たとえば、四半期の報告会を翌日に控えたマーケ責任者が、Web担当に「構造化データはひと通り入れたのに、AIの回答に自社の記事が出てこない。次は何を足せばいい?」と聞いたとします。Web担当の手元にあるのは、プラグインの設定画面と、記事ごとに手で書き足したFAQPageのマークアップです。どの種類が効いたかを示す数字はありません。
答えから書くと、構造化データを足すことは、GoogleのAIの回答に引用される条件になっていません。Googleは2026年5月に追加した生成AI機能向けのガイドで、生成AI検索に構造化データは必要なく、追加すべき特別なschema.orgのマークアップも無いと明記しました。効くのはリッチリザルトの対象になる助けと、内容を把握する助けまでです。FAQのリッチリザルトは2026年5月以降、表示されていません。以下、効く範囲と効かない範囲を種類ごとに分け、記事公開の7段階のどこで手間を減らし、どこを人が確かめるかを整理します。
- 2026年10月時点で、AIによる概要やAIモードに出るための特別な構造化データはありません。条件はインデックス登録済み・スニペット表示可・技術要件を満たすの3点だけです
- FAQのリッチリザルトは2026年5月以降表示されず、HowToは2023年9月に文書ごと削除されました。手書きの分は保守から外す候補です
- 残す手間はArticle・BreadcrumbList・Organizationの3種と、画面の表示との一致の確認です。効果はSearch Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで見ます
目次
構造化データがAI検索で担う役割と、担わない役割
構造化データとは、ページの内容を検索エンジンが読み取れる決まった形式で書き添える情報のことです。記事なら見出し・公開日・更新日・著者、会社なら名称・ロゴ・所在地を、画面の文章とは別に渡します。Googleはこれを使ってページの内容を把握し、形式はJSON-LDを推奨しています。
担う役割は2つ:表示の対象になることと、内容の把握
1つ目は、記事・パンくずリスト・商品・ローカルビジネスなど、Google検索がサポートする表示の対象になることです。対象になっても表示されるとは限らず、テキストだけの結果が選ばれることもあります。
2つ目は、日付・人名・会社名・価格のように取り違えやすい値を、項目名つきで渡すことです。
担わない役割:AIの回答に出るための専用の鍵ではない
AIによる概要やAIモードで参照元のリンクとして表示される条件として、Googleが挙げるのは3点です。インデックスに登録されていること、スニペットを表示できること、検索の技術要件を満たしていること。これ以外の技術要件は無いと、2025年12月更新の「AI機能とウェブサイト」に書かれています。
構造化データが無くてもAIの回答のリンクには出られ、種類を増やしても3点が欠ければ出られません。先に見るのは、記事が登録されているかと、noindexやnosnippetが意図せず付いていないかです。
構造化データを足すとAI引用は増えるのか、Google公式はどう書いているか
原典から言えるのは、構造化データはAI機能に出る必要条件ではなく、引用を増やす手段としても案内されていない、というところまでです。増える・減るの数字を、Googleは出していません。
3つの文書が同じ線を引いている
生成AI機能向けのガイド(2026年9月更新)は、生成AI検索に構造化データは必要ないとし、同じ段落でリッチリザルトの対象になる助けとして使い続けることを勧めています。「AI機能とウェブサイト」は特別な対応は要らないとしつつ、構造化データを画面のテキストと一致させることを基本に挙げます。一般的なガイドライン(2026年9月更新)は、正しくマークアップしても表示されるとは限らないと断っています。
構造化データは「入れるなら画面と一致させる」もので、「AIのために足す」ものではありません。
以前の版の「引用されやすくなる」は取り下げます
2026年3月公開の以前の版では、構造化データが充実したページはAIに選ばれやすいと書いていました。原典に裏づけが無く、2026年5月のガイドとも食い違うため削除しています。FAQPageとHowToのJSON-LDを貼る案内も、次の節の日付を踏まえて外しました。
引用を左右するのは、マークアップより本文の中身
