書き写す期限を先に決めておく 組織でオフにすると全員分が即時に消える

3つ目は、気づいたときには遅い項目です。1回のチャットだけメモリを使わない設定は、最初のメッセージを送る前にしか変えられません。面談の記録を整理する前に切る、という場面を具体的に挙げておくと、社員が迷わずに済みます。シークレットチャットはメモリに入りませんが、TeamとEnterpriseでは標準のデータエクスポートに含まれ、組織の保持方針に従います。「シークレットなら会社に残らない」と誤解されないよう、ルールに併記します。

Claude Teamの管理画面で決める項目は、メモリのほかにもあります。月間のAPIクレジットの扱いを同じ定例で決めるなら、Claude TeamのAPIクレジットを受け取る前に決めることの記事も参考になります。

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止めるなら、全員分が消える前にやること

所有者が組織のメモリをオフにすると、全メンバーの既存のメモリ項目がすべて即座に削除され、メンバーはメモリの設定を開けなくなります。削除は永久で、あとから組織の設定をオンに戻しても元には戻りません。止める判断そのものより、切り替える日の段取りのほうが重いと考えてください。

切り替えまでの段取り

まず、止める日と理由を社内に知らせます。メモリを使っていた社員には、その日までにトピックの一覧を開いて、残しておきたい案件の前提や自分の役割の説明を、プロジェクトの指示や社内の文書に書き写してもらいます。メモリに頼っていた作業は、止めた翌日から毎回の説明が要るようになるからです。

次に、会社として記録を残す必要があるかを決めます。メモリのデータはデータのエクスポートに含まれるので、法務や監査の都合で切り替え前の状態を残すなら、オフにする前にエクスポートを取ります。オフにしたこと自体は監査ログに残るので、いつ誰が切り替えたかはあとから確かめられます。

HIPAAや公共部門の契約を持つ組織では、新しいメモリの仕組み自体が使えません。該当するかどうかは契約の担当に確かめてください。

関連: AIに相談してはいけないこと/生成AIガイドライン/Claude Code構築支援(サービス)

この記事のまとめ

  • 今週中に「組織設定」の「機能」でメモリがオンかを確かめ、各部門にメモリを使っているかを聞き取る。
  • 管理画面で「新しい統合Claude体験」の状態を見て、Teamで保持期間を設けられるかをAnthropicの窓口に問い合わせる。
  • 顧客情報をメモリに入れてよいかを、法務か顧問弁護士に照会する。
  • 次の情シス定例では、判断表の区分を部門ごとに1つ選び、6項目の案と並べて決める。

監修者|生成AIの導入から定着まで伴走する専門家が確認しています

吉元大輝(よしもとひろき)

株式会社BoostX 代表取締役社長

AI顧問・FDE型AI伴走支援・AIエージェント開発など、生成AIの相談から構築・現場定着までを一社で支援。業務可視化から効果測定まで、企業のAI活用を実務レベルで前に進めている。

公開日:2026年11月

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