社内の Gem は、全部を年内にスキルへ移す必要はありません。ビジネス向けの Google Workspace では、Gem は2027年3月以降まで作成・編集・利用を続けられます。ただ、自動移行を待った Gem は無効な下書きになるので、部署で共有して毎日使う Gem と、Workspace Studio のフローで「Gem に質問する」を使っている Gem から先に作り直します。
- 2026年11月に Gem は Gemini アプリの設定画面へ移りますが、作成・編集・利用は続きます。使えなくなるのはビジネス向けで2027年3月以降です。
- 自動移行された Gem は作成者の一覧に無効な下書きとして入り、作成者が確認して有効にするまで動きません。Gemini アプリにだけ移り、Workspace のアプリとは同期しません。
- Gmail やドキュメントの中で使う Workspace のスキルは、10月13日に「追って知らせるまで延期」とされました。そこで使いたい指示は、再開の告知を待ってから決めます。
目次
急がなくてよい Gem と、先に移す Gem
ビジネス向けの契約では、Gem は2027年3月以降まで使えます。急いで全部を作り直す必要はありません。先に手を付けるのは、部署で共有している Gem と、Workspace Studio のフローに組み込んでいる Gem の2種類です。
この2種類を先にする理由は、止まったときに困る人の数が多いからです。営業の提案書の下書き用や総務の問い合わせ返信用など、共有している Gem が無効な下書きのまま残ると、作成者以外の社員はその日から使えません。フローに入れた Gem が止まれば、決まった時刻に動いていた処理が止まります。
反対に、作った本人しか使っていない Gem や、試しに作って放ってある Gem は急ぐ理由がありません。自動移行に任せるか、作り直さずにやめるかを本人に選んでもらえば足ります。
9月30日と10月13日に何が決まったのか
スキルとは、繰り返し使う指示を Gemini に渡しておく再利用できる部品で、2027年に Gem を置き換えるものです。Google は2026年9月にこの置き換えを発表し、10月13日に展開の予定を一部変えました。
Gem とスキルで変わるところ
Gem は Gemini アプリの中でしか使えず、Gmail やドキュメントなどの Workspace アプリからは呼び出せません。スキルは Gemini アプリと Workspace アプリの両方で動く設計で、1つのプロンプトで複数のスキルを組み合わせられます。形式は SKILL.md という Markdown ベースのファイルで、ほかのツールとの間で指示を移しやすくなっています。
ただし今は、Gemini アプリで作ったスキルと Workspace アプリで作ったスキルは同期しません。両方で使いたいなら、それぞれで作ることになります。
日付で決まっていること
| 日付 | 起きること | 社内への影響 |
|---|---|---|
| 2026年11月 | Gem が Gemini アプリの[設定]に移る | 見た目の場所が変わるだけで、作成・編集・利用は続く |
| 2027年3月以降 | ビジネス・エンタープライズで Gem の作成・編集・使用ができなくなる | 残った Gem は Gemini アプリの下書きスキルへ自動移行 |
| 同上 | 「Gem に質問する」を含む Workspace Studio のフローが動かなくなる | 既存のフローは2027年までは動くが、新しく足すことはもうできない |
10月13日に延びたこと
10月13日の更新で、Gemini アプリのスキルは展開が始まりました。一方、Workspace アプリのスキルは「追って知らせるまで延期」とされ、再開の時期は書かれていません。Workspace のスキルの対象には Business Starter・Standard・Plus が含まれますが、管理者ヘルプでは現時点で Gemini ベータ版プログラムに登録した顧客だけが使えるとしています。
同じ更新で、Gemini アプリのスキルを共有する機能と Google ドライブとの連携は、これから加える機能として挙げられました。提供日は示されていないので、使う前に公式ヘルプで提供の有無を確かめてください。
自動移行を待つと、社内の Gem はどうなるのか
自動移行された Gem は無効な下書きになり、作成者が確認して有効にするまで使えません。待った場合に起きることは3つです。
作成者が有効にするまで止まる
移行された Gem は、作成者のスキル一覧に無効な下書きとして表示されます。名前・説明・カスタム指示・アップロードしたナレッジファイルは引き継がれ、ドライブの権限と共有設定も対応するスキルに移るとされています。中身は残っても、作成者が有効にしない限り誰も使えないということです。
ここから先は公式の記述からの推論です。下書きは作成者の一覧に入るので、作成者が退職や異動で不在なら、有効にする人がいないまま止まる可能性があります。共有している Gem は、作成者が今いるかを先に確かめておくと安心です。
移る先は Gemini アプリだけ
自動移行の行き先は Gemini アプリの下書きスキルです。Gemini アプリと Workspace アプリのスキルは同期しないので、移った後も Gmail やドキュメントの中からは呼び出せません。Workspace アプリで使いたい指示は、Workspace のスキルとして別に作る必要があり、その機能は延期中です。
Studio のフローは自動では直らない
「Gem に質問する」を含む Workspace Studio のフローは、2027年3月以降に動かなくなります。Gem が自動でスキルへ移っても、フローの中のステップが置き換わるとは書かれていません。フローのオーナーが、別のステップへ組み替えるか、フロー自体をやめるかを決める必要があります。組み替え先のステップは、Workspace Studio の公式ヘルプで確かめてください。
自動移行の仕組みについて、Google は開始の少なくとも30日前までに管理者へ詳細を知らせ、ヘルプの該当箇所も更新するとしています。管理者ヘルプには、移らないファイルや設定の一覧はまだ載っていません。ナレッジファイルの形式によっては移らないとする解説記事もあるため、重要なファイルは元のデータを手元に残しておきます。