同じガイドは、存在感を長く高めるものとして独自の視点や経験に基づく内容を挙げ、コンテンツの「チャンク化」やAI向けの書き換えは不要とします。施策の全体はAI Overviewに自社サイトが表示されないときの施策の記事で扱っています。手間の多くは本文の側に回す方が、Googleの説明と筋が合います。
よくある質問
2026年10月時点のGoogle検索の表示に限れば、どちらも効いていません。FAQのリッチリザルトは2026年5月以降表示されず、HowToは2023年9月にパソコンとモバイルの両方で表示されなくなり、文書が削除されました。入れた分は、続けるか外すかを種類ごとに決め直す時期です。
表示が終わった日付と、手元で見直すもの
| 日付 | Google検索で変わったこと | 手元で見直すもの |
|---|---|---|
| 2023年9月 | How-toの文書を削除。FAQは政府機関と保健衛生の権威あるサイトだけに表示を限定 | 手順の記事のHowTo、記事末尾のFAQPage |
| 2025年6月 | 書籍アクション・コース情報・給与推定額など7機能の段階的なサポート終了を告知 | 採用ページの給与推定額、講座ページのコース情報 |
| 2026年5月 | FAQのリッチリザルトにサポート終了を告知(5月7日以降は表示されない) | プラグインのFAQブロック、手書きのFAQPage |
| 2026年6月 | FAQの文書を削除。llms.txtはGoogle検索に影響しないと明記 | 社内手順書のFAQPageの項目 |
種類ごとに、続ける・外す候補・別判断に分ける
よく見る構造化データの種類とllms.txtを、扱いと手間の判断で並べました。続けるのは、表示の対象が残っている種類です。

llms.txtは構造化データではありませんが、同じ文脈で聞かれるため並べました。ほかのAIサービス向けに置くかどうかは別の判断で、llms.txtを置くかどうかの記事で整理しています。
外すか残すか、決めきれない点が1つある
FAQPageを外すかは出し方で分かれます。プラグインのFAQブロックが画面の質問と回答から自動で出しているなら、残しても手間は増えません。手で書き足しているなら、本文を直すたびに2箇所を直す手間が残り、ずれれば「画面に無い内容をマークアップしない」に触れます。
決めきれないのは、Google以外の検索やAIサービスがFAQPageを読んでいるかどうかです。Googleの文書からは確かめられません。手書きの分は外し、自動の分は次にプラグインを見直すまで残す。この分け方が無難だと考えています。
ArticleとOrganizationで伝わること、本文でしか伝わらないこと
マークアップで伝わるのは、名前・日付・所属・ロゴのような「欄に入る事実」です。書き手の経験や判断の分かれ目は、本文でしか伝わりません。
Articleで渡せるのは、見出し・日付・著者名の欄
Articleには見出し・公開日・更新日・著者名・画像を、Organizationには正式名称・ロゴ・所在地・連絡先を入れます。署名欄や会社概要ページと同じ値を入れる作業で、マークアップだけに新しい情報を足す場所ではありません。
経験や判断は、欄に書けない
役職をマークアップに入れても、その人が何をしてきたかは伝わりません。著者と作成方法の示し方は生成AIで記事を作る会社が見直すE-E-A-Tの記事に分けてあります。構造化データの側でできるのは、署名欄とマークアップの名前をそろえることまでです。
画面とずれたマークアップは、足さないより重い
一般的なガイドラインは、読者に表示されない内容や、ページと関係のない内容をマークアップしないよう求めています。問題があると手動による対策の対象になり、リッチリザルトとして表示されなくなります。掲載順位には影響しませんが、表示の対象を自分で手放すことになります。
記事のサイトで起きやすいずれは3つです。本文を直したのにマークアップの更新日が古い。著者を変えたのに前の担当の名前が残る。SEOプラグインとテーマの両方がArticleを出し、1ページに記事情報が2個並ぶ。足りないのではなく、ずれています。
記事公開の7段階で、構造化データに手をかける段階と生成AIに渡す段階
記事1本を公開する流れを7段階に分けると、構造化データに手をかける価値があるのは段階3と段階4だけです。生成AIには食い違いの候補出しを渡し、直すかはWeb担当が決めます。
いまの流れ:手書きのマークアップが段階3と段階7を重くしている
| 段階 | 担当 | 入力 | 出力 | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| 1 企画 | マーケ責任者 | Search Consoleのクエリ、営業の質問 | 記事の企画1本 | 書くかどうか |
| 2 執筆と事実確認 | 執筆者 | 企画と原典の資料 | 本文の原稿 | 数字と固有名詞が正しいか |
| 3 マークアップの付与 | Web担当 | 原稿、プラグインの設定 | 自動出力+手書きのFAQPage・HowTo | どの種類を足すか(毎回) |
| 4 公開前の検証 | Web担当 | 下書きのURL | リッチリザルト テストの結果 | エラーを直すか |
| 5 公開と登録 | Web担当 | 公開したURL | URL検査での登録リクエスト | なし |
| 6 効果の確認 | マーケ責任者 | 外部ツールの「AI引用数」と順位 | 報告会の資料 | 効いたか(推計で判断) |
| 7 見直し | マーケ責任者とWeb担当 | 段階6の資料 | 次に足すマークアップ | さらに種類を増やすか |
時間が消えるのは段階3と段階7です。段階3では表示の終わった種類を書き足し続け、段階7では段階6の推計をもとに、さらに種類を増やす話になります。
手間を絞った後の流れ(同じ段階番号)
| 段階 | 担当 | AIが受け取るもの・人の入力 | AIが返すもの・出力 | 人が確認すること |
|---|---|---|---|---|
| 1 企画 | マーケ責任者 | Search Consoleのクエリ | 記事の企画1本 | 誰の何の問いに答えるか |
| 2 執筆と事実確認 | 執筆者 | 企画と原典の資料 | 本文の原稿 | 数字と日付が原典と合うか |
| 3 マークアップの付与(絞る) | Web担当 | プラグインの自動出力だけ | Article・BreadcrumbList・Organizationの3種 | 出力元が1箇所か |
| 4 公開前の照合(増える) | 生成AI→Web担当 | 下書きのHTMLと出力されたJSON-LD | 記事1本ごとの食い違いの候補一覧 | 日付・著者名・会社名が一致しているか |
| 5 公開と登録 | Web担当 | 公開したURL | URL検査での登録リクエスト | noindex・nosnippetが付いていないか |
| 6 効果の確認 | マーケ責任者 | 生成AIパフォーマンスとリッチリザルトの2レポート | 表示回数と有効なアイテム数の推移 | 推計の数字を混ぜていないか |
| 7 見直し | マーケ責任者とWeb担当 | 段階6の推移と表示回数の多いページ | 次に直す本文1本 | マークアップでなく本文を直す判断か |
消えるのは段階3の手書きで、増えるのは段階4の照合です。1本あたりの所要分数は公開の流れで違うため、段階3と段階4の開始と終了の時刻を2週間・10本分控えて、自社で比べてください。
人に残す判断は4つ
- どの種類を出すか:サイトの方針にあたるため2人で決める
- 日付・著者名・価格の値:ずれると手動による対策の対象になり、価格は取引条件そのものになるため、人が確定する
- 手書きのFAQPageを外すか:他のサービスでの扱いが原典で確かめられないため、担当者が記録を残して決める
- 段階7で直す本文:表示回数の読み方は企画の責任に属するため、マーケ責任者が決める
生成AIに渡すのは、照合の候補出しまで
JSON-LDを書かせず、照合を渡します。書かせると画面に無い値をもっともらしく埋めることがあり、ガイドラインが禁じる状態そのものになるためです。照合なら、見落としは人の確認で拾え、余計な候補は消せば済みます。社外秘の原価や取引先名を含む段落は、渡す前に外します。
公開後に見る2つのレポートと、社内だけで判断すると危ない3つの境目
公開後に見るのは、Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートと、リッチリザルトのステータスレポートです。前者はAIの回答へのリンクの表示、後者は構造化データが有効かを示します。
生成AIパフォーマンスレポートは、表示回数を見るもの
2026年8月に全サイトへ公開され、対象はAIによる概要とAIモードです。インプレッション数は、生成AI機能でサイトへのリンクが表示された回数を指します。表は1,000行まで、クリックは出ないため、訪問は通常のパフォーマンスレポート(検索タイプ「ウェブ」)で見ます。