社内の Gem を「今すぐ・待つ・やめる」に振り分ける表
社内の Gem は、共有しているか・フローで使っているか・ナレッジファイルがあるか・どこで使いたいかの4点で、今すぐ作り直す、自動移行を待つ、やめるの3つに分かれます。上の行から順に当てはめ、最初に当たった行で決めてください。
| Gem の状態 | 振り分け | 管理者から頼むこと |
|---|---|---|
| Studio のフローで「Gem に質問する」を使う | 今すぐ作り直す | フローのオーナーに、2027年3月より前に組み替えを依頼 |
| 部署で共有し、毎日使う | 今すぐ作り直す | 作成者にスキル版を作って確かめてもらう。部署への配布は共有機能の提供を確かめてから |
| 共有しているが、作成者が退職・異動した | 今すぐ作り直す | 部署で後任の作成者を決め、指示とナレッジファイルを引き継ぐ |
| Gmail やドキュメントの中で使いたい | 待つ | Workspace のスキルの再開の告知を待ち、Gem はそれまで今のまま使う |
| 本人だけが使い、ナレッジファイルがある | 待つ | 自動移行でファイルは保持されるとされる。元のファイルは手元にも残してもらう |
| 本人だけが使い、指示文だけ | 待つ | 移行後に下書きを有効にする必要があることだけ伝える |
| 試しに作って使っていない | やめる | 作り直さず、本人の判断で削除してよいと伝える |
| 中身が別の Gem と重なる | やめる | 残す方を部署で1つに決め、それだけを作り直す |

「今すぐ作り直す」は、展開の始まった Gemini アプリでスキル版を作り始めるという意味です。Gem 自体は2027年3月以降まで使えるので、スキル版を確かめている間も部署の仕事は止まりません。
表を使う前に、社内にどんな Gem があるかを部署ごとに挙げてもらいます。名前・作成者・共有先・フローでの利用の有無の4列があれば、上の表に当てはめられます。
管理者が決める3つのこと
Gemini アプリのスキルに管理者の設定はあるのでしょうか。10月13日の公式発表では、Gemini アプリのスキルに管理者向けの設定は無いとされています。管理者が設定で決められるのは Workspace のスキルの側で、そちらは延期中です。
Workspace のスキルを誰に使わせるか
Workspace のスキルは、管理コンソールの Workspace Studio の設定にある「スキルを作成して使用する」で、組織部門やグループごとにオン・オフを切り替えます。オフにすると、社員は作ったスキルも使えなくなります。再開の告知が出てから、先に使わせる部署と、あとから広げる部署を決めます。
いつ案内を出すか
最初の案内は11月17日より前が向いています。この日に Gem の場所が設定画面へ移るので、「Gem が消えた」という問い合わせが出やすいからです。2回目は、自動移行の詳細が管理者に届いたとき、3回目は2027年3月の前と、公式の動きに合わせて分けると、社員が覚えることが少なくて済みます。
誰が作り直すか
作り直すのは、原則としてその Gem の作成者です。公式ヘルプも、重要な Gem を早めに手動でスキルとして作り直すよう作成者に促すことを、管理者の対応に挙げています。情シスが引き受けるのは、作成者が不在の Gem と、複数の部署にまたがるフローの組み替えに絞ると、負担が偏りません。
日付ごとに社内へ案内すること
確定している日付と、公式の告知を待つ日付を分けて並べました。告知待ちの行は、日付が出たら案内の時期を書き込んでください。
| 時期 | 社内へ案内すること | 案内する相手 |
|---|---|---|
| 11月17日より前 | Gem は設定画面へ移るが、今までどおり使えること。部署の Gem の一覧を出してほしいこと | 全社員・各部署の責任者 |
| 一覧がそろった後 | 振り分け表で「今すぐ」になった Gem のスキル版づくりを始めること | 共有している Gem の作成者 |
| 11月17日以降 | 「Gem に質問する」を含むフローを組み替える期限は2027年3月より前であること | Studio のフローのオーナー |
| 共有機能の提供を確かめた後 | スキル版を部署へ配り、Gem から切り替える日を決めること | 各部署の責任者 |
| Workspace のスキルの再開告知の後 | 使える部署と時期。Gemini アプリのスキルとは同期しないこと | 対象部署の社員 |
| 自動移行の詳細が届いた後 | 移る内容と移らない内容。下書きを有効にする手順の公式ヘルプの場所 | Gem を持つ全社員 |
| 2027年3月以降 | 一覧に下書きとして入ったスキルを確認し、必要なものだけ有効にすること | Gem を持っていた全社員 |
告知待ちの3行は、Google Workspace Updates のブログと、管理者ヘルプの「Gem からスキルへの移行について」で動きを確かめます。管理者ヘルプは自動移行の詳細を開始の30日前までに追記するとしているので、ここを月に1回開くだけでも見落としを防げます。ChatGPT のカスタム GPT の終了への対応はカスタム GPT の終了で会社が確かめることで触れています。
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この記事のまとめ
- 今週中に、名前・作成者・共有先・フローでの利用の4列の表を各部署に配り、社内の Gem を集める。
- Workspace Studio を開き、「Gem に質問する」を含むフローとそのオーナーを書き出す。
- 共有している Gem の作成者が在籍しているかを人事の名簿と突き合わせ、不在なら後任を部署で決めてもらう。
- 管理者ヘルプの「Gem からスキルへの移行について」の最終更新日を書き留め、毎月同じ日に見直す予定を入れる。
公開日:2026年11月
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