構造化データを変えた日と本文を直した日をメモに残し、90日ごとに表示回数の多い10ページと少ない10ページを比べます。本文も同じ時期に変えると、前後比較では区別できません。数字全体の設計はLLMO対策の効果を測る5つの数字の記事で扱っています。
リッチリザルトのステータスレポートは、ずれの見張り
Googleは、開発中はリッチリザルト テストで、公開後はステータスレポートで有効かどうかを見るよう勧めています。テンプレートや配信の変更で、公開後に崩れることがあるためです。テーマやプラグインを更新した週に1回、月末にもう1回開き、有効なアイテム数の急減を見れば足ります。
サイトの種類別、手間をかける順番
| サイトの種類 | 先に揃えるもの | 後回しでよいもの |
|---|---|---|
| 記事で集客する法人サイト | Article・BreadcrumbList・Organizationと署名欄の一致 | FAQPage・HowToの手書き |
| 店舗や拠点のあるサイト | ビジネスプロフィールの営業時間・所在地、LocalBusiness | 記事ごとの種類の追加 |
| 商品を売るサイト | Merchant Centerの商品データと、Productの価格・在庫の一致 | 商品と関係のない種類 |
店舗と商品のサイトでビジネスプロフィールとMerchant Centerを先に置いたのは、Googleのガイドが、これらの情報を最新に保つよう勧めているためです。
社内だけで判断すると危ない3つの境目
重いのは、外部ツールの「AI引用数」や「AI可視性スコア」を報告会の成果の数字にしてしまうことです。Googleのガイドは、上位表示を約束したりGoogle内部の指標を使うと主張したりするツールに注意するよう書き、外部ツールはGoogle内部のランキングやAIのシステムにアクセスできないと明記しています。推計で段階7を決めると、効いていない種類へ予算が流れます。数字の読み方を決められる人が社内にいないなら、Search Consoleの2つのレポートを正の数字に置く決めごとを、外の目を入れて先に作る方が早く済みます。
次に、出力元がプラグイン・テーマ・手書きの3箇所に分かれている場合です。担当が交代すると誰も説明できなくなり、まとめる作業は設定に触れるため、社内に設定を戻せる人がいるかで進め方が変わります。
もう1つ、llms.txtなどをGoogle検索のために作ることは、Googleが不要と書いているので社内で止めて構いません。呼び名の違いはGEO・AIO・LLMOの記事へ。
ビフォーアフター:構造化データの手間を絞ると、四半期の見直しはこう変わる
AIのために種類を足し続けていた場合
- FAQPageとHowToを手で書き足し、本文を直すたびに2箇所を直す
- 出力元が3箇所に分かれ、1ページにArticleが2個出ている
- 報告会の数字は外部ツールの「AI引用数」で、次の3か月もさらに種類を増やす案になる
手間を3種と照合に絞った場合
- 出すのはArticle・BreadcrumbList・Organizationの3種で、出力元はプラグインの1箇所
- 公開前に生成AIが食い違いの候補を出し、日付・著者名・会社名の一致をWeb担当が確定する
- 報告会は表示回数を見て、次に直す本文1本を決める場になる
プラグインも、月に公開する記事の本数も変わりません。段階3の手書きが段階4の照合に替わり、段階6の数字がGoogleのレポートになる。違いはこの2点で、何を直すかの判断はどちらもマーケ責任者とWeb担当に残ります。
この記事のまとめ
- 10月中にやるのは、自社サイトから出ている構造化データの種類と出力元の一覧づくりです。手書きのFAQPage・HowToがあれば、外すかどうかをその一覧の上で決めます
- 公開前は、テストの合否に加えて日付・著者名・会社名が画面と一致しているかを見ます。候補出しは生成AIに渡せます
- 成果の数字は生成AIパフォーマンスレポートと通常の検索パフォーマンスの2つに固定し、構造化データを変えた日を記録します
2026年10月
読んで終わりにしないために
「自社の場合は、どうすれば?」
その答えを、最大45分で持ち帰る。
記事で分かるのは、一般論まで。AI導入を専門に見ている担当が、貴社の業務に当てはめて“次の一手”だけを一緒に整理します。
この相談で持ち帰れるもの
- 01
自社業務に当てはめたAI活用マップ
- 02
投資対効果(ROI)のシミュレーション
- 03
いまの悩み・疑問への、その場の個別回答


